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たぬきちゃんの冒険  作者: かず斉入道
第1章 接触
1/9

少年の旅立ち!

 ある日父ちゃん、母ちゃんの枕元に、タヌキの神様である。おタヌキさまが立ったとさ~

 そのおタヌキさまは、父ちゃん、母ちゃんに言ったとさ~

 この産まれたばかりの赤ちゃんは、将来、この地上を救えるか、どうかは、分からないが、勇者になると……そして名前をたぬきちゃんに、するようにと、告げたのさ~


 たぬきちゃんと名を付けられた。少年はスクスクと、清く正しく、育てば良かったのですが。

 名前のせいで、幼少の頃から、皆にからかわれて育ち。

 町一番のヤンキーに育ったのだ。

 そんなヤンキーたぬきちゃん。

 またまた枕元におタヌキさまが立ち。

 お告げを告げた……!?

 そして、そのお告げの内容は……?

 勇者たぬきちゃんの冒険……はじまりはじまり……!

       第一章 接触(一)

 

 薄暗い通路。

 両脇の炎だけが、風でゆらりゆらりと、揺れている。

 それはまるで、鬼火のようにも見える。

 ぼんやりと、灯りが照らす中を風のように俺は走り抜けて行く……

 ━━そして、どれぐらいの時を走り抜けたのであろうか…… ?

 とても大きくて黒い、金の華やかな細工模様の入った扉が目の前に写る!

 その前に着くと俺━━勢い余って止まらずに━━扉の前で振り子の玩具のように、ひっくり返って起き上がる!


「……いたたたたたたたた……マジでいたいわ……」

 と独り言を呟く俺は、内心は「も~ハズかしい。近くに人がいなくて良かった」などと思ってしまった。

 そして、自分自身のお尻をさすりながら、立ち上がり、ズボンを叩いて、目に見えないホコリを落とし━━正面の扉を見つめる。


 扉の両脇には備え付けの炎が見える。

 魔王の城、若しくは、ダンジョン。その中を吹き抜ける、心地良い風が、炎の灯りをゆっくりと揺らし、更に魔王の部屋の雰囲気を適度にもかもし出す。

 ━━そして、俺は扉を見つめ。……大きく息を吸いこんで吐き、大袈裟な深呼吸を始める。


 そして更に、一呼吸を入れてから━━扉を見上げ正面を向き、両手で扉のノブに手を掛けて。重たい扉を力強く、一気にこじ開け。━━中に入り込りこんだ!


 辺りを確認して正面向いてみる。

 一番奥は、高台の様になっているのが確認できた。

 上には玉座らしき物があり、誰かが座っているのが目に映った。

「たぶん。あれが……魔王だ!」と瞬時に思いながら!?

 俺は、座っている者を睨み付ける。

 そして腰に差している。愛刀お月見団子を抜いて、しっかりと、握り構える。

 

 俺の瞳は、熱血童話の主人達のように。メラメラと炎のように燃え上がる。


「よ~し。マジで童話の中に出てくる、英雄達のようだー!」と大声で叫びたいのだが。ハズカシイので小声で━━独り言のように呟いた。


 魔王の部下がいるのだろうかと、気になり━━『キョロキョロ』と辺りを見渡してみるけど━━魔王以外誰もいない気もする!?

 あらあらと、拍子抜けしてしまう僕。

「よ~し。デワデワお命ちょうだいしますか、魔王さま~」

 と、ジョウダンぽく。声を発する俺。

 それでは、行きますか━━!


 刹那━━玉座に向けて風を切り、弓矢のように一気に加速する!


 静まり還った空間の中、風を切る━━俺の足跡だけが響きわたる!

 ……そして「魔王ー! 覚悟ー!」と憤怒して叫ぶ、俺の大きな声だけが響きわたり、静かな沈黙を打ち破る!

 更に更にと玉座へと迫る俺━━!

 俺はいよいよ、玉座に座る魔王をハッキリと、視野にとらえた!

 漆黒の鎧に翼! 頭鎧には、左右に山羊の様な太い角が、曲がりながら、前に突き出している。

 顔は、よく見えない……!? 男なのか、女なのか……? ここからでは、ハッキリと見えないでいる……!?

 魔王は玉座から立ち上がると、先程まで片手で持っていた、大きな鎌の様な武器を両手で持ち直し、俺を待ち構えている!

 俺は更に、風を切る速度上げて、加速しスピードを上げていく!

 俺の得意な神技の一つである。神速なのだ!

 俺は勇者であり、数々の神技が使える男なのだ!

(たぶんだけど……)

「よし! 仕留めた!」


 俺は魔王に、剣を勢い良く振り上げて━━弓矢のように振り落とし、岩をも砕く勢いで斬りかかる!

「ふふふふふふふ……はっはははははは……」

 可哀想だが、お命は頂戴した。


………………!!


「……あれ?」

 ……鎌で避けられた?

 仕留めたと思っていたのに。魔王は鎌で、俺の岩をも砕く重たい、剣戟をアッサリと交わして処理したみたいなのだ。

 ……縦が駄目なら。今度は横━━右足で空を裂くように、魔王に蹴りいれる。


「ぐほぅ……うぅぅぅぅ……」

 なになに?……俺の腹部に激痛が走る。

 何が起こったのか、全くもって理解できていない俺。腹部を押さえて座り込んでいる。


 どうも魔王に蹴りを入れたつもりなのだが、逆に鎌の後ろで、腹部を強打されたみたいだ。

まるで岩で殴られたような痛みが走る━━!

「これは、やばいな……」などと思いながら、腹部を押さえていると━━後ろから足跡と共に、黒い影が近寄ってくる。

 俺は尽かさず、後ろへ、馬のような蹴りを入れる!


「う、わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

『ガシャ』

 蹴りを入れたはずの俺の足が━━魔王に捕まれて、ゴミのように放り投げられた。

「いてててて……」と声を出し。頭を振りながら、回りを見ると━━どうも鎧に倒れこんだみたい。


 何故?こんなところに鎧が!?

……などと考えていると!?


「お前は人種のようだが、何者だ?……何故?一人でこんな所にきたのだ?」

 俺に魔王が問いかけてきたのだ。━━そして声をよくよく聞いてみると、男ではなくて女の声なのだー!


「え~!魔王って女?」


 俺はびっくりして、大声を出した!

 すると魔王は「ツカツカ」と俺の近くまで来ると、座り込み。左手で俺の首根っこ掴むと、そのまま立ち上がった。

「貴様!誰に向かって、女、などと言っている。この無礼者が!」

 憤怒して俺を怒鳴り付けてきた!


 俺は、首根っこを掴まれている状態なので、魔王の左手首を両手で握りしめ。地についていない足を『バタバタ』としていた。


「うぅぅぅぅ……苦しい……死ぬ……すいませんでした……」

 と、あっさり魔王に謝罪をすると、またまたゴミのように、放り投げられた。

『ドスン……』

俺の尻餅を付く音が、静かな部屋に響き渡る!


「いたた……くそーこの怪力女が……マジでいてじゃないかー!」

 俺は心の中で呟いたつもりだったのだが、よほど頭に来てたのか、ついつい言葉に出してしまっていたのだ。


 こんな暴言を吐いたのだから、魔王ときたら、それはもう、ヒステリックになったはずだと思って、恐る恐る前を向いてみると?


 案の定!━━『ドッ!ドドドドドドドドドドドド』と、床の上なのに、砂の上を歩いているような、錯覚が俺の耳に響いてくる!

魔王は、そんな音を錯覚させるような勢いで、無言を決め込みながら、鬼の様な形相で、俺の方へと向かってきた!


 魔王の回りから流れる負のオーラは━━俺を委縮させる。

「マジでヤバイかも……殺される」

 そんな事を思っていると━━!?

『ドスン!』━━『ぐふ!』━━『ガシャ!』━━

風を切り、辺りには小さなホコリが舞う!

 ━━そう俺は魔王にいいように、蹴り回され、殴る蹴るはのサンドバッグ状態━━!

 このお姉さまは、マジでサドですか!━━頼みますから、顔はやめて、ボディでボディでと、言いたくなる。


 ……小さなチリのようなホコリが、部屋の灯りで照らされ、雪がヒラヒラと、落ちているように見える。

俺はその様を見ながらもう駄目だ。精も根も尽きた。好きにしてくれと、いった感じで大の字になる。


 ━━すると魔王、横に来て座り込み。俺の顔を眺めて来た。

「何とも酷い顔しているな、人間。」

「ふん!……ほっといてくれ。あんたが、殴り回すから、こんな顔になったんだろう……」

俺は苦笑いしながら、魔王に告げると━━

「ふん!まだ減らず口を叩くか。懲りないやつめ」

 相変わらずの上から目線で、生意気口調の女魔王さま。俺に微笑み掛けてくれた。


 あれ? あれ? あれあれ? ちょっと待てよ!? 今まで気にもしなかったが、まじまじとよく見ると、何とも美しい顔立ちをしていらっしゃいますこのお姉さま!


 漆黒の長い髪に、雪のような白い肌それに付け加え、笹のように尖った長い耳。そして血のように赤い、紅の瞳。

 そうまるで魔王といった表現よりは、女神さまといった表現の方が、似合いそうな女性なのである。

 俺は勿体ないな~と、思いながら。あの高飛車な言葉遣いは、何とかならんのか~!? などと思いながら。あれがもし、おしとやかな女性で、優しそうな、お姫さま口調の言葉遣いならば、絶対に両手を合わせ。拝んでいると思ったほどだ。

 そして今でも━━「勿体ないやら~勿体ないやら~」と拝みたいぐらいだ。


「おい、人間!まだ先程の返事を聞いていないが。どうやってここに来た?この竜宮城は空を飛んで随時移動している城だ。そして地上に降りるのも、ある特定の場所にだけと、限定されているのに……何故!お前は知っている?」

 魔王が、少し悩んだような顔をしながら、俺に質問してきた。

「あー!空を飛んでるなんて知らね~よ?……俺も人からここに魔王のお城があると、聞いただけだ。」

「誰に聞いた?……ここに降りるのを知っているのは、私の身内ぐらいだが……?」


 さらに困惑したような表情を始めた魔王に俺は━━


「枕元に、おタヌキさまが現れて、魔王城は、ここに来れば良いと教えてくれた。そして後は、魔王を封印してくれと、頼まれた。……ただそれだけだ」

 と、言って魔王に説明してやると━━

「……うぅぅぅぅ……あのくそ爺めが、何を考えている……」

 そう言ってぶつぶつと呟きだした。

 俺は、あれ?もしかして魔王は、おタヌキさまと、知り合いか?などと、思っていると━━

「まー!それはおいといて……お前は私を封印すると言っているが、どうやってするつもりだ?」

魔王、不思議そうな顔で尋ねて来るので━━


「いや~できると思っていたんだけど……魔王さま、あんたマジ強いね……俺マジびっくりした。村や町では、一番強いんだけどな~ 」

 と、いったカッコ良い台詞を言った俺なのだが、魔王は、そんなことはお構いなしに「ふ。ふふふふふふ……は、ははははははは」と、お腹を押さえながら笑い出し。相変わらずの上から目線で、俺に話しかけてきた。

(ほんとうにマジこの女、腹たっわ……マジで一度、男というものを教えてくらわしてやろうか、俺の大物主で……)


「お前は、バカかなのか?そんな軟弱装備で、私に何ができるというのだ?」

「ふん!悪かったな。金がねえんだよ!金が!……貧乏だから防具も買えねえんだよ。」

 魔王にしばかれて、体が動かないのだが、口だけは達者に動くので悪態だけは付いてやった。


「それによ!?お前はだって人のことは言えないだろうが……凄く魔力が上がりそうな、チート防具と武器もって……マジきたね~ それに女なのに男の目の前で大股開いて……このビッチが!」

 と、魔王に言ってやると━━

『ドカン!』━━『ボカン!』━━『ぐふ……』━━

またまた空を裂くような拳の音と、ゴミのように叩き付けらる、俺の頭や体の音が、部屋に響き渡る!


 やっぱり怒りました。━━このお姉さま、真っ赤な顔して座った状態で、俺の頭を床で強打して━━そのまま顔面を殴ってきた。


 俺は、一瞬死んだおやじとお袋の顔が見えたぐらい。━━今生きているのが不思議なぐらいだ。

 笑顔で俺に、まだこちらに来るなと、言ってくれた両親を本当にありがたいと思い。俺を頑丈に産んでくれた事にも感謝したのだ。


「こ、こ、この下郎が、き、き、きさまは、今なんと言った!?」

「ハアハアハア……いて~な。魔王の事をビッチって言ったんだよー このビッチがー!」

「貴様と言うやっは……このこのこの……」

『ボゴ』━━『ぐは!ごほ!』━━『ドスン』━━『ぐへ……』━━

「ず、ず、ずいません……ゆるひてくらさい……」

 もう俺の顔、どうなっているのだろうか?

 魔王に殴り回されて、元の顔立ちが、分からないぐらいきっと、腫れ上がっているに、違いないと思いながら!?


「くそ……悔しいな……手も足をでないな……マジで悔しいし……」

 と、ついつい涙を流しながら、独り言を呟いて、愚痴った。


 すると魔王が……?


「どうだ?自分の技量というものが、よくわかったか?お前では私を倒せん。……え~と?お前の武器はあそこか。私が拾ってきてやろう……そして傷は、回復魔法で手当てしてやるから。治ればここから立ち去るがいいぞ……」

 そう言って言葉を吐き、立ち上がると、俺の愛刀お月見団子が転がっている場所に向かって歩いていった。

 そして、その羽のある。後ろ姿を眺めながら俺は、なんか寂しそうな背中をしている女性だなと思ってしまう。

(もしかして魔王はここで、独りで暮らしているのかも?)そんな事を考える!?


 そして先程、俺を覗きこんできた、魔王の表情は、妙に人なっこい。━━そして、寂しそうな瞳で、俺を見ているような気がしたのだ。

(もしかして魔王は、独りが寂しいのか?)

 そんな疑問が、俺の頭の中を駆け巡る!?


『━━ガシャ……!』

 魔王が、俺のお月見団子を持ち上げる音がした!


「ん!……おい、貴様!この剣をどこで手に入れた?」

「剣て、それか?」

「そうだ!これ以外、何が他にある」

 急に魔王が、俺のお月見団子を見て、慌てて問いかけてきた。


「それは俺が、産まれたときに、お袋の枕元に、おタヌキさまが現れて、産まれた子供にあげてくれと、おいていったみたいだぞ。何でも俺が将来勇者になるから。いるようになると、言っていたみたいだが……その剣、お月見団子の事を知っているのか?」


「いや……少しな……」

 何か急に考え出した魔王……!?

 考え事をしながらこちらに向かってきた!


 俺の横に近寄ると、座り込んで回復魔法を当ててくれた。

『おぉぉぉぉぉぉ……何て気持ち良いのだー。マジで力がみなぎってくる。それにしても、相変わらずだがこの女。また俺の目の前で大股を開いてる。……ほんとうにマジでビッチなのか?……俺の物まで、元気になるじゃないか……』と、思っていると、魔王が話しかけてきた。


「おい、貴様!調子はどうだ?幾分かは、楽になったとは、思うのだが?どうだ?立てれそうか」

「ん?……あ……大丈夫そうだ。ありがとう。」

 俺は今度は、素直にお礼を言うと、立ち上がった。

 そして、手をブラブラしたり、肩を回してみたりと、体の動きを確認してみた。

「どうだ?動けそうか?」と言いながら、お月見団子を渡してきた。

 俺は「ありがとう。助かったよ」と言ってお礼を述べた。

 すると魔王は。

「私がしたのだから別に構わんが。……ただ、う~ん。どうするかな……あ!そうだ。そこに転がっている防具をお前にやろう」


「いいのか?高そうな防具に見えるが?俺なんかが貰って……」


「あぁぁ、別に構わんさ。どうせあれは、私では扱えないからな。そしてその鎧なのだが、この竜宮城に伝わるレア防具の一つ金竜の鱗だ。どうだ凄いだろう?着てみるが良いぞ。」


 ━━俺は先程倒れこんだ時に見かけた、防具の側に慌てて移動した。

 見た目は、金色ではなくて、銀色なのだが……「まあ、いいか。ただでくれるんだし」と、思いながら着てみる事にした。

 そして、着衣した俺の脳裏に、このセリフが流れる。

(ピロリ~ン!たぬきちゃんが、魔王城でレア防具を手に入れた。)

 防具を着た俺━━初めて手に入れた防具なので、嬉しくてたまらない━━そして着衣した、自分自身をまじまじと、見つめる。


 色は、先程でも述べた通り。金竜の鱗といった名前の防具なのに、何故か銀色なのだ。━━でもデザインの方はとてもカッコ良く。

 両肩に竜の頭が付いていて、防具自体にも、色々な模様が刻んでいるのだ。━━それにフィット感も悪くないし。とても軽いのだ。


「なかなか、似合うでわないか」

「そ、そうか……?」

「それにしても……金色に輝かないな?」

「この防具は、名前のとおりに銀色では無くて、金色なのか?」

「うむ。……そうなのだが……?」

 俺の近くまで寄ってきて、首を傾げながら、食い入るように防具や俺を見る魔王━━近い、近い、近すぎる。

 ……魔王からとても甘い、良い香りがする。……女性独特の香りなのだろうか?━━俺の煩悩を刺激するのだ。

 そして魔王の防具も━━良く良く見てみると、とても女性的なデザインの防具で、かなり露出も多いい作りなのである。


 そんな魔王を俺はまじまじと見ると━━胸元が大きく空いているのが確認できた。

 そして防具の胸元の隙間から、魔王のはち切れんばかりのオッパイが━━ちらちらと見える。


「…………ごく……!」


 生唾を飲み込んだ俺。……もう魔王のオッパイばかりが━━気になって気になって、しょうがない。

 等の魔王はというと、立て膝付いて座り、何故か俺の下半身の辺りを興味深そうに見ている。


………………


 無言になる俺……

 魔王の今いる位置と姿勢。━━見えそうで、見えない。魔王の大きなオッパイが、俺の脳を刺激して、妄想力を一気に爆発させる。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 と、大きな声を出す俺!

 防具が黄金のような色合いに輝きだした!

 ━━よく見ると魔王もびっくりして、尻餅を付いている!


 ……嬉しさのあまり、金色になった防具を確認する俺。

 ……魔王に声をかけ報告しようとすると━━「シュー」と風を斬るような音が聞こえ━━確認してみると、魔王の手刀が俺を襲ってきていた。

 ━━反射的に避ける俺!

 そして魔王を怒鳴り付けた!

「このくそアマー!俺を殺すきか!」

「フフフ……。なかなか良い反応でわないか。先程のお前なら、今の一撃で、首が飛んだいたぞ。」

 笑いながら、手刀で居合のポーズとっている魔王。

 ━━居合のポーズを止めると、落ちている俺のお月見団子をひらって、俺に「そら」と━━言って投げつけてきた。

 俺は「あぶねえな~」と言って受け取ると、魔王はいきなり。

 ━━「でわまいるぞ」と、言って鎌をもって振り回し━━襲ってきた!


『ヒュン!ヒュン!』と、鎌の風を斬るような音が響き渡る!


「おい!あぶねじゃねいか!……やめろ魔王、やめるんだー!」


 魔王に舐めるように説得してみるが、このサドお姉さま。一度始まりだすと、もう止まらない。


「ほらほら、避けぬと死んでしまうぞ、その剣は、飾りものか?」


「あ~あ、ほんとうに、嬉しそうに攻撃してくるな。この女だけは……」と、思いながら、少しばかり呆れてしまう。

 うんざりしだした俺は、今の俺なら、魔王を倒せるはずだと思い思案する。

 ……でも倒してしまうのは、かなり勿体無いとも思う。

「どうしょう?……実は、シバキ回されている間に、あのサド女に惚れてしまった……そんな俺は、実はマゾなのかも……」

 そんな事を考えながら、人生最大の決意をきめ。あの女に、愛の告白をしてやることに決めた。

(どうせ、あのサド女には、俺ぐらいしか、嫁のもらいてが無いはずなのだから。今度は俺が、上から目線で言ってやる。そしてあの女を俺の私物化にする。そしてあんなことやこんなことをして、俺の愛玩奴隷にしてしまおう。)


 ……そんな魔王との愛の生活を色々妄想していると、ヨダレが垂れそうになった。……そしてさらに、魔力が上がってきたような、気がする俺!

 今の俺には、怖い者などなにもない。……よ~しと、気合いいれて、魔王に話しかけた。


「おい!魔王!ちょつとだけ待て、話がある。少しだけでいいので、俺の話を聞いてほしい。時間はとらせん!?」

「うん。……なんだ?話とは?」

 あれあれ? あっさり攻撃やめちゃつた!

 ……まあ、良いか!?これで言いやすくなったぞ。

 よ~し。気合いを入れて、魔王を口説くぞー!たぬきちゃんガンバー!


「魔王いいか、よく聞け!」

「なんだ?はやく言え!」

「う~んとえ~と……あれだな?今日は天気がいいな……」

「はぁ~?そんなことを言うために戦闘を止めたのか、貴様は?……くだらん。……でわまいるぞ。」

「いやいや、違うんだ。ちょつと待ってくれ。もう少しだけ、心の準備が……」

 俺は緊張を解くために、大きく深呼吸を始めた━━戦闘狂のサド女をチラ見してみると「何してるんだ?」と、でも言いたそうな顔をしながらこちらを見ている━━そしてやはり、見れば見るほど「いい女だな~」と、思ってしまう自分。━━そしてだからこそ自分自身に後悔したくないので、俺の気持ちをぶっけて、みることにした。


 ……覚悟を決めた俺。━━魔王に向かって手を伸ばし、頭を下げ、問いかけた。


「最初から決めていました。……惚れました!結婚してください!お願いします!」

 俺は魔王に愛の告白した━━頭を少し上げて魔王を見てみると、顔を真っ赤にして、困惑したような顔をしている。

 俺は更に言葉を繰り出し。

「お願いします!君の全部を俺にください。幸せにします……だからお願いします!」

 俺は力強く魔王に愛の告白を言った。━━そして、のばしている手にも更に力が入る!

 汗ばむ手を伸ばしながら、緊張している俺。静かな部屋の中で、心臓のドキドキ音だけが妙に聞こえてくる気がする。


 …………無言で待ち続ける俺━━すると……


「ヒュン!」と風を斬るような音に一瞬だが「キラリン」と電光のような光が見えた気がした?

 俺は慌てて手を引っ込めると、魔王の鎌が先程まで自分自身の手があったと思われる位置に、落下していた事に気が付いた!


 ……びっくりする俺!

 慌てて魔王に文句を言いい始めた!


「こら!お前、今、何をしたのか、分かっているのか。もう少しで、手が無くなるとこだったんだぞ!?」

 魔王に俺が怒鳴ると!

「あぁぁ……分かっているとも。貴様!私に何を言ったのか、分かっているのか?」

「うん。わかっているさ、結婚してくれって、告白したぞ。何か変なことを言ったか?素直な気持ちを伝えたつもりだが……?」

「貴様!本気で言っているのか?私を愚弄しているわけでは、あるまいな?」

 相変わらず、顔を真っ赤にしている魔王━━ほんと見れば見るほど可愛いな……この調子ならもう一息でデレ落ちしそう!

(せめて! せめて! せめまくるのだー!)


「あぁぁ……ハニー本気だよ愛しているよ。そして沢山の子供を作ろう。君となら十人でも二十人でも僕は、大丈夫だよ。今日から子作りに励もうではないか。さあ~おいでハニー!」

 両手を大きく広げ、魔王に呼びかける俺!

(このサドお姉さま。やはり押しに弱そう。ふ、ふふふふふ、あ、ははははは……後もう少し、後もう少しだ……)


「や、や、やはり私を愚弄しているではないか、先程から、子作りとか、私の体の事や、エッチな事ばかり言っているでわないか?ど、ど、どうせ……私の体だけが、目的なのであろうが……」

 だんだんと声が小さくなっていく魔王━━先程の威張りくさった態度ではなくて、真っ赤な顔して、萎縮して震えている。


 ……その姿を見て、とても愛おしく思い━━抱き締めてやりたくなる衝動に駆られる俺━━そして近づいて行くと、また魔王が叫びながら鎌を振り回しだした。

「近寄るなー!近寄ると殺すぞー!この変態!痴漢!……私の体に触るなー!」


「いや~マジで冗談だから。ほんと何もしないから。鎌振り回すのだけは、止めてよ……」

「そらみてみろ!やはり私を愚弄しているではないか。冗談を言って楽しいか?……私を好いていると嘘ばかり言いよって、バカ、アホ、トンマ、ハゲ、ヘンタイ……」

(あれ?魔王もまんざらでも、なかったのかな?)


「好きなのは、マジほんとだから信じてくれよ……」

 と、言いながら、魔王に少しずつ近寄っているのだが、鎌を振り回すので、これ以上は、なかなか近づけないでいる。


「うるさい!くるなー!くるなー!最低男め!」


「ほんと、この調子だと埒が明かないな~」と思いながら。

 先程は魔王に、さんざんにやられたのだから、少しはお仕置きをしてやるかと決めた。


 そしてこの先、仮にも結婚でもすれば、この調子だと亭主の威厳などは無くて、死ぬまで、ずうっと濃き使われそうだし……でも結婚してくれるならそれでも良いか、などと思い。結婚生活を妄想してみる。……いやいや、これはこれで悪くないか。


「よ~し俺を忘れられないようにしてやるかー」

 そう思いながら、俺は行動に移した━━!


「は~!魔王!尋常に勝負!もし俺がお前に勝てたら、お前は俺の物だいいな!?」

「は? 何故そこで私が、お前の物にならねばならぬ?相変わらず訳わからん事ばかり言いよって……」

「いいじゃんかよー 魔王のことが好きなんだからさー 魔王が勝てば、俺をやるからさ!死ぬまで、魔王の愛の奴隷になるからよー。そして子供ができたら、俺いいイクメンパパになるから。そしてがんばるから。だからいいだろ?俺の嫁になってくれよ!」

 魔王に両手を合わせ、拝みこんで頼み込む、俺なのだが。


「は~!お前は本当に馬鹿なのか?これって、勝っても負けても内容自体が、変わらぬではないか?」

ムッとしながら答える魔王に「えへ!ばれたか!」と、俺は笑って誤魔化した。


「ま~よい。ではいくぞ。もう二度と、減らず口を言えないようにしてやる。」

「おー、じゃ、いいんだな?俺張り切っちゃうよ。……おっとあぶない!」

 俺は魔王の鎌による、弓矢のような速度の剣戟を、お月見団子で受けた。

すると静かな部屋から、岩と岩とが、ぶつかるような音が、響き渡る!

よぉおおおし!行けそうだ!

今の剣戟を受ける事が出来た俺━━思わず自信が付いた!


 だから、魔王にこう呟いた……!


「さあ、お仕置きの時間の始まりだ……魔王よ待っていろよー!……い・ろ・い・ろ・と、してやるからな、楽しみにしていろよー!」

 俺は血気盛んに、魔王へと叫んだ━━!



       第二章 接触(二)



━━『カーン!』━━『カーン!』━━『カーン!』━━『ガシャ』━━


 鎌と剣との岩と岩とが、ぶつかり合うような、剣戟の音が鳴り響く━━


 あれから何れくらいの時間が、経つのだろうか?

 俺と魔王との剣戟は、なかなか勝負がつかないでいる。

 何故?とお思いの方もいるとは思うが……

 ……実は魔王を傷つけたくない俺が、手加減をしていたのが、原因なのだ。

(だって、だって、あの白い、玉のような肌を傷つけたくないじゃん。……だってあれは、俺の物だよ……でもでも、マジでそろそろ疲れた……だってあの女。魔力が底なしなんだもん……マジでそろそろまずいかも……)

 などと、思っている俺なのだが……防具の方も金色から銀色に━━点滅をはじめだした。

「この防具、点滅するんだ」と、思って見ていると、魔王が俺を見て笑いだし。そしてまたまた馬鹿にしてきた。

(ほんと、ここにきて、何度あの女に、笑われたことか……)


「フ、フフフ……ハ、ハハハハハハ…… おい!もう終わりか?防具の方も点滅しているではないか!魔力も尽きたか?そろそろ降参して、私にその首を差し出せ!」

「はぁ、お前は、あほか?首が無くなったら、死んでしまうだろうが。」

「だから、死ねと言っているではないか。先程から」

 鎌を俺に向かって振り切る魔王。━━風を切り裂くような音が、聞こえてくる!


「お前……亭主に向かって死ねとは何事か……うわ!マジあぶねー お前な~いい加減にしろよ。でないとマジでそろそろ俺の堪忍袋が切れちゃうよ? いいのか?」


「いいぞいいぞ。切れるものなら切れてみろ……そしてもっと魔力が上がった姿を私に見してみろ。でないとお前はここで死んでしまうぞ。」

 またまた、サドモードに突入した魔王。死ね死ね言いながら、鎌を振り回す!


 ━━そろそら、こちらは魔力が尽きかかっているから。マ~ジでヤバイモード。どうしょう!?と真剣に考える!?


 そしてエネルギーを補給しないと、マジでヤバイから思案する!?

(そういえば、どうやって金色にしたっけ?)

 色々と悩んでみる……


………………

(どうだったけ?)

………………!!

「あ!そういえば……魔王の見えそうで、見えない。オッパイを見て俺が発情したときに、防具が金色になった気がする?……ということは、もう一度ど俺が、妄想して、発情しないと、いけないということか?……さてどうする?……あのアマ、オッパイ触らせてと、言ったら逆上するだろうな……」

 俺は色々と考え、魔王をチラ見してみるが、ファイティングポーズをとって、ニコニコしながら、こちらを見ている。


「……うわ~マジで、なんであんな女に、惚れてしまったのであろうか……自分自身にうんざりするわ。……可愛いことは、可愛いいのだが……あの姿を見て妄想しても、妄想力が上がらない……あれ?……今のいいかも、俺のこの力を妄想力となずけよう。そして見て駄目なら触ってみるか。……よ~し名ずけて、コチョコチョ作戦いきますかー!」

 そう思いながら、自分自身で決めた事を実戦しょうと、気合いを入れる━━点滅仕掛かっている妄想力を指先に集め魔王を見つめ、利き腕に持っている、お月見団子を下に放り投げて叫んだ!


「魔王いくぞー覚悟しろよー!」

 ニヤケ顔で言って、両手上げて、指先をワシワシし始めると、魔王は、俺のこの姿を見て、何を考えたのか━━後ろにたじろいた。

 そして俺は、この一瞬の隙をを見逃さない。ネコのような瞬発力で、魔王に近寄ると「アチョ、アチョ、アチョチョチョ……」と、魔力のこもった指先で、ツツキまくってやったー!

 

「お前は、ふざけているのか?こら!すぐにやめろ……くすぐったいでわないか!」

 鎌を振り回しながら魔王、俺に文句を言ってきた。

 だが俺は、弓矢のように速い鎌の振りを、猫のようにしなやかに、神速を使いながら避けまくる━━更に「アチョチョチョチョ……」と突きまくった!


『ガシャ……!?』

「もう、やめろと言うのが、分からぬのか?……頼むから……やめて……いや……お願いだから……もうやめてよ……」

 俺の指圧攻撃を受けた魔王は、持っていた鎌を落とし、攻撃をやめてしまう。━━余程くすぐったいようだ?

 悶えるように立ったまま、体をくねらせだした━━そして、先程までの女王さま口調から一変して、少女のような、弱々しい声へと変わっていったのだ。


 魔王の悶え乱れる変化━━俺はその様子を、目を逸らさずにガン見した。

「う~お!何ともエロイ魔王のすがた!」と、心の中で叫んだー!


 すると先程まで、点滅していた防具が、黄金に輝きだした。

 どうも、この防具は、俺のエロイ煩悩パワーに、反応するみたいだ。

「よ~し!エネルギー十分。待っていろよ魔王。最後の止めだー!」

(止めと言っても、殺したりしないから!)

 俺が叫ぶと魔王、怯えた様な表情しながら、小鹿のように震えだした!

(うお~なんて可愛らしい。もう食べちゃいたい。━━そしてあの初々しさは……あのお姉さま、まず間違えなしに、乙女だよ乙女!)


 そして俺は魔王に、悪戯したくなる衝動が、もう止まらないでいる━━


 だから「ウゥゥゥゥゥゥゥゥ……、ワオ~ン!」と叫んで━━「行くよ俺のバンビちやん。いただきます」と、言って魔王に飛び掛かる━━!


 ━━先程よりも、発情力の上がった俺の指先!

「 アチョ、アチョ、アチョチョチョチョチョチョチョ……」

 そんな訳解らない言葉を言いながら止めを刺した!


「あん!いやん!やめて……お願いだから……許して……もうダメ……い……あ~ん……」

 何ともいえない魔王の甘い声。そんなふしだらな言葉を漏らしながら、彼女はその場に経たりこんで、泣き出したのだ!


 そんな様子を見ていた俺は、かわいそうになり、慌てて魔王に近寄った。

「ごめん!大丈夫か?泣くとは思わなかったんたよ。ほんとうにごめんね……」

そう言って、魔王の肩に手を当てて謝罪したのだが。

当の魔王はというと、涙が止まらない。━━そして今度は、俺に対して文句を言ってきた。

「ヒク、ヒクヒク……うるさい!近寄るな……そして私に触るな、この変態……私を玩具にしおって……貴様だけは、絶対に許さん……殺してやる……」

「そんなに怒るなよ。ちょっぴり度が、過ぎただけじゃないか!?マジでカンベンしてくれよ。」

 俺は何度も何度も、謝罪をしてみたのだが、当の魔王、声がだんだんと、怒気を含んだ低い声へと、変わっていく━━そして魔王の魔力が先程より、上がっていくのが、俺にも分かった。


 ━━これってもしかして、不味くない?


 ……何か嫌な予感がするのだが……後退りをする俺に魔王は、言葉を放った。


「貴様……私の逆鱗に触れたな……必ず殺してやる……」


 ━━魔王に負のオーラが━━さらに魔力が上がる!


「私の名は、魔王レヴィアタン!……そして別名は我龍姫なり!……汝、我の逆鱗に触れた……その力をおもいしれー!」

 魔王、怒気を含んだ声で叫ぶと━━いきなり俺の目の前に、巨大な黒い影が……

「━━うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……竜が巨大な竜がいる!」

 思わず大きな声を出し叫ぶ俺。━━魔王が黒い竜へと変身した!

「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」と、大きな口を開けて叫ぶ黒龍。━━その威風さに、自分を忘れ、呆然としてしまった。 そして、ただ一言呟いた。

「……俺の魔王が竜になっちゃた……」

 頭の中の思考が纏まらない!?


「何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?」の言葉ばかりが、頭の中を駆け巡る。

 そんな無防備の俺に竜は、容赦無くブレスを吐いてきた!

 俺はそんなブレスの炎を避けずに━━まともに体に受けてしまった、

 ━━受けた体は、炎に包まれながら、火の玉のように宙に浮き飛んでいく。

━━その飛ばされている中で━━俺は死ぬのだなと、覚悟を決めた!

 そして最後に大きな声で、魔王に「魔王ー!愛しているよー!」と、叫び終えると瞼を閉じた。



             ◇◇◇


 思わず「え!」と声を出す私!

 変身を解いて、慌てて、あの男が転がっている場所に、駆け寄る。

「避けると思っていたのに……」

 どうしょう、どうしょう。慌てふためく私なのだが。

 本当はこの男を殺すつもりもなかったのだ。

 ……ただ剣と防具の力を見たい……ただそれだけだったのに……

 ついついこの男に、エッチな悪戯をされて、逆上してしまった。

 そんな事ぐらいでと、思われる方もいるとは思うが。

 実は私は、こう見えてもまだ乙女なのです……

 だから……あれだけの事をされたのだから……もう……お嫁にいけないし……責任をとってもらわないと、いけないし。

 そう思っていた矢先に……どうしましょ?どうしましょ?……もしかしてもしかして……早くも未亡人?

 まだ結婚もしていないのに……未亡人はないだろうと、お思いかもしれませんが?

 だって……あの方……何度も何度も、結婚してくれと言ってこられて……プロポーズをしてくれました。

 ただ私が、返事を返す前に、先立たれたのです。


「う~ん」と腕を組んで、取り合えず考える私……?

「あ!そういえば?ブレスを受ける前に、黄金化していましたね?……もしかしてもしかすると……致命傷になっていないかも?」


 慌てて殿方に、回復魔法を施した。

「う、うう……」

 殿方が微妙ですが、意識を戻したみたい。━━「よかったー」と、思いながら声をかけてみる!

「おい!おい!……大丈夫か?……しっかりしろ!」

「う、うう……」 

 ダメです……完全に意識が戻りません。

 どうしましょう……魔力が落ちているのが、原因かも?

 どうやって、あの方に魔力を注入しましょうか……?

 あ!……やっぱりこういった時は、お決まりでしないと、無理かも……

 顔が赤面する私……体が火照ってきた。

 ……恥ずかしいな~

 ……防具を脱ぎ捨て裸体になった私。

 名前もまだ、教えて頂いていない、殿方に裸体で抱きついた。

 そして魔力を注入……!

 必ず元気になってくださいね。

 ……そして私をここから、連れ出してくださいね。

 いつまでもいつまでも、お待ちしています。

 名前も知らない勇者さまを……



 






 
















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