プロローグ
それはある年の冬の終わり。
大学受験も落ち着いた、ある高校生グループのこと。
「卒業前にみんなで遊園地に行こう」とメンバーの一人が言い出して
いつもの6人で集まった。
どうせなら、行ったこともない県の大きな大きな遊園地。
この日くらいは丸一日を使おうと
部活もバイトも休みを合わせて
全員で空けた水曜日。
学校は創立記念日で休み。
天気は快晴。
本来平日のこの日、人混みも少ない。
「はー!晴れ!最高!! 天気予報雨だったからね!!」
高嶋こゆきは嬉しそうに手を伸ばし空を見上げる。
「てるてる坊主作った甲斐がありました」
一人だけ後輩の野村茉莉はふふふと笑って同調した。
「てるてる坊主って効き目あるの?」
「あるって言ってんだからあるんじゃない?」
不思議そうな顔をする加賀貴也。
返事をするのは滝川佳貴。
「ねえ、最初何乗るの?」
「まずは勢いつくのにしようよ」
マップを見ながら後方を歩く小牧梓紗に
三谷奏多も覗き込みながら答える。
「ねえー! 最初フリーフォールでいいー?」
奏多は乗るものを決めると全員に声をかけた。
「いいよー!!」
先頭を歩くこゆきが返事をし、みんなが賛同する。
「じゃあ、まずはフリーフォール乗ろっか!」
今日はフリーパスで乗り放題。
遊園地を満喫しようと楽しそうに歩みを進める。
それぞれがそれぞれの特別な日になることを
まだ知らないまま
長くて短い1日が始まった。