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1.白虎がペットとして我が家にやってくるらしい

見切り発車のため不定期更新。


「美加、お願いがあるんだけど」


突然3年ほど年賀状のやり取りだけしかしていなかった幼なじみから電話がかかってきた。

こんな風に電話がかかってくるときは、正直いいお願いではないことが殆どだ。言いにくそうにしている美貴が次の言葉を発するまで、色々と予想する。

離婚したとか聞かないし、借金の噂も聞かない。

考えられるのはご主人の関係で入信している宗教のことか、パートで保険屋さんを始めたとか、ネズミ講を始めて何か買って欲しいとか?

まあ、正直すぐに頷きにくいものの一つだと考えられる。さて、彼女から聞く言葉はなんだろうか。


「家を去年建てたでしょ?」

「あ、うん」

「子供居なくて持ち家でというと美加しかいなくて」


それは去年子供を産んだあんたが、生んでいない私に対する自慢か?

最近どうも子供の話題は素直に聞けなくなっている。義家からの圧力とか仕事での重圧とかストレスが溜まりすぎているのかもしれない。子供が出来て大変なのは分かるけれど、すぐに休んで仕事放り出してあげくに全部子供が居なくて自由がきくあなたに、と仕事が回ってくる。それを咎めるとすぐにマタハラだと騒がれるから言えない。でもその言葉の暴力を吐くあんたは、何様だよ。

…あ、ダメだ。完全に疲れている。

どこかで毒消ししないと。

「突然なんだけど、白い猫飼わない?」

「えっ?猫?」

全くの予想外の言葉に、聞き直した。

「うん、可愛い猫なんだけど、今は飼えそうになくて」

「どうして猫なんているの」


動物は好きだけど、動物の毛でアレルギー性鼻炎を発症する私には家で飼う毛のある動物は天敵。唯一飼えるのはお金もかからない金魚ぐらいか。

だから普通なら猫は飼えないの一言で済ませるのに、何故か聞いてしまった。

「友達が飼うっていうから知り合いから譲って貰ったんだけど、その子も妊娠しちゃって」

あっそ。それで。

「一度貰ってきた猫をそのまま放り出すこと出来ないし、貰ってくれる人をその子と一緒に探してて。もしダメでも誰かに聞いてくれるだけでもいいから、写真送ってもいい?」

「あ、うん。それぐらいなら」

「じゃあ、この電話切ったらすぐに送るから、もし誰かいたら教えて。あ、子供が泣いてるからごめん」


言いたいこと言って、切ったね。

色々とイラッときたけど、放り出さないだけ偉いと思っておこうか。

切って5分ぐらいしてバイブ音が鳴った。どうやら画像が届いたようだ。

開いてみてみると、そこには可愛い白いちょっと模様の入った猫?が写っていた。

猫?だよね?

目が疲れてるのかな?猫の影のようにぼんやりと写真の後ろに写っているのは、ホワイトタイガーに見えますが?

目を擦って確かめたけれど、やっぱり幻影のようなものが見えていた。

もう一度バイブ音が鳴る。

開けると今度は動画のようだ。

ポテポテとあるく姿は、まさに可愛い盛りで猫じゃらしに反応してパンチを繰り返す姿は、文句なしに可愛かった。

だたし、カメラ目線になったときに、鳴いた声が人語に聞こえなければ。

「我を飼うといいことがあるぞ」

アニメの声のような可愛い男の子のような声。

やっぱり疲れすぎて、幻聴まで聞こえてきたようだ。

明日、病院に行った方が良いかな?

「ナァー(我は白虎、お主の元へ行こう)」

ああ…ダメだ。

絶対に精神鑑定受けたら、鬱の判断されることが決定だ。


ブーブーブー

またメール?

ん、美貴?もしかして誰か見つかったという知らせかな?


「美加、ありがとう!飼ってくれるんだって?」

はい?

「美加が忙しいの知っているから、明日こちらから訪ねて連れて行くね。キャットフードとか猫トイレとか預かってるのも全部持っていくし、すぐに飼う必要なものはないから安心して。じゃあ、明日仕事終わったら連絡ちょうだい。本当にありがとう、じゃあ、また明日に」


………。

今の電話は?


どういうこと?


神獣白虎との仮契約が成立しました。

ステータスを確認して下さい。


あんた、誰。

私サポートさせて頂いております、人工知能のAIの愛と申します。

…答えるんだ。

ご質問があれば、何なりと。

ステータスってあのステータス?

多分美加様が言われているステータスで間違いないかと思います。

あ、そ。

白虎様があなた様を選ばれましたので、仮契約させて頂きました。

私は了承していない!もしかして先ほどの電話は、あんたの仕業じゃないでしょうね!

はい、私です。白虎様からの依頼で、すぐにでも美加様のところへ行きたいと申しまして。


これ、あかんやつだ。

とにかく今日はもう寝る。

「美加、どうかしたのか?」

「ううん。なんか疲れて」

「風邪を引きかけたんじゃないか?早く寝た方が良い。明日我が家にやってくる猫を迎えるんだろ?」

「…まじで」

「さっきそんな話したよな?」

…やられた。AIめ、どこまでも用意周到な奴。


というか、それを認めている時点で、私も毒されている。

もう、色々と諦めた。


どうやら明日から白虎が我が家のペットになりに来るらしい。


疲れたから寝る。


ステータス


名  真鍋 美加(27歳)

職業 会社員&テイマー

レベル    5

HP    65

MP   2150

従魔  白虎(仮契約中)

サポ   愛1号


美加様、これから多大なご迷惑をお掛けすることになると、先にお詫び申し上げます。


 

次回「あれは夢じゃなかった」

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