風の国 ⑨天才魔術師のすごいところは能力?
ベテラン勇者のおつかいをご愛読いただいている皆様への感謝
この度はベテラン勇者のおつかいが500PVを達成致しました。本当にありがとうございます。つたない文章で申し訳ありませんが皆様の肩の力を抜くきっかけになっていれば幸いです。また、少し先の内容になりますがこの風の国での出来事は少し衝撃的な展開を迎えるつもりなのでぜひともお楽しみに!
それに合わせて今回から試験的にあちこちに行間を空けているのですがこちらの方が読みやすいでしょうか…?ご意見お待ちしております。
「いなくなっちゃった。それにしてもおじちゃん大丈夫?」
病室で寝ていたコハクが突然現れて雷帝丸の窮地を救ってくれた。病院の外でコハクの回復の魔術によって応急処置を受けている。雷帝丸が吐いた血を見てコハクが怯んだ一瞬で、雷帝丸を襲ってきた二人は逃げてしまったようだ。
「ありがとうコハク。だがよく気が付いたな。でもせめて雷の巻き添えは避けてほしかった」
雷帝丸がお礼を言うが、コハクが放った雷が雷帝丸の毛髪にも当たってしまって毛髪の一部がチリチリに焦げている。
「ご、ごめんね?当たると思わなかったの……。うん。それでね、なんだか強い魔力を感じたからね。それにこの病院にも魔術がいろいろ仕掛けられてる。何があったのかわからないけど、オキシの街に何か異常が起きてるの」
「異常?」
「そう。コハクが住んでたのは今から1年経たないくらい前までだったんだけど、その時はこんな強い魔力は感じなかった。でも今は街全体に魔力が溢れて嫌な予感がする」
コハクは久しぶりに帰って来た故郷に対して違和感を抱いているようだった。彼女は少し落ち込んでいるようにそう話すが無理もない。もうすぐ9歳になるまだ幼い女の子、友達とも家族とも離れて一人旅をしていたのだからホームシックになっていたところに旅の終わりに出会った親しみのある変なおじさんが襲われるというショックな出来事に巻き込まれているのだ。オキシに入る前の彼女の明るい笑顔が今はない。
「コハク、今厄介なことに巻き込まれてな…勇者としてちょっと見過ごせないことがこの街に起きてるんだ。だが今のお前じゃ身体が辛いだろう?病院で休んだ方が良くないか?」
「それはダメなの!この病院自体も何か魔術を使って細工されてるし、おじちゃんだって人のこと言えないよ。しかもコハクも知らないくらい古い魔術が使われてるから細工の解除もできない。だからこの病院で休むのも少し危ない気がする」
「そうか、だが一体何のために?」
「わからないよ……」
コハクの顔が今にも泣きそうなくらい暗くなる。自分がこの街にいない間に信じられない出来事が起こっていたことがコハクの幼い精神を蝕む。それでもコハクは自分の唇を噛みながらも前を向いて雷帝丸を見る。
「でも……誰かが何かすごい悪いことをしようとしてる人がいるのは間違いないと思うの。コハクは街も、学校も、ママも心配。みんな大好きなの。だからおじちゃん!案内するからコハクを連れて行って!」
「コハク…。危ないかもしれないというか、危ないぞ?」
雷帝丸は強がるコハクを心配するが、コハクはそんな雷帝丸の心配を力強く押し退ける。
「大丈夫!コハクは普通の魔術師よりもずっと強いんだから!夜中だけどずっと起きていられる真っ黒で苦いお薬飲んだから寝ないもん!それにあの二人にあっさり負けるようじゃ魔術師に勝てないからお手伝いする!!」
コハクは真剣なまなざしで雷帝丸に訴えかける。さりげなく先ほどの敗北について厳しい意見を叩きつけられたため雷帝丸は内心傷付くがその程度でへこたれる暇はない。雷帝丸は幼い女の子を危険に合わせることには気が引けていた。雷帝丸自身は子どもに頼るしかない自分が情けないと力不足を実感しながらも、コハクの実力と思いに頼ることにした。
「コハクがおじちゃんを助けてあげる!だから、おじちゃんがコハクを、街を助けて!!」
「……わかった。俺のそばを離れるなよ。お前の母さんに会った時に怪我してたら困るし、病院代…は後で考えよう。今は街とかが先だ。頼んだぞ、コハク!」
「うん!」
コハクは嬉しそうに応えた。かくして雷帝丸とコハクのたった二人でオキシの街を救う戦いが始まった。
雷帝丸が病院に戻ったのは戦闘の準備をするためであった。しかし、その病院が使えないとなればほとんどそのまま戦わなければならない。襲撃を受けた雷帝丸はコハクに助けられながらも、病院を抜け出したコハクにそのまま連れられて行くように、準備をしていない状態で病院を後にする。
「もうちょっと何か道具があればよかったんだが…それこそ病院で薬とか借りて回復系アイテムを補充しようかと…」
「それができなくても魔術は使えるから大丈夫だよ」
「でも魔術は魔力を使うんだろ?そんなことしてたら先にコハクの魔力が底を着いちまう」
「心配しないで!そこはコハクの『能力』で何とかなるよ!」
雷帝丸の心配をよそにコハクは自信ありげに返す。
「『能力』?コハクの『能力』は何だ?」
「コハクの『能力』は『魔力が無限』なの!だから魔術が使い放題なの!」
「『魔力が無限』!?そんなことがあるのかよ!?魔術使い放題じゃねーか!!」
「そう!でも使い方は自分で覚えないといけなかったからお勉強は頑張ったんだ!」
「魔力0の俺にとっては何とも羨ましい『能力』だチキショー」
魔術が使えない雷帝丸にとっては羨ましい話である。雷帝丸は魔術が使えない。理由は魔力がほとんど無く、魔術の使い方も知らないことが原因である。その一方でコハクは魔力が『能力』によって底なしであることも手伝って魔術の天才と称されることになった。
「だがそれなら何とかなるか。それなら後方支援と回復は頼んだぜ!コハクには怪我をさせるわけにはいかないから、俺が前に出てコハクを守りながら戦う。よろしくな!」
「任せて!おじちゃんを助けるから!」
二人は力を合わせて戦うことを誓った。雷帝丸にとってはこれほど心強い仲間がいたことはないため感動すらしている。コハクはオキシの町に入る前の笑顔が少し戻り、やる気十分である。
「よし、さっそくだが…何からしようか?」
「だぁぁ!?」
せっかく意気揚々と決まったところだが、幸先の悪いスタートとなった。
コハクちゃんの能力は作中にもあったようにわかりやすくチートです。魔術使い放題です。本来魔術師は複数人のチームで行動し、魔力や魔術の種類を補い合うのですが、コハクちゃんはそんなことしなくていいのでわかりやすく天才です。魔術の大戦争にでもなれば一人で大軍を相手出来るくらいのポテンシャルがあります。なろうに投稿するならこの子の方が主人公適正あったんじゃないかと作者も思いますw




