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転換点5


 そんなわけで今日のイレイザーズは解散と相成り、僕らはそれぞれ現実世界にログアウトした。


 夏美からのメールの返信は来ていない。


 だろうけどさ。


「量子」


 さっきまでオドをやっていた手前しばらく仕事は無いだろうと思いコンタクト。


 瞬時に現れる量子。


「なに?」


「今から違法行為をするから目を瞑ってて」


「別に確認とらなくたって雉ちゃんを検挙したりしないよ?」


「でもまぁ一応義理は通しておかないと、ね?」


「何するかだけ聞いていい?」


「夏美を強制的に電子世界に引きずり込む」


「思いっきり電子犯罪だね」


 です。


「その後は?」


「まぁアフターフォローというかなんというか……」


「傷心中の乙女に取り入ろうってこと?」


 あ、量子の眼が鋭くなった。


 僕は降参してハンズアップ。


「他意はないよ」


「本当に?」


「嘘だったら検挙していいから」


「貸し一ね」


「キス行使権の余りを含めたら二つになるけど」


「それだけアドバンテージを持ってることを忘れないでね?」


「そりゃまぁ」


 人差し指でポリポリと頬を掻く。


「ほんじゃまぁフォローよろしく」


 そう言って僕はベッドに再ダイブ。


 寝転がって電子世界に意識を移す。


「いってらっしゃい」


 と意識が移る前に量子の発した声が耳に残った。


 それからチョイと裏技を使って状況確認。


 後に実行。


「ふえ?」


 引田○功マジックで夏美が現れ(データ上の)重力に引かれてストンとソファに座る。


 赤い髪に赤い瞳。


 そしてコンプレックスを意識したかのような現実と違う巨乳。


 こういうせせこましい意地は美少女限定で可愛らしさに転ずる。


 苦笑してしまう僕だった。


 ちなみに場所は僕のプライベートルーム。


 とは言ってもロクに手入れをしていないので背景真白で、テーブルを中心に四門のようにソファ四つが置かれているだけだ。


 ちなみに僕の座っているソファは夏美のソレの対面。


「やっほ。こんばんは。夏美」


「春雉……」


 状況を理解してないのだろう。


 困惑の色が透けて見える。


「何で私はここにいるんです? ていうかここ何処です?」


「前者は僕が呼んだから。後者は僕のプライベートルーム。そっけないプログラムで申し訳ない」


「呼んだって……。たしかにメールは読んだけど許可した覚えはないですよ。ログインだってしてないし」


「だからちょっと量コンにクラッキングをかけて強制的にログインさせたの」


「それって法律的にどうなの?」


「まぁ裁判にかけられれば禁固五年はかたいかな? 一応未成年だから僕には適応されないだろうけど」


「そこまでして何で私を呼んだんです?」


「デートしようと思ってね」


 あっさり言った僕の言葉を、


「?」


 夏美は上手く飲み込めなかったようだ。


 チ、チ、チ、ポーン。


「あう……」


 漸く意味を呑みこんで赤面しながら僕を睨み付ける。


「ふざけてるんですか?」


「いたって真剣ですけど」


 感慨の湧きようもない現実だ。


「悪いけどそんな気分じゃないんです。また今度にしてください」


「総一郎にふられたから?」


「っ! それで何か不都合が?」


「無い。けど一応お膳立てしたのは僕だしアフターフォローくらいはしようかなって」


「いりません。一人にさせてください」


「一人で塞ぎ込んでも良い案なんて出ないって」


「ほっといて!」


「嫌」


 即答してあげた。


「まぁ気晴らしに付き合ってくれれば構わないよ。これもしがらみと思ってさ」


「どこに行くんですか?」


「一応プランは考えてあるけど希望があるならそれに沿うよ」


「特にありません」


「じゃあプラン通りってことで」


 パチンと指を鳴らす。


 僕と夏美は僕の指定した座標に飛んだ。


 セカンドアース内では距離は距離として換算されない。


 イギリスに行くのも一瞬だった。


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