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たぬきちゃんの冒険  作者: かず斉入道
第1章 接触
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第7章 バァレンバァレンの日(2)

第7章 バァレンバァレンの日(2)



昨日は瀕死の重体だった、たぬき。私達二人が、体は大丈夫なのかと不安そうに、見ているのに、知らぬ顔をして、またクエストをこなすため、カカオダヨーを狩りに、出掛けていったのだが……


「出掛けましたね、たぬきさん。一人で大丈夫なのでしょうか?」

「……どうだろう?無茶さえしなければ、大丈夫だと思うよ?」

私は、レヴィアちゃんにそう告げると━━「そうですね……」と言葉が返る。

とても、不安そうな顔をしているレヴィアちゃんが、たぬきの足取りを追っかける様に扉を──ただただ、ひたすら見つめている。

……余程たぬきの事が心配なのだろう?━━顔を見ているだけでも、私には伝わってきた。

特に昨日のレヴィアちゃんの慌てようは、横にいた私でさえビックリしたほどだったのだ……


昔から無茶をする所があるたぬきだけど、昨日みたいに帰るなり倒れるといった事は、今までなかったのだが……


「キャー、たぬきさん」

「え………?」


そんな倒れた、たぬきを逸早く寄り添っていったのは、私では無くて、レヴィアちゃんだった……

妻の私は、ただただ、呆然としているだけで、生気も感じられない、たぬきは、死んだのだと思ったぐらいだ!?

「朱華さん、たぬきさんが……たぬきさんが……」


「…………」


黙り込んでいる私……そして逸早く寄り添っていった、当のレヴィアちゃんは、たぬきを抱き抱え、頬擦りをしながら、ただひたすら泣いているのだ。

その光景を見た私は、たぬきの心配よりも、何故レヴィアちゃんが、そんなに大袈裟に泣くの?

たぬきに慌てて寄り添って行くより、そっちの事の方が脳裏を走り、疑問と嫉妬に良く似た感情が芽生えた!?


……何故疑問と嫉妬……?


━━私が何故、そんな事を思うのだと、思われるかも知れないが?

レヴィアちゃんの泣きかたが、嫁の私が見ていても、普通では無いと思えたからだ?


親しいパーティー内の仲間が、瀕死の重体だから泣いているのでは?

この場にいない者なら、そう思うかも知れない!?

現に私も始めは、そんな視点でレヴィアちゃんを見ていたのだから。

だけど……どう見ても彼女の泣いている姿は、愛しい人を失った時のような姿にしか私の目には、映らないのだ!?

━━だから私は思う?

もしかしたらレヴィアちゃんは、たぬきの事が好き?

そんな事を考え?

いつからなのだろうか?━━レヴィアちゃんが、たぬきに好意を持つ様になったのは?


…………色々と考えてみるけど、分からない?


……と、言うよりかは、たぬきの事が好きだから、もしかして、パーティーに参加したのかも知れない!?

そうよ、そうかも?

……よくよく考えてみると、可笑しな話しだとは、思っていた!?

だいたい婚約までしている結婚前の独身女性が、男一人のパーティーに参加する事自体、可笑しな話しだとは思っていたのだ……?


━━それならば、レヴィアちゃんは、何者なのだろうか?

メデューサの盾など、レアアイテムを持っているし?

金持ちの娘などといった、レベルでは無いとは思う?


何処かの国の皇女?

そうなのかも……いやいや、それと、もしかして………まさか………魔………?と、迄言いかけたが、まさか……そんな事は無いとは、思うのだけれども……?

どうなのだろうか?

もしもそうならば、きっと、会った事のあるたぬきが気付くとは思うし?

アイツは、何も言わないし。はたから見ていても、そんな素振りはない?

やはり違うのかも?


「…………」


「朱華さん……?朱華さん……?朱華さん?」

「………ああ、ごめんね」

レヴィアちゃんに声を掛けられ、私は我に返ると……

「朱華さん、何か考え事でも……?」

「ん?あぁあ、ちょっとね……別にたいした事ではないから大丈夫だよ」

「そうですか、ならば良いのですけど……」

レヴィアちゃんが、何者なのかと思案していた私なのだが、声をかけられ我に返った。

「まー、考えても仕方がないか……」

そう考えると、今日はさてさて何をしようかな~と思い。良い方に考える事にした!

━━そのうちレヴィアちゃんも、自分の口から教えてくれるだろう。

私はそう思う事にした。


さ・て・と──街は昨日と一昨日で、一通り見て回ったわけだし、どうしょうかな今日は……?


「…………」


あ……そうか……そうだった!

今日は……バァレンバァレンの日の当日か!

男性が女性からチョコレートを貰う日だ!


……たぬきも楽しみしてるかな?

毎年渡しているから貰えるものだと、思っているだろうな?


……よしよし、では今日は、チョコレートを作りましょうか?

昨日のカカオダヨーの、コアの換金も頼まれているし、好きな物を購入しても良いと言われている。

……そう言えば、たぬきの下着を購入しておいてくれと、頼まれていた事も思いだした?

なんか、たぬきの下着を、購入に行くといった行為は、私自身が主婦なのだと、実感出来るから嬉しい。

ついでにたぬきも喜びそうだから、私のも新しいのを卸そうかな?

特にたぬきは、派手目な下着が好きなので、いつも私は、派手目な下着をチョイスしている。


「よ〜し!」だんだんと気分も、晴れやかになってきた!

たぬきが、死なないで済んだのだから、それでヨシとしょう!

もしもあのまま死んでいたら、こんなにもワクワクする事は無かったと思う。

素直にレヴィアちゃんに感謝したい。


「よ〜し!」━━今日は、バァレンバァレンの日だ、素直に楽しもう!


「レヴィアちゃん?」

「はい?」

「今から街に出ようか?」

「え?今からですか?」

「うん!……今日は、バァレンバァレンの日だから、チョコの材料を買って、手作りチョコ作ろうか?」

「え?………私がですか?」

「うん、そうだよ!」

「でも……私は婚約者が近くにいませんから渡せる人が……」

「ん……ああ……私を気にしなくていいよ、レヴィアちゃん。たぬきに渡したいじゃないかな?」


「え?……あの……あのですね……私……たぬきさんとは……」

レヴィアちゃんは、たぬきとの関係を私に指摘されて、急に慌てだした。


「隠さなくてもいいよ……私朝起きてて、聞いてしまったの……ごめんね……盗み聞きをするつもりは、無かったのだけれども……たまたま起きたら二人が話しているのを聞いてしまって……たぬきが最後まで行きそうになったから。寝たふりして寝言を言って止めたんだけど、本当にごめんね……」

たぬきとレヴィアちゃんが、イチャラブしていた時に、実は起きていたのだ!

目が覚めると、いきなり耳を疑うような、二人の熱い声がしたので、ビックリしてしまい、どうしようかと思案し、寝言を言っているふりをしながら、たぬきの背中に抱き着いて、最後まで行くのを阻止したのだ。


「……本当に御免なさい、朱華さん。……あの……たぬきさんとは、もう会いませんし、私がこのパーティーを抜けますから……本当にすいません……」

私に謝罪するレヴィアちゃんに。

「いやいや、誤解しないでね、別にレヴィアちゃんに怒っている訳でもないから……本当だよ……たぬきを命懸けで助けてくれたし。それよりは、レヴィアちゃんの体は大丈夫?」


そう、私が、今気になるのは、たぬきとレヴィアちゃんの関係ではなくて、昨日の夜、かろうじて意識があるたぬきにレヴィアちゃんが、魔力を分け与えて治療したことなのだ。


特にこの治療は、魔力を分け与えた側が、死ぬ事がよくある治療法なのだ。

だから私は、昨日の夜、一度、レヴィアちゃんを止めたのだ。

━━それでもレヴィアちゃんは、自分はどうなっても構わないといった感じで、私の言葉を聞かずに、たぬきを治療したのだ。

だからその時にレヴィアちゃんは、たぬきの事が好きなのだと、私は気付いたのだ。


━━それにこの国は、男性には寛大な一夫多妻制なのだ。

だからたぬきが、レヴィアちゃんを嫁にすると決めたら。法律的には特にこれと言った問題はないので、私がとやかく言う筋合いはないのだ。


「体の方は少し気だるいだけなので、魔力が回復すれば大丈夫です……御心配かけてすいません……」

「いいよ、いいよ!……もうあんな危ない事はしたら駄目だよ。人が助かっても自分自身が死んだら元も子もない訳だから。いい、分かった?」


「はい、分かりました……」

顔色もあまり良くないレヴィアちゃん。

一人で精算、買い物等をしてくるかな?

私はそう考えると──

「……レヴィアちゃん?私一人でたぬきのクエストの精算と、買い物行って来るから、部屋で待っててくれる?」

私はレヴィアちゃんに気を使い、そう告げると扉に向かった━━

「朱華さん待ってください!」

「……どうしたの?」

「私も行って宜しいですか?」

そう言葉を発した、レヴィアちゃんを見つめ、私は目が点になる!

「……大丈夫なの……?」

私はレヴィアちゃんの体が気になり、聞いてみたのだが?

「はい!大丈夫です!」

レヴィアちゃんから元気で、明るい声が返ってきた。

私はその声を聞き、大丈夫そうだと確認できると━━

「そうか〜、じゃ、大丈夫ならいっしょ行こう!」


━━そう告げると二人で、バァレンバァレンの日で、賑わう街へと繰り出したのだ!



◇◇◇◇



「今日は本当に人が多いいですね」

「本当だね、バァレンバァレンの日だから人が多いいね」

「ですね……私こういった事は初めてで、見ているだけでも楽しいです」

「そうなんだ。じゃ気分転換になったのなら、誘って良かったわ」

バァレンバァレンの日は、あちらこちらの街や村などで、恋人達のお祭りを行っている所が多いい。

一応は女性が、愛しい男性にチョコレートを贈るのが、メインな祭りなのではあるが。

子宝を授かる祭りでもあり、無礼講祭りであるため、祭りの夜になれば街のあちらこちらで、男女の逢い引きが目に付くようになる。

基本、踊りや飲んでいてそのままゴールインといった感じが多いいが、中には、一人歩きの女性を、そのまま暗闇に連れ込んだりしている者も多くいるので、それが嫌な女性は,夜は出掛けない様にする事が多いいのだ。

(ま、私の場合は、そんなバカいたら、半殺しにしてるけど……)


「あの……朱華さんは、毎年たぬきさんに、チョコレートをあげているですか?」

「うん、いっしょに暮らしてから、ずうっとだね」

「そうなんですか……本当に家族なんですね、たぬきさんとは……いいですね、明るくて楽しそうで……家族がいるのは……」

「うん、だね……そう言えば、レヴィアちゃん。早くに家族亡くなったと言っていたよね」

「ええ……だからお祭りに言った事も無かったので、今は見ているだけでも、楽しいです!」

「そうなんだ……でも今年はたぬきが、いるかいいじゃない。私もいるしさ。夜は三人で祝おう!」

「はい!チョコレート作りもあるし、楽しみです」

「そうか、そうか、良かった、良かった!」

レヴィアちゃんの話しを聞いてて、祭りに言った事が無いと言った話しを疑問を思うが、レヴィアちゃんが楽しそうにしている顔を見たら、もうどうでも良いかと思ってしまった。

「朱華さん?」

「ん、何?」

「あの……たぬきさん?毎年バァレンバァレンの日は、家にいたんですか?……たぬきさんの性格なら、祭りだと遊びに出てる気がしたので?」

「あぁあ、ガキの頃は家にいたね。ここ数年は、組の仕事もあるから店の見回りが多かったかな?」

「そうなんですか?お仕事してたんですか……意外でした……」

「そうそう、店も経営してたし。他の店の警護もしてたしさ。特に今日みたいな、無礼講の子宝祭りは、うちの店の女の子や他の店の娘などの、警護もしないといけないから」

「えぇぇぇ、子宝祭り……?」

「そうだよ、基本、大きな祭りは、無礼講がほとんどだから、夜などは、逢い引きなどの最中だらけだよ、特に女性は、気お付けないと、知らない男にそのままというのが多いいから……だからレヴィアちゃんも、夜は気お付けないと、たぬきといっしょにいても駄目だからね。人混みをぼ〜っと歩いていたら、そのまま拐われるから」

「そうなんですか?」

「だよ。お昼は基本大丈夫だけど、それでも気を抜かないほうがいいんだよ!だからたぬきや組の若い者に警護をさせていたんだよ」

「へ〜、じゃお祭りの日は、大変なんですね?」

「そうそう……」

私はふと、ここ数年のたぬきの事を思い出して、思わずイライラしてきた。

……お祭りは、無礼講なのである。これを上手く使って、先日の二毛作村の出来事の様にたぬきは、女の子に手を出すのだ!

━━アイツはその度に私を、どれだけイライラさせた事が……アイツは基本、女に手が早いのだ。

━━口で上手くたら仕込んで、その日かぎりの契りをしてしまうのだ━━店の女の子!他の店の娘!街娘!何人手を出してきたか……思い出すと腹が立って気だした!

「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

私自体が、マジでだんだんと、たぬきの事に関してイライラしてくるのが分かる!

「どうしたんですか?朱華さん?」

「え、あ、いや、そのね……たぬきがさ……先日の二毛作村みたいにさ、祭りになるとね……」

「あ……やはり、そうなんですね……まだまだ増えるのでしょうか……?」

「え?何が?」

「あ、あの……私達みたいに……奥さんが……」

「ああ……うん……どうなんだろうね……?」

「「はぁ……」」

思わず二人して、溜め息が漏れてしまう……

考えてもしょうがないか?━━とりあえずは、前向きに考えて今を楽しもう。

「よ〜し、コアの精算も終わったから、ドレスを買いに行こうか?レヴィアちゃん?」

「え?いいんですか?」

「いいよ。たぬき買ってもいいよと言っていたし。私達の為に稼いでいるのだから、気にしなくてもいいよ。明日出発だから、色々と入り用な物を買っておこうか?」

「……そうですね、買いましょうか!少々無駄遣いしても、一家の主のたぬきさんが、もっと稼いでくれますよね?私達の為に?」

「うんうんうん、こんな美女の嫁が二人もいるんだから、もっと稼いでもらわないとね、女は金がかかるんだから」

「そうですよね?……まだまだ色々とアイテムを渡して稼いで貰いましょう!」

「え〜?まだ有るんだアイテムが!?」

「はい!まだまだ有りますよ〜!?」

「そうなん」

私の冗談混じりの話しに、笑顔で答えるレヴィアちゃん━━顔色もかなり良くなってきている。……これなら大丈夫そうかな……?

そう考えて安堵する私は、レヴィアちゃんに━━

「じゃ、良さそうなお店が有れば、声を掛けてね。それと出来るだけ私から離れない様に……拐われたらいけないから……」

そう告げると、先へ先へと、進んだ。


◇◇◇◇


チョコレートの材料も購入した私達、少し奮発してココアダヨーのコアの粉末も購入した。

たぬきに頼まれていた、旅の着替え用の下着を購入。ついでなので私達二人も購入した。

後はドレスのみなのだが……


「なかなか良い店がないね……」

「そうですね……」

二人でマルシェ通り抜けて、洋服店が立ち並ぶ道筋を、キョロキョロしながら歩くのだが、これといって気に入ったドレスが置いてある店が、なかなかない。


「どうしょうかな……?買うのを辞めるかな……?」

そう思いながら色々な店を見ていると「あ、あれいいかも?」ふとそんな事を思う、良い物を見つけたのだ!?

━━私は慌てて、その物に近より、柄を選び始めると?

「朱華さんどうされたんですか……?」

慌ててレヴィアちゃんも近づいてきた!

「これいいと思わない?」

私がレヴィアちゃんに問うと?

『???????』と、言った顔しながら!?

「外で食事するときに使うのですか……?」

そう尋ねてきたので━━

「ま、外でも使うけど宿でも使おうかと?」

「……宿?……テーブルがあるのにですか……?」

「そうそう、テーブルだと二人、二人づつでないと、座れないでしょ? これだとたぬきの横に左右で二人とも座れるじゃない!」

「あ、そうですね……」

「今までは、お互い遠慮して、たぬきの横に座らない様にしてたけど、これなら遠慮がいらないし、レヴィアちゃんも今からはたぬきの横に座りたいでしょ?」

「え!はあ……考えてもみませんでしたけど……言われてみたらそうですね、座りたいですね……」

私達、二人が見ているものは、厚手のジュータンではなくて、大きめの薄手の敷物の柄を選んでいるのだ。

ジュータンだとある程度、重量もあり、持ち運びの便が悪く、たぬきの荷物が増えてしまう。

だけど敷物だと軽いし、持ち運び便も良いうえに、値段も手頃なので汚れれば、処分すればいい利点もある。だから敷物の購入を決めたのだ。


「お嬢さん達、購入してくれるならお安くするよ?」

店の女店主が声をかけてきたので──

「え~本当に?」

そう言葉を返した。

「うんうんうん、ほんとほんと、どの柄がいいかい?」

「どれにするかな~ ……」

二人で仲良く柄選びを続けた。

……これでもない、これでもないと、二人で柄選びを続けるが、なかなか決まらない?

どうしようかと悩んだあげく、候補を何個か決めて選ぶ事に決めた。

「う~ん、う~ん、これかな?」

「……う〜ん良い気もしますが、これなどどうですか?朱華さん?」

「「…………」」

「う~ん……中々決まらないね……」

「ですね……」

「「…………」」


「決まらないのなら私が決めてあげようか?」

女店主がそう言ってきたので、どうしょうかなと考えたのだが、このままでは埒が明かないと考えた私達二人は、女店主の意見を聞き入れ、お願いすることにした。


すると女店主は、束になっている敷物を、一枚づつ丁寧に見てながら。

「う〜ん……これでもない、これでもない。……どれがいいかな?……お?……これだ!これ!これがいいよ?これにしな?お嬢さん達?」

私達に、一枚の敷物を広げて、見せてくれた!


「「おぉお……」」

思わず声を漏らす私達二人!

よしよしよし、この柄に決めよう!?━━あまり私達ぽくないので、かえって良いかも?


「これに決めます!」


そう言葉を発して、支払いを済ませると私達は、店を後にした。



◇◇◇◇



「さ〜て、作ろうか?」

「はい!」

レヴィアちゃんの元気の良い、返事を聞きながら宿の台所で、私達は作業を始めだした。


「まずは、容器にチョコレートを入れて、湯煎を始めます」

「は〜い!」

私の横でレヴィアちゃんは、興味津々に作業を見つめる。

「見てて面白い?」

そうレヴィアちゃんに尋ねると?

「はい、初めて見る作業なので、興味津々で……」

「そうかそうか、後少しで終わるからね」

「えぇぇぇぇ、もう終わりですか?」

「うん、もう少し溶かしたら、カカオダヨーのコアの粉末を入れて、再度混ぜ合わしたら、出来上がりよ」

私はレヴィアに、後どれぐらいの工程で出来上がるのかと説明したら。

「朱華さん?カカオダヨーのコアの粉末入れると、どうなるのですか?」

レヴィアちゃんは、カカオダヨーのコア事が気になるのか?

仕様するとどうなるのかと、私に尋ねてきた。

尋ねられた、当の本人である私はというと、不謹慎にも尋ねられた内容に思わず顔が綻んでしまい。ニヤケ顔になってしまった。

その様子を見ながらレヴィアちゃんは、ニヤケ顔の私を不思議そうに見ている。

「カカオダヨーのコアの粉末は、男性に限りなんだけど、チョコレートに入れると媚薬と強精剤に変わるの……だからそれを食べた男性は、酔ったような状態になり、その女性にメロメロになるのよ〜」

「えぇぇぇぇぇ……じゃ、たぬきさんが食べると……まさか……まさかに……」

「そうよ〜今晩は、まさかなのよ〜。 ……どうするよ〜レヴィアちゃん。……あのたぬきだから、今晩は、眠れないかもよ〜?」

「えぇぇぇぇぇぇぇ……どうしましょう。朱華さん。心構えがまだできてませんー!」

「出来てなくてもいいのよ〜?今日は、バァレンバァレンの日だから〜!」

そんな冗談を二人で笑いながら言って━━じゃれあいながら作業を進め、たぬきの帰りを待つ、私達なのでした。


「元気で帰ってきてね、あ・な・た!」



◇◇◇◇



「ふう……重たかった。これで全部だけど……」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!……これ全部たぬきちゃん様が、処理して集めたのですか?……確かお昼頃に、お連れの方達が、持ってきたカカオダヨーのコアの数も、かなりあったと思いますけど?」

そう言いながら、ビックリしているのは、冒険者組合の受付のお姉さんだが、お昼に朱華達が持って来た、カカオダヨーのコアの数もかなりの量があったうえに、今、俺が持ってきたコアの数もざっと、見ただけでも千個以上は下らないとは思う!?

━━だからその量の多さにビックリしているのだ。


「あの……余りにも量が多いいので、精算に御時間をいただけますか?……あ!……少々お持ち下さい……」

そう言って受付のお姉さんは、奥へと入っていってしまった。

どうしたのだろう?

……何かあったのだろうか?

そうな事を考えながら、座っている椅子を退屈そうに『ギシギシ』と揺らす俺に、メデューサの盾が「落ち着きがないですよ御主人。お子様ではないのですから、ちゃんと座っていないといけませんよ!」と、注意を受けた!

俺は思わず「うるさい、黙っていろ。お前が話しをしているのが分かったら、皆がビックリするから」と逆に文句を言うと━━

「はいはい……」と不服そうに返答をしてきた!

「くそー、たかが盾の分際でー!」

そう思っていると!?

「あれ?いま誰かとお話しされてました?」

不思議そうな顔をしながら俺に尋ねてきた?

━━そらみたことか、俺はそう思いながら!?

「いいえ、誰もいませんよ、たんなる独り言ですよ!」

と、俺は慌てて説明した。

すると、彼女は「そうですか」と、返答をしたので、俺は「やれやれ」と思っていると!?

「……それはそうと、たぬきちゃん様?」

「はい、なにか?」

俺がそう言葉を返すと。

「お手数ですが、領主様の御屋敷まで、行っていただけませんか? この様子だと、ほぼ間違いなしに、たぬきちゃん様の優勝で決まると思います。……なので一応は規則上、優勝賞金の小切手は、手違いが無いように、御領主様から直接渡してもらう事になっていますので、本当にお手数ですが、御願いできませんか?」

そう受付のお姉さんが言ったので、俺は「いいよ」と言葉を返すと席を立ち、冒険者組合を後にした。



道行く人に尋ねながら歩く事数分で、領主の屋敷に着いた。

何とも大きな御屋敷だな〜と、思いながら門番の兵士に、冒険者組合から御屋敷に行くようにと、言われたのだと説明すると、中に案内された。

━━中に入ると広い玄関ホールがあり、そのまま大広間へと案内された。

大広間に抜ける廊下を歩いていても、色々な高級品が目には入る。

俺が今まで入った屋敷で、二番目に大きな屋敷だなと思った。

一番大きな屋敷は、言わずと知れた、魔王城こと竜宮城なのだが、あれは屋敷扱いになるのかな?

そんな事を考えながら歩いていると、大きな扉の前に着いた。

「おぉお、ここか?」そんな事を思いながら、扉を見上げていると!

━━案内してくれた、兵士が扉を開けてくれたので、中に入ってみた。

━━すると、上座らしい奥に場所に、女性が椅子に座っているのが目に付いた!?


「どうぞ中に入って椅子に座っておくつろぎ下さい」

そう女性が言ったので、俺は「すいません」と言って女性と対面している椅子に座った。


………椅子に座った俺、だだっぴろい部屋が、妙に落ち着かない。

特に目の前に女性が座っているので、更に落ち着かないのだ。

まだ時間がかかりそうなら、ゆっくりと来ればよかったと、後悔してしまう。

そして、この女性が領主なのかな?もしもそうなら再度尋ねると、言って屋敷を出ようかとも考える?

どうするかな……よ〜し、言ってみるか?

「あの……領主さまですかね?」

「はい、そうですけど、何か?」

「あの……まだ御時間かかるようなら、ここで待っていても、領主さまもお疲れでしょうから、再度尋ねましょうか?」

俺は領主の女性にそう告げると!

「うふ!……私は別にこのまま待っのでかまいませんよ」

何故だかよく分からんが、俺に微笑みながらこのままでいいと言うのだ。

━━その微笑みを見た瞬間、俺は仕方がない諦めたと思った。

良く観察すると、その領主さま、とても美女で色香があり、妖艶なダークエルフのお姉さまなのだ!

嫌です帰らせて下さいと、とてもじゃないが、彼女に言えない。

少しの間見とれていると、目と目が合い。俺に微笑んでくれた。

━━思わず照れてしまう俺。上を向いたり下を向いたり、左右が気になる素振りをしながら、照れているのを誤魔化したのだが……

何故だかは、分からないが?

ニコニコ微笑みながら、俺の事を見ているのだ。

何故だろ?

とにかく、相手は領主だ、彼女を変な目で、妄想しながら見たら不味い。彼女の亭主に不謹慎罪とか付けられて廊に入れられそう。

「 あれ?なんで女性が領主?あれ?あれ?あれ?」

そんな事を考えながら、とにかく関わらない様にしようと決めて━━とにかく目を合わせない様にしながら、精算が終わり、表彰されるのを、今か今かと待ち続けた!


どれくらい時間が経ったのであろうか?

一人の男性が部屋に入ってきた。何かの封筒を領主の女性に渡すと、彼女はそれを確認した。

すると、やっと俺が待ち望んだ表彰式が始まった。

頭かぼ〜っとしている俺は、領主の彼女が、何を言っているかも、右から左に抜けて全然覚えてないし。聞いていない。

ただただ、最後に小切手の入った封筒を渡された時に「まだ他にも個人的に渡したい賞品があるので、この後直ぐに、私の部屋に来て下さい」そう言ってきた。


表彰が終わり、俺はそのまま屋敷のメイドの方に、部屋へと案内され━━扉の前に着くと、剣と盾をメイドに預け、領主の部屋へと入って行った。



◇◇◇◇



「ただいま〜」

「「お帰りなさい〜」」

二人のお出迎えの声がする方向に目をやり、俺は二人の容姿を見てビックリしてしまう!?

「どうしたのその格好?」

「いいでしょ!似合うでしょ?」

「可愛いと思いませんか?」

「うん。すごく二人とも可愛いと思うし、似合うと思う。だけど俺、聞いてないから……ほんのちょっと、ほんのちょっとだけどね……少しばかりビックリした……?」

……と、まあ、そう言った俺なのだが、本当に可愛い事は可愛いのだが。二人容姿に少しばかりビックリした。

────何故ならば二人とも、メイド服を着ていらっしゃるのだ!

もしかして俺専用のメイド様? 何でも御奉仕してくれるのかな?

……俺はそんな事を考えながら、二人を見てると!

「今日は、バァレンバァレンの日だから、二人して、たぬきにサービス!サービス!」

そう姉さんが言ってきたので、俺は苦笑いしながら二人に「ありがとう」とお礼を言った。

「も~う、たぬきさんは、苦笑いなどして……本当に嬉しんですか?」

そんな事をレヴィアが言ってきたので────

「え~!そんな事はないよレヴィア。本当だよ、二人とも可愛いよ。……そんな事言ってると……二人とも食べちゃうぞ~!」

俺は誤魔化すための、御約束のようなセリフを言いながら、モンスターの真似をして「ガオガオ」と言ってレヴィアに近寄った。

レヴィアは「キャキャ」いって喜んだが、俺はふと姉さんの事を思い出して話かけた。

「あ、姉さん御免、まだ話してなかった、レヴィアのことなんだけど……俺の……」

と。言いかけたところで…………

「知っているよ、朝話し聞いてたから、だから私の事は気にしなくていいよ。……それに御免って謝ったらダメだよ、それを私に言ったらレヴィアちゃんがかわいそうだよ、不倫ではなくて奥さんになるんだから……ど~んと構えてなきゃ旦那さまは」

「あ、うん。分かった……ごめんね……」

部屋に沈黙が漂いだした……

「あ、ごめんね、みんな。話し変えようか、それはそうとたぬき、レヴィアちゃんだけ呼び捨てで、私は姉さんは、ないでしょ?私も呼び捨てでいいよ、って言うか呼び捨てで呼んで、お願いだから。私も奥さんなんだから」

そう言ってくる姉さんに「うん。わかったよ、じゃ朝みたいに呼ぶね、朱華!朱華!朱華!朱華そら、おいで~」そう呼ぶと────

「は~いあなた~」そう答えながら俺に飛び込んできた。

両手を広げ朱華待つ俺にいきなり痛みが!?

「ぐふげへ……」

いきなり腹部に痛みが………

「ごめんね……奥様、わたくしが悪う御座いました。少し調子に乗りました」

そう謝罪する俺に、朱華が「よろしい。今回は許しましょうか!」そう笑いながら言うと、レヴィアがそれを聞いて笑い出した。

静まり返った部屋が急にまた明るくなり、俺は良かった思いながら安堵する。

「あれ?たぬきそのマントどうしたの?持つていたっけ?」

「え?これ?あ、あああ、これは今回のクエストの報酬の一つらしいよ……武空術が使えるマントらしいよ……」

「ふ~んそうなんだ、そんな物まで貰えるんだ?」

じろじろとマントを興味深々に見る朱華。その様子を俺はドキドキしながら見守る。

「だれか女性と会った?たぬき?」

「い、いや。冒険組合の受付の姉ちゃんと会ったのと、領主と会っただけだよ……」

「ふう~ん。おかしいな……?」

「どうしたんですか、朱華さん?」

「う~ん……なんかね~このマントから女の匂いがするのよ……」

「えぇぇぇぇぇぇ!そうなんですか?」

慌てておれに寄ってくるレヴィア。マジでヤバイわ………

不思議そうな顔をしながらマントを見る朱華、だんたんと鬼の形相に変わるレヴィア……どうしよう俺マジでピンチ!

マジで殺されるかも………? それと怒ったときのレヴィアは、だれかに似てる気がするのだ!?

誰だろう……? 思い出しそうで思い出さない?

真剣に落ち着いて考えようにも、怖くて怖くて、落ち着かない……

くんくんとマントの匂いを嗅いでるレヴィア。マジで怖いわ……

「朱華さん?匂いを嗅いでもよく分からないんですけど?」

「普通は分からないかも?私は獣人だから小さな匂いでも分かるのよ」

「そうなんですか?」

ふう……俺はひとまずは安心するが、でもまだ気は許されない。何か言い訳を……

「あ、二人ともこれ領主が使っていたみたいだから、領主の奥さんの匂いでは?」

俺はそう答え、言い訳して誤魔化した。

「でもね、この匂い、あんたからもするんだけど?」

朱華がそう答えると、レヴィアが慌てて俺を見てきた。そしてその目をみて心底震えそうになる俺?

特に俺の中の野生の本能が、レヴィアを怒らすと不味いと、緊急信号を送ってくれる。昨日までは、本当にお優しいお嬢様のレヴィアだったのに。

………何故?何故?何故?何故?何故……? 朱華もそうなのだが、何故俺の嫁さん達は、こんなにも怖いのだー!?


「…………」


レヴィアが、じ〜っと黙り込んで、俺を見据える!

俺は只今、蛇に睨まれたカエル状態になっている。

……目を見ると、嘘がばれそうなので、下を向いているのだが……俺、本当に怖いんですけど……どうしよう?……誰か助けてよー!


「姫様?姫様ですか?」


「「…………?」」


何処からともなくする声に、皆の気がそれた!

やったー、ナイス!

………でも姫様って誰よ?

「何を無視してるのですか?姫様?私ですよ私?もうお忘れになるお年頃ですか?」

「たぬき、何処から声がしてるの?まさか女を連れ込んだ?」

先ほどまで、不思議そうにマントを見てた朱華だが、この声を聞いて、三つもある立派な尻尾ピーンと立った!

これは、ヤバイ……レヴィアは、取り敢えずは手を出して俺をいじめないけど、朱華は違う……基本、口より手の方が速いのだ。


「ちょっと待て、朱華。話せば分かる。話せば分かるぞ……」

「何を話せば、分かるのよ、た・ぬ・き……女は、何処よ」

「女なんていないから、本当だから……た、盾だよ盾……盾がしゃべってるんだよ」

「あんたね〜嘘を着くにも、もう少し分かりにくい嘘を着きなさいよね」

あわあわあわ、マジでしばかれるどうしよう?

「朱華さん、本当に盾がしゃべっているんです」

「……マジで本当なの?」

「そうなんです、実は……メデューサ!メデューサ!皆に挨拶しなさい……」

「初めまして、私は盾に封印されているメデューサと言います。以後宜しくお願いします。新しい御主人とを先ほど挨拶を交わしたので、短縮します。……朱華さまですか、初めまして、いつも姫様がお世話になっています。」

「いえいえこちらこそ、初めまして、私の方こそよろしくお願いします」

朱華は、急にかしこまって、挨拶を返す。

そして、メデューサの、盾を興味津々で見ている。

「それは、そうとメデ子、レヴィアって姫様なのか?」

俺がそう尋ねると?

「そうですよ、知らなかったんですか御主人?」

「うん、知らね?……初めて聞いた……」

「そうですか……ま、それは良いとして……姫様?」

「え、うん、何?」

「いや、目が覚めると、御主人が変わっていたので、ビックリしましたよ。姫様が生活苦で、御主人に売ったのだとぼかり思っていましまよ」

「あ、あはははは!そうなんだ……」

「はい、では……今の御主人が私を仕様してると言うことは、今の御主人は、姫様の……旦那様なのですか?」

「あ、うん。そう……」

今度は、先ほどみたいに、鬼の形相ではなくて、顔を真っ赤にしながら、手をモジモジして照れくさそうに答えるレヴィア……見てて可愛い。

俺はやっぱりレヴィアは、こっちの方が、可愛いと再認識するる。

「そう言う事なんだ、メデ子。よろしく頼むな。……それと、この人が、もう一人の奥さんで、名前は朱華だ、よろしく頼むな!」

「名前は、朱華よ、よろしくねメデューサさん!」

「こちらこそ朱華様、宜しくお願いします」

朱華がメデ子盾に向かって、礼儀よくお辞儀をすると、メデ子の頭にいる数匹の蛇が、メデ子の代わりにお辞儀をした。

その様子を見て感心する俺達二人。マジで蛇スゲー!

「それにしても、伝説は本当だったんだ……メデューサの盾は、言葉を話す事が、できるのが……」

「そうなんです、朱華様。私の場合は、ただただ、盾に封印されているだけなので……」

「そうなんだ?」

「はい」

「じゃまた元に戻れるの?」

「たぶん……戻れるとは……思うのですけど?……どうなのでしょうかね?……私自身の足で立っていたなんて、遠い、遠い、昔話しの様な話しなので、覚えてないんですよ?」

「そうなんだ?」

「はい……」

二人の話しを聞いてて俺は、メデ子は、元々は、自分自身の足で立ち、普通に生活をしていたのだと分かった。

それと、レヴィアは何処かのお姫さまらしい?

俺みたいなのが、主人で良かったのだろうか?

……思わず考えてしまう。気落ちしそう……

くそーこうなれば、意地でも勇者。━━いやいや、絶対に英雄になってやる!そして、二人に釣り合いの合う、男になってやる!

………二人?……どうしよう?……黙っていれば、ばれないかな?

………黙っいよう。……何か話をして、話題が出ないようにしなければ……


「それはそうと……メデ子?」

「はい、何でしょうか、御主人?」

「何で今まで、喋ることができなかったの?」

そう俺は、この事を疑問に思った?

レヴィアとメデ子を見てると、前々から知っているようだし。

話しも良くしていた様にも思える。なのに何故……?

話す事もできない状態になっている?

それと何故? また急に封印が解けて、話ができる様になったのか?

この二つの事が、俺には、とても疑問に思うのだ?


「う〜ん……?私も気が付いたら、さっきの状態で、慌てて石化ディフェンスしましたよ。私の方こそビックリしました!……この件は姫様にお聞きした方が宜しいかと……姫様、どうしてですか?何故私を……?」


レヴィアに注目する俺達、彼女に何があったのか……?


「え、えと、えとね、メデューサ。私も急いでいたの。銀行の当座に貴方を入れる必要もあったのよ、貴方がお話しできると、入れてくれないし、皆さんビックリするでしょ?それに貴方が入ってくれないでしょ……だからね、貴女が寝ているのを狙って、ついつい……出来心だったのよ、本当よ……信じて、メデューサ……」

レヴィアは、下を見ながら、皆と目を合わせない様に、話をすすめる。俺も話しを聞いていて、さすがにこれには、メデ子に同情してしまった。

「やっぱり犯人は、姫様だったんですね……そうだと思ってました。……そんな事を姫様がするから、記憶がおかしくなって、先代の御主人と今の御主人を勘違いしてしまうんですよ?……全部姫様が悪いのです!」

そう言いながら、気を上げるメデ子!うお〜スゲー!レヴィアが押されてる!

「あ、それと御主人?」

「あ、うん……?何?」

「あの〜……何故目覚めたのかは、私では分かりかねません?」

「そうなのか……じゃ何でだろう?」

「それは、あんた。レヴィアちゃんにお礼を言わないと!」

「え、そうなの?」

「そうよ、たぬき。あんた昨日の夜、死にかけてたのよ。それをレヴィアちゃんが、あんたに魔力を分け与えて助けたのよ!覚えてないでしょ?だからあんたの、魔力と妄想力だっけ?急激に上がった訳よ分かる?だからメデ子ちゃんの封印が、解けたのはそのせいじゃないかな?」

「そうだったのか……」

この話を聞き、レヴィアに対して、感謝の気持ちで一杯になる。

そしてレヴィアと目と目が合うと思わず口から「ありがとう」と、素直にその言葉が出てきた。

すると今度は、レヴィアから「いいえ」と、返事がする。

そして俺とレヴィア何とも、良い雰囲気になる。


「…………」

「あの……姫様?」

「ん……何?」

「少しお聞きしても宜しいですか?」

「え、ま、いいけど、何?」

場を壊されて怒ったのか、レヴィアの声がムッと、した声に聞こえる。

「あの……目と髪の色……」

「あ!そういえば、メデューサ。貴方に少しお話しがあったのを思いだしました……」

「え、そうなんですか?」

「そうそう、たぬきさん。ちょっとメデューサをお借りしますね。死んだ父の話しなのであちらで、話してきますね……」

「え!御主人。たぬきと、言ったお名前なんですか?」

「そうだよ?どうした?」

「あれ?前………」

「メデューサ行くわよ。……でわ、ちょっと、席外しますね……」

何が言いたかったのであろうか、メデ子?

何だか慌てて、レヴィアがあっち連れてった。

「何かあったのかな?」

俺が朱華に尋ねると?

「さあ?久しぶりだから、色々と込み入った話しがあるのよ。其よりたぬき。早くお風呂はいったら?」

朱華は、何も気にしていない素振りで、俺に言ってきた。

「うん、分かった。お風呂に入るね」

そう言って、その場で防具を脱ぎ始める。

「たぬき……あんた、また魔力が上がった?」

「え、そうなのかな……?」

朱華にそう答え反すと━━

「………ううん……何でもない……早くお風呂入って、出たら皆で食事にしましょ。二人でチョコレートも作ったから……」

「へ〜え、そうなんだ?楽しみだな、ありがとう。早くお風呂から出よう」

そう言いながら、真っ裸でお風呂に向かった。



◇◇◇◇



「ドンドンドン……」

おれ?部屋の扉を叩く音がする?

「「「…………?」」」

誰だろう?

「お早う御座います。……何方かいませんか?」

今度は女性の声だ誰だろう?

「たぬき、誰か来たみたいだから出てみて」

「うい……」

俺は、どうも来客が来たみたいなので、朱華に出て対応してくれと頼まれたので、扉に向かった。

「は〜い、何方?今開けますね」

そう答えながら扉を開けた。

『ギィィィィィガッシャン……』

「…………」

扉を開けた俺は、思わず心臓が止まりそうになり。声も出なくなった。

「何方がこられたのですか?」

レヴィアが、不思議そうな顔をしながら、俺に尋ね。そして近寄ってきた。

ヤバイどうしよう?

血の気が引く俺。レヴィアの方を振り返って━━冷や汗を滴ながら。二人にどう言い訳したら良いかと悩む。

「どうしたのですか?」

相変わらず不思議そうな顔をして俺を見る?

「貴方、お早う御座います!」

扉の外の女性から貴方と、言った言葉が流れる。

……目の前の立っている、俺の可愛らしいレヴィア。だんだんと、鬼とか魔王の様な形相に代わりましたとさ……?(マジでこえ〜どうしよう……?)


「━━うぎゃーー!いてーー!マジ堪忍してーー!レヴィアーー!許してーー!」


顔は、かぐられるは、顔、首、腕などを噛みつかれは、まるでレヴィアは、バンパイアみたいだ。

今までは、口で文句を言ってただけなのに。昨日の朝の出来事から、朱華よりレヴィアの方がすぐに怒るのだ。

それと、俺を怒る時。気のせいかも知れないが、目が赤くなっている様な気がするのだが?


「旦那様、内縁はやはり宜しくないと思いまして、二人の奥方様に挨拶に来ました。私の名前は、フィーネと申します。この街の領主をしており。三人目の奥方になりました、以後お見知りおきを……」

そう言って彼女は、この部屋にいる者達に微笑んだ。

……さらに、レヴィアの顎に力が入る。━━俺の手からは、更に血が滴り落ちる。

「あ〜!あんた、これどうゆうこと?」

後ろから朱華に髪を引っ張られ。━━目の前に朱華の顔が……

マジで二人ともこえ〜よ! 俺どうなるのだろうか? 死ぬのかな……?

「あぁあ、今の御主人も懲りない御方みたいですね……どうします御主人? 姫様も朱華様も怒っていらっしゃいますよ?」

そんな事を言っているメデ子……マジうぜ〜!

そんな事を考え俺は、今日もまた生死の栄えを、さ迷わないといけないのか?とほほほほほ………マジでこの場から逃げて、家出したくなる衝動に駆られる。


あああ、俺のまた、奥さん達との、ドタバタとした日常が始まった。

フィーネ、内縁で良いって言ったのに、とほほほほほ………


俺はそんな事を言いながら、女性問題にまったく懲りてない。


「どうだー!、三人目の俺の嫁さんも、美女だろー!」


そう……二人に聞こえないように、小声で言う俺でした。







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