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17.異世界スフィアとは


お皿にある食事を全部食べた後、それでもまだ美加は物足りなさを感じていた。ただここでお代わりをお願いしてもいいのかどうかがわからない。この世界のことはなにもわからないのだ。

斑が肉、肉というぐらいだし、食事事情が良くないのかもしれない。そんな中お代わりが欲しいとは言いづらい。

美加はハルと斑にドキドキしながらも、食欲という欲には勝てなかった。


そういえば!

ここに来る前に大量の食べ物を買ったのを思い出した。その中でも直ぐに食べられて、お腹にたまるものといえば、これしかない。

米、日本人は米だよね。言い訳しながら、スーパーで買ったおにぎりを出した。


「美加?」

ん?いつから斑は名前を呼ぶように?いいけど。

「なに」

「何でもない」

アイテムボックスから取り出しおにぎりを美味しそうに頬張る美加に、斑は言葉を止めた。

今何を言っても無駄だと感じたのかもしれない。


「我は美加と同じものが食べたい」

ハルまで名前呼び?斑に対抗してるの?

…いいけど。


「食べたいっておにぎり?」

「我は食べたことがない」

「ああ、以前地球に来たときは、お肉と野菜しか食べてないのか」

どれが好きなのかわからないので、取りあえずアイテムボックスから取りあえず全種類出してみる。

「どれにする?」


三人に流れていた微妙な雰囲気は完全に食欲へと移行された。




美加は食欲を満たした後、この世界スフィアのことを聞くことにした。今後どんな風に自分が関わっていけるのかを知る為だ。

「いいのか?」

「なにが?」

「美加がそれを知れば、間違いなく巻き込まれる」

「えー今更でしょ」

「…巻き込んで今更だが、今以上に」

「だ・か・ら・今更。昭博なんて絶対に歓喜の声上げながら関わるわよ。逆に来るなと言えば拗ねて面倒くさい。斑ならわかるでしょ」

「……かもな」

「だからね、状況分かった上で呼びたいのよ。私一人が冒険したなんて言ったら、それこそ面倒くさい。そもそもハルを呼ぶことになった原因は、あやつだから」


「そうだったな」

「そうそう、ここに居る時間で向こうの時間がどれくらい経っているのかわからないけど、今日中に帰らないとまずいから、お願い」


それからスフィアのことを聞いた。

この世界には創造神スフィアが統括しており、そのスフィアの元で4神(東の青龍・南の朱雀・西の白虎・北の玄武)が守っている。

ここ900年ほどは何事もなく自然の摂理の中で営みが行われてきた。そこに差別などはない。誰しも平等に協力し合って生きてきたのだが、世界の発展とともに欲が生まれた。その欲は始めとてもいい方向に作用し、自分の特性を生かし発展に努めてきた。

しかしある程度安定が生まれると、才能の差が貧富の差が直結した。人より多くのことが出来るものは更に上を目指し、諦めた者はそのおこぼれに預かろうとする。そうしている内に貧富の差は広がり、欲は闇をも生み始める。だが、闇は決して悪いものではない。人々に眠りを与え、安寧を促す。ただ光が強くなり発展すればするほど、そこに闇は広がった。人々の不満が増え始め、不平不満が蔓延し始めると、強奪が始まった。


欲を呑み込んだものが瘴気となり動物を次々と魔物へと変えていき、人間を襲いだした。これは森を開拓しすぎ自然の摂理を乱さない為とも言われている。

微妙な均衡を保っていた世界が、ある日突然狂い始めスタンピードが起きた。始めは規模が小さかったものが、段々と規模が膨れ上がる。前回西から始まったスタンピードで前白虎は力を使い果たして徐々に力を失った。


その後徐々に力を失い数年後に白虎が崩御し、若い今の白虎(斑)が役割を受け継いだ。

そのスタンピードの影響を受け、あちらこちらに瘴気の欠片が残っていた。それを美加が浄化したということだった。


これで西は暫く平穏になるだろうと予測されるが、今は北の状態があまりよくないらしい。


「それって今すぐ動かなければならない感じ?」

「いや、西側が浄化されたからもう少しはもつはずだ。瘴気は西から徐々に北に向かって行ったからな」

「じゃあ、今残っている北をどうにかすれば」

「その北が一番広い。山岳が多く山頂にはずっと雪が残っている場所もあるはずだ。それだけに抑える場所が分散しすぎて、特定するのが難しい」


「わかった。一度戻って準備する。山で必要となりそうなものを買ってくるよ。あ、それとポーションみたいな物を沢山作っておいてほしい。向こうで必要になるかもしれないから」

「それなら美加が浄化して更に効果が増した、霊峰の水を汲ませよう」

「私が飲んだやつね。あれは凄いよ。地球でも疲れ知らずで頑張れそう。斑はこのまま残る?戻る?」

「一緒に戻りたいが、ここに残って役目を果たそう」

「うん。それでこそ斑だよ」


「ハル、自力で私戻れるよね?」

「一度我が一緒に戻ろう。マナ酔いはしないと思うが、もしもの場合に備えて」

「…お前、――頼んだ」

『美加のことは任せておけ』

『それが腹立つ』

『今まで抱きついて役得していたやつに言われてもな』

『ふふん。我の毛並みを気に入っているのだ。残念だな、毛が無くて』

『問題ない。小さな子になれば、美加の膝でご飯食べさせてもらえるからな』

「あー、お前ズルいだろ」

「せいぜい悔しがってろ」

二人の会話は完全に子供の喧嘩でしかない。

この二人の言い合いが皆に聞こえていたなら、唯一の存在に甘えることが嬉しくて仕方ないのだと微笑ましく見守られていただろう。


「何がズルいの?」

「「ああ、なんでもない」」

途中から念話ではなく声に出ていたことに気づいて、誤魔化した。


「じゃあ、斑またね」

「ああ、待っている。次回来たときは皆が会いたがっているから、会ってやってくれ」

それは避けならないんだ。引き攣った笑いのまま美加は手を振った。


美加はハルに抱きかかえられながら、スフィアから地球に戻った。


異世界ものに慣れていないので、矛盾などあるかもしれません。

書くのは楽しいけど、難しい。

書いている人、みんなすごいなー。

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