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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
風の国
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風の国 ⑧まさかの敗北!?

 雷帝丸はそのまま絨毯の下の隠し通路を進み外へ出た。ラクトの言葉通り中心街のマンホールから出れたが、今は夜中のため人通りは少ないどころか誰もいなかった。やけに街全体が静かで少し不気味さすら感じる。だが士気が上がっている雷帝丸にはそんなことは気にならず、知能の低い頭脳を捻って対策を考えつつコハクのいる病院に歩みを進める。

「あれは魔術?錬金術?それともどっちも?今はそんなことはどうでもいい。ああは言ったものの、俺はこの後作戦を立てて魔女を倒す方がいいのか、それとも……」

 しかし雷帝丸は元々医療費を賄うためにこの地下街で仕事を探しに来たのだ。その地下街の住人を解放してしまえば地下街は仕事どころではない。

「うーん、どうしよう…スパイみたいにあえて仲間になって内部を壊滅させるついでに金目の物を取るとかはもはや盗賊だしなぁ」

 雷帝丸はあくまで勇者である。盗賊紛いな勇者も存在するが雷帝丸はあくまで勇者であり盗賊ではない。そんなポリシーも持ち合わせているが、現代の勇者は逆にそんな思想を持ち合わせていると身を亡ぼすことに繋がるというのが定石だった。それでも雷帝丸がそんなポリシーを持ち合わせているのは、失うものを一度失くして生活をすることになったことがきっかけであるためである。厳密には家族から勘当されたのだが雷帝丸にとっては家族を失ったも同然である。10年前からついこの間まで一人でこなしてきたサバイバル生活で一番最初に作り出した信念であり、それは失いたくないのだった。

「うーん…とりあえず病院に戻って明日考えよう」

 雷帝丸は病院の入り口に戻ってきて病院に入ろうとした。しかし、病院の中には入れなかった。

「……あれ?鍵がかかってるのか?」

 病院の扉を開けようとしても動かない。かなり大きな病院のはずなのに一番大きな入り口を閉めるのだろうか。すると雷帝丸は周りの様子がおかしいことに気が付いた。

「……」

 誰かいる。それも自分をターゲットにしている。つまり敵、おそらく魔術師だと踏んだ。背中に背負っている盾に収納されている剣を引き抜けるように、一撃で仕留めるために、意識を集中させた。そして……

「っらぁ!!」

 雷帝丸はロンダートのように身体を捻って病院の入り口を離れ、連続回転で遠心力を加えながら左手に剣を握り、剣の一撃を後ろの敵に放った。しかし、雷帝丸の一撃は空しく空を切った。

(手応えなし?いや、最初からいなかった!気配の魔術か!?いきなり背後に飛んで虚をつくつもりだったが意味なかったな)

 雷帝丸は魔術に関して知識も実用もからきしだが、戦闘で使用する魔術はどんなものかは10年の経験から多少理解している。攻撃を外したことが分かったとたんに防御のために背中の盾を右手に構える。すると雷帝丸は彼を中心に左右からぶつぶつと何かを呟く声が聞こえた。

「いた!二人!」

 雷帝丸は盾を持っている右側に盾を構えて突進した。姿は見えないがそのまま突進する。すると何もない空間から声が聞こえた。

「きゃあ!」

「逃がすか!」

 雷帝丸が盾を声の聞こえた方へ振り回すとゴッ!と鈍い音と同時に盾に打撃の手応えを感じた。

「まず一人!」

「『ブラスター』!」

 反対側の空間から雷帝丸を包み込む大きさの火球が一つ飛んできた。

「あぶなっ!」

 雷帝丸は盾を再び振り回して火球を弾いて防御した。だがその火球を弾いている隙に雷帝丸の腹のすぐ近くから魔術が聞こえた。

「『インパクト』!」

「やばッ…!」

 雷帝丸はその一撃を受けてしまった。脇腹から全身へ伝わる強い衝撃は大槌の一撃のような激しさだった。

「…ぐふはっ!」

 開かない病院の入り口に叩きつけられた雷帝丸は血を吐きながら地面に膝を着く。

「あれ?」

「ゆ、勇者のわりにはあんまり強くないね」

「カラメル、あんたそう言いつつ危なかったじゃないの」

「あ、あんなの大丈夫だもん。シトリン先生がかけてくれた物理攻撃防御の魔術をかけてくれたから問題ないし!」

「あ、でも魔術解けてる。そう考えると結構強かったのかなこの勇者」

「え、マジ?たんこぶもできずに済んだけど魔術がなかったら即死だった…。助けてくれてありがと、オリゴ」

 幼い女の子の声が二つ聞こえる。今襲ってきた魔術師だろう。だが雷帝丸の攻撃で魔術が解けたのか、女の子一人の姿がぼんやりと見える。

(俺はガキに負けた…!?コハクと同年代の女の子に……!?)

 だが雷帝丸はあまりにもショックだった。対人戦の経験は少ないとはいえ勇者歴10年のベテラン勇者が幼女二人に立った一撃で負けたのだ。地下街でラクトに意気揚々と自分には力があると豪語していたにも関わらずこの呆気ない敗北である。薄れる意識の中で雷帝丸は落ち込んでいた。すると突然、幼女二人に雷撃が命中した。

「「ぎゃぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!?」」

 突然の幼女の悲鳴と雷鳴の光で意識が返ってきた雷帝丸は顔をあげると、箒に跨るコハクを夜空に見つけた。

「カラメル、オリゴ……何してんの!」

「こ、こ…コハクぅぅぅぅぅ!!」




ついにコハクちゃん復活!!次回、コハクちゃんのチートな能力公開です。

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