第10章 晩餐会? (1)
(本文)
「帰ったよ〜!」
「こんにちはー!」
「たぬきとフィーネさん、お帰り〜」
「二人ともお帰りなさい」
「御主人、フィーネさま、お帰りなさいませ」
ココアの街からひとっ飛び━━
俺、フィーネをお姫様抱っこ状態で空を飛び━━
ユーグレの街の屋敷へとたどり着いた。
屋敷に入ると、いきなり現れた使用人の人達。
「旦那さま、奥様、お帰りなさいませ」
と、挨拶をされて他の奥様達がいる部屋へと案内されたのだが……
もともと平民出の俺。こんなお金持ち様環境には、全然慣れてなくて『旦那さま』と言われる度に緊張し、照れて、顔がリンゴのように赤くなってしまうのだが……
うちの奥様達は、少々違うようで、皆慣れた態度で接するから俺はもうビックリさまさまだ。
まぁ、フィーネは公爵様だから、仕方がないとは思うけど……
レヴィア、朱華も、使用人の人達がいても、何も気にしていない素振りでいるし、対応もしている。
正に高貴な奥様仕様をを素でしている感じで奥様、公爵婦人様。
と、呼ばれても、全く持って違和感等ないのだよ。
(さすが、俺が選んだ奥様達だ、威風堂々としていらっしゃる)と内心思ってしまう程だ。
……そんな奥様達の中で唯一、落ち着かない素振りで、ソワソワしているのは、この屋敷で実は俺、只一人だけなのだ。
特に今日は、屋敷で晩餐会を催しするので、俺どうしようかと思っていたけど……?
奥様達を見てると大丈夫そうだ安心もしたし。
仮に俺が粗相をすれば、奥様達が、サポートしてくれるだろうとも、安心もしたよ。
だから……
俺の初めての晩餐会は上手く意気そうだ━━
内心「良かったー! 」と心の中で叫んでしまいたいくらいだ。
それに奥様達にサプライズも用意した!?
喜んでくれるだろうか?
……そんな事を考えながら、夜が待ち遠しい俺だった。
◇◇◇◇◇
「……どうかな? たぬき、似合うかな……?」
何だか照れくさそうに、問い掛けてくる朱華━━
「凄く似合っているよ」
と、お世辞無しで珍しく、キザな台詞を吐く俺━━
黒のドレスを着た朱華に、マジで惚れ直しそうです。
そしてその後も、準々とレヴィア、フィーネ━━
「……ど、どうですか?」
「貴方どうでしようか?」
と、他の二人の奥様達も、照れくさそうに、俺に問い掛けながら黄色と白のドレスを見せてくれた……
そんな奥様達、本当に照れくさそうなのだ。
俺は本当に良くお似合いだ━━
と、思っているのに……
ま、仕方がないか!
大抵の人達は、一度するか、しないかとか、そんな感じだと思うし。
(ま、中には何度もする人もいるとは思うけど……)
と、まぁ……
そんな事を試合している俺なのだが。
今晩の晩餐会用にドレスを用意したのだが、そのドレスが普通の物と違うのだ。
……どう違うかって……!?
……そ、そ、それはね……
俺が用意したのは、パーティードレスでは無くて、結婚式等で使用する。
ウェディングドレスを用意したんだよ。
……だから奥様達、そんな事等知らないから、俺のサプライズに驚いて、照れているって訳さ。
そんな奥様達にサプライズを用意した俺だが。
三人の女性をお嫁さんに貰ったのだが。
式も挙げずに、このまま来てたので、
奥様達には悪いなぁと、心底いっも思っていた俺だった。
そして何処かで、何処かで、と━━
タイミングが合えば、結婚式を挙げたいと考えていた矢先に、晩餐会の話が出てきた訳さ。
……お! これはチャンスかも?と思っていた俺だったが。
最初はフィーネね抜きでの、晩餐会予定であったから、また機会があればと考えていた矢先。
朱華とレヴィアが、家族が皆揃う方が良いと言ってくれた、だから迎えに行ってこいと━━
だから俺、このチャンスを逃したくないと思い。
慌てて用意をしたんだよ。
だけど……
フィーネのお迎え前に、寄った洋服の仕立て屋さん。
今晩の為、奥様達にドレスを用意して貰えないかと、店主にお願いしたのだけれども。
急な話であったため、店主最初は難しいと断られた俺なのだが。
どうしても、どうしても奥様達に、ウェディングドレスを用意してやりたくて根気強く、何度も何度もお願いしたら━━
公爵様、何とかしましょうと言ってくれたの。
だから俺、本当に嬉しくて、嬉しくて━━
何度も店主に御礼をいい、頭を下げたよ。
だから奥様達の笑顔と喜ぶ姿が本当に嬉しいし、美しいと思う俺だった……