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墨洲の提案6


 そしてクエストも一旦終了となり僕らイレイザーズは団子屋にて腰を落ち着けた。


 僕は抹茶を飲んでいる。


 コキアはみたらし団子と抹茶。


 ミツナもコキアと同じ。


 シリョーは緑茶。


 スミスは白玉と抹茶。


 そして反省会。


「いやさ」


 これはスミスの言。


「一から手取り足取り教えようと思ったんだが……まさか俺が一番適正無いなんてな」


 そんなことはない。


 僕とシリョーは例外だけど、コキアとミツナはチートの一環だ。


 ここでバラすことでもないけど。


 それについての箝口令も敷いている。


「ま」


 抹茶を飲みながら僕は気楽に言う。


「三倍でも十分凄いから問題ないんじゃない?」


「でもさぁハイド……」


「何でがしょ?」


「俺以外の全員が超過疾走システムを極めてるって……どういう状況よ?」


「スミスにだってその内できるさ」


 楽観論を口ずさむ。


 抹茶を飲む。


「コキアさんはどうやって超過疾走システムに馴染んだんだ?」


「特に意識しているわけでもないね」


 だろう。


 というか原因は僕にあるも同然なんだけど。


「ちょっとしたジンクスのようなものだよ」


「今度教えてよ」


「それは私じゃなくミツナに言って」


 さっぱりとコキア。


 ミツナは、


「ふえ?」


 と狼狽えた。


 みたらし団子を食べながら。


「俺はコキアさんに教えてもらいたいぞ?」


 そんなスミスの言に、


「あう」


 とミツナが意気消沈。


「私が嫌です」


 コキアはけんもほろろ。


「そもそもインストラクターを望むならハイドちゃんが一番の適任でしょ」


「そうだけどさ……」


 歯切れの悪いスミス。


 僕は抹茶を飲む。


「なんなら僕が教えてあげようか?」


「ハイドちゃん?」


 シリョーが牽制してきた。


「わかってる」


 陶器を置いてハンズアップ。


「別にチートは使わないから」


「それをハイドちゃんが言う?」


「それについては納得してもらったでしょ?」


「……そうだけど」


 それでもシリョーは不満そうだった。


 ま、だからって憂うかと言われれば違うんだけど。


「コキアさんは厳しいなぁ」


 苦々しくスミスが笑う。


「元より誰かに教示するほどVRMMOを修めているわけでもないので」


 そっけない。


 そんな態度。


「…………」


 スミスは思案すると、


「じゃあハイドにお願いしようかな」


 そう紡いだ。


「構いやしないけど」


 僕は肯定する。


 コキアはツンと澄まして茶を飲んだ。


 僕こと土井春雉にしか興味を示さない秋子だ。


 スミスのご指導ご鞭撻のほどは、


「面倒くさい」


 と切って捨てられる。


 問題は、


「僕も同意見ってことだよねぇ」


 そういうことになる。


 元より超過疾走システムはVRMMO適性に左右される。


 有理なモノは有理だし無理なモノは無理だ。


 だいたい常識論と飛躍論のせめぎ合いで超過疾走システムはアシストを施す。


 である以上、当人の意識改革に結論は終始するのだ。


 それはスミスだってわかっているはずだ。


 茶番に過ぎない。


「やって出来る」


 なら超過疾走システムにプレイヤー誤差は出ないわけで。


 結局、


「出来る人間は出来る」


 けど、


「出来ない人間はどうしたって出来ない」


 のだ。


 言わないけどね。


「コキアさんはどうやって超過疾走システムに適合したの?」


 スミスはしつこくコキアにそんなことを尋ねていた。


「ですからそういうことはハイドちゃんにお願いします」


 コキアはうんざりと言うのだった。


「ま」


 気持ちはわからんじゃないけどね。


 抹茶を一口。


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