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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
風の国
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風の国 ⑪魔術師の弱点

あけましておめでとうございます。年始一発目は雷帝丸さんがしっかり活躍します。

「ぐぬぬ…勇者の魔術師が! 」

 攻撃を返しただけでは決定打にはならなかったようで魔術師が十数名立ち上がった。周りの魔術師よりも明らかに年老いている。

「さっきのは吸収した魔術を返す魔術だけど威力はそのままだから頑丈な魔術師はまだしっかりしてる! 」

「多分やり手だ! そいつらは任せろ! 」

 雷帝丸は盾から剣を引き抜こうとしたが、アクシデントが起こった。

「あ」

 盾から剣がすっぽ抜けてしまった。いつもはそんなことが起こらないように雷帝丸自身がしっかりと滑り止めの役割を担う部品を組み込んでいる。だが今持っている武器は花の国からデリバリーしてもらった急造品のレプリカ、ましてや花の国の執事長ベンゼンが試行錯誤(なぞとき)をしながら作っていたうちの一つなので滑り止めの部品がたまたま変な負荷がかかってしまった。その結果、剣が鞘代わりである盾からすっぽ抜けてしまった。

「おごぉ!? 」

 すっぽ抜けた剣は新たに魔術を唱えようとしていた魔術師に柄が当たった。剣はその場に魔術師と共に落ちた。

「け、結果オーライ……後で剣は回収しよっと」

「怯むな! 撃て! 」

 魔術師たちが杖から先ほどよりも威力の強い火炎や雷撃を雷帝丸に向けて打ち出してきた。それを見たコハクはすかさず魔術を唱えた。


「『バリア』! 」

 雷帝丸に魔術師たちが放った魔術が命中する。雷帝丸は盾で受けきれなかった雷撃に怯んで逃げ腰である。が、雷帝丸は無傷だった。

「ちょまて! そんないっぺんに魔術をぶつけてくるんじゃない!! ぎゃぁああああああああああああああ!! 」

『コール! バリア、リフレクション、ブレイズ、アース、ブースト…ブラスター』! 」

「ぐああああああああああああああああああああああああああああ!!! ……あ、あれ? 」

「おじちゃん! おじちゃんは今なら少しだけ魔術が効かない身体になってるよ! 今のうちに攻め込んで! 」

「ナイスだコハク! 」

 コハクは雷帝丸の周りに一度防御結界のようなものを展開し、結界が破壊される前に新たな防御の魔術を雷帝丸にかけて強化を図る。雷帝丸はコハクの援護を受けながら正面の魔術師に突進する。援護を貰った瞬間に雷帝丸は強気になったのか突進にも勢いがある。なす術がない魔術師たちに盾を構えてそのまま魔術師を一人、みぞおちに左手の一撃をねじ込む。大きな盾は雷帝丸の身体を正面から捉えにくくするため、近接戦闘が不慣れな魔術師にとって余計に対処しにくい。

「ぐあ…! 」

「まずは一人! 」

 剣の無い雷帝丸だが剣が無くとも腕力ならそれなりにある。普段から身体を鍛えていない相手には十分すぎる一撃で、その魔術師はあっさりと意識を失い仰向けに倒れる。

「『ブースト…調子に乗るなよ! 『バースト』! 」

「効かねぇ! 」

「避けて! 」

「え?…あばばばばばばばばばばばば!!? 」


 今の雷帝丸には効かないはずの雷撃の魔術が効いた。雷帝丸は先ほどコハクがしたお返しのような攻撃を受けてしまった。

「強い魔術には効果がないの! いまのはコハクの魔術より格下だけど人に向けるなら十分の威力だよ! 」

「早く言ってくれない!? 」

 雷帝丸は攻撃を受けたがあまり効果はないようだ。そんな雷帝丸は足元に転がっていた魔術師の身体と同じくらいの大きな杖を見つけて思いついた。

「あ、そうだ! 試しに! 」

 雷帝丸はその大きな杖を拾い上げ、魔術を唱えてみることにした。

「待って! おじちゃんじゃ使えない! 」

 コハクの忠告を無視して雷帝丸は次の魔術師の元へ走りながら杖を振りかぶって魔術を唱えようとした。

「ベテラン勇者流魔術、インパクトぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 」

「へぶっ!! 」

 雷帝丸は杖を鈍器のように振り下ろし、魔術師の頭に叩きつけた。

「魔術発動出来てない…おじちゃんはやっぱり魔力が無さ過ぎて魔術が使えないんだ。しかもあれじゃただ叫んでるだけ…」

「でりゃぁぁぁぁ!! 」

 雷帝丸は取りに行けない剣の代わりに足元に転がってきた杖を振り回して棍棒のように扱っている。大きな盾を持つ右側にうまく干渉しない振り回し方をしているが、棒術として見るとかなり出鱈目である。しかも雷帝丸は自覚していないが魔術は発動していないため、奇声を上げながら杖を振り回しているだけのおじさんになっているのはコハクしかわかっていない。


「ぶべら! 」

「ほげぇ! 」

「魔術で対抗しろ! 」

「だめだ! 魔術が効かない! 」

「連結で撃て! 威力を上げて防御を破るんだ! 」

 ただただ杖で殴りつけるだけの雷帝丸だが魔術師たちにとっては脅威であった。コハクの魔術で雷帝丸には魔術が効かない、魔術師たちは体術や近接戦は苦手な者がほとんどであるためこれだけでもかなりの脅威になっている。雷帝丸も数十人の魔術師、もとい人間を同時に相手するのは初めてだがかなり自信が付いてきて調子に乗り始める。

「てぇい! 」

「ぐは…」

「おつむは足りてても経験は足りなかったようだなぁもやし共! これで学校の中に行ける! コハク、案内してくれ! 」

「うん! 」

 校舎の外にはまだ魔術師がいるが校舎の中の新しい杖を回収することを優先して、雷帝丸たちは校舎に突撃した。

「逃がすな! 」

 追ってくる魔術師が数人いる、追いながら魔術を唱える準備をしている。それに気が付いたコハクは雷帝丸についていきながら魔術で対抗しようとしている。

「『コール! ブレイズ、アース、バリア、ブラスター』! 」

 魔術師たちが魔術を放つと火炎や雷撃が雷帝丸とコハクめがけて来る。すると魔術の火炎や雷撃が混ざって爆発した。

「これで仕留めたか…? 」

「『ディストラクション』! 」

「まだいるぞ! 」

 魔術師たちは次の攻撃を仕掛ける者、二人を警戒して防御の準備をする者、指示を出す者、負傷を治す者など各々で迎撃の準備をする。しかし爆煙が晴れると二人の姿はなかった。



魔術の設定はある程度完成していますが、ややこしさが増えてしまうため現段階では公開しません。お話の中で不自然に思った方もいると思いますがちっちゃいことは気にしないでください。わかちこ。

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