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16.吊り橋効果?

美加は覚醒していく頭の片隅で、ぼんやりとまだ起きたくないと思った。

だけど気ぜわしく感じる雰囲気を感じ取り、覚悟を決めゆっくりと瞼をあげた。

だがそれと同時に何とも言えない身体の怠さと痛みを覚えた。

これって40度近くの熱を出したと同じ感じだ。

節々が痛み、割れるように頭が痛い。それに強烈な吐き気が美加を襲った。


ダメだ、完全に起き上がれない。覚醒していた意識がそのまま沈んでいくのを感じたその時、色んなものが身体に浸透していくのが分かった。それが馴染んでいくと痛みが和らぐ気がする。

呼吸が楽になったとき、やっと自分に何が起きているのかが理解出来た。

ハルらしき美丈夫と美青年が、私にどうやら魔力か気かわからないけど補充?してくれているみたいだ。


「起きたか」

美青年が心配そうに覗き込んでいた。

「ん」

「足りるか?」

何が?声に出したいが、それも叶わないほどに喉がかれている。

ただ身体を動かすためのエネルギーはらしきものは、半分くらい貯まった感じだ。


「まだ足りてないみたいだな。やはり直接流し込めば」

「斑様、なりません」

「なんでだ。その方が主も楽になる」

「その役目は夫がするものです」

「そうなのか?」

「そうです。ですから、後は我々がお世話致します」

「ならば、我が夫になれば良いのであろう?」


はい?


会話に流れからすると、この美青年は斑ってことで、よくわからないけど阿呆な発言をしてるってことか。そもそも斑には夫の意味が理解出来てない気がする。愛ちゃんと一緒に居るところ見ていても、発情期もまだなお子ちゃまだし。

というか、人化出来たんだね。


ダメだ、頭が付いていけない。回復をするまで、寝るのが一番みたい。

「斑がダメなら、我も居るぞ」

阿呆がもう一匹(一人)

この世界の性教育は…というか、本能があるはずだよね?

ダメだ、何も考えたくない。

突っ込みどころ満載な会話をBGMに、美加はまた眠りに落ちていった。


三度目の眠りから覚めた時、身体の痛みはほぼなくなっていた。痛みはないけど、強烈に怠い。

「お目覚めですか?今飲み物をご用意致します」


ゆっくりと身体を起こしてくれ、コップを渡してくれた。それには魔力を感じる水が入っていた。

「おわかりになりますか?美加様が浄化されたお水です。身体を回復させるポーションのようになりました。そのお陰で奇病に悩むもの達が、少しずつ回復しているのです。その中でも斑様が選び抜いたお水ですので、全部お飲み下さい」

頷いてゆっくりとコップに口を付けた。


美味しい。それに頭が冴えていくこの感じ。高級栄養ドリンクを飲んだときのようだ。

「もう少し飲まれますか?」

「うん、お願い」

二杯目を飲み干した後は、すっかり元の身体に戻ったように身体が軽い。

「ありがとう。ところで、ここは…」

周りを見渡したが、造りがとても豪華で頭が冴えてくるとなんだか落ち着かない。このベッド天蓋がついてるんだよ。どこのお姫様だ。


「ここは白虎様が住まれる王宮の中で、王妃様のお部屋になります」

なんだか良くなっていた頭痛が戻って来た気がするよ。

この侍女さんにあれこれ言っても無駄だろうな。きっと私が起きるまでの世話係でしかないんだろうし。


「じゃあ、ハルか斑…あ、白虎様か青龍様を呼んできてくれない?」

「かしこまりました。後何かお食事できる物でも、お持ちしましょうか?」

「お願いします。お腹空きました」

「では、そのように」

力は元に戻ったみたいだけど、根本的な肉体のエネルギーは完全に不足だ。

先ほどからずっとお腹が鳴りっぱなしだ。

健康ってことで。


暫くして食事と共に斑とハルがやってきた。

匂いからして、食事はスープぽいものかな?


「目が覚めて、良かった」


「うん、心配掛けてごめんね」

食事を受け取りながら、謝った。あの美丈夫はやっぱりハルだったか。

「その…我こそすまない。強引に連れてきておいて、主を危険に晒した」

一口掬って食べてみる。

何の出しか分からないけど、お野菜もお肉もとろけるように柔らかくて美味しい。


「ああ、まあね。それでも助けられた命があるなら、ハルの行動は正解だった。まさか勝手に心眼が開いて暴走するとは思わなかったけど。…それだけ斑のハルの救いたいという強い意思があったということだから、納得もしてる」

更にお腹が腹を鳴らして要求してくるので、二口目を口にした。


「我は、この先もずっと主と居たい」

うんうん、それで。これ、何のお肉だろう。ささみっぽい。

「主との契約は我が地球で英気を養うためだった」

「そうだね」

「主…美加がこの世界の危機まで救った今、地球にいる理由がなくなった」

「そうなの?ペットとして一緒に居れば良いじゃない」

「我はペットの方が良いのか?」

「どういう意味…」


少し前の会話を思い出していた。まさか、そういう意味で言ってる?


そこに斑の感情の揺れを感じた。それにハルも付随したように感情が流れてくる。

私本当に命の危険があったのかも。


あれよ、あれ。

……なんだっけ。

そう、吊り橋効果ってやつ。

それに強い者に惹かれるのは、人間も含め動物の本能だ。本当の意味での主と認めたのだろう。

二人との結びつき、絆みたいなものが今までより強く感じる。

そのせいで流れてくる敬愛に近い、まっすぐに向けられた感情は凄く照れくさい。

人間みたいに自分の感情を裏に隠すなんてことは、彼らには出来ないのだろう。


本人達も初めての感情に戸惑っている感じだし、ここは主として見守ろう。

うん。それがいい。

そういいながら、乙女ゲームばりの美青年斑と本当の姿?の美丈夫ハルにドキドキする美加であった。



逆ハー話じゃないよ。

今のところ(笑)

プロットを立てないで、その日の思い付きで書いてるから右往左往してますが。


ブックマークって嬉しいですね。読んでもらってるって感じがして。

ありがとうございます。

お付き合いして頂ける方は、これからもよろしくお願いします。


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