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たぬきちゃんの冒険  作者: かず斉入道
第1章 接触
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第8章 イチゴ狩り?

  第8章 イチゴ狩り?


 周りの景色、まだまだ緑と茶色とが、混ざり合う山や野原。

 そんな春先のポカポカ陽気を、肌で感じながら俺達は、とある場所にいるのだー?


「━━マジでうめ〜!」

「本当に美味しいですね」

「━━だね〜」

「いいですね皆さまは、味覚があり、賞味出来るので……」

 そんな愚痴を言っているメデ子を尻目に、俺達はイチゴを食しているのだ。


 ━━特に俺達が今向かっているユーグレの町は、この国でも有名なイチゴの生産地であり、町に近付けば近付くほど、イチゴ畑に、イチゴ狩りといった看板が目に付いてくるのだ。


 相変わらずの魔王探しと、勇者、英雄目指しての旅を続ける俺は、ココアの街で起きた事への、奥さん達の機嫌取りをするために、イチゴ狩りを行っているのだ。


 特にココアの街で、一目惚れをされて、俺の嫁さんになったフィーネだが、隣町のユーグレを通るのならば、そこの特産品である、イチゴの中のイチゴである、マンモーイチゴを必ず食する様にと、俺達は勧められたのだ。

 そんなフィーネだが、先日俺達の宿に急に乗り込んできて、奥様宣言をしたのだが。


 もうその後が大変で━━朱華には「この女たらしが〜!」とボッボコに殴り回されるは、レヴィアには「たぬきさんなんてもう知らな〜い!」と一見聞けば、御淑やかで可愛く聞こえてくる台詞をなのだが。

 ……ところがどっこい。━━噛みつくは、爪を立てかぐり回すは、俺の顔や腕は、レヴィアの爪と歯の跡。朱華に殴られて、それは見るも悲惨な状態──その後はいつもの通りで、回復魔法も掛けて貰えない状態で、その場で正座をする羽目になった。

「………う、うううう……フィーネ内緒にしてくれると言ったのに」

 そんな事を考える俺なのだが━━実はフィーネ。前の夫に二百年ぐらい前に先立たれ。子供もいなかった為、それからは一人身で暮らし。

 夫の後を継ぎ、領主を始めたのだが。跡継ぎがいないため、死んだ夫の親族の中から、何度も縁談の話しがきて、お見合いしたらしいのだが、中々気に入った男性が現れないのと、気付いてみたら年数が経ち過ぎて亡き夫の親族も、皆いなくなり、この年まで独身でいたらしい。


 ……そんな彼女だが、亡き夫から譲り受けた領地と民を守らないといけない義務があり。どうせ結婚するなら領地と民を力で守れる様な強い血が欲しいらしい。


 ━━それで始めたのが、バレンバレンの日の祭典であるカカオダヨーのコア集めだったらしい。その優勝者から気に入った相手を探し、自分自身をプレゼントにと思っていたらしいのだ。

 特にこの国は、男性に寛大な一夫多妻制であり、妻がいる男性でも結婚が可能なので、子種だけでも貰えないかと交渉するつもりでいたらしい。

 そこに、今までにないスコアー上げた俺が現れ、白羽の矢が立ったらしい!


 部屋に呼ばれ、説明を聞き。結婚も書類上の物だけで良いと言われ。

 奥さん達には内緒にするから、俺の子種だけを下さいと言われたので、良いよと言ったのだ。


 ………そんな約束だった筈なのに、部屋に入るなり婚姻したとの書面を出し、二人に見せているのだ。


『───────わなわな』と、でも言いいたそうな感じで見ている二人。雪の様に白い肌なのに、お顔だけが、何故か真っ赤っ赤。

 そんな二人の様子を見ながら俺は━━

「……マジでヤバイどうしよう、二人に殺されるかも!?」

 そんな言葉が俺の脳裏を素早く走りだしたのだ。


 どうしよう? 言い訳を始めるか!?


 ……………………


 イヤイヤ、其はよくないし。男らしくない。

 ━━今更そんな女性は知らないし、関係などないと無責任な事を、彼女達三人に言って幻滅されたくもない。


「俺ので良ければいいよ」と昨日彼女に言ったし。もう用が済んだからいらないとも言いたくはない。

 もう彼女は、俺の物だと思っている。


 だから俺は、とても格好の良いとは言えない状態だが、三人に大きな声で言葉を発した!


「……お前達三人は俺の物だ! 今回の件は、主人の俺が決めた事だ文句は許さん。指示には従うように!……解ったか?解ったのなら!ちゃんと回復魔法を掛け俺を介護しろ!」

 ボコボコ顔で正座したままの俺だが、珍しく強気に出た!


 ━━ポカ~ンと口を開けてビックリしている三人!


 ━━直ぐ様「「「はい!」」」と三人揃って言葉を返ってくると──慌ててレヴィアがやって来て俺の横に座り込み。俺の頭を膝に乗っけて回復魔法を始めた。

「ふう……生き返る……うぅん、柔くて気持ち良い……よぉおし……い、ひひひひひひ……」

 思わず出た小さな言葉! イタズラ小僧の様な笑い!…… 少し体力が戻ると活力戻り、妄想力を充電しないといけないと煩悩が働く!!

 手でサワサワとレヴィアの膝等を触りながら。頬をすりよせ甘えながら悪戯を始め妄想力の充電を行うと──「もう、たぬきさんわ」と言って、とてもレヴィア嬉しそう。機嫌の方も治ってきたみたい!

(良かった良かった)そんな事を考えながら──よしよしいいぞ、レヴィアはオッケー! 今度は残り二人の機嫌を取らないと!?


「──朱華、フィーネこっちにおいでー!」

 俺が二人を呼ぶと彼女達は、顔を見合わせてこちらに来て座り込んだ。


 朱華の首に手を掛け、顔を俺の方へと近付けると━━慌てて唇をを重ねる。

 ………目を閉じて、唇を重ねながら甘えてくる朱華。唇を離すと物足りない様な顔をしながら、売るんだ瞳でこちらを見て、寄り添ってきた。


 よ〜し、オッケーだ、次はフィーネだ!


 先程と同じ様に首に、手を掛けフィーネの顔を近付け唇を重ねる。

 ……………………?


「うっ、うううううう……むごむご……」

 息が出来ん! ヤバいこれはいかん! フィーネが唇を離してくれない。

 俺の口の中でフィーネの口の物が動く! ヤバイこの状態だと、俺の理性が持たない!


 ……どうする?……どうする?


 駄目だ俺の頭がくらくらと蕩け出した。まるで火にくべられて、沸騰したヤカンの様だ。

『ピ━━━━━━!』

 と、頭の中で音が聞こえた様な気がすると──その後は理性が飛びましたとさ……


 ……………………


 と、まあ、こんな出来事があって取り敢えずは、丸く収まった。その後は四人で仲良く家族会議を始めましたとさ!



 ……結果はこうなった!?


 先ずは、俺がザビアン公爵家の婿養子に入る。

 そして俺が通い夫となり、月に最低二度は、フィーネの屋敷に通い。奥さん孝行をする事。後々子供もが出来、りっぱに領主が出来る様になれば、子供に地位を譲る。

 その後は、フィーネも屋敷を出て、俺達といっしょに生活を始めるといった内容になったのだ。


 だから俺の名前は今日から、たぬきちゃんザビアンといった名前に変わった。

(何んだか、かなり笑える名前なのだが……)

 ━━どうだ!凄いだろ、貴族樣だぞ貴族! 自分自身でもスゲー大出世したと思う。

 特に俺の奥さん達は、あげ万? なのではと思ってしまうぐらいだ。

 それに三人揃ってスゲー美女なのだー!

 猫、エルフ、ダークエルフの三人だスゲーだろー!


 なんて幸せ者の俺。奥さん達を大事にしないとバチがあたると真剣に思ってしまうのだ。


 そしてフィーネが持ってきた物は、結婚証明書だけでは無くて、この旅で大変に約に立つ物を、持って来てくれたのだ!

 それは、家族書、保険証、銀行の当座の鍵。

 更には━━これからの旅で、大変楽で助かる物まで、用意してくれたのだ。


 ……その大変助かる物は何かと、皆は思うであろうが!?


 ……それはね?それは……実は……ザビアン家の紋章の入った。ゴムの車輪の入った最新鋭の馬車を用意してくれたのだ!


 スゲーだろ!とにかく走らせていても、皆が見るくらいだ!

 目と目とが合うと、通りすがりの人達が、手を振ってくれるほどだ。

 まるで気分は王様か、お姫様気分だ!━━だから朱華とレヴィア大喜びしている!

(でもレヴィアは、確か、何処かの姫様だったような?)


 特にフィーネが治めている領地は、この国有数の穀倉地帯であり、国の台所と言われるぐらいらしい。

 だから、民も裕福で、領主であるザビアン家の資産は凄いらしい。

 そんな家に婿養子で入った俺、本当に良いのかと思ってしまうぐらいだ。

 それに家族書と保険証、これがあればこの国では、病院代がお安くなるし、優先的に見ても貰えるのだ。

 これからは、奥さん達が少しでも体調崩したらそく病院に連れて行くことも出来るし。赤ちゃん出来ても大丈夫そうだと安心するのだが。


 実は……良い事ばかりがある訳でもないのだ!


 国からこの様に色々と保証してもらう訳だから、国の一大事があれば、すぐに行かないと行けないし。

 人に害するモンスターなど出たら退治しないと行けないし、盗賊討伐もそうだ。

 今までは、参加しなくても良かった物まで、これからは自主的に参加しないといけないのだ。


 ……大変そう!?


 でもまあ、勇者になれば、必然的に参加しないといけない事なので、早いか遅いかなのだと、自分自身で納得はする。

 特に、つい最近までは朱華も、裏家業を国から大目に見てもらう為に、自主的に参加していたので、そうなれば聞いてみようと思う。


 ……そんな領主生活、とても大変そうなのに、女手一人で行ったいたフィーネは凄いなと、俺は思わず感心しながら雑談を続けた。


 ──雑談を続ける俺達に、お別れの時間が近づいてくる。残念そうな顔をするフィーネ、ふと何かに気が付いた!?

「──貴方それ何処で手に入れたのですか?」

 突然俺の持っている、アイテムに気付き、問い合わせてきた。

「あ、これ?……お月見団子はタヌキさまから貰った。メデ子はレヴィアから貰った。……あ、忘れてた、メデ子、もうしゃべってもいいぞ、挨拶しろ!」

 俺はフィーネに説明しながらメデ子に、挨拶をするようにと伝えた。

「──初めまして、フィーネ様、私はメデューサといいます、以後お見知りおきください」

 メデ子が丁寧に挨拶をすると──

「これはこれはまたご丁寧に、こちらこそ末永く宜しくお願いします」

 フィーネはメデ子に挨拶を返すと──興味津々にメデ子を眺めている!!


 ……………………?

「どうかしたのか?」

 俺はついついと気になり、フィーネに問いかける?

 余りにも、フィーネがメデ子の事をじろじろと見るので、当のメデ子は、目を合わせない様にしながら、上に下にと動かしながら、落ち着かない素振りで、困り果てているみたいだ。


「う〜ん。……私が幼い頃に見た物によく似ていると思ったので……!?」

「へえぇぇぇ……そうなんだ?」

「は〜い。……これはレヴィアさんから頂いたのですよね?」

「うん、そうだけど、どうかした?」

「いえ、別に……」

 そう言い終えるフィーネ。メデ子からレヴィアへと、視点を代え、じ〜っと見つめだした!

 どうしたのだろ? もしかしてメデ子の持ち主を知っているのかな?

 でも確か、メデ子の前の持ち主は、死んだレヴィアの父親だと、言っていなかったけ?

 ……そうなるとフィーネは、レヴィアの父親を、知っているのかも知れない?


 ……深まる謎!?

 俺は気になり、フィーネに問うてみようと試みる!

 するとフィーネの見つめる視線に、気付いたレヴィアが、こちらを向いた。

「あの……何か?」

 レヴィアが、自分の事を見ている、フィーネに気付き声をかけてきた。

 レヴィアに問われるフィーネ。見つめていた事を、誤魔化すためか? ━━急に俺に寄り添い、しなだれてきた!


「あ・な・た〜。フィーネ、胸が苦しいんです……もう、苦しくて苦しくて、あなた、擦ってください。マッサージしてください」

 俺の手を取り胸に当て、猫の様に頬すりよせ甘えてきた。

 ━━その様子を見たレヴィア!

「何をしてるんですかフィーネさんは、まだ足りないのですか?」

 自分が振り向くと、大袈裟なぐらいに、作為的にするフィーネの行動に怒りだすレヴィアに。

「ふふ、良いではないですか、先程はレヴィアさんがしてもらって、喜んでいたではないですか、もう少しで、暫しのお別れが来ますし……甘えさせてくださいまし……」

 それを聞いたレヴィアは、真っ赤な顔をしながら。

「もう好きにしてください!」

 そう言って、ソッポを向いた!

 俺はその様子を見て、真っ赤顔をしながらソッポを向く、ツンデレ仕様のレヴィアを見て、可愛いなぁあと、自分の嫁さんに、見とれデレてしまう!


 そんな俺のデレ顔を見たフィーネは━━

「ん、もう……」と拗ねた口調を言いながら━━更に強く━━激しく━━自分のオッパイを━━『ニギニギ』と握らすのであった!


 ━━う〜ん!なんて柔くて気持ちいいんだ〜!フィーネのオッパイ!


 ◇◇◇◇◇



「領主さま? 領主さま?領主さま?」

 男性の声が聞こえてくる!?

 あれ? フィーネもういないし!?

 俺は、マンモーイチゴを口に入れ込みながら、そう思っていた!?

 ━━すると朱華が「たぬき、あんたの事を言っているんじゃないの?」と告げてきた。


「………え?」

 それを聞き俺は、入婿になった事を思いだした。

「あぁああ、ごめんね、領主と言っても入婿だから俺、内政の事あまりよくは、解らないから。奥さんのフィーネを尋ねて聞いてくれるかな!?……どうしても急用なら俺が聞いてくるけど?」

 俺は、このイチゴ農園の経営者のおじさんに、領主さまと呼ばれたので、ビックリしてしまい。マンモーイチゴを食するのを辞め、手で頭をかき、照れながら答えた。


 すると、その様子を見ていた━━朱華とレヴィア。メデ子の二人+盾は『クスクス』と笑いだした。


 ━━その様子を見た俺は、二人+盾に「もう……いいじゃないか」と言いながら赤面し。

「そんな悪い事を言う娘は、イチゴの様に食べちゃうぞ、ガオーー!ガオーー!ガオガオーー!」

 と、言いながら両手を上げ、狼の真似をし、照れ隠しをしながら、二人の手前で、自分自身を大きく見せながら、言ってみせた!


 ━━「キャー!」━━「いやん、もう、やめてください」━━

 二人が「キャキャキャ」と言って嬉しそうに、座ったまま、後退りを始める。

 その様子を見ながら俺は、更に調子にのって「ガオーガオ、ガオ、ガ、オ━━」と言いながら今度は、二人に覆い被さった!

 ━━「もうもう、やめてよ、もう」━━「きゃー!やめて、やめて下さい、たぬきさん」━━

 覆い被さった俺は、更にテンション上げ、二人をくすぐりの刑にした!

 すると、二人とも大喜びだー!

 ━━見れば見るほど、奥さん達大喜び!だから俺も嬉しくなり、更にテンション上げて━━

「ど〜れ、ど〜れ!どれどれどれ」━━「そらそらそらそら……」━━『クチュクチュ!クチュクチュ!クチュクチュ!』━━くすぐり回す━━


「あの……御主人。農園の方が何かお話しがあるのでは? 皆様方とイチャイチャされるのは、構いませんが。……とりあえずは、お話しを聞いてあげては……」

 後ろを振り返ると、このイチゴ園のおじさんが、汗を布で拭きながら、俺達三人を困った顔で見ている。


「……すいません。新婚なもんで……申し訳ない……お前達ほら……」

「すいません」

「申し訳ございません」

 三人で年甲斐もなく、じゃれて大騒ぎをしていた俺達。見られていたと解ると恥ずかしくなり、赤面しながら、農園のおじさんに向かって、慌てて正座をして謝罪した。


「いえいえ、大丈夫です、領主様に謝罪などしてもらうと、こちらも困ります。……それと新婚ですか、それはそれは、おめでとうございます」

 俺が新婚なのだと説明すると、農園のおじさんは祝いの言葉をくれたので、お礼の言葉を返し、何か話しがあるみたいなので、聞いてみる事にした。

「……いやいやどうもどうも、こちらこそ申し訳ない……え〜と、お話しでしたけ?……何のお話しでしょうか?」

「大した事では、無いのですが……今ちょうど、ユーグレの町の冒険者組合で、マンモーイチゴのコア集めのクエストを行っているので、もしも時間あるのでしたら、参加されてみてはどうですか?」

「……へぇ、……ここも冒険者クエストやっているんだ」

「そうなんですよ、これ見てください」

 クエストの案内が書いたパンフレットを、農園のおじさんに渡された俺。よくよく読んでみると、マンモーイチゴのコアを畑に植えると、この美味しイチゴが生るらしい。

 特にこの町の特産は、この美味しマンモーイチゴであり、この時期に冒険者組合に、クエストを行ってもらって種となるコアを集めてもらうらしいのだ。

 だからコア数が少ないと、来年の出荷量が減ると困るので、旅の人などが来たらパンフレットを配るなどして、宣伝しているらしいのだ。


「ふむふむふむふむ……」

 ならばコアを沢山集めて上げれば、町は潤うし、周りの農家の人達も助かる筈だ。

 それにユーグレの町もフィーネの領地なので助かる筈だ。

『よ~し!』奥さんや、民の為に頑張ってみるか! 初めての領主活動を頑張るか!

 ──そうと決まれば、さっさと食して、町に向かおう!俺達三人は、摘んだ残りのマンモーイチゴを慌てて食べると、愛車に乗ってユーグレの町へと向かうのであった。



 ◇◇◇◇◇



 町へ着いた俺達、いつもなら門の警備の人達に、何処から来たのかどういった用件で来たのかとねほりはほりと聞かれるのだが、今日は違った。馬車と紋章をみるなり、俺達に敬礼して丁重に町へと入れてくれた。

 この町の役人が慌てて来て、屋敷へ案内しますと言われて付いて行くと、これがまた大きな屋敷で、今は使われていないみたい。

 昔はザビアン家の人が使って居たみたいだが、今はフィーネ以外はザビアン家の人間はいないので、誰も使っていないらしいのだが……

 妙に片付いているな、 何故だろう?

 そう思い聞いてみると、フィーネが定期的に掃除をさせているみたいで、その話を聞き納得できた。

 そして屋敷に入ってすぐにあるホールを見渡しながら、何て広いんだろうと感心する。

 そしてこれが貴族様のお屋敷なんだと呆然としてしまう。


「広いな……」

 ぼそぼそと、言ったつもりなのだが、周りに聞こえたらしい。役人の男性と女性が、使用人を用意させましょうかと訪ねてきたので、俺は別に気を使わなくても良いよと告げると、何だか残念そうな顔しながら「そうですか」と言葉が返る。

 その様子を見て俺は、何故だろうとは思ったのだが、余り気にもせずにホールを見渡していると──

「あの……では、滞在期間が三日だけなので、三日だけでもお願いする事は可能ですか?」

 役人の人達に問う朱華。

「はい、可能ですよ奥様。……では用意させますね……」

 深々と頭を下げ答える二人の男女の役人達。

「宜しくお願いします。……あ、それともう一つ宜しですか……明日の夜夕食会を開きますので、この町の名士の方などに声をかけていただけると助かりまが、お願いできますか?」


 朱華のその言葉に、反応する俺!

 何々、夕食会だって、それってパーティー?

 初めて聞く言葉!? チンピラだった俺には、無縁の物だった。

 ━━それを朱華が、口に出している。

 役人の男女も、朱華が言った言葉に、ほっとした様な顔をしている。

 ……なぜに?

 何が何やら、解らない俺に、二人の役人達は、俺の前に達。深々とお辞儀をしてきた。

「閣下それでは、至急使用人達を用意させますので、ごゆるりと、おくつろぎ下さい」

 男性の役人の人から、ゆっくりと丁寧に、言葉が帰ってくる。


 ゆっくりと、頭を上げる二人の行動が、緊張している俺には、スローモーションの様に見える。

 二人と目が合う俺。穏やかな顔で微笑みながら俺を見る。

 そんな二人に慌てて「はい」と返事をするのが精一杯だった。

 すると二人は振り向き、ゆっくりと歩き、玄関を出ていったのだ。


「ふう……緊張した……」

 二人の役人が出て行った後、気が抜けて思わず、声が漏れてしまう。

 二人の方を向いて見ると、俺の様子が面白かったのか「クスクス」と笑っている。

 ━━その様子を見た俺、思わず口を尖らし「初めてだからしょうがないじゃん。三人でゆっくりとするつもりだったのに、これだと出来ないじゃん!」

 口を尖らしながら、ブウブウ言っている俺に朱華が。


「しょうがないよ、あんたこの辺りの領主だし、公爵閣下だから……それに先程来た役人の人達も大変だよ、行きなりなんの連絡も無しにあんたが、ここに来るから、粗相が無いようにしないと、いけないし。結婚仕立のあんただから、どう対応したら良いかも解らないし、よく見ると、私とレヴィアちゃんもいる訳だから、あんたより、先程来た人達の方がよほど、緊張してるはずだよ。それにさー、たぶんだけど?この町の名士や商人。この近くの村の村長さん達などにも、紹介してくれと、頼まれているはずだよ、あの人達」


「へ〜、そうなんだ?」


「はい、そうですよ。……だから朱華さんが、明日夕食会を行うと、言ったんですよ……だってたぬきさん。今日、行きなり尋ねてこられても嫌でしょ!?」

 感心している俺にレヴィアが、朱華が機転を利かして、対処してくれたのだと、教えてくれたのだ。

 それを聞いた俺。さすがだ朱華、俺の嫁さん、やっぱり頼りになるし気が利く。そして改めて感心しながら。

「うん、今日は、嫌だ出来れば三人でゆっくりしたい。それに甘えたいし、先程の続きもしたい!やっと解禁令がでたんだし!……俺二人まとめて頑張っちゃうよ!」

 両手を上げ『ワシワシ』しながら「へっ、へへへへ……お嬢さん達食べちゃうよ」と狼の真似をしながら、ニヤケ顔をし、俺は二人に擦り寄る!

 ━━そんな俺に、メデ子が。

「はぁ……本当に御主人は、元気が宜しいですね……でも、ま……それが私の生気にもなりますし、皆様の魔力にも変わるのですから、何とも言えませんね……」

 俺を見ながら、そんな事を言っているみたいなのだが!


 相変わらず狼の真似している俺。二人にジャレテ大騒ぎしているので、ちゃんと聞き取れずにいる。

「……え!? 今何か言ったか、メデ子?」

 聞き取れなかったので、俺がメデ子に問いかけると?

「いいえ……ご主人。何でもありませんよ!」

 大きな声で言葉を返すメデ子に俺は「そうかそうか、何でもないか!?」と言いながら俺は、今度はこの広いホールで妻たちと、鬼ごっこ始めだした──!


「まてぇええええええええええええー!俺の子猫ちゃん達!食べちゃうぞぉおおお……!」

 俺は 笑いながら二人の妻達を追っかける。『──キャキャ』と言いながら逃げ回る二人の妻!そんな三人の笑い声が、広いホールの中で、いつまでもいつまでも、響くのであった。


 ◇◇◇◇◇


「よ~し、今日は、家族パーティーと普通のパーティーとの違いを、説明しながら狩りをするね!」

 そう言いながら腰に手を当て、仁王立ちする朱華。 まるで女鬼軍曹のようだ!

 その様子を見ながら俺とレヴィア+盾の二人と一つは「うい」──「はい!」──「かしこまりました!」──と返事をした。


「どうする、ここで始める?」

 俺が狩場をここに決めるかと、朱華に問い合わせると。

「う~ん……この浅瀬だと人が来そうだし、出来れば、人に見られたくないので奥にいこうか!?」

 そんな事を言いだす朱華。何を見られたくないのだろうと悩む!?

 俺とレヴィアの二人は顔を見合わせて『何だろうか?』と悩んでしまう!?

「……ま、いいけど……じゃ奥に行こうか?」

「うん、行こう、行こう。奥に!」

「はい、いきましょうか!」

「今日も皆さん。大漁目指して、頑張りましょう!」

 最後言ったメデ子の大漁と言った言葉を聞き──朱華の言った見られたくないと、言った言葉が脳裏を離れないでいた俺も、断然気合とやる気が出てきた!


 ユーグレの町滞在中二日目の俺達。今日は予定通り、マンモーイチゴのコア集めをする為に、狩場へと来たのだが、朱華が浅瀬ではなく、人気の無い最奥へ行こうと言っているので、最奥へと森の奥へと進んでいく。

 フィーネが治めているこのユーグレの町はイチゴの産地で有名。特にここで生産されるマンモーイチゴは、この国一番の美味しいイチゴであり、マンモーイチゴといわれるモンスターのコアが種であり。毎年この時期にコアを収集して植えないと、生産出来ないのだ。

 だから町興しも兼ねてイベント行い。旅人や冒険者を集めようという企画らしいのだ。

 コアの換金自体は大した金額ではないのだが、名声値の方が多くもらえるらしい。

 それにここは俺の奥さんが治めてるというか、今は俺なのか!? でも旅に出たからやはり、フィーネか!?

 ……ま、どちらにしろ、少しでも役に立ちたいと思うので、コアの収集の記録を作ろうと家族で乗り込んで来たのだ!

(包容力のある、フィーネはいないので、甘えん坊の俺は少し寂しい……)



「……ここらはどう?」

 あれから歩いて、かなり最奥に入ったと思った俺は、狩場をこの辺りでどうかと、朱華に尋ねた!?


「……ん……じゃ、ここらでしょうか……え〜と……そうね……たぬき?」

「……なに?」

「あの大きな岩を背にしょうか?……あの場所にマンモーイチゴを集めてくれる?」

 朱華が指差す方向を俺は見つめる━━その先には、大きな岩が何個も何個も、立ち並ぶ場所が見える!

 その中でも特に大きな岩。たぶんあれなのではないかと思い!?

「あの一番大きな岩かな?」と俺は朱華に確認を取ると。

「そうそう、あれあれ……あれに集めてくれる」

 朱華から俺は確認を取ると。

「うん、解った……じゃ行ってくるね!……それと二人とも気を付けて岩に登るように」

 俺は二人にそう言葉を放っと、二人に手を振って、行って来るぞと勇ましくと、いった感じでその場を離れる!

「行って来ますね。朱華様!姫様!」

「あいあい、二人とも気を付けて━━」

「たぬきさん気を付けてー!メデューサー!たぬきさんをお願いねー!」

 メデ子が二人に声をかけると━━気を付けてと声が返ってくる。

 美人の奥さん二人声援を聞き、断然やる気がでてきた俺。頑張るぞー!と思いながら、森を駆け巡る!


 ━━お!いたいたマンモーイチゴ!

 よく見ると━━前回のカカオダヨーとよく似ている!

 カカオかイチゴの違いだけの様な気もする!?と思いながら。

 ━━「よぉぉぉし!ガンヘイトだ!」

 マンモーイチゴの群れの前に立ち、ヘイト値を上げる!

 するとマンモーイチゴ怒り出し、俺へと飛びかかってきた!

 ━━『ヒヨイヒヨイヒヨイ』とヒラリと交わす俺。なんだか格好いい気がする。

 特に何故だか解らないが!? 前の俺より動きがいい気もする。


 ━━何故だろう?


「御主人!前回のカカオダヨーの時より、動きが良いです!」

 そうメデ子が、言ってくれるので「そうか?」と声を返した後、嬉しくなる!

 ━━止まった様に見える程、余裕な引き。マンモーイチゴを引きながら、後ろを向いて━━「二、四、六、八、十……」と数えてみようと、思うぐらいだ!


「大量、大量、大量……」

「ですねー!」

 大笑いをしながら大量、大量だと、大きな声を出す俺。メデ子の声も聞こえてくる。


 上手くマンモーイチゴとの距離を考えながら、走ること数分!?

 大きな岩と小さな朱華とレヴィアが見えて来た。

 マンモーイチゴを集める為に、走る速度を落とす俺。追い付いて来たのが、襲いかかる!

 ━━ヒヨイヒヨイ、ハラリハラリと、簡単に交わしまくる俺。かなりの数に囲まれているが、簡単に━━紙一重で交わていく。


「━━後ろのが集まったかな?」

「はい、集まった模様です」

「じゃメデ子、お願いー!」

 俺のメデ子への掛け声。メデ子の頭のヘビが伸びて来て、首に噛みついてきた!

「━━いて!」

「すいません御主人……」

「━━いいやいいや、気にするな!……じゃお願いメデ子━━!」

 メデ子の頭のヘビが、俺の首に噛みついた時に、痛いと声を出したので、謝罪してくれるメデ子に、気にするなと声をかける。


「石化デフェンス━━!」と掛け声を上げると、俺の体が石化した。

 ━━そのまま、岩を背にしながら、何百匹もいるマンモーイチゴの攻撃を受ける!

 マンモーイチゴ。凄い形相で俺に噛みつくは━━殴りかかるは━━蹴っる、引っ掻く━━色々と攻撃してくるのだが、痛くも痒くもない!

「余裕だ余裕!」と、大きな声で笑い出してしまう程だ。

 メデ子がディフェンスの魔法で、俺をサポートしてくれるので、更に楽に盾してモンスター受けれる様にもなった。

 成長していると自覚が出来る俺、奥さん達とメデ子のお陰で、スーパーたぬきちゃん化してると思う。

 感謝だ感謝! 感謝しないといけない! 俺の周りにいる女達はいい女ばかりだと思う。

(メデ子も含めて!)そんな事を考え周りの様子を見てると──この周りのみ暗闇になってきた。

 ──そろそろかな?


 ──朱華の呪文を唱える声が響いてきた!

「我、冥府の長なり、我がしもべ達よ、我の命を聞き、我に力を与えよ!いけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、冥府波動よ━━!」

「──よ~し!」気合をいれ、俺は一気に俊足を使い。利き足で地面を蹴り──その場から離れ──武空術を使い空中に退避する。

 ──物凄く大きな暗黒の球体──落雷と共に地面に落下する!

『ド、ゴロロロロロロ、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……』

 地面を揺らす地鳴りの音と落雷の音が混ざり合う!


 空中から下を見下ろすと──あれだけ居た筈のマンモーイチゴの姿は無く。コアのみが落ちている。

 武空術を解きながら下に降りる俺。下に着くと布袋出してコアを集める。

 ──丁寧にコア集めを始める俺。拾っていると、朱華とレヴィアの話し声が聞こえて来る。

「レヴィアちゃん、リチャージいいかな?」

「はい、ではいきますね!」

 レヴィアが朱華の肩に手を掛けている様子が見える!

 俺はいつもこの光景をを見て、本当に魔力充電、出来ているのかな? と悩む事が多いい。

 もう少し解りやすく、如何にも充電をしているように、二人が光り輝くとかしていれば良いのにと思う!?だって、充電が終わるのも周りには解らず、二人にしか判らないからだ?

 だから声をかけてくれるのを待ってる間に、コア拾いをしている事が多いい。


「……ふう……ありがとうレヴィアちゃん。もう大丈夫よ」

「そうですか、解りました」

 朱華の肩からレヴィアが手を離す。

「──たぬきー?もう一引き、おねがい!」

 朱華の声を聞き「ホイホイ、じゃ、行ってくるね!」と言いながら、またまたマンモーイチゴを集める為に、俺は森へと入って行った。


 ◇◇◇◇◇


「うわ~、マジでで疲れた。二回連続は疲れるね。マジしんどい……」

「はい、私も、魔力が切れました……」

「……だね、範囲魔法だと二回連続が限界みたいだね」

 三人で会話をしている最中、俺とレヴィアは、魔力切れで、その場にへたり込んでしまった。

 そんな座り込んでる二人に、朱華が更に話しを進める!


「普通の冒険者パーティーは、大体こんな感じで、範囲魔法狩りだと、大体二回ぐらいで、魔力切れを起こすね……前のレヴィアちゃんなら魔力量が多かったから、三から四ぐらいは行けそうだったけど、引手のたぬきは、やっぱり二回が限界そうだから二回までかな……」

 俺はその話しを聞いて、レヴィアにはいつも悪いなと思う。カカオダヨーのコア集めのイベントの時に、俺が無茶して瀕死の重体になった事がある。

 その時に俺を助ける為に、レヴィア自身の魔力を譲渡してくれたのだ。

 だからそのお陰で俺は助かり、逆にレヴィアは前よりも魔力も体力も落ちてしまって、余り無理も出来ないようになってしまった。

(うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、みな俺のせいだ……赤ちゃん産めなくなったらどうしよう……)

 だからリチャージも無理をさせないように、二回迄で止めているのだ。


「ごめんね……レヴィア……俺が無茶したために……」


「うぅん、うぅん。余り気にしないでください。たぬきさんが無事でしたから、それでいいです」

 そんな健気な言葉を言ってくれるレヴィア。思わず俺涙潤んできた……

「うううううう……ごめんね……」

「ほらほら、目を潤ませないで……よしよし……そらそらいい子……」

 目を潤ませてる俺を、レヴィアがハグしてくれて頭を撫でてくれる。俺甘えん坊だから、これして貰えると凄く落ち着く。そのままレヴィアの大きな胸の谷間に顔を埋めて甘える。

 その様子を見てた朱華。口から「はぁ……」と溜息が漏れる……


「……じゃ、二人とも良い?……話しの続きを始めるね……」

「……うん」

「はい、大丈夫です」


「えぇぇとね、今無くなってる魔力なんだけど、速攻とまでは行かないんだけど、ある程度は短時間で元に戻す事が可能なの!普通のパーティーでは無くて、夫婦間でのパーティーのみだけど……」

「え、ぇぇぇぇぇ…!」

「そうなんですか?」

「ほう……」

 今切れている魔力が朱華は、短時間で戻ると言いうのだー。どうやって戻すのだろうか!?

「……うん、普通のパーティーは大体こうだけど、夫婦パーティーは少し違うのよ……」

 朱華の話しを聞き、普通パーティーと夫婦パーティー。何処が違うのだろうかと悩んでしまう!?

 ……無い頭を使い。色々と考えてみるが、さっぱり解らん?


「レヴィアちゃんは、何となく解ったんじゃないかな?」

「……私ですか……?」

「うん!ここつい最近の事を思い出して?」

 俺達の顔を見ながら朱華がニコニコと微笑みながら、問うてくる?

 レヴィアも不思議そうな顔をしながら頭を捻り考える? その様子を大きな胸の谷間から上目遣いで見上げる俺。頭を捻る姿がとても可愛らしくて、萌だ萌、だと思ってしまう。

「……あ!朱華様。私何となく解りました!」

 そう答えるメデ子に朱華は「メデ子ちゃんには解った?……あれだよねあれ?」と今度は意味深くニヤニヤしながら答える。

「そうですね、あれですね。……姫様あれですよ、あれ?ここつい最近に増えた行いですよ?」


 …………………?


 メデ子が言った言葉に反応して考えるレヴィア。──急に顔が赤くなり朱華に問い始めた!?


「朱華さん、まさかあれですか?」

「うん。あれだよ、レヴィアちゃん良く考えたら調子も戻ってきてるし、魔力も戻ってきてるでしょ?」

「……はい……言われてみたら……」

「だって姫様、私の魔力の元は何かを思い出して下さい。それといしょですよ。……だから姫様、つい最近また顔色が良いなと思っていました」


 ──俺は三人の会話を聞いて、何が何やら解らないが、とりあえずは、レヴィアの調子が良くなって来ていると聞いたので、本人にそうなのかと尋ねると?

 真赤な顔が更に赤くなり、俺の頭を自分自身の大きなオッパイの中に『グニュ』と抱き込んで沈めた!

「もう、たぬきさんは下から上目遣いで見ないでください、恥ずかしいです!」

「フゴフゴフゴフゴフゴフゴフゴフゴフゴフゴフゴフゴ、ふがぁぁぁぁぁぁぁ……!」

 ──手をバタつかせて、大騒ぎする俺は、レヴィアの豊満なオッパイの中で溺れ、窒息死しそうだー!

(デカすぎるからマジで埋もれすぎると、マジで死にそうになるのだ)


「姫様そのままでいると御主人。窒息死してしまいますよ。そろそろ放して上げては?」

 メデ子の話しを聞き。すぐさま我に返るレヴィア。慌てて俺の頭を放してくれた。

 ──その様子を見て、俺の騒動が収まるのを確認すると、苦笑いしながら朱華は話しの続きを始めた。



「ようするにね、レヴィアちゃんの魔力を戻す、手っ取り早い魔力補充は、たぬき、あんたの種なのよ!」

「え!……嘘?」

 先程まで、どんな事を行い。更には用いいて、魔力を戻すのかとなのかと、思っていた俺だ。今の話しを聞いて、完全に拍子抜けしてしまう。


 ━━何故に俺の種? なのだと思ってしまう?

 そして、疑問があるから朱華に聞いてみた!?


「ねぇ? ねぇねぇ? 朱華……何故俺の種なの?」

「それはねぇ、あんた。……あんたが、私達三人から魔力を貰っているからよ」

「え、ぇぇぇ、嘘? マジで?」

 俺は言葉を発しながら、二人を交互に見ると、朱華もレヴィアも、頭を上下にしながら、頷く━━それを見た俺は、間違え無いのだと、確認する。

 いつ貰ったのだろうか? 全く持って心当たりもない?


 ━━この時か? あの時か? まさかまさかあれか?

 ……………………?

 ……やっぱり考えても、解らないやぁ!?


 腕を組、頭を傾げながら考えるが、解らん?

 すると朱華が「解らない?」と尋ねたきたので、俺は「よく解らん?」と答えると、朱華。タコの様に口を尖らして『ブウブウ』言ってきた。


「あんたは、私と最初にした時を忘れたの? マジで酷い……私の初めてを奪った癖に……」

 今度は、朱華。タコ口から潤目に変わる。

「あぁあ、御主人酷いですね。朱華様おかわいそうに」

 行きなりメデ子に、酷い奴だと言われて、自分自身でもそうだと思い込む。

「すいません。ちゃんと初めての時の事は、覚えています。ただただ、魔力を貰った時の事が解らないだけです」

 俺は朱華に謝罪して、何度も何度も頭を下げて、土下座して詫びた。


 その様子を見て、朱華「今回だけなんだから」とツンデレ風に、言葉を放ちながら許してくれた。

 あぁあ、良かったと、土下座程度で許して貰えて内心ホットする!

 すると、気を取り直し、朱華、話しの続きを始める!


「……何処まで話したっけ……あ、そうそう、よく考えてみなさい、たぬき? 貴方の俊足。元々あなたが持っていたスキルでは、ないでしょ?」

「あ、確かに、よくよく考えたら、あの後だ!……確かに急に早く動ける様になったから、何故だろう? それぐらいにしか思っていなかった……ごめんね……」


「うぅん、いいよ……言わなかった私もいけないから、許して上げる。……それと私達から貰った能力は、私からは、スピードと魔力。レヴィアちゃんからは、パワーと魔力かな? フィーネさんから、空飛ぶ能力と魔力だと思う」

 俺はその話しを聞いた後、確かに心当たりがあるわと、思ってしまう。

 俊足は、朱華との初めての後、魔力がぐんんんと上がって、メデ子の封印が解けたのは、レヴィアに命を助けて貰った後だ。

 フィーネとの夫婦の関係の後に、空を飛べる様になり、魔力も更に上がったのは確かだ。


 ……ただただ、妄想力だけは、よく解らん?


 あれは、いつ備わった能力なのであろうか?

 誰からか教わったのか、産まれ持った能力なのか?

 でも俺はヒューマンなのだから、産まれ持った能力など無い筈なのだが!?

 どうしてだろう。俺ってもしかして亜種なのか? 死んだ両親の子では無いのか?

 そんな事を考えている俺に、朱華が声をかけてきた。


「たぬきどうしたの?」

「うぅん。なんでもないよ」


「そう?じゃ、話しの続きを始めるね。……だからたぬきの体の中には、凄い量の魔力量が蓄積されている訳。その魔力は、私、レヴィアちゃん、フィーネさんの魔力が混合してできた、私達家族だけのオリジナルの魔力であり宝物なの、だからこの宝は、親から子へと残さないといけないし、更に繁栄、進化させないといけない。だから私達みいたいに魔力のある女は、夜伽をする相手、結婚する相手も、誰でもという訳にはいかない。自分の魔力を与える可能性もあるし、取られる可能性だってある訳だし。私達女も、代々先祖から受け継いだ魔力だから、取られて捨てられる訳にはいかない。ちゃんと自分達の子を残して家族を守ってくれる相手でないといけない。だから慎重になるし、いざ関係を結ぶと、結婚してくれと、責任を押し付けてしまう。魔女とはそうだし、魔女と結ぶのはそうゆう事なのたぬき……」


 朱華の話しを俺は頷きながら真剣に聞いてる。朱華の言う通りなら、三人は俺が必ず自分達を守ってくれると信用してくれたんだと思うとかなり感動した。

 それと魔女と結ぶ──イコール結婚しなくていけないのだという事も理解できた。

 だから誰構わずな所もある、女にだらしない俺、直さないといけないと思う。

 それに魔女と結んで、魔力だけを取る、ひどい輩もいる事も解ったし、俺に魔力を与えたレヴィアとフィーネの件もある、魔力を与えたり、取られると、どうなるのだろうか?

 ──疑問に思い聞いてみる事にした。


「……朱華?……女性は魔力を与えたり、取られるとどうなるの?」

「魔力を与えると……一年近くかかったかな私は、魔力戻るのに?」

「えぇぇ!うそ?」

「嘘じゃないよ、ほんとうよ、たぬき……覚えていない? 私が妊娠したんじゃないかと、大騒ぎした事を?」

 その話しを聞き、どうだったのかと目お瞑りながら記憶を呼び戻し、色々と思い出そうと努力する。

 ──走馬灯の様に記憶が呼び戻ると、懐かしい思い出が蘇る!


 ……………………?

 よく思い出したら、あの頃、毎日の様に朱華に悪戯したくて、ベットの潜り込んでは、しばかれていたなと思い出し、苦笑いがでそうになる。


「……あったね、大騒ぎした事も……」

「うん」

 恥ずかしそうに軽く頭を下げ、返事をする朱華。見ていてとても可愛く思へ。萌萌、キュンとなった。

 そしてつくずく、レヴィアとフィーネには、悪いことをしたと思う。

「一年は長いな……」

 申し訳ない気持ちで一杯の俺、落ち込んだ情けない顔をしながらレヴィアを見つめる。

「どうしたんですか?」

 レヴィアが俺に問うと──

「ごめんね……俺のせいで……」

 そう答えた俺に──

「いえいえ、いつかわ渡す物ですから、早いか遅いかだけなので、気にしないでください……」

 優しく気にするなと俺に言ってくれる。本当に皆俺には勿体無い嫁さんだと思う。やべぇぇぇ、またまた目が潤みそう……


「それでは、だいぶん話しがそれたけど、本題に入るね!」

(ん?……まだ本題に入っていなかったのか、俺はこれが本題だとばかり思っていた)

「レヴィアちゃんとフィーネさん。そんなに長くはなく魔力戻ると思う?私もそうだけど、基本の魔力値は上がると思う。……あ、ただただ、基本値は上がるけど、レヴィアちゃんの、あの魔力分の数値だけは、まず無理で戻らないと思う?」

「あ、あれは大丈夫です、もともと私も、親から受け継いだ物で、旦那様か子供に渡すつもりでしたから、気にしていません」

「そうなんだ……」

「はい!」

 あれとは何? 親から受け継いだ物? 二人の話しを聞いてる限り、俺はレヴィアから何かを貰っているみたいだけど、何だろうか?


 ……悩んでる俺を朱華が見る!

「たぬきあんた責任重大だよ、レヴィアちゃんから凄い物、貰っているから。……それにあんな凄い物を家族以外に回すと大変な事になりそうだから、浮気禁止ね! 結婚しても良いと思う人以外は、行為も禁止!解った?レヴィアちゃんも言ってやり!」

「え、あ、はい、言います。解禁にもなった事だし、ちゃんと尽くしますから、浮気は禁止です!許しません!」

 二人とも笑っているが、恐ろしい程暗黒のオーラが湧いて来ている!

 思わず萎縮してしまいそうな俺。「はい、しません」と言葉を返す。

 すると朱華が「よろしい」と言葉を返し。先程の話しを進めた!


「またまた話しずれたけど、メデ子ちゃんと原理はいっしょよ。メデ子ちゃんは、たぬきから精気吸って魔力に変えてるの、それといしょで、たぬきの種で魔力が戻るのよ。……先程も言ったか、けど、魔力の貯蔵庫になってるたぬきは、種も大量の魔力を含んでる、それが私達のお腹の中で結ばれて、子供へと譲渡す。そして結ばれない種が私達の魔力源にになるみたい。時間をかければ私もそれで戻るんだけど、どうしても連続で魔力使うとなると、リチャージ持ちのレヴィアちゃんで、魔力補充をしてリチャージする方が効率いいのよ、だからそれって子供を作る行為だから夫婦間でのパーティーでのみでしか出来ないし、その場で連続となると、魔力種を持ってる男も、魔力が持たないし。魔力が尽きて、それこそ、この前みたいな、たぬきみたいになってしまう」

 俺は朱華の話しを聞いて、成る程と思いながら、自分の何は、凄い種なんだ?と自覚した。

 でもこれって、連続で夫婦の営みを頑張ったら、前回みたいに、またヤバくなるのでは!?とも思ってしまって、朱華に問いかけて、みようとすると━━

「それだと、朱華さん。たぬきさんが又、魔力尽きを起こして、不味くなるのではないですか?」

 レヴィア、俺が疑問に思っている事と、同じ意見を朱華に問いかけた!? すると朱華は━━

「たぬきがソロの場合なら不味いけど、私達がいる場合なら大丈夫じゃない!?」と言い出した。


 ━━それを聞きレヴィアは、目を大きく開け「あ!」と声を出す。

 その声に注目する俺。何々と不思議に思い。

「どうしたのレヴィア?」と尋ねると━━

「うちの御主人は、朱華様と姫様いれば、変態妄想で、魔力生産無限です!……私が目覚めた時も、ソロでしたけど、朱華様と姫様のパンティーを被って、変態妄想してましたよ。それに……あれ?あれ?あれ?何か、今思い出しかけたのですけど、何でしたか……」

 そんな行為をした俺が、変態だと言ってくるメデ子……それに、あれ?あれ?って何だ?

 それに「ふ、ぇぇぇぇぇぇぇん!良いでわないか!」ち言いたくなる。朱華もレヴィアも、真っ赤顔をしてたけど、快く貸してくれたんだぞー!それに奥さんの物を被って何が悪い?

 そんな事を思い俺は、自分の頭を掻きながら、笑って誤魔化した。

 ━━二人を見ると、綺麗なお顔が真っ赤赤!次いでに俺のお顔も、真っ赤赤!

 そして夫婦三人で行った変態行為。大変申し訳ない。すいませんメデ子様といいたくなる。


「……ゴホン……」

 朱華が一咳入れて話しの続きを始める。

「ま、メデ子ちゃんの言う通り、たぬきには妄想力があるので、私達が色々としてやればいくらでも、魔力が上がるし、生産も出来る訳。……だから、魔力が切れた、たぬきを私が色々としてあげる。すると魔力上がるし貯まる。それをレヴィアちゃんに注入して、私にリチャージ。メデ子ちゃんはたぬきから精気吸って、皆の攻撃補助とデフェンスすれば、完璧のフォーメーションの出来上がりよ。フィーネさんいる時なら二リチャか二火力でもいいかも。特にたぬきのあの妄想力による、魔力増幅と生産。あれが出来る者は、この大陸中さがしても、たぬきだけだと思う? なんであんなスキルを人種のたぬきが持っているのか不思議でならないけど? レヴィアちゃんから譲り受けた魔力と私達三人からも譲り受けた魔力が混合してるから、たぬきが妄想力をちゃんと使いこなせるようになれば、この大陸でたぬきと真面に戦える相手は、一人か二人ぐらいだと思うよ? それに、範囲だけでの攻撃なら私達家族に勝てる、パーティーはこの大陸にはいないと思うよ?」


 俺は朱華の話しを聞き、マジですかと思った!?

 特に俺の冒険者としての能力は、大陸レベルだと聞いてビックリしたし。範囲攻撃での限定なら、大陸一番だと聞いたので、更にビックリしてしまう。


「そんなに凄いんだ俺達……」

「そうですよ、たぬきさん。私達一人一人も本当はすごいんですよ!」

「うんうん。私達三人に感謝しなさいよ!」

「……だね……本当にありがとう、感謝するよ……俺みたいな奴に……」

 またまた、涙が潤みだした俺、本当に奥さん達に申し訳ないと思う。


 ………………「グス」……

 片手で涙を拭うと、朱華が近寄ってきて頭を撫でてくれる。

 レヴィアは俺の頬や耳などにキスをして寄り添い甘えてくれる。

 そして、フィーネは……別の場所にいるのだった。不安にならないのかな? いや先程の朱華の話しを聞く前ならそう思うかもしれないが……多分……不安だろうな……

 そう言えば夜、この町の名士などを招待して夕食会だっけ?

 ……フィーネ居ないよね、俺の奥さんだし、家族なのだし……居ないのがおかしい気も……


 ………………………

「今晩夕食会だよね?」

「うん」

「そうですね」

「フィーネ迎えに行ってきてもいいかな?……家族皆揃ってないのも変だと思うし?」

「いいよ、言っておいで、武空術つかえば直ぐに着くだろうし、フィーネさんだけ居ないのも変だし」

「そうですね、家族ですから」

 俺は二人に、フィーネを迎えに行きたいと告げると、笑顔で二つ返事で、行ってくるようにと言葉をくれた。

 その言葉を聞き、さすがにだ、俺の女房殿達だと、二人の頬にキスをすて頬を摺り寄せる。

 そして「そろそろ町に戻ろうか?」と声をかけると──朱華が「魔力切れてるけど、空飛べるの?」と聞いてきた。

 ……言われてみれば? 魔力切れてた……どうしよう?

「ん?」

 ……………………

 よく考えると俺の左右には、自慢の奥さん達が居たのを思い出した。

「充電していい?」

 俺が二人に告げると、ほんのり顔を赤くしながら「「うん」」と頷いた。

 それを確認すると俺は二人を思いっきり抱き寄せて、そのまま押し倒す!

 ──さあ~て充電の始まりだ!俺は力強く。そして──荒々しい声をだしながら充電行為を続けるのであった。



 ◇◇◇◇◇



「さ〜て、お迎えに行ってくるか!」

「気を付けてね、たぬき!」

「無理せずに帰ってきてくださいね、たぬきさん!」

「うい、うい……でわ行ってくるね!」

俺、武空術で空を飛び、二人を屋敷に連れ帰ると、フイーネを迎えに行く為に再度飛び立った!


━━━━


空を悠々と飛行する俺。眼下に写る街の光景と町を歩く人々の川のような流れを、空から堪能しながらココアの街へと移動している俺━━

ふと、ある建物を見て、奥様達へのサプライズを思い付く?

……あ、これを行えば、朱華、レヴィア、フィーネ達、奥様トリオは喜ぶだろうか……?

その建物を見ながら俺は、腕を組宙に浮いたまま考えているのだが……。

今日の夜は沢山の人達を屋敷に招いての夕食会がある。

その夕食会に、俺の自慢の奥様達三人を皆に見て貰おうと、只今隣の街であるココアの街迄、フィーネを迎えに移動中なのだが。

よくよく考えるとこれって、結婚の御披露目会みたいなものだよね?

ならば、サプライズがある方が楽しそう!?

多分……奥様達も喜ぶと思う!?


……そう思うと俺、居ても経ってもいられない。

よ〜し、町へ向けての急降下━━


「すいません〜!」と元気な声を出した俺。店の扉を開けると店内へと移動した。



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