少年の旅立ち! (3)
第4章 出発
「貴方達、いつまでぼ~っとしているの?たぬきも早く奥に寄って、早く、座れないでしょ。」
姉さんが、手で『シシシッ……!』と、いつた感じで、ジェスチャーをしながら言ってきた。
いきなり店に入ってきて、俺と男達とのトラブルをあっさりと、止めてしまった。姉さんに、呆気に取られる俺と、パーティを申し込んできた女性。
俺は姉さんに、言われるがままに、奥へと移動すると、姉さんさんは、椅子に座り込んだ。
座り込むなり、俺達二人を見渡して、発した言葉はそう……。
「二人は座らないの?」
俺達二人は、その言葉を聞いて顔を見渡すと、薄ら笑いをしながらうなずいて、座り込んだ。
「姉さん何でここに?」
俺は疑問に思い聞いてみた?
「うん?何でだろう……?」
ニコニコしながら、笑顔で答える姉さん。
そんな、笑顔で言われると、更に悩んでしまう俺……?
「わからん?……なんか忘れ物をしたっけ?」
悩んだ顔をしながら、姉さんに聞くのだが?
ただニコニコ笑顔を振り撒いているばかり、それが何とも不気味で、俺は再度問いなおす。
「姉さん何かあった?さっきから笑って、誤魔化してばかりいるけど?」
俺は姉さんに聞くのだが?
「ん……?」と、笑って言うだけで、やはりおかしい。
「やっぱりおかしいよ、姉さん!」
俺はあまりにも姉さんが、挙動不審なので、強めに言うと、耳を押さえながら頭を降りだした。
そして……?
「あぁぁ。もう、うるさい!いいでしょ。ここに来たって!……新しい彼女ができたから邪魔なわけ?……この娘でしょ?結婚したい相手って?」
と、逆ギレしてきた!
その話しを聞いた、俺達二人は、思わず「「え~!」」と、声を合わせて発した。
ん……これはまた姉さんは、何か勘違いをしてるみたいだ?
……話しを聞かせて、誤解を解かねばと、俺は姉さんに話しかけた。
「姉さん?あのね……?」
「何よ、たぬき……?」
「この女性はね。彼女でも何でもないんだよ。俺が結婚申し込んだのは、別の女性だよ。」
誤解を解くために、俺は簡単に説明したのだが、姉さんは信用していない顔をしながら、じと目で俺を見てくる。
(困ったな?そんな目をして、見られても大変に困るのだが……)と、思いながらも。
「この人は、俺にパーティーを組まないかと、誘ってくれた人だよ。結婚前に旅をして回りたいみたいで、ボディーガード件でどうですかって、誘われただけだよ。」
姉さんは、不思議そうな顔をしながら「そうなの?」と、エルフの女性に問いかけると?
「はい、女一人だと、何かと不安ですし、たまたま冒険者組合に行ってみると、パーティーのパートナーを探してる方がいるとお聞きして、お願いにきました。」
エルフの女性が、笑顔で答えると、姉さんは、何故か嬉しそうな顔をして━━
「そうなんだ、そうなんだ。よかったー」と言っている。
俺はなにが、良かったんだろうと、思いながら、姉さんに、
「姉さん? 話しは変わるけど、さっきから聞いている。何故ここにきたの? 説明してくれないと、俺わからん?」
また姉さんに、聞き直してみると、姉さんからこんな言葉が反ってきた。
「組を辞めたの〜!」
俺はその言葉を聞いて、「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」と、言葉を発した。
「何故辞めたの? 若い衆はどうするのさ? 姉さんがいなくなると、さすがにまずいよ。それに辞めてどうするのさ?これから……?」
「う〜ん?……どうするかな?……あ!そうだ。あんた達について行くよ。私もいいだろう、たぬき?」
姉さんが、言い出した言葉に、ビックリ仰天してしまう俺!
「俺は別に構わんが、こちらの女性に聞いてみないと、わからんし? それに組は解散したの?」
俺は姉さんに、問いかけると?
「組は解散はしてないよ。竜人にやった。」
と、これまた言ってきた。
「……そうか、まあ、姉さんが、それでいいなら俺は別に構わんが……」
その様に答えてみたのだが、本当に良かったのかな? と、内心は思ってしまったが、姉さんを見てみると、何も気にしていない、素振りでいる。
ま!基本明るい性格の女性であり、くよくよしない、根に持たないと、サッパリとした性格の彼女だから、ま!いいかと、思ってしまう。
「あぁぁぁ。私は、別に構わないよ、どうせあんたに、やるつもりだったから……」
(えぇぇぇ!そうなの?)と、思ってしまう俺。
でも俺には、惚れた女を探すと、いった目標がある!
本当に姉さんには、悪い事をしたと思いながら。
「そうだったのか……ごめんな……姉さん。俺のせいで……」
と、言って謝罪した。
俺の謝罪を聞いた姉さんは、話題を変えようとしたのか?
エルフの女性に「私もパーティーに入るのは、不味いかな?」と、聞いている。
するとエルフの女性は、にっこりとしながら。
「別に構いませんよ。男女二人で旅するよりは、良いと思いますので、助かります。それに人数が多いい方が、楽しそうなので」
と、彼女は、言ってくれた。
それを聞いた姉さんは、大変にご機嫌だ。そして俺に!?
「たぬきいっしょに行くね。いいだろう?」と、聞いてきた。
別にこれといって、断る理由もない俺達は、三人目のメンバーである、姉さんを歓迎した。
特に三人居ないと、冒険者組合に登録出来ないので、本当に助かったと思う。そして姉さんにお礼を言った。
「ありがとう姉さん。本当に助かったよ。三人居ないと、冒険者組合に、登録すら出来ないので、どうしょうかと、悩んでいたんだよ。ホントにホント助かったよ。」
俺は両手合わせ、頭を下げて、お礼を言った。
見ず知らずのメンバーばかりの旅など、気を使うばかりで、何を話をすればいいのか、悩むばかりでどうしょうかと思っていたのだ
そして、姉さんとは、一緒に暮らしていたので気を使わなくてもいいし、俺と違って、ああ見えても、誰にでもフレンドリーな姉さん肌の強い女性なのだから、俺は、ほっとしたのだ。
(もう、ほんとうに姉さんありがとう。愛しているよ〜!)と、思いながら。
「よ〜しメンバーも揃ったし、冒険者組合に言って登録済ませて、旅に出かけるか。」
俺は二人に声をかけ立ち上がると、姉さんから?
「たぬき? あのさ、何か忘れてないかい?」
いきなり姉さんに質問されて、悩んでしまう。
「え! 何?……何だろう?」
考えに考える、俺だが、よく分からない?
「あのさ……自己紹介お願い出来ないかな……?」
姉さんに言われて、思いだす俺? 実はお互い、名前を交わしていない。
「あ!…………そういえば……俺も名前も言っていないし。彼女の名前も聞いていないや? あは、あは、あはあはあはあはあはあは……」
俺は笑って誤魔化した。すると、彼女も。
「あ!ごめんなさい。挨拶が遅れました。私の名前はレヴィアと申します。宜しくお願いします。」
「俺はたぬきちゃん。ヘンテコな名前はでごめんね。それで俺の横に居るのが、朱華さんで、俺が前にいた組の、あ!いたたたた……姉さんなにするんだよ? いたいじゃんか!」
何故なのかは、よくは分からないが、姉さんに股を詰められた?
なにするんだよ? と、いった顔して姉さんを見ると、顔は笑っているが、目だけは怒っている。
俺が何かした? と、いった顔をして姉さんに合図を贈ると━━
「もう、たぬきは、何を言っているの? 会社の社長でしょ? か・い・しゃ・の……」
俺の方を見ながらいってくる。
俺は「ん?……」と、思いながら「あ!」と、ひらめいた━━
「そうそう会社の社長さんだった。いい加減な事を言って、ごめん」
俺は二人に謝罪した。そして……そうだった事を思い出した。
彼女が素人だった事を……だから姉さんは、股をつねって俺に教えたのか……なんて気が利かない、頭の弱い俺なのかと、自分自身で反省した。
「いえいえ気にしないでください。人それぞれ色々な過去がありますから」
「ごめんね。うちのたぬきが気が、利かないから。……それじゃ、あらたまって言うね。レヴィアさん。私は朱華。長いパーティーになるかもだけど、宜しくね。」
姉さんは、レヴィアさんに手をさしのべると、二人は握手をかわした。
その様子を見ていた俺は、ヨシヨシと、思いながら二人に。
「みな挨拶も終わったみたいだし、ここを出て冒険者組合に行って登録を済ませようか?」と、声をかけた。
すると、姉さんからは「そうだね、行こうか」と、声がする。
レヴィアさんは「はい!」と、元気な声を発して、立ち上がる。
「じゃ、二人は先に店を出てて、俺は精算を済ませて来るから」 と、二人に声をかけると「うん。分かった」と「はい」とで、言葉が反ってきた。
二人が、店を出たのを確認した俺は、精算を済ませると、慌てて、彼女達の背を追って店を出る。
そして二人に「お〜い!彼女達!待ってくれよ〜!」と、大きな声を出して呼ぶと、回りの人達が、俺をじろじろと見て注目しだした。
うわ〜 内心恥ずかしくてしょうがない俺。
━━まるでナンパをしてる男のように見える!?
恥ずかしくなり、思わず顔を伏せてしまう。
そして…………!?
「姉さ〜ん!ちょっと待ってくれよ〜」
俺は何とも言えない、情けない声を出しながら、二人を追っかけた。
◇◇◇
「さ〜て、職を何にするかな〜?」
悩んだ声を出しながら腕を組ながら歩く俺。
冒険者組合に行く前に、レヴィアさんが、銀行に寄って預けている荷物を取りに行きたいと、言ったので、向かっている最中なのだ。
「銀行で荷物?」と、思う方もいるとは思うが、この大陸の銀行は、各国が共同で運営している連合銀行であり、お金だけでなく荷物も預ける事が可能なのだ。
さらに便利が良いのは、魔法技術による運送が可能で、銀行がある町ならどこでも、出し入れ出来るという優れ物なのだ。
(口座を持つのには、かなりのお金がかかるけど……レヴィアさん金持ちのお嬢さんなんだな〜)と、思っていると、姉さんから?
「まだ決めてなかったのあんたは?」と、言われた。
「うん。全然決めてなかった? 姉さんは、何がいいと思う? 俺の職?」
俺は姉さんに聞いてみると?
「う〜ん……ウォリアーかな? お月見団子も剣だしね!」
「だよね〜 う……マジでどうするかな?」
普通に考えれば、そうなのだと、思う俺なのだが、何か物足りない気持ちもするのだ。
(何か他にないかな……?)
「登録する職でお悩みなんですか?」
レヴィアさんが俺に尋ねてきた。
「うん。そうなんだけど、何かないかな……あ!そうだ!それはそうと、レヴィアさんは、何にするつもり?」
「私ですか?」
「そうそう?」
「私はクレリックにしょうかと、回復魔法は、得意な方なので」
レヴィアさんがそう答えると、俺は彼女に。
「へ〜 クレリックか、いかにもって、感じだねレヴィアさんわ。」
俺は思った事を、述べたのだが、レヴィアさんは、意外な顔をしながら?
「そうですかね?」と、答えてきた。
俺は彼女は、エルフだし。ま!あまりロープぽくはないとはいえ、ロープと言えばロープに見えなくもない。黒にきらびやかな模様の入った皇女さまデザインのロープもどきを着ているし。
姉さんにしても、特注で仕立てた、真紅の着物風デザインのロープをきて歩いている。
だから〜! ま〜!とにかく目立っのだ━━。
色気ムンムンのお二人様!
なんでそんなに妖艷なのですか……?
とにかく歩いていても、大抵の男は立ち止まるか、振り返る。
後ろを歩いている俺は、いかにも彼女達の飯使い? いやいやこっちでした召し使い。……言いように見えれば、騎士かな……?
だからそれっぽい職がいいかな……?と、思ってしまう。
実際防具だけは、魔王から貰ったレア防具なので、悪くはないはずなんだが〜?
「ナイトなどは、いかがですか?」
レヴィアさんが、聞いてきた。
(ナイトか〜? ナイトも悪くはないな〜)と、思いなから。
「ナイトか〜 ナイトもいいね!俺も考えたんだけどね、盾を持ってないからね、それでどうしょうか、悩んでたんだよ?」
「そうなんですか……?」
「うん。攻撃は姉さんいるからね、俺がわざわざ攻撃職しなくてもいいかな〜と、思ってね。それよりは、みんなのガードをする方がいいかな〜と思うんだよ。」
すると姉さんは、後ろを向いて指でブイサインをしてきた!
「姉さんの職は、ネクロマンサーなんだよ。攻撃魔法も使えるし、俺がわざわざウォリアーする必要もないかと思ってね。」
「朱華さんて、ネクロマンサーだったんですか? だから先程の店でゴロツキ達が、朱華さんを見て辞めたんですね。」
「そうそう、姉さんは、この街で有名だからね。大抵のゴロツキや、裏社会の人間は、知っているよ。」
「そうなんですね」と、感心している、レヴィアさん。
俺は「そうそう」と、返事をした後に、何度姉さんの骨吉に殴り殺されそうになったことかと、苦い過去の記憶を思い出す。
(あのくそ骨、今度絶対にどちらが強いか、ケリをつけてやる。クソッタレめ〜)と、誓いながら。
そして、俺はある決意を決める!
(パーティーの中で唯一の男! 田に力と書いて男だー! 俺は二人のナイトになるのだ〜)と、決意を決め。
「よ〜し!……盾無しでいいか、旅の途中にお金が貯まったら買うわ。……よし、盾にしょう、盾に!俺、盾にするわ姉さん!二人の盾になってやるよ!」
決めポーズして、気合いを入れる俺に、姉さんは━━
「まあ……お前がいいならそうしな。盾が居る方がパーティーは、落ち着くしね。」
姉さんは、暖かい眼差しで、微笑みながら言ってくれた。
その微笑みを見た俺は、照れ臭くなり「そうだね」と、言葉だけ返すと、空を見上げ、口笛を吹きながら、誤魔化してあるいた。
◇◇◇
銀行に着くなりレヴィアさんが「あ!」と、声をだした。
注目する俺達二人!
レヴィアさんは、何かを思い出したようで声を出したみたい?
気になった姉さんが「レヴィアちゃんどうしたの?」と、声をかけると━━
「銀行に盾を預けていた事を今思い出しました。たぬきさんが、盾を持っていないと、おしゃったのであげますよ。」
レヴィアさんが俺に気前良く盾をあげると、言ってきた。
俺は「悪いからいいよ」と、言葉を返すのだが。
「気にしないでください。死んだ父の集めてた物ですから、私は使わないですし。銀行に預けていても、邪魔になるだけですから」
と、言って俺達にここで、待っててくれと告げると、受付へと向かっていった。
その姿を見ていた、俺達二人だが姉さんも?
「ごめん。たぬき。私も荷物取ってくるからここで待ってて」と告げると、別の窓口へと、向かって歩いていった。
俺はその後ろ姿を見ながら。
「えぇぇぇぇぇぇ!マジで姉さん。いつ作ったのこんな高い口座を、全然知らなかったわ俺?……マジでいいな二人とも、銀行があるとこなら何処でも、荷物だせれるから……はあ……俺金ねえから口座をもてねえ……」
こんなことを考え、俯きながらため息をつき、椅子に座って待っている俺。
「すいませんでした」と、声をかけられた。
上を向くと、そこにはレヴィアさんが立っていた。
そして俺に「はい、どうぞ」と盾を渡してくれた。
「ごめんね。じゃ、遠慮せずにいただくね。ありがとう」
俺はレヴィアさんにお礼を述べると、貰った盾をマジマジと見つめた?
(ん!……盾に女性の顔が書いてある? ……いや、彫りこんであるのかな? なんか女性が生きてる様な気もするが……気持ち悪いな……)
と、思いながら盾を見ているが、何とも気持ち悪い……。
特にこの女性の特徴が、大変不気味なのだ。
横顔で目は閉じているのだが、今にも開きそうな目に、髪の毛一本一本が蛇で出来ている。
レヴィアさんのお父さんて、変わった趣味を持った方だったんだなと、思わず考えてしまう? ま!レヴィアさんも気持ち悪いから、銀行に預けてたんだなと、納得しそうになる。
まあ、しょうがないか、今はお金ないし、新しいのが買えるまで、代用してようかと、諦める。
「たぬき?」
「うん? 終わった、姉さん?」
「終わりは、終わったけどさ……あんたそれどうしたの?」
「それ?……どれのこと?」
「あんたが持っている盾たよ?」
「ああ、これかい? レヴィアさんがくれた盾だよ、デザインが少し変わっているけど、どうしたのこれが……?」
「レヴィアさんいいの? こんな貴重な物。たぬきにやっても?」
「ええ、いいですよ、持ってても使わないですし、デザインも気持ち悪いので……」
「ま、レヴィアさんがいいならいいけど……たぬき、あんたもよくよくお礼を言っておきなよ」
「え!そんなに凄い物なのこの盾?」
あまりにも姉さんが動揺しているので、そんなに凄い物なのかと、聞いてみたら?
「その盾はね〜メドューサの盾といってレア防具のひとつだよ、レヴィアさんのお父さん凄い物持っていたんだね。」
「はあ……死んだ父は、変わり者でして……」
「そんなに凄い盾だったんだなこれ?知らなかった……」
「うん。そうだよ私も初めて見るけどさ、敵を石化する能力があるんだよ。それに意思があり、話しが出来ると、聞いたんだけど、喋りそうかい?」
「どうだろう?」
コンコンと、軽く叩いてみるが、全く反応しない。
「反応ないな……?」
「ま、調べるのはまた今度ゆっくりやればいいよ、それよりは、たぬき、あんた着替えの服や下着は、用意したのかい?」
「いいや、用意などしてないけど、ないとまずい?」
無頓着な俺なので、そちらの方は、あまり気にしていなかったのだが……どうしょう……?
「あんたね〜下着ぐらいは、毎日着替えなさいよ、マジで汚いよ?」
「そうなんだ。……レヴィアさんも用意した?」
「はい。用意しました、旅の用意した物を取りにきたくて銀行にきたので」
「そうなんだ……」
良く見ると二人は、木と動物の皮で出来た大きな、キャリーバックを持っているのだ。まるで旅行にで行くように……。
その仕様が気になった俺は、問うてみることにした?
「姉さん?」
「なに?」
「あのね、旅行に行くのではなくて、一応、冒険に行くんだけど? そんなに荷物がいる?」
俺は疑問に思い。姉さんに聞いてみた?
「いるわよ、女は、ねえレヴィアちゃん?」
プンプン顔で答える姉さん。レヴィアさんにも聞き始めた?
「はい、殿方の前だと匂いとか出ていないか気になりますし、化粧道具とか、下着とか、あれやこれやで最低これぐらいは……」
顔をほんのり赤くしながら、照れ臭そうに話す、レヴィアさんほんと可愛いな〜と思っていると。
「今からでもいいから、たぬき。あんたも用意しな」
姉さんが言ってくるのだが、セレブでない貧乏人の俺には、余分なお金がない。たから姉さんに!
「だって金ね〜もん。下着だって姉さんの家に、みな置いてきたし。」と、言ったら。
「あ、そうか、あのまま帰ってこなくなったんだよね。私が気を利かして持ってくればよかったね……」
(今、姉さん。なんか悲しくて、寂しそうな表情をしてたんだけど、なんか俺地雷踏んだのかな?)と、思っていると……
「よ〜し今から買いに行こうか? レヴィアさんほらほら行くよ。たぬきは、二人の荷物持って〜」
レヴィアさんの背中を、笑いながら押している、姉さんを見て、大丈夫そう? と思いながら。
「え〜!俺が荷物持ちでっち?」と言うと━━
「あったりまえでしょ。男のあんたが持たないと、誰が持つのさ」
姉さんは、笑いながら言い。レヴィアさんの背中を押しながら、銀行を出た。
俺は二人が出たのを確認すると「よし!」と声をだし、気合いを入れて、二つのキャリーバックを両手に持ち二人の後を追ったのだ。
◇◇◇
「やっと着いた!」
冒険者組合の前で、声を漏らす俺!
「さてさて、中に入って登録、登録と……」
念願の冒険者登録、二人を差し置いて中に入る俺なのだ。
「ほんとうに、嬉しそうだね、たぬきは!」
「ですね」と、後ろから二人の声がするが、無視して中に入る。
俺は中に入ると、空いている窓口を探す?
すると、先程話しを聞いた、窓口が空いているのが確認できた。 俺は、レヴィアさんの件で、お礼も言いたいので、その窓口に座り込んだ。
そして、窓口のお姉さんに「さきほどは、どうも。」と、声をかけると、「あ!先程の方でしたか」と、言葉が返る。
「さきほどは、ありがとうね。いい人紹介してもらって。」
俺は窓口の女性に、お礼をのべると、彼女は、少し悩んだ顔をしながら?
「何のことでしょうか?」と、言ってきた。
俺は「あれ?」とは思いながらも。
「またまた」と、彼女に言うと、何だか困惑したような顔をしている。
(あれ? おかしいな? レヴィアさん窓口の女性から聞いたと、言っていた気がするのだが……?)と、悩んでいる俺に「たぬきー!」と呼ぶ声がする。
俺は振り向くと、二人の姿が目に映る。
俺は二人に手を振りながら「こっちこっち、こっちだよー!」と、大きな声を出し呼んだ。
二人は俺に気付くと、こちらに向けて歩いてきて席に着いたのだが、本当に相変わらず、注目度が高いお二人様! こちらに着くまでの間でさえも、皆が注目する。何とも凄いお嬢様方だ。
それにレヴィアさんの事も気にかかる?
あんなにも綺麗で、色香のある女性を、旦那さまになる男性は、一人旅をさせるのであろうか? ヤキモチをかいたり、しないのであろうか? 俺が逆なら絶対無理だと思う! 本当に謎多き女性だ? もしかして、人に言えない何か訳が、あるのかも? 追及しないで、そおっと、しておいてあげよう。それが男の優しさってもんだ! それにレヴィアさん何処かで会った気がするのだが? 気のせいなのであろうかと、色々な事を考えていると?
「たぬき」と、姉さんが呼んだ!
「ん?」と、言葉を返す俺に姉さんが「何ボケてんの話しをちゃんと聞いてた?」と、聞いてきた。
考え事をしていて、上の空で聞いていた俺だが、ある程度は、覚えている。
「うん。聞いてたよ」と、言葉を返す俺に、窓口の女性が質問してきた?
「たぬきちゃんさんは、ナイトで宜しいんですよね?」
「うん。そうそう。それでお願い。」
俺は窓口の女性に返答をしたら。
「それでは、皆様の登録は、終わりました。冒険者として頑張ってください。もしも、追加メンバーができた場合は、その都度組合の方に登録を、お願いします。他に何か質問は、御座いませんか?」
窓口の女性は、俺達に聞いてきた? 姉さんとレヴィアさんを見ると、納得したみたいで、質問は無いみたい。俺はというと、少し気になる事がある? だから質問してみた?
「あ!勇者になるには、ポイントを貯めると、いいんだよね?」
「そうですよ、モンスターが落とすコアや、街や村などの救済活動。指名手配犯などを捕まえるとかですかね……あ、特にポイントが貯まるのは、人に危害などを加える、大型のボスモンスター討伐ですかね。」
「そうか!ボスモンスターを倒せばいいのか! 姉さん早速ボスモンスターを探しに行こう?」
俺が姉さんに張り切って言うと、姉さんは呆れた顔で俺に。
「あんたね〜 簡単に言うけどさ~ ボスモンスター簡単に倒せないよ。国の軍隊が討伐に行っても、簡単には倒せないらしいから。」
「そうなのか……」
ガッカリする俺に更に姉さんは、止めを刺してきた!
「それにさ、あくまでも人に、危害を加えているのが対象だよ。わかった?」
「うい……」と、言ってシュンとなる俺を皆が笑い出した。
俺は、ほっといてくれと、思っていると、レヴィアさんが。
「それにしても凄いですよね? 勇者になると、爵位がもらえて、領地までもらえるんですね。」
「そうそう、だから俺、勇者を目指そうと、思ったんだ。そうすれば、また皆と一緒に暮らせるかもと思ってさ。」
「そうだったんだね……」
良く見ると、姉さんが、感動して目を潤ましているではないか?
(やばい、どうしょう? 姉さんこんなにも涙腺弱かったけ?)と、思いながら。話題を変えよう、話題をと、思い。二人に再度、何か質問は無いかと聴いてみた?
「二人はまだ、何か質問はあるかな?」
俺は二人に質問すると、レヴィアさんから?
「いいえ、無いですよ」と返り。姉さんは、べそをかきながら。
「う……ぐしゅん。ぐしゅん。あだしもない……」
と、言葉が返る。姉さんは、相変わらず感動して泣いているみたいだ。困ったな………。
「よし!質問も無いみたいだから皆行こうか? 出発しよ!お姉さんもありがとう、色々と教えてくれて、助かったよ。」
「いえいえ皆様も気をつけてください。有意義な冒険の旅になるよう、心からお祈りします。頑張ってください。」
「ありがとう!」と、言って席を立ち、冒険者組合を出る俺達三人。
扉を開けて空を見上げる俺!
「太陽が眩しいぜ!」と、言って、決め台詞を言ったつもりの俺なのだが、両手でひこずりなから持っている、キャリーバックがなんとも情けない。
「はぁあ……」と、溜め息をつく俺なのであった。