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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
雪の森
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花の国 番外編② 城の片隅にて

このお話は雷帝丸が早速装備を失った直後のブルーミアの城の話です。

「へっきしゅ!!」

 普段の少々乱暴な女性からはまず聞こえないであろうくしゃみが聞こえる。なんだか胸が突っ張った気がして一瞬つらくなった。くしゃみでつらくなったのかもしれないが、そうじゃない気もしているブルーミアの姫である。

 そんな中、ブルーミアの城にいるのは姫、執事長のベンゼン、最小限の兵士、最小限の伝令係などしかいない。城の仕事の指揮はベンゼンが主にとっているが、彼は今どこにいるのかわからない姫であった。

「うぅ、さむ…じぃやはどこよ。私にだって仕事をさせたっていいじゃない」

 ベンゼンは時々城の外に出向くことがある。見回りなどをしているらしいが、今回もそうなのだろうか。姫がそう思っていると今回は見回りではないことが分かった。ベンゼンを探しに何となく倉庫に出向くとまぶしい光が閉じている扉から漏れているのをみつけた。

「錬金術の光?じぃやかしら」

 倉庫の扉を開くと想像通りベンゼンがいた。やはり錬金術をしていたようだが、円の外には数人分の同じ装備が置かれていた。だがその装備は全て雷帝丸がブルーミアの城から出発する前に調整した物と見た目は同じである。

「おぉ、姫様。どうなされましたか?」

「じぃやこそ何してるの。錬金術でこんなの作って」

「見ての通り装備を作っているのじゃ。雷帝丸殿の装備について知りたいことがありましてな」

「あのダメ勇者の?」

「うむ、旅立ち前に錬金術をかけたのは覚えていると思いますが、少し違和感がありまして。同じ装備を作っても同じものが作れないのじゃ。錬金術ではない技術で作られているようでそこまでの再現は出来ないのじゃ。防具は簡単にできたのじゃが、問題は剣と盾じゃ。何かで強化されているというべきか、いわゆるエンチャントというべきか。おかしな代物を持ってきたものじゃ」

 少し難しそうな顔をするベンゼン。何度も錬金術をしても納得がいかないようだ。

「エンチャントなんて炎を纏わせるとか帯電させるとか、魔術をちょっと使えれば出来るんじゃないの?武器や防具も錬金術で作るなら材料とか術式が合ってれば量産もできるんじゃなかったっけ?」

「だからこそなのじゃ。エンチャントも姫様が言う通りで事足りる技術じゃ。それに本来術式通りに働くはずの錬金術が何かによって術式を歪められた。今も同じ術式で一通り作ってみたのじゃが、どうしてもあの時の装備が作れないのじゃ。どうやら雷帝丸殿が持ち込んだ武器は化け物かもしれん。正確にはワシが創り出した剣や盾たちとは見てくれは同じでも中身が違う、というのが正しいのかもしれないのぉ」

 ベンゼンはこだわりからなのか装備を作り続けている。術式を少し変えたり、もとに戻したりと倉庫を行ったり来たり。仕事をもらいに来た姫は本来の目的を忘れているが、ここでふとした疑問を口にした。

「ところでその装備、作った後はどうするの?」

「……雷帝丸殿は今、雪の森の中を全裸で徘徊していると一般人から連絡が来まして。完成次第リュウスイ経由で装備を配送するのじゃ」

 ベンゼンは自分で作った剣と盾をまじまじと見つめたり使用感を確かめたりするがやはり納得がいかない。そんな執事長を眺めながら姫は一言呟く。

「……やっぱりあのエセ勇者、期待外れじゃない」

 『道端でコインをたまに拾える』という魔王討伐には役に立ちそうにない能力、魔力も使えない、サバイバル生活を主軸におき、勇者としての主な仕事は魔獣退治だったこの勇者は本当に魔王と討伐できるのだろうか。




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