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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
風の国
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風の国 ⑩天才魔術師は能力だけじゃない

「国立マギカ大学魔術研究学部魔術原理研究学科第一キャンパス…名前ながっ!コハク、学校はここで合ってるか?」

「うん。建物は変わってないけど、やっぱり何か変」

 コハクの要望のためコハクが在籍している学校に行くことにした。雷帝丸はコハクの護衛をしながら大きな学校の正門まで来たが、一度も襲撃は受けなかったためかえって不自然だと思いながら慎重に進んだ。

「学校には着いたが、何かあるのか? 」

「うん。コハクが帰ってくることはおじちゃんと出会う前に連絡してたからコハクが帰ってくるのは知ってるはずなの。だからコハクの友達がいると思ったんだけど夜だからかいないね。それにコハクの新しい魔術補助アイテムがあるはずなの! 」

「魔術補助アイテム? 」

「そう。魔術師の杖とかのことだよ。魔術は魔力があることが発動の最低条件の一つなんだけど、簡単に言えば魔力を悪魔にあげることで契約ができて、契約した悪魔が魔力に見合う超常現象を代行してくれるの。でも悪魔が近くにいないと魔術が使えないから魔術補助アイテムで悪魔を呼びよせていつでも契約できるようにするの」

「お、おう……? 」

 コハクが魔術の説明したが、雷帝丸にはよくわかっていない様子を見て、コハクはアハハと苦笑いしている。


「だがそこそこ長く勇者をやってるが、悪魔なんて見たことないぞ? 」

「悪魔は人間には見えない生き物だからね。でもこの仕組みが分かったのは3年前なの」

「はぁ!? そんな最近のことだったのか!? 魔術なんて大昔からあるだろ!? 」

「うん。でもなんで人間が魔術が使えるのか、はっきり分かったのが3年前なの。コハクがこのことを発見するまでは何で魔術が使えるのかちゃんとわからなかったからね。コハクはもう魔術学者としても魔術史としてももうとっくに偉大な功績を確立してるの! 」

 しれっと自分の過去の自慢話をするが、これがコハクが天才と呼ばれることに拍車をかけているのである。

「じゃあコハクはとんでもない魔術師なのか!? 」

「凄いでしょ! 最高でしょ! 天才でしょ! 」

「確かに天才だがそれを自分で言うのか…いや、天才なんだけどさ」

 天才的な才能を持つコハクだが少々自惚れるクセがある。それも子ども故に自分が優位に立ちたいという心理が働いているのだが、実際に雷帝丸どころか世の中の大半の魔術師よりも優れているのであまり意味はない。

「さて、新しい魔法補助アイテムを貰おう!先生たちには悪いけど勝手に持ち出しちゃおう! 」

「おいおい、天才様がそんなことしていいのかよ」

「多分許してくれるよ…多分……元々コハクが旅に出る前に設計図を作ったものだし、旅が終わったら完成次第コハクが試作品として使う予定だったからね…『コール!サモン、ほうき星』! 」

 コハクは少し怯えつつ、魔術を唱えて愛用の杖を手元に現れた魔法陣から取り出した。

「なんか怪しい魔術だな!? 」

「どこにあるのか探すから魔術を使うね…『コール』! 」

「そんな魔術もあるのか」

「『サーチ、ポイント、ソナー、ブースト…マインド』! 」


 『コール』の掛け声で以前見た魔術を発動する前の渦が生まれ、続く言葉で雷帝丸には読めない文字が浮かんでは渦に解けていく。今回は文字が溶けても色は変わらず渦も変化しない。そして『マインド』の掛け声と共に渦が少しずつ弱まっていくとやがて消えた。

「ど、どうだ? 」

「……あった。地下室の大型の金庫の中。あそこなら校長室から行けるからそんなに遠くないや」

「そうか、早めに取りに行こう」

「でもそうはいかないみたい」

 コハクがそう言うと学校の各所からぞろぞろと魔術師が出てきた。フードを深く被り、黒いマントがつながっている。魔術を唱えるためか目元を隠すタイプのマスクをつけていて、性別や年代はバラバラである。

「まさかここが根城か? 」

「根城ではないけど一つの基地みたいになってる。旅に出る前はこんなことになってなかったのにみんなこの一年で何があったの? 」

「……囲まれたな」

「今のコハクの探知の魔術でここにいるのはバレバレだからね」

 雷帝丸とコハクの周りには多くの魔術師がいる。一斉に攻撃を仕掛けてきてもおかしくはない。二人はどうするか事前に打ち合わせていたが、囲まれてしまってはもはや意味はない。

「校長室まで一気に行くか? 」

「魔術の罠がいくつか仕掛けられてるからダメ。でも罠を逆に利用できればいいかも」

「っ!! 来る! 」


 雷帝丸が言うと四方八方から火炎や雷撃が飛んできた。雷帝丸は剣を刺したままの盾を右手に構え、左手にコハクの右腕を掴んで前へ走った。

「おじちゃん!? 」

「背中は任せ…あばばばばあばばばばばばばばばばば!!? 」

 火炎は盾で防ぐことができた。だが雷撃は防ぐことができなかった。

「何してるのもう…『アブソーブ』」

 雷帝丸に触れていたコハクも雷撃を受けるが平気な顔をしている。魔術を唱えると雷帝丸に向かって飛んできた火炎と雷撃が雷帝丸を無視してコハクに吸収されていく。その様子を見た魔術師たちはどよめき混乱する。

「な、なんだあの魔術!? 」

「魔術が吸収されていく!? 」

 かつての魔術大国である風の国の魔術師たちが驚くほどの魔術を使いこなす辺り、やはり別格の魔術師で天才なのだということをこれでもかと各々が味わう。

「そうだよ。研究中だけどコハクが旅で見つけた新しい魔術だからね! 」

「新しい魔術だと!? 」

 やはり一人の天才の前では大勢の凡人も意味をなさないようで、それはいつの時代でも同じなのかもしれない。

「じゃあお返し…『リダイアル』! 」

 コハクが唱えると吸収された火炎や雷撃が四方八方に返されていく。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

「きゃぁっ! 」

「あばばばばばばばばば!! 」

 返された魔術は例外なく魔術師に命中し、驚きを隠せない魔術師たちに不意打ち気味に決まった反撃は大半の魔術師を一撃でノックダウンした。

「こ、コハクってどんだけすげぇんだ…」

「魔術の仕組みが分かったからこれからは新しい魔術が開発されると思うよ」

 コハクが何気なく魔術の将来について簡潔に語り、雷帝丸がもしや自分でも魔術が使える未来があるのかと驚いている。てへっとコハクは舌を出すが、まだまだ敵は倒せていない。



多分今年はこの投稿で最後です。来年もよろしくお願いします!

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