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ベテラン勇者のおつかい  作者: Luoi-z-iouR(涙州 硫黄)
雪の森
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雪の森 ⑪氷の棘とブーメラン

 シュタッとカッコよく、ピンチに駆けつけた主人公っぽく着地するとその場には格闘戦に特化させたガントレットを両手にはめたシクロがいた。脚には攻撃にも防御にも使えそうな装備をしていない。ただの靴である。

「し、死なない程度に助けてあげる。死んだら私にも国から責任追及されるかもしれないから手伝うことにした」

激しい運動をしたからだろうか、頬を赤らめ肩で息をしている。雷帝丸は来てくれたことに感激していた。

「絶対来るって信じてたよ! 『仲間』だからな! もしかして今の一撃でヤツもワンパンじゃね!? 」

 フンっとそっぽを向くシクロだったが、彼女は雷帝丸に警告してきた。

「……多分生きてる。ガスで膨らんでるせいなのか、ジェルでにゅ、にゅるにゅる……するせいなのか打撃はたぶん効いてない」

 シクロの先ほどまで赤かった顔が青ざめ、少し怯えているようだった。


「私の今の装備は殴って硬いものや人体を壊すものだから柔らかいアイツには多分効いてない。さっきみたいに溜まりまくったガスを抜くのが限k」

 ベシャッと突然何かがシクロの頭上から降ってきた。それは見覚えのあるジェル。雷帝丸はハッと上を見上げるとジェルをたくさん纏ったメタンガストパスがいた。直径3メートルほどの透明なジェルの塊になって雷帝丸とシクロに向かって落ちてくる。

「ずももも!! 」

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

「落ち着けシクロ!!まずはCQCの基本を思い出すんだ!! 」

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!にゅるにゅる嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

 二人の頭上からは重力に負けて落ちてきたジェルの塊に巻き込まれないように逃げるが遅かった。メタンガストパスが勢いよく落ちてきた。

「うわっ!? 」

「ひゃあ!! 」

 ジェルの塊が着地したことで回りにもジェルが飛び散る。幸いにも雷帝丸は逃れられた。だがシクロはジェルの塊に飲み込まれてしまった。ジェルの海が雷帝丸の目の前に広がっている。

「シクロぉ! 無事か!? 」

「ぷはぁ! いゃ…気持ち悪いぃ、冷たいぃ……にゅるにゅるは嫌ぁ…」

 雷帝丸が声をかけるとシクロはすぐにジェルの海から出てきた。シクロは全身ジェルまみれになっているがにゅるにゅるしたものが苦手なようだ。そのせいで軽くパニックを起こしている。

「ひとまず無事か…って、なんか……うん。えr」

 雷帝丸のたんこぶにジェルの棘が飛んできて刺さる。シクロはこの男に躊躇しない。特に猥褻な内容に関しては。


「にゅるにゅるしてるのにその発言はホントに最低」

 確かに最低ではあるが、そのおかげでシクロは落ち着きを取り戻した。雷帝丸はたんこぶから血が流れているが、シクロは体内の血液が沸騰するほど冷静に怒っている。そんなシクロが涙を浮かべて悲鳴をあげるのに数秒とかからなかった。

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!! もう嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

 シクロの胸に縮んだメタンガストパスが張り付いていた。シクロは真っ赤になりながら再びパニックに陥った。

「あのエロ魔獣!! なんて羨ましい! ローションと触手で獣姦プレイだなんて!! マニアックなエロ本みたいなこと俺じゃできないのにぃ! じゃなかった、なんて卑劣な!! 俺の仲間にナニしやがる!! 」

「もう嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ!! にゅるにゅるしゅるぅぅぅぅ!! 」

 大泣きするシクロに構わず大きな胸を吸盤と触手を這わせてゆっくりと移動するメタンガストパス。再びパニックに陥るシクロ。大きな山の表面をにゅるりにゅるりと這って移動し、大きな山の頂を目指そうとする。その海獣からは「そこに山があるから」と言わんばかりの堂々とした態度で登山を楽しむ意気込みを感じる。

「んっ、あん! あっ、あっだ、ひゃん!! だ、だめ…! 」

「ずもも…ずもも…」

 シクロは真っ赤になりながら涙を流す。そんなことはお構いなしにとメタンガストパスは自らの触手の一つで頂上にある凸部分を弄る。位置を確認すると今度はその触手にくっついている吸盤で凸部分を多い、吸い上げる。

 シクロは悲鳴と共に自分の胸に張り付くエロ海獣を掴んだり殴ったりするがエロ海獣は全く動じない。するとポジションに着いたのか、ついに本気でガスを貯め始めた。

「ずももももももももももももももももも!! 」

「いゃぁ! いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!! もう無理ぃぃぃぃぃぃぃぃ!! 」

 一気に5メートルほどまで膨れ上がったメタンガストパス。死のカウントダウンが急速に数えられていく。シクロが絶望の淵に立たされたその時だった。

「これでもくらえ! 邪悪で淫乱な海獣め!! 」

 グサッと音がした。膨らんだメタンガストパスに先端が赤く染まった透明な棘が刺さった。雷帝丸である。ジェルの海の外側から自分のたんこぶに刺さったジェルの棘を投げて突き刺したのだ。たんこぶから無理矢理引き抜いたせいでたんこぶは赤い噴水に様変わりしていた。雷帝丸の剣と同じくらいの大きさの棘は海獣に半分ほど体内に侵入している。


「ずもぉぉぉぉぉぉぉぉ!? 」

「あんた自分に向かって言ってない? 」

「…氷の(それ)投げたけど今のはブーメラン投げた気がした」

 打撃に強くても刺突攻撃には弱かった。少し小さくなったが、小さくなったせいでより深くに棘が刺さる。体内のガスを出すと小さくなって棘が刺さるためなのか、ガスではなくジャンプしてシクロの胸から逃げようとする。が、今度は怒ったシクロが逃がそうとしない。

「このっ! このぉ!! 逃がすか! 叩き潰してやる!! 」

 シクロは刺さった棘を掴もうとする。しかしジェルでにゅるにゅるして掴めない。海獣も自分が本来の環境ではありえない事態が起こっていることに理解が追い付かず、自分の分泌物で滑ってのたうち回る。

「待ってろ! 今助けに、ぐへへ! 行く! いや待って、行けない!! やべぇ!! 」

 雷帝丸は自分がジェルの海に飛び込めばシクロとぐんずほぐれつな展開になると考えていたが今はそれどころではない。命が最優先だ。シクロを救助したい。しかし自分が飛び込んだところで何もできない。思考を巡らせているそのときだった。シクロは何を思ったのか、雷帝丸から渡された火打石と取り出した。

「逃がさないからな! これでもくらえ!! 」

「え、あ! ちょっとまて!! それはまずい!! みんなまとめてばくはt」

 雷帝丸が注意を促そうとしたが、シクロは勢いよくジェルに向かって火打石を叩き、火花を散らせた。ジェルの海は一瞬で業火の海に成り代わり、その業火はメタンガストパスを巻き込んだ。そして……



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