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2.あれは夢じゃなかった

仕事を終え重たい足を引きずり家に戻った。

美貴から貰ったメールを何度見ても、あの猫擬き白虎が我が家に来ると言っていた。

だめ出しのようにAIの愛がすみません。と言うものだから、完全に認めるしかなかった。

仕方ない。電話しよう。

「あ、美加。今から行くね」


機嫌良く出た美貴は短く用件を済ませると、すぐに電話を切って来ると言った。

そんなに急がなくても良いのに。

見た目は可愛いんだよ?白虎。

こんもりしたもふもふの毛のチンチラみたいで。

現代日本で大きくならないと約束してくれたなら。

異世界で白虎が従魔と言ったら、無敵みたいでちょっと誇らしい気がするかもしれないけど、ここではお金が掛かりすぎる。


『美加様は異世界に行っても良いと?』

「行かない!」

例えば!ってこと。今でも充分一杯一杯なんだから、そんなこと言わないでくれる?


怖いことを言うAIだ。それに思考を勝手に読むな。その内独り言をいう怪しい人にしか見えなくなる。ついにノイローゼかなんて言われたくないよ。


あー、名前どうしようか。

ぼんやりと玄関先で考えていたら、美貴がやってきた。


「久しぶり、遅くなったけど新築おめでとう」

「あ、うん。ありがとう」

「で、電話で言ってたこがこの子」


やっぱり猫に見えないし、ふてぶてしい態度にやんちゃそうな顔だ。

『ほお、お前が美加か』

見た目だけなら癒されるのに、口開いたらこれって。これ間違いなく向こうでやらかしてこっちに流されてきた口だ。


愛、正直に答えなさい。このふてぶてしい白虎はなにをしし、こっちに島流しになったわけ?

『お見それ致しました。白虎様は少々正義感が強すぎまして、懲らしめ方がちょっと激しくていらして』

あー脳筋タイプ。

『はあー、まあ…考えるのが苦手ではあります』

向こうで周りまで巻き込んで懲らしめたわけね。で、反省をさせようとしてこっちにきたけど、なーにも考えない白虎は、どこに行っても我が物顔で振る舞ったわけね。

そりゃー、美貴も早く手放したいわ。


「この子、かなりやんちゃなんでしょ」

「あー、うん。ごめんね。だからみんな手を焼いてしまって。頑張って飼おうとしたんだけど」

「それはこの持ってきた物を見れば分かるよ。ケージまで買ってるとは思わなかったから」

世話になるのに、この態度は許すまじき!これは教育的指導が必要なタイプなのはわかったから、受け取ってから徐々にいきますか。


「じゃあ、この子受け取るね。運んでくれてありがとう」

「こっちも助かったら、ありがとう。これこの子のご飯とトイレ、猫用のボディシャンプー」

申し訳なさそうに美貴は白虎を置いて帰った。


これだけ用意した物を手放してまでこの子を飼うのは難しいとなったのは、この本当の姿が見えなかったのもあるのだろう。この子が白虎と分かる人間を探すために、わざと傍若無人に?

あーないな。これが地だ。結果ここに来ただけで。

「美加、玄関で子猫を睨んでないで、中に入ったら?それに着替えてきた方が良い」


あ、今気がついた。私仕事から戻って来たままのスーツだ。毛だらけになるわけにはいかないから、着替えないと。

夫に白虎を預けて二階に着替えに行った。


戻って来たときに見たものは、美加を激怒させるものだった。

「斑!あんたこれ以上その人引っ掻いてご覧なさい。ご飯抜きだからね!」


契約が成立しました。

それに伴い、真鍋美加様のステータスが上昇します。ご確認下さい。


ステータス


名  真鍋 美加(27歳)

職業 会社員&テイマー

レベル    5

HP    125

MP   21500

運     200

従魔   斑(白虎)

サポ   愛1号

称号   スフィアの敬愛


なんなの、このよくわからない数字に称号って何?スフィアって何よ?

この説明は愛にあとでさせるとして、引っかき傷を作った夫に消毒をするために近づいた。

「結構やられたね」

「子猫だから加減が分からないんだろう」


いやいやこやつの仮の姿に騙されてはいけない。子猫なんて可愛いものじゃない。脳筋で力の使い方を考えない、バカな白虎。力ある者が力の使い方を知らないとか、世の終わり。

だから、教えないと。

「斑、いいわね。これから先あなたに害を及ぼしてもないのに、怪我をさせた場合ご飯抜きだから。あんたの主人は私だけど、この家の主はこの人だから間違えないでよ。ここではご飯代稼いでいる人が偉いの」

「……」

「わかった?わかったら返事!」

横でおい、そこまでいうか?みたいな夫の発言は無視。ここで折れた方が負けなのだ。

しばらくにらみ合いが続いたが、結局は白虎が折れるしかなった。

私に従うように従魔契約がなされたことと、食欲には勝てなかったようだ。

「ナァー(わかった)」

わかればいいのよ、わかれば。


さて、消毒しないと。

夫の引っ掻かれた手を持ったら指先に温かいものが流れてきた。

まさか、ヒールで治るとかいわないよね?

「「……」」

「なにした?」

何したんだろうね。私が聞きたいよ。


愛ちゃん、これどういうこと?



次回「驚愕の事実」

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