少年の旅立ち! (4)
第5章 初めての依頼?
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……!」
「いや〜ん!やめて!」
「きゃ〜!」
「たぬきー! あんたがガードしなさいよねーあんたがー!」
「えー! マジで俺がー!」
「そうよー! あんたいがい、だれがするのよー?」
「もういやです。たぬきさ〜ん!何とかしてくださ〜い!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……マジ、こいつら、うざ〜い!」
大声を出しながら、大騒ぎをしている俺達三人!
何故に、こんなにも、大騒ぎをしているのかだって?
………それは、それは、昔昔のお話し……でわなくて!?
俺達が、受けた依頼に関係するのだが━━?
その依頼内容はと、言うと━━
ごくごく普通の簡単な依頼内容だと、思っていたのだが……?
とても、大変な事になっているのが、今の現状なのだ!
簡単な依頼だと思っていたのに……。
受けた俺が、馬鹿だった……。
悔やんでも悔やんでも、仕方の無い俺。
どうしたみのかと、悩んでしまう程の内容はと言うと、道ばたで会ったオッサン達に、頼まれた依頼だ!
そんな大変な依頼は、さかのぼる事、数時間前に、頼まれたのだが……?
◇◇◇
「はぁ……」と、溜め息を漏らす俺に姉さんが「たぬき、溜め息をついてどうしたのさ?」と、問いかけてきた。
「そら、溜め息もつきたくなるさ……何で俺が二人にのキャリーバックを引っ張って行かないと、いけない訳?」
俺は、姉さんに愚痴を言うのだが、姉さんときたら、あっけらかんとした顔で━━
「あんた男でしょ? 文句を言わないで持ちなさいよ!それに子が親の荷物を持つ。それって当たり前でしょ?」
平然とそんな事を言ってきた!
(くそ)と、思いながらも、その言葉を聞いた俺はと言うと━━
「親子の杯は、もう返したじゃん!だからもう親じゃないじゃんかー!だから自分で持てよ二人とも!」
と、言い返してやった!
「あ、すいません、いつまでも持って頂いて、ありがとうございました。」
レヴィアさんは、後ろを振り返り、慌てて頭を下げてお礼を言って、すまなさそうに、こちらに向かってきているのだが、片や姉さんはと言うと、知らんぷりで前を歩いているのだ。
それどころか、レヴィアさんが俺の方に、向かっているのに気付くと?
「レヴィアちゃん。ほっときなさい!たぬきに持たせばいいから!男は甘やかしたらダメだからね!」
などとワケわからない事を言ってきた。
それを聞いたレヴィアさんは姉さんに。
「……でも悪いので」と、言葉を返した。
(まあ、なんて優しいお嬢様。姉さんとは育ちが違うわ~)と、思っていると?
「何を言ってるのレヴィアちゃん?持たせなさい!それとたぬきも、持ってあげないとダメだよ!」
と、言ってくるのだ?
あまりにも、レヴィアさんの荷物を、持ってやれと言う姉さん?
何故だろうと疑問に思い。「姉さんなんで?」と、聞いてみた。
すると姉さんから。
「あんたレヴィアさんから、あんな高価な盾貰ったでしょ?それぐらいの事をしてあげてもバチは当たらないよ?だからたぬき、体がしんどい時は、しかたがないけど、元気が良いときは、持ってあげなさい!わかった?」
姉さんが俺に説教してきたのだ。
そして俺は、よくよく考えてみると、姉さんの言う通りだと、納得してしまった。
俺が、レヴィアさんから貰った盾は、大変高価な物でレアアイテムらしい?
(メドゥーサの盾か……?敵を石化できる能力か……?どんな感じなのだろう……?)と、考えていると?
「それに杯は、預かりはしたけどさ、まだ保留だよ!だからまだ親子のままだよ!」
「えぇぇぇぇぇ!じゃ俺って姉さんが、オッケーだすまでは、結婚できないのー?」
「そうだよ~ん」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
嬉しそうに、平然と言ってのける姉さん!
何故なのかは、分からないがレヴィアさんも、びっくりして声を出している?
「じゃ姉さんは、俺の結婚に反対なの?」
「いや……反対も何も、別に構わないよ結婚しても、私がとやかく言う事でもないし。たださ~ ……あのさ~………?」
急に顔を紅くして、シドロモドロ、口調になる姉さん……?
レヴィアさんも、俺と姉さんの間で、キョロキョロと交互に見ている。
「あのさ~じゃわからないよ?何?」
俺が、聞き返すと急に涙目になり、顔を真っ赤にしながら怒りだした!
そして逆ギレして怒りだしたのだ!
「別に責任取れとは言わないけどさ、今までさんざん尽くしたのに……好きな女ができたから組やめるって言い出すし……夜になれば帰ってくるかな?と、待っていれば帰ってこないし。ぜんぜん説明すらしていないし……それって酷くない……?」
と、言いながら今度は、泣き出してしまうしまっだ。
レヴィアさんは、レヴィアさんで━━
「たぬきさんと朱華って、そういった関係だったんですか?」
と、言い出すと、姉さんは「うん」と、泣きながら首を縦に振るしまつ。
それを見たレヴィアさんは、最初は唖然とした顔していたのだが、時が経つと怒りが、減るどころか、増してきだしたのだ!
そして、俺の顔を見るなり、最低ですとでも言いたそうな顔をしながら見てきて━━
「たぬきさんは酷い!酷すぎます!女性をオモチャにして!貢ぐだけ貢がして、女の敵!チカン!変態!ひも!あぁあ、もう、見損ないました!」
それはもう、怒りだすは、怒りだすは、俺に対しての文句が、止まらない!
それに何で俺の事で、レヴィアさんが、そんなにも怒るの?
俺はレヴィアさんに言いたいのだが、姉さんを見てみると、姉さんは、姉さんで、さらに声をあげて泣いている。
俺はそんな二人に「ちょつと待って!ちょつと待ってよ!」
冷や汗をかきながら言うのだが、なかなか聞き入れてくれない。
(どうしたものか? マジにこまったな……? トホホホホホホ……)
俺が悩んでいると、何処からともなく、俺達を呼ぶ声が、聞こえてきた?
「お兄さん達は冒険者かの?」
その呼び声に、注目する俺達三人!
姉さんも泣き止み!レヴィアさんも黙り込む!
そして俺は━━
「爺さん達だれ?」と、問いかけた。
◇◇◇
「フムフムそうなのか?よかろう。この冒険者最強と言われた。たぬきちゃんが、困っている貴方達を助けてしんぜよう!」
「たぬきって、そうだったの?」
「さあ……?」
(ふん! 聞こえていないとでも、思っているのか?この大馬鹿者どもが!)
二人がひそひそと俺を、バカにした様な発言を、しているそんな中、村人達は……?
「おぉぉぉ!何と御立派な御方だ!」
「まるで勇者様のようじゃ!」
「変わった名前じゃが、微妙に強そうじゃぞ!」
「あの二人のお姉ちゃんべっぴんやな!」
「あぁあ、まるで女神さまのようじゃ!」
「おぉぉ……拝みたくなるの!」
「これで村は救われるかもしれん!」
「おぉぉぉ!ありがたやありがたや!」
村の広場で俺達三人を拝みたおす。村のおっさん達!
ほとんどは、俺ではなくて、姉さんとレヴィアさんを拝んでいるのだが……。
(このスケベじじい達め奥さん達が、向こうからこっちを見て、睨んでいるぞ)と、言ってやりたくなる。
このクソッタレメ!
そんなスケベなじじいばかりがいる、この村に何故、俺達三人がいるかって?
それは、さきほど村はずれで出会った爺さん達に、冒険者ならば、村からの依頼を受けて助けて欲しいと、お願いされたのだ。
俺達三人は、ちょうど姉さんの事で揉めている最中で、何とかその場を納めたい俺は、ついつい二つ返事で「オッケーだよ〜!」と、言ってしまった。
それに、村や町などの依頼は、成功すればポイントもお金も組合から沢山貰えるのだ。
村長さんにしても、成功すれば証明書を、ちゃんと出してくれると、約束もしてくれた。
初めての依頼になるが、やってみようと、決めたのだ。
やるからには、成功をしないといけない訳だが?
その依頼内容が、冒険者ならば、誰でも可能なほど簡単な依頼なのだ。
村長の話しを聞いて「フムフム」と、納得しながら聞いている、俺達三人なのだが、俺は内心は、してやったりと、思っているのだ━━
そんな俺が、「うひひひひひひ……」と、思うほど、簡単な内容は、こうなのである?
毎年この時期になると、ドロロンポーと、いったモンスターが湧くらしい?
毎年湧くのでいつもの事らしいのだが、今年に限っては、つい最近の長雨のために、大量に湧いたために、処理が出来なくかったみたいなのだ。
今までにも、通りがかりの冒険者のパーティーに、お願いしたみたいなのだが、皆不成功で終わったみたいだ。
なんてだらしのないやっらだと、村長に言って、俺達が成功してやるよと豪語し、村人達の声援を浴びて、出発したのだが!
なんとなんと……
実は俺達も……このざまで……
揉めている最中なのであった………
ほんと!情けないったら、ありゃしない……!
◇◇◇
「ドロロンポーって、どんなモンスターか、誰か知っている?」
俺は二人に尋ねると?
「さあ?」と、気のない返事をする姉さんに━━
「えぇぇぇ……知らないの姉さん?」と、ついつい言ってしまった!
すると、姉さんは、ムッとした声で━━
「知らなくて悪うございましたね!」と、言ってきたのだ!
またまた姉さんを、怒らしてしまった俺なのだが……
実は俺、姉さんが知ってるものばかりたと、思っていたので、村長さんに、ドロロンポーの特徴を、全く聞いていないのだ?
こんな事なら聞いておけば、良かったと、思っている俺にレヴィアさんが、声を発した!
「あ、私は、知っていますよ?」
「えぇぇぇぇ……ほんとうですか?」
いちいち大きな声を出して、事故表現をする俺に、何故だかは、わからんが、姉さんが、早足で近付いて来る?
(あれ? どうしたのだろう?)と、姉さんを見ていると、俺の横に来るなり、頭を叩くのだ━━
「いて〜よ、姉さん!何するんだよ?」
「あんたがいちいち、大きな声を出すからだよ!少しは静かにして、ドーンと構えていなさいよ!昔からのその癖だけは、治らないね」
姉さんは、腰に両手をあてて、叱飛ばすのだ!
俺はそんな姉さんに、圧倒されて━━
「あ、ごめん……いつもの癖で……」
実は俺は、昔から興奮すると、大きな声を出すという、悪い癖があるのだ。
「はぁ」と、溜め息をつき仕切り直して、レヴィアさんに問い直す俺?
「レヴィアさん?ドロロンポーてどんなモンスターなのかな?」
俺は、再度レヴィアさんに、問いかけると?
「う~ん。そうですね。泥の固まりというか?う~ん……スライムの泥仕様?ですかね?」
その話を聞いて俺は━━
「泥のスライムか……じゃ、たいしたことないじゃん!楽勝じゃん!この依頼もらった!」
俺は一人で、テンション上げて、はしゃいだ!
その様子を見てた、レヴィアさんは俺に。
「たぬきさん、嬉しそうですね」
「そうかな?」
「そうですよ!」
回りから見ていても俺は、機嫌が良く見えるらしい?
それならば、鼻歌でも歌おうか?
「うんだ〜らだった!うんだ〜らだった!うんだ〜らだった、た~!」
俺は鼻唄混じりに、リズムを付けた変な呪文を唱え、機嫌よく歩きだした。
その変な鼻歌を聞いたレヴィアさんは、いきなり。
「クスクス……」と、笑いだした。
その笑い声を聞いた俺は、「おかしいかい?」と、聞き返すと、レヴィアさんは、「はい!」と、言ってきた。
そんなにも、おかしいかなと、思いながら?
「ま、いいか?」と、機嫌よく歩いていると━━
「二人ともあれじゃない?」
姉さんが、俺達二人に言ってきた。
「どれどれ」と、言って目を細めて見てみると、何ともまあ、すごいなと、呆れてしまった!
レヴィアさんを見てみると、開いた口がふさがらないと、言った言葉がよく似合う表情で、黙り込んで見ている!
何が凄いかって?
気になるでしょ?
………数が多いいとは、聞いていたけど……あそこまで多いいとは……
「どうするのよ、たぬき?数が多いいとは聞いていたけど、あそこまで多いいとは、聞いてないわよ?」
「確かに……」と、答える俺なのだが、さてさてどうしょうかと、考えてみるが?
悩んでも始まらない!
元々考えるタイプでない俺は、智より力!
「俺やつらに突進するから、二人はサポートおねー!」
二人に言葉を伝えると、愛刀、お月見団子を抜いて、メドゥーサの盾を構える。
「いくぞー!猪突猛進!うりゃー」
俺は、掛け声上げて、ドロロンポーの群れの中に突進した!
目の前に立ち塞がるドロロンポーを切り裂くと━━
あれ?あれ?あれ?あれ?全く持って手応えがない!
それどころか、切り口が塞がっている。
これは、打撃や切るといった攻撃は、無力だと判断した俺は、姉さんに、攻撃魔法をお願いする。
「姉さんさん?骨吉だしても聞かないかも?攻撃魔法をお願い!」
俺は、大きな声で姉さんに叫んだ!
「あいよー!いくねー!猫魂ー!」
姉さんの掛け声で、火炎の玉が無数に、ドロロンポーの群れの中に、飛んでいく━━
俺は、そのさまを、じいっと見つめていたのだが?
あれ?おかしい? 火炎の玉は確かに、ドロロンポーに直撃したのだが『ジュ!』と、いった音をたてただけで、ほとんどダメージを受けていない気がする?
「何故だろう?おかしいな?」
そう思いながら、ドロロンポーの群れを見ている俺?
「きゃ〜」
「いや〜ん」
後ろから、二人の声がしてきたので、振り返る俺?
ナニナニ?……後ろから美女達の悲鳴が?
ここは正義の味方、たぬきちゃんが、美女達を救わねば!
などと、冗談交じりに、妄想しながらよくよく確認すると?
これはまた二人が、凄い事になっているのでごさる?
「姉さん達、なにしてるの?」
俺は、呆れた口調で姉さんに聞いてみると?
「うえぇぇぇぇぇぇん!たぬき何とかしてよ?」
━━よく見ると姉さん達は、複数のドロロンポーに、泥をぶっけられているのだ!
(マジきたね~!)
その様子はまさに、泥んこ祭りそのものだ!
泥まみれになりながら、逃げ回る二人!
「いや〜ん!」
「きゃー!」
「助けてください!」
喘ぎながら泥まみれになっている。
(何ともいい声をだすな二人とも!)
そんな二人を見ていると、思わず興奮思想になる!
俺は「えへえへ、えへへへへへへへへへ……」
ニヤケ面で見ていると、姉さんからSOSが、飛んできた!
「たぬき〜 も〜 何とかしてよ〜」
姉さんんの喘ぎ声でのSOSも、こらたまらん!
そういえば、ご無沙汰ぎみだったと、思いながら後で可愛がってやるか?
などとニヤニヤ考えながら妄想していると?
でたでた発動!
防具が金色に輝き!
愛刀お月見団子の剣先が、真っ赤に染まって、伸びていく!
(次いでにおれのジュニアも伸びてしまった!)
「やったぞー!妄想力」
「かっこいいぞ、たぬきちゃん!」
「いくぞードロロンポーの群れに、やー!」
俺は、ドロロンポーの群れに飛び込むと、お月見団子を振り回す!
━━「ブォ~ン」の音と共に、真っ赤に伸びた剣先が、複数のドロロンポーを切り裂く!
「ジュ……」
音がなると、同時に複数のドロロンポーが気化していく!
「よ~しこの調子だ、姉さん達今からいくね」
姉さん達に、泥をぶつけているドロロンポーに剣先を向けて、振り回し、斬っては引き、斬っては引きを繰り返す!
「おぉぉぉぉぉぉぉ……どうだ格好いいだろう。二人とも俺に惚れるなよ!」
そんな決め台詞を言いたくなるほど、うまく決まった!
「どうよと、思いながら」後ろを振り返り二人を確認すると、前を見るようにと指をさすのだ?
なになになによ?と、思いながら前を向くと、次から次からへと、ドロロンポーの大群が!
「もうきりないじゃん?」
そんな事を思いながら?
「なんじゃこれはー!」
俺が、大声を出すとドロロンポー大群が、同時に俺に注目!
一斉に泥団子が飛んできた!
「いた〜!」
思わず声が出てしまう俺!
当たるとマジで痛いでやんのこいつ!
お月見団子で切ったり、打ったりして、避ける俺だが、だんだんとお月見団子の剣先が泥まみれ。炎も泥のせいで、風前の灯火だ。
冷や汗をかきながら後退りを始める俺!
ビビリ始めると、あらあら不思議?
防具の金色、解けちゃった?
あらあらあらあら、どうしましょ?
後ろで俺に、なんか言っている御姉様達、前から飛んでくる泥団子が、余りにも気になり、何を言っているのか分からないよ?
どうしょう?どうしょう?悩む俺だが……
あ!そういえば俺は、大変良い物を持っていた。
泥団子を防げる物を、面積は小さいが、何とかなるだろう?
━━こいメドゥーサの盾!
「ほい!ほい!ほい!」
ボールをキャッチする要領で、防ぎながら下がる俺!
下が〜る!下が〜る!を繰り返し、姉さん達に、近寄れば!
「何で逃げてきたのと?」言われるしまつ!
「何故に怒るの姉さん?」
「あんたが、こっちくるから、見てみなさい?沢山のドロロンポーが……」
その言葉を聞き回りを見てみると?
湧くは、湧くは、ドロロンポー!こちらに向かって、移動しながら泥団子を投げてくる!
痛い!痛いわ!泥だらけ!
俺が、盾だから、盾になれよとせがむ姉さん!
とにかくキャーキャー言いながら、俺の背中に隠れしがみつくレヴィアさん!
二人とも、そんなにしがみつかれると、かえって身動き取れずに、何も出来ないよ!
後は先ほどのべた通り、わやくちゃになって、逃げ回り!
後は、たいさ〜んて、感じで逃げました!
◇◇◇
「たぬき〜あんたさ〜レヴィアちゃんの下着見て興奮して右手がトモダチになるんじゃないよ?」
「はあ〜!そんな事をする訳ないだろ姉さん!」
俺は姉さんに、おかしな事を言われて、真っ赤になりながらムキになって、言い返す!
誰が履いていない、下着を見たぐらいで、興奮するんだよと、言いたくなるが、俺は、今ある事を子真面目にコツコツと、作業しているのだ?
その作業しながら、お風呂の火の様子を見たり!
村のオッサン達が、覗きにこないようにと、目を光らせる!
(ここのオッサン達スケベだからな)
そんな事を考えながら『ゴシゴシ』と、作業していると、お風呂の中から二人の声が?
「良いのですか?たぬきさんにして貰っても?」
「いいのよいつものことだから」
「え!いつもなんですか?」
「うん。いつもたぬきが洗ってくれてたから!」
「そうなんですか?……でも男性に下着を洗って貰うのは、かなり恥ずかしいです……」
そんな会話が、お風呂の中から聞こえてくる!
俺は今、二人の会話の通り、パンツ一丁で洗濯をしている最中なのだ。
なんとも情けない格好での洗濯!村人達が通るたびに「クスクス」と、笑っていくのだ。
何故に、こんな格好をしていると、思われるかもしれないが?
先ほどドロロンポーの攻撃を受けて、泥だらけになり、村に慌てて逃げ帰り。
村長さんに頼んで部屋を借りて、お風呂を沸かし、洗濯をしている最中の俺なのだ。
何故に男の俺が家事をと、思われるかもしれないが?
両親を早くから亡くした俺は、早くから家事をしていた事もあり、姉さんの所に居候していた時もほとんど俺がしていたのだ。
まるで主夫みたいに!
だから先ほどから男が、洗濯をしている光景が珍しいのか?
村人達が、通る何故に度に「ヒソヒソ」と、話して行くのだ!
「う〜」……別に恥ずかしくはないぞ、俺は、優しいのだ!
そして主夫の鏡だ!
(主夫って言ったけど?誰の主夫なんだ〜?)
そんな事を考え、独り言をブツブツ言いながらいると、お風呂からまた二人の声が?
「朱華さんとたぬきさんは、お付き合いされて、長いのですか?」
「え!私とたぬき?う〜ん……長いと言えば長いのかな?親子関係なら、たぬきがガキの頃からだね。男と女の関係は、つい最近と言えばつい最近かな?」
「そうなんですか……?」
「どうしたのレヴィアちゃん?気になることでも?」
「いいえ、別に……ただただ、たぬきさん。好きな人が出来たから探す為に、旅にでると言っていたので?朱華さんと、その様な関係なら酷いなと、思いまして……」
「あぁあ、あれならもういいんだよ。責任取って貰うっていうのも変だしさ。旅をしながらゆっくりと、私なりに整理もつけるよ。それにさー私がちゃんとたぬきを監視しておかないと、あいつあれでかなりスケベで、手が早いからさーレヴィアちゃんが寝ている時に襲ってきたらいけないし。」
「え!あ!そうかも?」
「え!まさかたぬき?レヴィアちゃんに?」
はあ?何言ってるの?俺、レヴィアさんに何もしてないし!
おかしい事を言うよなレヴィアさんも?
「あ!いえ間違いです。何もされてません。ちょっと考え事をしていて間違えました。本当にすいません。」
「あ、なんだ間違えなのか、私もちょっとビックリした。あは、あは、あは、ははははは……」
当たり前だ!何かするわけないだろ!人妻になる人に!
「あの?朱華さん……?」
「どうしたの?」
「聞きにくい事なんですけど?聞いてよろしいですか?」
「うん?何?別に聞いてもいいよ?」
「先ほども同じ様な事を聞いたのですけど?たぬきさんが本当に他の女性と結婚されてもよろしいですか?」
「ん……そりゃいやだけどさ、仕方がないよ、たぬきの意思だしさ?私が、とやかくいってもさ、それに決めるのは、たぬきだし……う、ぅぅぅぅぅうぁん。あんあんあ〜ヒックヒックヒックヒック……」
「あぁあ、ごめんなさい朱華さん。泣かないで下さい。」
あれ?姉さん。泣き出した?
あの……お二人供も、もしかして勘違いなされていませんか?
俺ってもしかして悪者扱いなのかも?
とりあえず、誤解だけ解いておきたいので、俺は姉さんに呼び掛けた?
「姉さん?聞こえる?」
「…………」
反応無いな?もう一度呼んでみるか?
「お〜い?姉さん?聞こえてる?お〜い?返事してくれよ?泣いてないで?」
「泣いていると、分かっているなら、そっとしておいてあげてください。たぬきさん!本当に女性に対してデリカシーがありませんね?」
なんかレヴィアさん。凄く怒っていらっしゃるのだが?
もうなんか俺って、誤解されまくり、旅にも影響でると嫌なので、誤解だけは解いておくか。
「姉さん?泣いてるままでもいいから俺が、今から話す事をちゃんと聞いてね?」
「うん……」
だぶん今、姉さんの泣き返事が、聞こえた気がする?
とりあえず話を進める事にした俺!
二人に説明を始めた!
「姉さん?俺、いつ姉さんと、別れると言ったかな?」
「え!でも?」
「たしかに組は辞めるとは言ったけどさ、姉さんと、別れるとは言ってないはずだよ?」
「ヒック、ヒック、ヒック。でもその夜帰って来なかったじゃん?話がしたくて待っていたのに……」
「あぁあ、あれね?だって帰ると、気が変わるかもしれないし、姉さんも組では若い衆の目があるから泣かないでいたけど、二人っきりなら泣きそうだし……それにさ、行くなと言って家に監禁されそうだし。」
「ヒック、ヒック、そんな事しないし……」
姉さんは、そんな事しないと、言っているが、俺、何度姉さんに浮気がばれて、家に監禁されたことか。
絶対に嘘だと思いながら。
「最初に言ってた通り、俺達は家族じゃないか、もうすでに、結婚しているのといっしょだよ。家族を捨てたりしないよ。勇者になれば戻ってくるつもりだったよ!」
「ほんとうに?」
「うん。ほんとうだよ!」
「そうなんだ……ほんとうに、勇者になれるの?」
「あぁあ、絶対になれるさ!」
「そうか……でもさっき失敗したじゃん?」
それを言われると、大変に困るのだが……。
姉さん相変わらず、ズキッとする事言うな、まじ手強い?
そんな事を考えていると?
「うん……許してあげる……」
そうか姉さん、分かってくれたかな?
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!朱華さん。そんなに簡単に許すのですか?他の女性と結婚すると、言っているんですよ!たぬきさんわ!」
(うわぁぁぁぁぁ……レヴィアさんが、よけいなことを言っている。何で俺達二人の問題に、レヴィアさんが口を挟むのか?マジで堪忍してよ…………)
「うん?別にいいよ?私とも結婚してくれると言っているから、それで、別にかまわないよ!」
(そうだ!それでいいんだ姉さんは!男の俺に、黙って付いてくればそれでいいんだよ!可愛がってやるし!幸せにするからさ!子供だって沢山作ろう!)
「え?私もって?二人も結婚できるんですかこの国は?」
(うわ!またまたレヴィアさんが、口を挟んでくる!もう堪忍してよ……姉さんが、やっと機嫌治ったのにさ!)
「そうだよ、この国は一夫多妻制だから二人ではなくて何人でも結婚できるよ!だからレヴィアちゃんの婚約者も、これから先お嫁さんふえるかもだから、気をつけてね?そして私は増えるみたいだから頑張るね!」
「えぇぇぇぇぇ!この国はハーレムだったんですか!?それに頑張るって、何を頑張るんですか!?」
姉さんが、何を頑張るかは、俺にも分からないが?
実はこの国は、国王が大変にスケベな為に、法律をわざわざ変えたために、一夫多妻制であり、夢のハーレム公認国家なのである!
だから姉さんの屋敷にいた頃は、新しい嫁さんを作らない様にと、監視されていたのだ!
そんな状態なのだから、他の女性の匂いなど付けて帰った日などは、鬼の様に拷問を受けたりしたものだ!
そんな昔の事を思い出し浸っていると、またまた姉さんの話が、聞こえてきた?
「何をって?もう一人のお嫁さんと、仲良くなれるようにだよ、レヴィアちゃん!……だって家族になるんだよ!仲良くする方がいいに決まってる!だから私も頑張る!たぬきを勇者にするために!それにたぬきにも、家族の為に頑張ってもらって、領地もらわないと!」
俺は、姉さんの決意を聞いて、胸にじ〜んときた!そして目に熱い物がこみあげてくる!
姉さん。俺がんばるよ、これから産まれてくる子孫の為に、必ず勇者になるね!
そんな事を考えながら、一人で感動していると、二人の会話が耳に入ってきた?
「それにさ、レヴィアちゃん?私ってさ、捨て子でね、両親の事を知らないんだよ?だから家族と言えるのは、たぬきぐらいでね、私とは違う、別のお嫁さんが来たとしても、家族が増えるわけだから、おかしいとは、思うかもしれないけど、やはり嬉しいんだよ。……それにレヴィアちゃんにしてもそう、旅の間だけかもだけど、その間は家族といっしょじゃん。だから私嬉しくてさ。」
「朱華さん…………」
俺は、二人の会話を聞き、さらに胸が熱くなる。
そう俺と姉さんには、親がいないのだ。
俺も両親が、流行り病で死んだ後は、街に出て盗み、恐喝、ケンカにと、暴れ回っていたところを姉さんに、拾われたのだ。
だから、俺の家族は、姉さんであり!姉さんの家族は、俺なのだ。
……姉さんに、住む所を与えてもらってから、今に至る経緯が、走馬灯の様に流れてくる。
(うぅぅぅぅぅ……目頭が熱くなるぜ!)
そんな事を考えながら、一人感動している俺に、姉さんが?
「そこで話を聞いてるんだろ?たぬき?」
「え!あ、うん。聞いてた……」
「そう言う事だから、子供の為にも頑張って、勇者なってよね、たぬき!」
その言葉を聞いた、俺とレヴィアさんは、思わず口を揃えて!
「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ赤ちゃん!?」」
言葉が出てしまった!
「何を二人とも、そんな大きな声をだして、ビックリするじゃない?」
「いや、だって姉さん。子供がって言うからだよ?まさか?お腹に赤ちゃんいるの?」
「私のお腹に?さあ?検査してないから分からん?」
「分からないなら言うなよ姉さん?びっくらするじゃないか?」
そう、俺は、ビックリ慌ててしまった?
なんか姉さんの言い方が、お腹に赤ちゃんが居る事を連想させたからだ?
そして、よくよく聞いてみると、どうもいないみたいだ!
俺は「はぁあ、良かった、出来てなくて」と、思わず言葉を漏らしていると?
姉さんの拗ねた声が、お風呂場から聞こえてきた?
「何、そんなに安心した様な声を出してるの?私に子供が出来たらいけない訳?それにさ、魔王討伐行く前の日にも、さんざん気が済むまでしていったじゃん。そんな風な言い方されると辛いよ……たぶん大丈夫だとは思うけど、検査してみないと分からないよ……それに私は、あんた以外の男を知らないよ!」
(あ!やば、そう言うつもりで、言った訳では無いのだが……また姉さん泣き出すかも?何とか言い訳しないと?)
「姉さん?俺はね、姉さんに、赤ちゃんが出きるのが嫌だとは、言ってはいないんだよ。ただお腹に赤ちゃんいるなら、大事を取って街に戻ってもらわないと!」
「そうですよ!朱華さん!お腹に赤ちゃんいるなら、街に戻った方が宜しいですよ。」
俺とレヴィアさんは、お腹に赤ちゃんが、いるのなら姉さんに、街に戻るようにと、説得を始めた。
特に俺の場合は、お腹に赤ちゃんがいるのなら、まず間違えなしに俺の子供なのである。
俺も父親になるのか……
実感が有るようで、無いような、何とも言えない気分なのだ。
そんな俺なのだが、赤ちゃんを抱き上げたりとか、姉さんが抱いて、ミルクあげている横で、座って微笑みながら見ている姿を妄想すると、思わずニヤケテくる。
「これも悪くはないな?」
妄想から解けて我に返り、更に洗濯に力が入る!
「父親だ!父親だ!俺は、父親なんだー!」
俺は、父親と言う言葉を頭の中で、連発しながらリズムよく、洗濯していると、姉さんがお風呂場から話かけてきた。
「たぬき?」
「うん。どうした?」
「あのさ?」
「なに?あのさじゃ分からん?」
姉さんが、俺の事をベタ惚れで、子供を産みたくてしょうがないと、分かったので、ついつい強気言葉で話をする俺!
それとは逆に姉さんの方は、だんだんと、女性らしい弱々しい。そして甘え口調へと、変わっていった。
「ごめんね、そんなに強く言わないでよ……あのね?まだ子供が出来てるかどうか、分からない訳だから、はっきりするまでは、付いて行って良いかな?一人だと不安だし……」
「そうですよね朱華さん。一人だと不安ですよね。たぬきさんが逃げたらいけないし!また他に奥さん作ってもいけませんし!」
「そうなのよレヴィアちゃん。分かってくれる?」
「はい、分かりますとも、鬼畜のたぬきさんですから!私も監視役のお手伝いしますね!」
「ありがとレヴィアちゃん。恩にきるね!」
「いえいえ、私の方こそ家族と言ってもらったので、大変に嬉しいですし、感謝しています!家長の朱華さんに付いていきます!」
「くそー」……俺の事で意気投合している二人!
何でまたレヴィアさんが口を挟む……。
鬼畜とか言っていたけど!?
なんかそれ酷くね?
俺、何かレヴィアさんの気にさわる事したかな……?
そんな事を考えながら、姉さんの件?確かに妊娠してるかどうか、分からないうちから、家に帰らすのも、確かに気になるな?
よ〜しはっきりするまでは、一緒に連れて行こう。
そして妊娠してたら帰せばいいか?よし!決まった!
「姉さん?」
「はい……」
「妊娠が、はっきりするまでは、一緒に行こう。赤ちゃんできてたら家に帰るでいいかな?」
「はい。貴方の言うとおりにします……」
「そうか、そうか、うんうん、良かった、良かった!」
何が良かったのか、よくは、分からない俺なのだが、思わず頷いてしまう。
たぶんは、しおらしくなっている姉さんに、納得したのだろうと思う?
良かった、良かったと、再度心の中で頷いて、今晩辺りから姉さんは、俺の愛の奴隷だ!あんな事やこんな事色々としてやる!
「デヘヘへへへへへへへへへへ……」と、ニヤケながら思っていると!?
「貴方お話しがあります?」
「なんだねお前?」
何故だかは、分からないが、姉さんが、かしこまって話をしてきたので、俺も夫らしく威厳をもって言葉を返した。
「夫婦間で取り決めたい事があります?」
「うむ。なんだね?」
「子供が出来たらと、出来て無い時の事でございます!」
「うむ!」
「子供が出来た時は、素直に家にかえります。」
「うむ。わかった!」
「子供が出来て無い場合は、夫婦間ではありますが、貴方が勇者になるまでは、子供が出来る行為を、禁止にしたいと思います!今現時点でも、どちらか分からないのが現状なので、今晩から禁止にします!宜しいですね?」
俺は、その話を聞いて!
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……何でよ?どうしたらいいのよ俺?若いから元気いいし、どうしたらいいのさ?」
「妊娠したら置いてかれるのに……それにレヴィアちゃんもいるのに、ダメに決まってるじゃんか!」
その話を聞いて、奈落の底にでも落とされた様に、絶望感に落ちる俺!
若い俺のたまった物は、どうすればいいのだー?
「じゃ、たまった物は、どうしたらいいのさ?」
半分ベソかきそうな俺!何とかならないかと、姉さんに聞いてみた?
「は〜あ?そんな事決まってるじゃん。右手がト・モ・ダ・チだよ?今晩から頑張って、あ・な・た!」
「「ク、クククククククク、わ、ははははははは……」」
二人の笑い声が、風呂場から聞こえてくる!
俺をバカにしおって、くそー悔しい!
こうなれば、俺も反撃だ!
「別にいいわい。やらしてくれなければ、街につく度に店に通うか、女をナンパして回ってやるからな!」
俺は、頭に来て姉さんに、言ってやった。
すると、風呂場から姉さんの低い。怒りの唸り声が聞こえてきた!
「あんたね〜?もしも仮に怪しい店にいったり、ナンパでもしたら、逆さ張り付けの刑にしてやるからね!それか街につく度に縛って監禁の刑にしてやる!覚悟してからおやりよ!」
「私もたぬきさんが、出掛けたり、逃げない様に見張りますね!」
「ありがとう、レヴィアちゃん!」
「いいえ、頑張りましょう!」
また、お二人で、俺を苛める相談をしていらっしやる、お姉さま達?
くそ!こうなれば見ておけよ、二人とも!
必ずや反逆の狼煙を上げて、成功してやる。
レヴィアさんにも夜這いかけてやるからな!
こんな事ばかり考えていると、マジで涙出そう?
もっともっと、俺を甘やかしてくれよ二人とも!
そして、もっともっと良い子良い子して、可愛がってくれよ!
でないと、俺泣いちゃうよ!
でも無理だろうから諦めよ!
そして二人に謝罪しよ!
「何で二人して、俺ばかり苛めるんだよ?頼むから勘弁してくれよ。しょうがないじゃん。生理現象だから!うぅぅぅぅぅぅ……俺泣いちゃうよ?」
お風呂場にいる二人には、外の様子が分からない?
だから俺は、泣き真似を始め同情心かって、誤魔化そうと試みる?
どうだろう?お風呂にいる二人の様子は?
聞く耳たてて聞いてみる?
なにも聞こえてこないな?
もう少し近づいてみるか?
回りをキョロキョロして、誰かいないか確認してみる?
誰もいないな!
ゆっくりと、差し足、忍び足と、窓に近づいて行く!
あれ?声がしない?
可笑しいな?
何故だろうと悩んでいると?
「たぬきいる?」
「あ、うん。いるよ、どう、どうしたの……?」
いきなり声を掛けられて、ビックリして、声がひっくり返ってしまった俺!
慌てて返事をした!
「あのさ?そんなにしたい?我慢出来ない?」
姉さんが、変な事を聞いてきた?
姉さんが、俺にしてきたこの質問は、まるで俺が、節操なしみたいに言うけれど?
大変に失礼だと思うが……?
だって若いんだから、しょうがないじゃないかと、思う俺なのだが? おかしいかな?
それに先ほど夫婦になると言ったばかりだぞ、やるじゃ、やらないじゃの話が何故でるの?
おかしいでしょう?
そんな事を考えながら、はぶてている俺!
もう、絶対にしてやるもんかと、思いながら?
大人げないし、節操なしだと、思われたくないので、ま!とりあえずは、返事だけはしておくか!
そんな事を思いながら、姉さんの問いに答えた……?
「え!いや、あ、そんな事はないよ。ただ売り言葉に、買い言葉をしただけだよ? そんなにしたくてたまらない訳でもないよ。」
「したくないの?」
「あぁあ、大丈夫だよ。しなくてもいいよ!今日から右手がトモダチさー!」
「そうなんだ我慢できるんだ……」
「うん!」
俺の強気の言葉に姉さんは、だんだんと声が小さくなる。
どうだ、姉さん!参ったか!俺はけして節操なしなどでは無いのだー!
だからこの状態を覗き魔だと、誤解されたくないので、返答をしながら俺は、ばれない様に、ゆっくり、ゆっくりと、後退りを始めた!
そしてとりあえずは、洗濯をしていた位置まで戻ると、何気ない顔をしながら洗濯物を、丁寧に一個づつ絞り始めた。
「はぁ……」
思わずため息を漏らしてしまう。
確かに姉さんに子供が、出来てしまうと、代わりのメンバーを探さないといけなくなる。
簡単にメンバー見付かる訳でもなく?
赤ちゃんを背負ったまま、モンスターと戦う訳にはいかないし……どうしょう?やはり現実的には厳しいなど思い悩んでいると?
「たぬき?」
またまた姉さんが俺を呼んだ?
「なに?」と、答える俺に姉さんは?
「それはそうとさ?先ほど討伐失敗した。ドロロンポーどうするのさ?」
その言葉を聞いて俺は、大変重大な事を思いだした?
そうだった?俺はまだ、討伐が終わっていなかった事を、うっかりと忘れていたのだ?
姉さんと、するじゃ、しないじゃんと、言い争っている暇などないことを今思い出したのだ?
世のため、村のため、そして将来のニコニコ家族計画のために、どうしてもドロロンポーを、討伐しておく必要があるのだ!
お金も欲しいが、特に村長が、出してくれると言った、討伐証明書!
特に勇者になりたい俺は、証明書が欲しいのだー!
だからこのままでは、良くないと思い、勇気を奮い起たせて立ち上がると、お風呂にいる二人に意気込んで声を掛ける!
「二人共お風呂から出たらドロロンポー討伐のミーティングを開くからね」
するとお風呂場から?
「うん。分かったよ!」
「はい、わかりました。それでは、私はそろそろお風呂から出ますね」
二人から俺に言葉が返ってきた!
俺は、その言葉を確認すると、また座り込んで、先ほどの続きを始めるのであった。
◇◇◇
翌日になり、ドロロンポー討伐に向けて意気揚々と、歩く俺達三人!
特に先頭を歩く俺は、超はりきっている。
昨日あの後三人で、ドロロンポー討伐をミーティングしたのだが、なかなか意見が合わずに、時間を要したのだが、最終的にまとまった意見は、何もない広い場所に、ドロロンポーを集めて、姉さんの範囲魔法で、処理をする事で決まったのだが……?
ただ一つ大きな問題が生じた?
範囲魔法を使うと、その辺り一面は、焼け野原となり、大きなクレーターまでもができるのだ!
だからどこでもかしこでも、使用する訳にもいかないで、昨日の討伐では使用しなかったのである。
特に姉さんの範囲魔法は、かなり強力でこの国の中でもトップクラスで、何度か勇者候補に、名前を連ねたこともある実力者なのだ。
だから村長さんに、強力な範囲魔法を使っても良い場所は無いかと尋ねてみたら?
「あるよ!」と、言って教えてくれた。
その場所は、ドロロンポーが、大量発生している場所からほど近く。見晴らしの良い高台まで、あるとの事なのだ!?
これはまさに、範囲狩りをするのには、持ってこいの場合だと確信した俺は、ここで討伐する事に決めて、異動をしている最中の俺達なのであった!
歩くこと数十分。昨日ドロロンポーと戦った、田園地帯に着いた。
回りは、田んぼと畑ばかりで、この辺りに一帯にドロロンポーが、湧いているのだ。
本当ならば昨日の時点で、範囲魔法で討伐をしていれば良かったのだけれども、それをおこなうと、この辺りの田畑が、焼け野はらになってしまう。
そんな事になってしまうと、証明書どころの騒ぎでは無くて、お尋ね者になってしまう。
そんな事になると、勇者になれなくなるので、大変にマズイのだ。
だからドロロンポーを、範囲魔法が使える場合へと誘導して、一挙殲滅。
これが今回の作戦なのだー!俺のガンヘイトが唸るぜー!
そんな事を考えながら、先に進む俺達なのだが……。
「たぬき、まだなの場合は?」
「もう少しだと思うんだけど?おかしいな……?」
「あ!あれではないですか?」
「お?着いた!?」
レヴィアさんが、指さす方向を確認すると、確かに高台というか?あれって岩壁?
指さす方向見えるのは、高台などではなくて、断崖絶壁がそそりたつ岩壁なのである。
「あんな物登れるのか?」
そんな事を思いながら近づいてみると?
ヤッパリ登れそうにない?どうするかな……?
色々と思案してみるが?良い案が浮かばない?
どうしようかなと、考えていると?
「これの事?たぬき?」
姉さんが、問いかけてきたので?
「たぶんそうだと思うけど?どうやって登るか悩んでるんだけど?困ったな……?」
俺は岩壁を下から見上げながら、愚痴ぽく姉さんに言ったのだが?
「登れるよ!」
「え?」
唖然とする俺に姉さんには?
「だって私、猫族だよ!」
俺は、その言葉を聞いて、そうだった事を思いだした。
姉さんの跳躍力は、人種の俺と比べると断然に高いのだ。
そんな事も忘れていた俺は、夫として最低だなと思って見ていると━━姉さんは、『ピョンピョンピョン』と、軽いステップであっという間に、頂上へと、上がっていく。
時より着物型のロープからヒラリと見える、お足さまが、何ともお美しい限りで、カブリ付きたくなります。
そんな事を考えながら見ていると、レヴィアさんが俺に?
「私も頂上で待っていますね」と、言ってきた!
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!レヴィアさんも上がれるの?」
俺は、思わずビックリして、レヴィアさんに、問いかけると?
「はい!上がれますよ。エルフの跳躍力をなめないでください!
」
その言葉を発すると、やはり軽いステップで『ピョンピョンピョン』と、頂上に上がる!
このお姉さまのあ足様も、やはり大変お美しいでござる。
頂上に上がるまで、目が離せませんでした!
そして、もしかして俺が思うに、頂上に登れないのは、俺さまだけかよー? マジで情けないやら悔しいやらで……
そんな事を考えながら、頂上に目をやると、二人のお姉さま達が、俺に手を振ってくださっている!
背に太陽があるので、何とも神々しく見えます!?
そして両手を合わせ、思わず拝みたくなります!
「はぁあ、はははははは〜」と拝んでいると!
「たぬき〜何してるの?冗談は、いいから早く行ってきなさい!」
そんな事を言われたので!
いいじゃないか、少しぐらいのオチャメをしてもと、言いたくなるが我慢して、作り笑いをしながら、大袈裟に手を振ってみせる!
そして姉さん達に━━
「行ってくるねー!手筈通りでお願いー!」
と、叫んでその場を後にして走り去った!
すると、後ろからレヴィアさんの━━
「行ってらっしゃい!」
と、叫ぶ声が聞こえてくるのであった!
◇◇◇
「よ〜し、いた!」
俺は、すかさず腕を組み、斜め45度でドロロンポーにガンを飛ばして、ヘイトをする!
これぞまさしく俺が、考えて覚えたスキルで、ガンヘイトである。
姉さんが、作った組のしまを見廻りしていた時に、よく使っていたスキルで、飲食、飲み屋、春を売る店などで、不審者や暴れている者が居たときなどに、外に連れ出す時に、使っていたのだ。
特にこのスキルにかかった者は、俺の生意気な態度に引かれて、必ず付いてくるのである!
(ふん。人気者はこまるな。ふふ、ふふふふふははははは……!皆も一度試してみるとよい!)
そして、このスキルがあるからこそ俺は、職をナイトに選んだのだ!
このスキルは、ドロロンポーにもかなり有効で、いちいち止まらないといけない欠点はあるが、よくよくかかってくれる。
現時点でも、すでに俺の後ろには、十匹以上のドロロンポーが列なっているのだ!
━━だから少しでも速度が劣ると、追い付かれるので、スピードを維持しないといけない。
ならば俺の得意の俊足を使えば良いのだが!?
それを使うと今度は、ドロロンポーを置き去りにしてしまう。
何ともタイミングの調整が難しいのだ!
「えっほ!えっほ!えっほ!」と、かけ声をあげながら、昨日の討伐に行った田畑周辺を、くまなく探しながらガンヘイトを繰り返し、リンクして回る!
たまに後ろを気にし過ぎて、石につまずきそうになったり、木などの障害物にぶつかりそうにもなる。
そんな事を繰り返し、走り回ること数十分!?
再度後ろを確認してみると!あらあら、なんともかんとも、後ろは既に、ドロロンポーの大群だ!
数にしても既に、三十匹前後はくだらない!? 止まってゆっくりと数えてみたいのだが、そんな事をすれば追い付かれるし、せっせと集めたドロロンポーが、散ってしまう!
「よ〜し、これでいいか?」
とりあえず、姉さん達の所に引いてって、処理を済ませよう。
もうほとんど、ドロロンポーは残っていないと思う?
ま、仮に残っていたとしても姉さんは、今回合わせても、二発は何とか打てれるはずだ?
「よ〜し行くぞ」
気合い入れて、せっせと走る俺!
ドロロンポーが、散らない様に、細心注意をはらいながら走る。
「それにしても疲れたな……」
できるだけ、多くの数をリンクしたいので、同じ場所を何度も何度も回った。
だから疲れた…………
先ほど姉さんとレヴィアさんの綺麗かお足様を、拝ませてもらったので多少は、俺の妄想力は充電できたのだが……
何せお足様だけなので………
エネルギーが切れそう………
「えっほ!えっほ!マジで疲れた……」
「後少し、後少しだー」
そんな事を考えながら走ると、見えてきた!
岩壁がー!
「姉さ〜ん来たよ!準備お願い?」
「たぬき〜いつでもオッケーだよ!」
「ほ〜い、ほ〜い!じゃ回るね!」
俺は、岩壁の下で、ドロロンポーとクルクルと回り始めたのだ!?
何故回り始めたの?皆は、思うかも知れない?
それはね?それはね?
範囲攻撃を確実にするために、ドロロンポーが、散らない様に、纏めているんだよ!
そして姉さんが、範囲魔法を撃ったら俺が、俊足加速で離脱する。
これが今回の作戦の内容なのだ!
だから作戦に従って俺は、クルクルと回っているのだー!
でもそれにしても疲れたな……姉さんまだかな……?
そんな事を考えていると、空の雲行き悪くなり、薄暗くなる。
「おおお……そろそろだな?」
姉さんが、範囲魔法を撃っために、魔法の呪文を唱え始めたのだと思う!
「我。冥府の長なり、我がしもべ達よ、我に冥府の力を与えなさい。冥府波動!」
「おぉお……発動した!姉さんの冥府波動!よ〜し今だ!」
俺は姉さんが、呪文を唱え終えると、慌てて俊足加速を使った。
「ドカ〜ン」と、音と共に黒い巨大なブラックホールができる!
あれだけいた、ドロロンポーの群れが、一瞬で消え去った!
相変わらず、凄い。冥府の魔王の異名は、伊達じゃないなと思いながら見ている。
そして終わったみたいなので、その場に経たり込み。大の字になって転がった。
「疲れた………」
俺には、もうその言葉しかでない。
妄想力も使い切ったので、もう立つ事も出来ない。
姉さん早く来て、労ってくれよ!
そしてオッパイに顔を埋めて、妄想力を充電して〜!
そんな事を考えていると、人影が?
「姉さん〜!抱っこ〜!」
俺は、思いっきりオッパイに顔を埋め、すり付け、そして甘える!
「…………あれ?」違和感が………?
「いや〜ん!たぬきさん!私、朱華さんではありません!」
「あ〜!ごめん!間違えた!」
俺は姉さんと、間違えてレヴィアさんのオッパイに、顔を埋めてしまったのだ。
ヤバいどうしょう? 慌てて謝罪する俺。
その場に座り込んで、土下座を始める!
すると今度は、後ろから姉さんが!?
「た・ぬ・き・何をしてたの?」
とても、とても、怒気を含んだ声が、してきた!
今度は俺は、姉さんの声が、する方を向いて、土下座を始めた!
「すいません!すいません!すいません!」
平謝りをする俺!
そんな事で、許してくれる、姉さんではない!
お約束の様に、姉さんに背中を蹴っられる!
「うぅぅぅぅぅぅぅぅ……悲しい……なんで俺ばっかり、それに、やらせないと言った姉さん。なんでヤキモチやいて怒るんだよ!それならやらせろよ!なんで、なんで俺ばっかり……」
そんな事を考えながら、ふとある事を思いだす?
レヴィアさんのオッパイの感触と匂い。どこかで味わった記憶が?
「………何処でだっけ?」
そんな事を考えながら、ただただ、平謝りをする、俺なのであった。
「初のクエスト終了!俺達がんばったー!」