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あなたは涼風の様で2


 ローマエリア。


 その非戦闘区域。


 僕らはそこでお茶していた。


 仮想体験ではあるけども。


「いやーコキアさん育ってきたね」


 カップを受け皿にカチンと置いてスミスが言う。


「どうも」


 コキアは素っ気ない。


 当たり前か。


「もうちょっとレベルが上がれば俺のギルドに紹介するよ。どう? そういうの」


「必要ありません」


 鎧袖一触……とは行かなかった。


「でもさぁ」


 食い下がるスミス。


「イレイザーズより経験値稼げるよ? 俺もフォローするし」


「必要ありません」


「そんなこと言わずに」


 あの手この手でコキアに接触しようとするスミスだったけど悲しいかな……君の下心は全部漏れていたりして。


 主に僕のせいで。


「私はハイドちゃんとオドが出来ればそれでいいですから」


「じゃあハイドもどう? コキアさんと一緒に内のギルドに」


「面倒」


 快刀乱麻。


 しかして他に言い様も無い。


 元よりレベル950台だ。


 利用されることはあっても逆はない。


 僕にとってギルドやグループは足枷でしかないのだ。


 主に僕のせいで。


 そんなわけで、


「好きにしてください」


 と思う他ない。


 紅茶を飲む。


「コキアさんは絶対俺のギルドに入った方が良いって。安定した経験値の供給を約束できるぜ?」


「別にたかがゲームで強くなっても……」


 コキアさんコキアさん。


 それを言っちゃあお終いです。


「でも現実としてコキアさんはオドをやってるじゃん」


「まぁ色々と思うことがありまして」


「なら選択肢はないでしょ?」


「それとこれとは関係ありませんよ」


 そんなこんなでスミスの提案をコケにするコキアだった。


 僕はと云えばそんな一方通行のやりとりから意識を離して淡々と茶を飲むミツナに声をかけた。


「大丈夫?」


「何がでしょう?」


「なんとなくそう思っただけ」


「心配は痛み入ります」


「人を殺すのは慣れない?」


「まぁ忌憚なく言えば」


「雑魚キャラもボスキャラも人間の鋳型だからね」


 苦笑してしまう。


「なんとなく罪悪感を覚えるのは否めません」


 然り。


 紅茶を飲む。


「じゃあ今度からは別のエリアに行く?」


「私は構いませんが……」


 困惑するようにミツナ。


「北極エリアとか?」


「寒そうですね」


「まぁコートを着ればそうでもないよ」


「コートなんて持ってませんけど……」


「そこはまぁ僕に任せて」


「はあ」


 ポヤッと返すミツナ。


 そこに、


「ハイドちゃん?」


 別の声がわって入った。


「なぁに?」


 淡白な僕。


「ミツナちゃんにやけに親しくするね」


「他意はないよ」


「本当に?」


「本当に」


 シリョーの追及をサラリと躱す。


 この程度の腹芸は出来て当然だ。


 何せ僕は色々と面倒だ。


 である以上、鉄面皮は呼吸するようにできる。


「だいたいシリョーには関係ないでしょ?」


「……本気で言ってるの?」


「降参」


「ハイドちゃん?」


「何でっしゃろ?」


「これからデートしない?」


「夜も遅いし……」


「だからサードローマエリアとかで」


 まぁ構いはしないけど……。


 何だかなぁ。


 危機感を持つのは自由だけど……君……データでしょ?


 そう言いたかったけど最後の良心が口を留めた。


 まぁ僕としても初心者のフォローに飽きていた頃合いだ。


「別に構わないけどさ」


「やた。じゃあ行こうよ」


 あいあい。


「じゃ……今日はここまでってことで」


 そして僕とシリョーは教皇猊下を討ちに行くのだった。


 大丈夫か……オーバードライブオンライン。


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