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たぬきちゃんの冒険  作者: かず斉入道
第1章 接触
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第三章 冒険者組合に登録

     第三章 冒険者組合に登録


「おい!お~い!大丈夫か、たぬきちゃん?」

 誰かが俺を揺さぶり、声をかけてくる!?

 意識をゆっくりと取り戻し。徐々にだが目を開けていくと━━ここは何故なのだか解らないが?

俺の前に見知らぬ人が?


「オッサンだれ?」

俺の体を揺さぶり、声をかけてくれる男に、問いかけてみると?


「誰と聞かれると困るが……この近くの者だよ。たまたま飲んだ帰りに、偶然たぬきちゃんを見つけただけだよ?」

 そのオッサンの言葉を聞き俺は。

「そうか、悪かったなオッサン。ありがとよ」

 見ず知らずのオッサンに、お礼を言って立ち上がると、辺りを見渡してみた!?


「…………」


━━良く見るとこの場所は見覚えがある。

自分自身が住んでいる街だと俺は、確信した。

だからオッサン、俺の事が解ったのだと気が付いて、納得してしまった。

(何せ俺は、わりとこの街では、有名人なのだから)

そして今度は俺自身が。

……あれ?

……あれあれ?

……おかしい?

……何故俺は街に戻っている!?

俺は先程迄、魔王城に居た筈なのに、何故か街に戻ってきているのだ?


「…………」


 ん……、俺少しばかり色々と頭の中を整理して、思案してみる?

すると色々な事がボンヤリとだが走馬灯のように記憶に戻ってきた……。


「…………」


あ!そういえば俺、思い出してきたぞ?

 最後に魔王が何かに変身したまでは、覚えているのだが!?

 その後の記憶が全くないのだ?

 ━━街にも、どの様にして戻って来たのかも、全くもって覚えていないのだ?


「夢だったのかな?」

 ん……ポツリとだが言葉も、漏れる……。

だが、自分自身が着衣している物を見た瞬間━━俺魔王城に居た事は、間違えないと確信する。

 魔王から貰ったレア防具。金竜の鱗を俺は、着衣しているのだ。

(魔王から防具を貰ったのだが……あっちの返事の方は、とうとう言葉をもらえなかったな……)

 俺は魔王に結婚してくれと、お願いしたのだが、返事貰えないまま堕ちてしまったのだ。

(あぁぁぁ……いい女だったな……)

 と思い、未練ばかり残ってしまった。


「…………」


 さてさて腕を組み、これからどうしたものかと悩んだあげく、取り敢えずは、組屋敷に戻る事にした。

 俺を起こしてくれたオッサンに。

「ありがと〜。……そして、あばよ~!」

 と、自分なりに格好良く決めて、銀貨を駄賃で渡し、その場を後にした━━

 そして組屋敷に戻りながら、色々と思案し?

━━組屋敷に着いた頃には俺、考えと意志が完全に固まってしまった!

 猫神組と書いた大きな表札の着いた屋敷の前に着くと、大きく息を吸い、一息入れてからドアを開けて、中には入る!


 すると中からいきなり大きな声で━━「「「アニキおかえりなさい」」」と、左右から声が響き渡る。


━━━━


 俺、左右に男達が並んだ真ん中を通り抜け、奥にある机へと向かう━━

 机に到着すると、目の前には猫族の女性が座っている。

 その女性は、とても容姿が大変に良く、深紅の長い髪と目。象牙のような肌。

━━見つめただけで、男を虜にするような妖艶な美しい猫科の女性なのである!

その美しい猫科の女性に俺は「姉さん帰りました」と、言って頭を下げ会釈をした。

「お帰り!どうだったかい?」

「いや~、姉さん。魔王、ムチャクチャ強かったですわ!半殺しにされてしまいましたわ……」

俺、下げていた頭を上げ、笑って誤魔化し、頭をかきながら照れ臭そうに説明する。

「そうかい。魔王は、そんなに強かったかい。でも、良かったよ……たぬきが無事で帰ってきたから……」

俺の顔を見て、安堵した表情の姉さん。心配かけたなぁと、心が痛む。

そして「へい!」と、言って俺返事をすると━━帰りながら考えた事を、姉さんに告げようと決意する。


「…………」

 ついついと黙り混んでしまう俺。間を取り一息入れると……姉さんに、決意した事を述べる!


「姉さん?」

「なんだい?」

姉さんから言葉が返ってくる……。

彼女の美しい顔、優しい声。両方を見て聞くと俺……どうしようかと、未練がましく意志が傾きそうになる……。

 特に姉さんには恩がある。両親が死んでから、住むところもなく、飢え死にしそうだった俺を拾ってくれて、住む所と温かい食事を与えてくれたのだ。

 だから俺は、恩返しのつもりで頑張り、縄張りを広げ。今やこの組は、この街の三大勢力の一つに成る程に成長したのだ。

 だから俺は、そんな事情もあり、なかなか姉さんに、言い出せないでいるのだが……このままでは、埒が明かない。

 だから俺、皆が居るのにも拘わらず、歯を食いしばり姉さんに言った。

「姉さん。ごめん。急にで悪いんだけど俺組抜けていいかな……?」

 俺がその言葉を発すると、若い衆達がざわめきだした。

「アニキ何故、組を……?」

「頭……」

「アニキは、俺達を見捨てる気ですか?」

 などと回りから俺に向けての色々な言葉が飛んでくる。

そんな中俺は歯を食い縛り、頭を下げて皆に言った!


「悪い……好きな女が出来た。その女を探しに旅に出たい。それと勇者を目指そうとも思う……だから皆には悪いと思うが、組を抜けて堅気になりたい……」

 俺が周りに居る皆に、そう言葉を発すると……何処からともなく、俺に対して意見する者の声がしてきた?

「アニキそれじゃ姉さんはどうするんだよ?ここを始めたのも姉さんとアニキが、二人三脚で始めたんだろう……これじゃ今まで待っていた姉さんが……」

 と迄、言いかけた所で姉さんの声が!

「龍人!おだまり……これは私とたぬきとの問題だ。お前がとやかく言うことはないんだ……いいよ、たぬき。抜けな……堅気になるがいいさ。……そして幸せにおなり……」

 姉さんが俺に言ってくれたのだが……。

 姉さんをよくよく見てみると━━目が潤んでいるのに、俺は気が付いた……。

(どうしょう?姉さんを泣かせてしまった……)

 俺そう思うと、彼女を泣かせてしまった事への罪悪感が募ってきた……どうしよう……?

 実は俺、気が多いかもと思われるかもだが、魔王にも惚れているが、姉さんにも惚れているどうしようもない男なのだ……。

それに俺がガキの頃から一緒に住んでいる訳だし、男と女だ、

だからそういった夫婦の関係なのだ!

だから俺の舎弟である龍人が姉さんの為に怒ってきたのだ……。


「…………」

姉さんを見てると、惚れた女だ抱き締めたくもなるし、旅に出ようと思う気持ちも薄らぐ、このままここに残り、二人で家族を沢山作ろうと思う衝動に駈られる……。

だが俺、その気持ちを押さえ、後ろを振り返り━━

 皆に「お世話になりました━━!」と、頭を下げ最後のセリフを言った!


━━━━


またまた若い衆の間を抜けて、事務所の扉を開ける━━

後ろを振り返る事をしない俺、皆に「アバヨ~!」と、心の中で呟き━━屋敷を出て暗闇の中へと消えて行った。



             ◇◇◇



 泊まる所も無く、野宿で済ませた俺は、目を開けると冒険者組合へと向かった。

 今までは自称勇者様だった俺は、どうしても本物の勇者になりたい。

そのためには冒険者組合に登録して、ポイントを稼いでいく必要性がある。

 それに組合に登録していれば、魔王探しの最中にクエストさえこなしていれば、お金にも困らなくてすむのだ。

仕事をしながらの魔王探しも考えたのだが、各町や村に移動の度に運良く日雇いの仕事があればいいのだが。

そう簡単には無いとは思う……!?

 それに俺は基本、人に命令されるのが嫌いなのだ。

 だから雇いで働くのは基本無理な俺なので、気楽な冒険者の方がいいのだ。

 だから冒険者組合に向けてレッゴーするのだー!



━━━━


 冒険者組合に着いた俺は、扉を開けて中に入ってみると、銀行の様な窓口が沢山あるのが目に付いた。

 そして回りを見渡してみるが、まだ朝早い事もあり、来客もまだまだ少ない。

 そんな中俺は、何処の窓口に座るかと、キョロキョロして辺りを見渡した。

「こちらにどうぞ!」

 何処からともなく女性の声が?

俺、再度辺りを見渡し声の主を確信する。

すると俺に一番近い位置にある窓口の女性が、ニコニコと微笑んでいるのが確認できた。


……この人かな?

俺はそう思うと「はぁ」と、返事をしてその窓口の席へと座った。

「クエストの精算ですか?」

「いやいや違うんだけど」

俺は彼女に手を振りクエストの精算ではないと告げる。

「申し訳御座いません。朝早くからの来店なので、てっきり夜のクエストの精算者の方だとばかり思っていました。」

 

 そう謝罪されると俺は「いえいえ」と返事をして、窓口の女性に質問した?

「あの……初めてなんだけど……」と、言うと。

 すると、窓口の女性が「初めて……?」と、問いかけてきたので、俺は「ええ、冒険者登録をしたいんだけど?」と、返事をしたのだが、何故か窓口の女性は、困った様な顔をしだしたのだ?

 その様子を見て俺は「何か不都合があるのかな?」と、問いかけてみると。

「あのですね……大変申し訳御座いませんが、冒険者登録は、パーティ登録でのみ受け付けております。個人でのみの登録は、受け付けていないんですよ……」

 と言ってきた。━━俺はその言葉を聞いて「うわ。マジ、どうしょう!」と、思いながら。

「えぇぇぇぇ……マジで、一人じゃダメなの?」と聞いてみると。

「はい。安全性を考慮して、最低三人は居ないと、いけない規則になっていますので、申し訳御座いませんが……」 と言われた。

 そして「どうするかな~?」と、思い悩んだ顔をしていると、女性は可哀想だと思ったのか?

「あの……?」と、言ってきた。

 俺は「え!何……?」と、言い返すと。

「パーティ募集の掲示板があるので、そちらに記載してみては、どうでしょうか?」

 と、提案してくれた。

 俺は「そんなのがあるん?」と聞くと。

「はい。あちらにありますよ。」 と、指を指し教えてくれた。

 俺も指差す方向見てみると、幾つもの紙が、止めてあるのが見えた。

 そして「あれか?」と、思いながら。

「紙に書いてあそこに貼ればいいのかな?」

 と、尋ねてみると。

「そうですよ」

 と、ニコニコ顔で答えてくれた。

「じゃ書いてみるかな!」

 と、言うと!

「はい、頑張ってくださいね。」

 と、言葉が返る。

「よ~し」と、思い席を立ち、掲示板へと向かう。

 ━━「あれ?」と、ふと思いだす。

 紙と筆が無いことに気付いた。

 どうしょうかと、考えながら再度受付に戻り、女性に貸して貰えるかどうか、聞いてみることにした?

「あの~?」

「はい、まだ何か?」

 と、聞いてきたので。

「悪いんだけど、紙と筆貸して貰えないかな?」

 と、聞いてみた。すると女性は「いいですよ」と、笑顔で貸してくれたのだ。


「助かった」と思った俺は、ついでにと思い、他の事もお願いしてみる事にした。

「もしもパーティを、組んでも良いと思っている人が、来たら前の酒場にいるからと、伝えてくれないかな?」

 と、両手を合わせ女性にお願いした。

 すると女性は「忙しい時などは、厳しいかも知れませんが、気付いた時などで、よろしければ、よろしいですよ。」と、気の良い返事をくれた。

 俺は女性の両手を握り、何度も何度も「ありがとう」と、お礼を言って紙にパーティ募集を記載して、席を立ち紙を掲示板に貼ると、冒険者組合を後にして酒場へと向かった。



             ◇◇◇




「はぁ……」と、溜め息をつく俺。

 もう既に、お昼も過ぎて……そろそろ夕方になりそうな時間。

 午前中から店にいるが……いまだパーティを組んでも良いと思う人がこない。

 ━━回りを見てみると、そろそろお酒を飲みだした人達も増えてきている。

 さ~て今日は、どうするかなと、色々と考えてしまう?

 宿に泊まるか、それとも今日も野宿をするかと、思案して、これから先の旅の旅費を考えると「野宿するしかないかな~」と思うと、溜め息が漏れそうになる。

 魔王城に行くまでは、姉さんの家で、居候していたので、寝る場所には困らなかったのだが、何年ぶりかに帰る場所の無い、生活をしてみると、かなり辛いものがあると、思いふさぎ込んでしまう。

 すぐにパーティメンバーが、集まれば、何も考える事もなく出発出来るのに。

「あぁ……人が集まらなければ、辞めようかな……」と、居酒屋のテーブルで、ふさぎ込んだまま、一人でブツブツ言って、愚痴っていると。

「あの~?」と、女性の声がする。

 ━━俺は「え!」と、思い顔を上げると、女性の体が目に映る。

 ━━そして更に顔を上げてみると、女性の顔が映った。


「……エルフ?」と、思いながら「何かようですか?」と、訪ねてみた。

 すると、エルフ女性は、俺に。

「あの~掲示板見て、窓口の方に、こちらに居ると聞き尋ねてきました……もうパーティメンバー募集は、締め切りましたか?」

 と、尋ねてきた。

 

 俺は待ちに待っていた、その言葉を聞いて、慌てて「いいえ、まだですが」と答えると、エルフ女性は「よかった……」と、笑顔で言った。

 そしてその笑顔と容姿に俺は、思わず見とれてしまう!

 何とも美しい金髪の髪に、長穂耳。オッパイもボーンと出ていて、スタイルも大変良い。

 まさに、非の打ち所もない、女性なのである。

 ━━回りの男達も、食事やお酒を飲むのを止めて、俺同様に見とれている。

 服装の方も魔法職なのだろうか?

 見たことの無い様な、黒に赤や金の模様の入ったロープで、まるで異国の皇女様が着ている様なデザインなのだ。

 ━━そしてその服装も、大変良く似合っているのだが。……ただ妙に胸元が開いていて、目のやり場に困ってしまうのだ。

 だが……そんな容姿の大変良い、彼女の事が、ふと疑問に思う俺……?

 何故?……冒険者になりたいのだろうか、俺は確か、紙に記載した募集要項に、人探しと、冒険の旅と、記載したと思うのだ。

(……どう見ても結婚前だよな……?)

 結婚前の若い女性が、男と旅とはどうかと思うのだが……?

 そして、本当に大丈夫なのであろうか……?

 ━━その辺りを聞いてみる事に決めて、質問した?


「あの……?立ったままだと、邪魔になるだろうから、席に座ったらどうかな?」

「え、あ!すいません……」

 俺の前に座る彼女……

(やっぱり綺麗だよな……)と、思ってしまう俺……!

「あの……初めましてだよね?」

「はい、そうですけど、何か……?」

「いやいや、女性なのに何故、男の俺なんかと、パーティを組んでも良いと、考えたのかと思って……だから前に一度でも会った事が、あるのかなと、思ったんだけど……違うよね……?」

 と言って、今まで照れ臭くて、マジマジと、顔を見ていなかったのだが、じっくりと見てみると、前に何処かで、会った事がある様な……無い様な気もするが?

「ま、いいか……」と、思っていると。


「は、はい。初めてです……」

 と、真っ赤な顔して、うつ向きながら答える彼女を見て「可愛いな~」と、思ってしまう。

 そして初めてなら何故……?

 こんなにも美しい人が、俺みたいな奴と一緒にと思い?

「じゃ何故、男の俺と?……人探しと冒険と、書いたんだけど大丈夫?……いつ終わるか分からないよ?」

 と、尋ねてみると。

「はい、大丈夫ですよ。エルフは長寿なので、期間は大丈夫です。それに人探しは、女性ですよね……?」

 と、逆に聞かれて俺は、戸惑ってしまう。

「え!俺?……いや、まあ……あははは……」

 と、笑って誤魔化すと、俺は更に話を続けた。

「結婚を申し込んだ女性がいるんだけど、その女性が今何処に居るのか、分からないので探して、返事が聞きたくて……だから旅にでてみょうかと思って……」

「そうなんですか……良い返事を貰えると、よろしいですね。」

 と女性は、優しく微笑みながら、言ってくれたのだ。

 そして俺は「うん。ありがとう」と、返事をすると、彼女は、

「私は逆に、結婚を申し込まれました。そしてどうしょうかと、悩んでいたんですけど、なかなか決まらず、旅に出てゆっくりと、考えて決めようかと?でも……女の一人旅は、物騒ですし……出来ればボディーガードをしてくれそうな男性を探していたところ、冒険者組合の掲示板を見て、こちらにきました。」

「へ~そうなんだ。じゃ窓口のお姉さんに、ここに居るって聞いたの?」

「え!……あ、はい?そうです、そうです……ほ、ほほほほ……」

 と、何故か笑い出す彼女を見て「どうしたのだろう?」と、思いながらいると、先程からふと俺に対して、熱い眼差しをくれる、人達が居る事が気になる?

「ただね、俺。ボディーガードは、大丈夫なんだけど、とにかく喧嘩早いのが、よくなくてね……」

 と言って、立ち上がると!

「おい!お前らさっきから何ニヤニヤ笑っているんだー!」

 と、店の中で大声で怒鳴ると!


「「「え、へへへへへ……」」」

 と、笑いながら複数の男達が立ち上がると、こちらに向けて歩いてきた。

 その中のリーダーらしき男が━━

「おい!たぬきちゃんよ。お前猫神組辞めたんだってな?」

 と言って、俺の顔に顔を近づけて、ガンをつけてきたきた!

 俺はすぐさま男達に━━

「は~あ~!だからどうした?」

 と、男達にガンをつけ返すと━━


「俺達わよ。前々からお前の事が、気に入らなかったのよ。ガキのくせに生意気だしな。猫神に居たから我慢してたんだけどよ。……組を抜けたんやら容赦しね……それにそこの美人の姉ちゃんも、そんなガキ放っといて、俺達の所に来な優しくしてやるからよ。」

 と、リーダー格の男が言うと「え、へへへへ……姉ちゃんこっちに来な」と、言って取り巻きの一人が、女性の手を掴んだ!


「いや~痛い。やめてください!」

 と、言って声を出す女性!


 それを見た俺は━━カチンときて、一気に加速スピード上げる。

 刹那━━男の腕を握り上げ、女性の細くて華奢な腕を解放する。

「いてててて。何をしゃがる貴様……腕を放せ……」

「はあ~お前何を言っているんだ?このまま腕をへし折ってやるよ。」

 と、言って男達を睨むと━━

「貴様……」……「はなしゃがれ」……「お前いい加減にしねえと……」

 と、男達の汚ない台詞が帰ってくる。

 どうするか、このまま、ここで暴れるか?……暴れると、店に迷惑がかかる。……さてどうするか?……色々と思案する俺?


「まちなー!」

 と、何処からともなく声がする?

「あんたら、ここで喧嘩すると、店に迷惑がかかるだろ。やるなら外でやりなー。」

 と、女性の威勢のいい声がする。

「はあ~誰だ今文句を言った奴は」

 と、男達の一人が怒鳴ると━━

「あたいだよ!なんか文句があるのかい?」

 という声に、店に居る皆が一斉に注目する!

 そして、あちらこちらから、聞こえてくる声!


「「「げ……」」」

「「「うわ……」」」

「「「朱華だ~!」」」


「え!……朱華?」

 ━━俺も思わず、声のする方を見てみると、そこにはなんと、姉さんが居るではないか。

(何故姉さんがここに?)と思いながら。

「姉さん」と、声が出てしまった。

 すると姉さんは━━俺と目が合うと「ニャ!」と、可愛く声を出し手を振ってきたのだ。


 一触即発状態だった、その場は、姉さんが来たことで、拍子抜けしてしまい。

 店の中に居た者達も、何もなかったかの様に、また飲食を始めだした。

 俺に絡んで来た男達も━━リーダー格の男が、回りの男達に首を降り「行くぞ」と、声を出し出口に向かって歩き出した。

 姉さんとすれ違いざま「ふん!」と、鼻息をして店を出ていった。

 ━━その姿を見た姉さんは、後ろを振り向いて「あっかんべー!」と、男達にしている!

 ……それから男達が、店を出るのを確認すると、また笑顔で、手を振ってきた。

 その様子を見ていた俺は、先程とは違う、緩んだ顔で「どうして姉さんがここに?」と、問うのであった。

 

 

 



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