あなたは太陽の様で1
はふ。
「いいお湯だね」
「だよだよ」
「だぁねぇ」
僕らはお湯に浸っていた。
ちなみに一人は立体映像なので入力に出力を返してるだけなのだけど。
えー……。
ちなみに何をしているかと云うと入浴しています、僕ら。
正確には僕と秋子と量子とで。
当然全員全裸。
元より裸の付き合いなぞ云うのも馬鹿らしいほど今更だ。
はふ。
総一郎くん垂涎の的である秋子の巨乳も今は僕の胸板に押し付けられて形を変幻自在に変えている。
六根清浄六根清浄。
絶世の大和撫子である秋子とトップアイドルである量子とで裸の付き合いはしているものの、
「やっほろ~い」
という感情より、
「やれやれ……」
という感情が勝る。
特に秋子は生身のため僕と物理的な接触が可能だ。
とはいえ僕ももう一人の僕も反応しないんだけど。
これもまたいつものこと。
「雉ちゃん? 私、魅力無い?」
「んなこたござらんけど……」
顔立ちの整い具合はアイドルの量子、あるいはデザイナーチルドレンの夏美にも匹敵する。
「秋子は可愛いよ」
クシャクシャと湯に濡れた黒髪を撫ぜてあげる。
「でも雉ちゃん反応しない……」
「まぁ今更だし」
本音だ。
というか、
「秋子がそれを言う?」
そんな気持ち。
言葉にはしないけど。
「雉ちゃんは慣れすぎだよぅ」
これは量子。
風呂場のへりに腰かけて言う。
秋子ほど下品に大きくは無く。
さりとて夏美ほど残念でもない。
そんな胸。
冷静に品評できるほど思うところは無い。
ちなみに我が家の風呂場は広い。
人間三人程度なら余裕で入れる。
金が有り余ってるから家を改築した結果である。
とかく秋子と量子は僕の肉欲と性欲とを求める。
量子については解決しているけど本人は不満の一言。
どうやら土井春雉では駄目らしい。
わかっちゃいるけど因果だね。
ていうか立体映像の癖に性欲持つなって言うの。
「それを雉ちゃんが言う?」
…………一分一厘反論の余地がござんせん。
さてさて、
「アイドルが裸体晒していいの?」
そんな反撃。
「雉ちゃんにだけだよ」
恐縮です。
「でもさぁ。一応ゴッドアイシステムとかさぁ」
「私が誰か忘れたの?」
そうですね~。
「電子犯罪ダメ、ゼッタイ。BANG!」
指鉄砲を撃つ量子だった。
「雉ちゃんはおっぱい大きいとダメ?」
「ある程度の大きさ以上は下品に映るよね」
「あう……」
残念そうな秋子だった。
気持ちはわかる。
だからフォロー。
「秋子なら問題ないよ」
「じゃあ抱いてくれる?」
それが無理なのは百も承知でしょ。
アタマのズツウがイタい。
元より、
「そこまで追いつめた元凶が何言ってんだ」
って話ではあるけどさ。
「割り切るまで待って」
他に返答のしようもない。
「やっぱり雉ちゃん……」
だね。
「あうぅ……」
意気消沈する秋子だった。
「先入観って厄介だね」
量子が呆れ混じりに言ってくる。
「揉みしだくよ?」
そんな僕の牽制に、
「カモン」
ノリノリの量子だった。
アホばっかりだ。
カポーン。
とりあえず浴場の投影機をおとす。
パチリと消えていなくなる量子。
「何するのよぅ……!」
不平不満を述べる量子のダイレクトメッセージを無視。
僕は秋子とゆったり湯に浸かるのだった。
「雉ちゃん不能?」
もうそれでいいですよ。




