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あなたは太陽の様で3


 別にランドアークシステムを利用しても良いんだけど、


「雉ちゃんもやしっ子だから」


 という理由で(多分本心は別にあるんだろうけど)僕と秋子は肩を並べ歩いて登校し、到着する。


 瀬野三だ。


 昇降口で上履きに履き替えようとして、


「おやまぁ」


 メモ用紙が僕の靴箱に入ってるのが見えた。


 靴を履き替えながらメモ用紙の中身を見る。


「あなたはまるで太陽の様。直視できないほど眩いのにその暖かさには比肩が無い」


 …………。


 ………………。


 ……………………。


 ……何でしょう?


 この毒電波感は。


 ちょっと恋文かと期待した僕の期待と焦燥を返してほしい。


 言っても詮方無きことだけど。


 ていうかこれって大日本量子ちゃんの『あなたはまるで』の歌詞の一節だったはずだ。


 となれば一番考え得る可能性は入れ間違いだろう。


 ていうか僕は太陽に比喩されるような存在ではない。


 『あなたはまるで』は良い曲だと思うけどそれで僕を比喩するのは何だかな。


 仮に当人にとって僕が太陽だとしても詩を綴って送りつける意味がわからない。


 名無しさんからの一方的な睦言なのだろうか?


「雉ちゃん?」


「ん~?」


 僕はクシャッとメモ用紙を握りつぶすとポケットに入れて秋子の方を向く。


「いこ?」


「だね」


 早くクーラーの効いた教室に入りたい。


「腕に抱き付いていい?」


「ふむ……」


「駄目……?」


 秋子は拒絶されることを怖れる子犬の表情だ。


 結論。


「好きにしなさって」


「だから好きだよ雉ちゃん?」


 顔を赤らめて照れながらも僕の腕に抱き付く秋子は嬉しそうだ。


 そのワイシャツを押し上げている物が僕の腕に押し付けられていて僕の情欲は嬉しそうだ。


 呆れもあるけど、どっちも嬉しいのだからこれはこれでいいのだろう。


 男子からは嫉妬と羨望の視線。


 女子からは軽蔑と胡乱の視線。


 さすがに三ヶ月以上こんなことしてれば衆人環視の決して褒められたものではない視線にも慣れるわけで。


「紺青秋子は土井春雉の嫁」


 的な集団無意識が形成されていてもおかしくない。


 何より秋子への慕情を発破させる人間が目に見えて減った。


 僕が防波堤あるいは防風林になっているのだ。


 特に言い訳の必要も無いため無視する僕。


 そしてそれ故に孤立する。


 正確には秋子と二人だけとなる。


 今は夏美もいるんだけどさ。


 秋子の乳房を独り占めして廊下を歩く。


 肘が幸せ。


 僕が幸せ。


 秋子が幸せ。


 こんな感情が地球を包めば恒久的世界平和が訪れるだろう。


 おっぱいは世界を救う。


 僕としては嫌な世界平和だけど。


 閑話休題。


 というかそれ以上思考を進めたくないだけだ。


 教室に入ると一瞬だけ視線が集まり、それからクラスメイトたちは各々の交遊関係に意識を戻す。


「はい。ここまで」


 僕は腕に抱き付いていた秋子を振り払う。


「これ、ありがとね」


 濡れタオルを秋子に返す。


「どういたしまして」


 量子変換。


 そして僕は自身の席に向かう。


「おはよ」


「おはようございます」


 隣の席の知己に挨拶すると丁寧に返ってきた。


 信濃夏美である。


 赤い髪と瞳の美少女。


 着ている服は瀬野三の制服だけどさっきまでの盛り上がりを実感として覚えていると残念としか言いようのないスットントン。


 夏美はデザイナーチルドレンだ。


 顔の印刷がまことによろしい。


 どうせ遺伝子弄るなら胸の成長も改ざんすればよかったのに。


 僕は、


「乳房無条件降伏派」


 であるためおっぱいの大きさ小ささに優劣をつけることは無い。


 別に貧乳でもかまやしないのだ。


 当人に言えば立派にセクハラだから言わないけど。


 正直なところ貧乳にコンプレックスを抱える美少女(この場合は夏美のことである)というものにも趣を感ずる。


 例えばこれが総一郎あたりなら、


「乳房肥大化信仰派」


 となり、


「おっぱいは大きければ大きいほど良し!」


 なんちゃって。


「春雉?」


「なんでっしゃろ?」


「いえ、視線が気になって……」


 胸を見ていたとは死んでも言えない。


「この前のキュアプリ見た?」


「まぁ」


「キュアニュートンの活躍シーンの作画良かったですね」


「僕としてはキュアアンペア派なので出番が少なかったのが不満なんだけど」


 色々と夏美に染められていってる僕である。


 他に友達いないし臆する理由もないんだけどさ。


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