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たぬきちゃんの冒険  作者: かず斉入道
第1章 接触
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第9章 待っ身……

(本文)


「ふぅ……」と思わず、溜め息を漏らしてしまった私。本当にこれで良かったので、御座いましょうか?

 いきなり年の離れた旦那様に「私と結婚しませんか?」と声を掛けたので御座いますが……。

 旦那様はどう思ったのでしょうか……?


『軽い女?』


 それこそ誰とでも、夜を共にするような、娼婦のような女だとあの人に誤解されたのではないかと思い。

 私は不安で不安でしかだがありません。


 実際の私は、そんな事はまったく御座いません。

 大変に一途で御座いますし、旦那様にもよく使えます。

 それに男性の経験の方も亡くなった主人と今の旦那様との二人だけで、これは嘘偽りない本当の事なので御座います。


 先代の主人が亡くなった後も、何度結婚話も出ました。

 死んだ主人と私の間には子がいません。だからこの公爵家に跡継ぎがいるのと、私の魔力欲しさに、亡くなった主人の一族から、何度もお見合い話も出たり。

 酷い時には、亡くなった主人の兄弟や甥っ子等に、無理やり夜の御共をするようにと、連れ込まれそうになった事が、何度もあったのです。

 その度に私は丁寧に断るか、慌てて逃げ隠れして、その場をやり過ごす日々を送った事もありました。

 何度、亡くなった主人の一族に、私自身が死んでやると叫んだ事か……。

 私は子を産む為だけに生きているのでは、御座いません!

 最後は実姉にお願いして、何とか収まったと言った事もありました。

 今でこそ皆様亡くなられたので、あんな事もありましたと、走馬灯のように思いだし、苦労しましたね〜と独り言を呟くだけで御座います……。


 ━━そんな色々と事情のある私なのですが、他界した主人には悪いとは思いますが。

 このまま独身を続けて、我が家も私の代で終わらせても良いと考えていたので御座いますが。

 バァレンバァレンの最終日の日に、運命的な出会いがあり、私の方から旦那様に、結婚して下さいとプロポーズをしたので御座います。


 最初は旦那様、大変にビックリしていましたが、私の家の事情を説明して、バァレンバァレンの景品が、私自身だと旦那様に嘘を付き。

 何とか私を嫁に貰ってくれないかと、お願いをしたので御座います。

 最初は既に奥様が二人いるので、無理ですと断られたのですが。

 私がそこを何とかお願い出来ないかとしっこく迫り。

 少しお恥ずかしいのですが……旦那様の子種だけでも貰えないかとお願いし。通い妻でも宜しいのでと言い。女を武器にして貰って下さいとしつこく迫り━━何とも恥ずかしい事をした私なので御座います。

(恥じらいもなく誠に申し訳御座いません……)


 そ、そ、そんな、淫らな事をした私なのですが……旦那様だからしただけで御座いまして、他の殿方だったら絶対に、そんな淫らな事はしません……その辺は皆様誤解なきようお願いします。

(私は誰にでも、体許すような女では消して御座いません!)


 ━━それならば何故? と言う事になるとは、皆様も思いでしょうが?


 ……実は旦那様のお姿、種族こそ違いますが。若かりしの憧れの初恋の殿方に生き写しなので御座います。

 私も初めてお顔を拝借した時にビックリした程です。

 思わず私、胸が高鳴りました!

 まだまだ幼い頃の私でしたけど、種族で最強、この世界初の勇気で御座いましたあの人に、幼いながらも胸がときめいた、甘い思い出があります。


 ━━だから私は、年甲斐もなく一目見て惚れてしまいました旦那様に。

 それに旦那様、容姿が似てるだけなら宜しいのですが、魔力のオーラまでもが、瓜二つなので御座います。信じられないぐらいに……。

 だから、慌ててなりふり構わず、お願いしまた。結婚して下さいと……。

 そして、私を気にいって貰えるようにと、慌てて尽くしたので御座います。

 すると旦那様、私事を気にいってくれたのか?

「いいよ、結婚しよう」と言ってくれたのですけど……。

 旦那様が宮殿を出た後は、急に独りいるのが寂しくなり。中々その日は寝付けれず。

 日が上ると落ち着かなくなり、契約破りでいけないとは思ったのですが。我慢出来なくなり、旦那様が泊まっている宿を尋ねたので御座います。


 すると旦那様、扉を開けるなり、本当にビックリしていました。

 それこそお顔は血の気が引いたとでも、いった感じで御座いました。

 その表情を見た私は、本当に旦那様に悪いとは思ったのですが。

 他の奥様達にも、ちゃんと正式に同じ妻だと認めて貰いたいのと、やはり夫婦の営みを行うと、独りだと寂しいのです……

 私も他の奥様達みたいに、旦那様に甘えたいので御座います。

 もっともっと……。


 だから私も本当ならば、領地経営さえなければ、旅路に付き添いたいぐらいなのですよ、本当に……。

 そんな寂しくて、状況不安定な私ですから、待っ身でいいとは言ったものの、寂しくて寂しくて、本当ならばどうにかなりそうなのでよ……

 このまま一度の子作りで放置。若しくは捨てられ、忘れかけた頃に、戻ってこられるのでは無いかと……


 だから私は、不安で不安で……

 ついついと両手で顔を覆い、涙を流しているのを、気付かれぬように隠す私なので御座います……



 ◇◇◇◇◇


 ━━コン!

 ━━コン!


 あれ? 音……?

 何かが窓に当たった音がしたような気がします。

 ……気のせいで御座いましょうか?


 ━━コン! カン!


「……!」

 嫌、やはり気のせいでは御座いません。

 ━━窓に何かが当たった音が再度しました。


 ……何が当たったので御座いましょうか?


 私は気になり、音の鳴ったと思われる窓へと向かい。開けて外を眺めてみると━━

「やぁ……」と窓の下から声がします。

「え?」と思った私ですが。

 その姿を確認して、思わずビックリしてしまいました。


 先程迄、私自身がウジウジと悩んでいました、愛しいあの人が、眼下にいるではないですか!

「ど、どうしたのです。貴方……?」

 私は慌てて旦那様に声を掛けると旦那様は「きちゃった!」と、笑い声が帰ってきます。

 き、き、きちゃったは宜しいのですけど、いきなりだったので、私は少々ビックリとして声も思わずどもり気味になっています。


 何故? 何故? 何故なの貴方? 何故いますの……?

 ……考えれば考えるほど、私は解りません?

 で、で、でも私は大変に嬉しく、年甲斐もないとは思われるかもですけど、旦那様に早く甘えたいので御座います。

「あ、貴方、今から誰かを迎えに行かせますから、早く表に回って中に入って来てください」

 慌てふためく私、早く旦那様をお迎えしないといけません。だから使用人を迎えにいかせますと告げました。

「ごめん、そこ少し避けてくれる? 今からそちらに跳び移るから」

 あらあら旦那様、窓枠へ飛び乗るみたいです!?

 私は邪魔にならないようにと慌ててその場を離れます。


 すると旦那様、ヒョイといった感じで窓枠へと移ります。

 ━━そのお姿と演出はまるで、恋愛話し本や舞台等に出てくる怪盗のようで、見ていた私は、まるで乙女のように心高鳴り、更に旦那様へと魅入られ心を奪われてしまいました。

 もう駄目です旦那様、私の体が熱く火照ってきました、責任を取って下さい……


 今度は窓枠からヒョイと飛び降りる旦那様━━私は我慢できなくなり慌てて抱き付きました。

「……もぉ〜 貴方……こんな演出されると私……我慢が出来なくなります……」

 少し拗ねた声を出し、旦那様に甘える私。もう嫌々と旦那様にスリスリ甘え匂い付けを始めます。

「あ、はははは……ごめんね。ちょっと格好良く決めてみたくて……」

 照れながら、笑いを誤魔化している旦那様ですが。私をしっかりと抱きしめ、頭も優しく撫でてくれていますがもう我慢出来ません。


「……ンン」

「……ム、ンウ」


 旦那様に唇を重ねている私、お互いの舌が絡み合い体が火照りを始めました。

 もう駄目です私は、我慢が出来ません……

 更に旦那様に唇を重ね、舌を絡めて行きます。


「ん、んん、ンンン……」

「ああ……ムウ……ンン」

 ……時間が経つのも忘れ、抱き合い抱擁を続けている私達ですが。

 とうとう旦那様我慢出来なくなったみたいで、唇を離しそのまま私を押し倒します。


 真剣に私を見つめる旦那様──その後は雄の獣と化し私を貪りつくすので御座います。


 ◇◇◇◇◇


「ふぅ……ごめんね、急に……」

「う、うん。来てくださったので嬉しい……貴方愛しています……」

 先程迄、獣の雄と雌のようになり、荒々しく愛し合っていた俺達二人。

 営みも終え俺の膝の上で、お姫様抱っこされているフイーネ。俺は大事な要件を伝えるのを忘れたまま、裸体の彼女をまだまだ未練がましく愛撫を続けている最中なのだ。

 そんなまだまだ無我夢中な俺の膝の上で、くすぐったそうに体をくねらせてるフイーネ。俺の行為を折るように話かけてきた。


「あ、あ、貴方……今日はまた急にどうされたのですか? 向こうで何かありましたか……?」

 甘え、艶声を交えながら俺に質問してきた。

 俺、フイーネの質問を聞き、急にある事を思いだした?

 あ、そういえば……

 フイーネとの夫婦の営みに夢中になりすぎて、今日の夜は、夕食会がある事をすっかりと忘れていた。

「…………」

 沈黙する俺!

 マジで不味い!不味いぞ!不味すぎるー!

 そんな事を考えている俺にフイーネが。

「旦那様どうか、なされましたか……?」

 と、尋ねてきたので━━

「あ、うん、今日ね夕食会あるじゃない……」

「え、あ、はい、ユーグレの町でされるッテ……あ、あ、旦那様行かれないとお時間が……」

 俺の話を聞き、フイーネも夕食会がある事を思いだし、慌て始める。

 特に今回は俺が、このザビアン公爵家養子に入った最初の行事だ、何かあってはいけないと、事前にフイーネにも報告をしていたので、彼女も知っているのである。

 だからフイーネ、慌てて俺の膝から立ち上がろうとした。

 だがそんな慌てている、奥さまを俺は逃がさない。


 ━━手を引き、奥さまを再度捉え抱き寄せると俺は、彼女の特別大きなオッパイに顔を埋め甘えながら、こちらに来た要件を伝え始めた。


 ◇◇◇◇◇



「……と、言う事たったんだよ。駄目かなフイーネ? 来て欲しいだけど夕食会に……」

 旦那様、私も家族の一員であり、家族紹介なのだから。

 奥さんである私にも、ユーグレの町迄来てくれと言ってきました。

 だから私を向かえにきたようで、旦那様が明日の朝一番で送ってくれるとも言ってきます。

 だから朝迄は、家族四人でゆっくり出きるし、浴場に入ったり、皆で一緒に寝ようとも言ってきました。

 私その話を聞き思わず嬉しくもなり、涙も出そうになりました。


 それにそれにですよ、寂しい時は気にせずに、連絡をくれとも言ってくれました。

 旦那様も私と会えないのは寂しいから、出来る範囲内でいいから連絡をくれと言ってくれたのです。


 ━━それを聞き私は、寂しいのは自分だけではなくて、旦那様も寂しいのだと解ったので御座います。

 ━━だからでしょうか、旦那様?

 先程から膝に座っいる裸体の私を中々離してくれません。

 それどころかしつこく、甘えてきますし。愛撫がねちっこいので御座いますが。

 私は、そんな旦那様を見てると可愛くて可愛くて、先程からヨシヨシヨシヨシとしています。

 それにこんなにも、私の事を求めてくる旦那様の様子を見てると、嬉しくて嬉しくて、夫婦の営みを行えば行う程、旦那様の事を更に愛しく思うので御座います。


 ━━そんな私ですから、これからは旦那様のお言葉に甘え、これと言って公務が無い時や寂しい時等は、旦那様に向かえに来てもらう事にします。


 だから今日の夕食会も、旦那様に甘え私も参加しようと思うので御座います。










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