あなたに恋をしてみました2
「サブカルって楽しいの?」
依然昼食中。
今更な先述の質問はみゃっこの物。
「楽しいです」
ケイオスが断じた。
「心の栄養」
私も追随する。
「漫画は読むけど……」
「例えば?」
「――――」
みゃっこが述べたのは今をときめく人気少女漫画だった
映画やドラマにも為っている大作。
女性なら知っていて当然な感じ。
多分、
「話題だから」
程度の認識だろう。
「あー……」
ケイオスも同感らしい。
「そんなライトな感じでは無いので」
サクッと切り捨てた。
辻斬りだ。
「でも凜ちゃん働いてるし」
別にオタクが働いていても良いでしょ。
ニートの全てがオタクでは無いし、逆説も然りだ。
「二人の絆はそんな事情なの?」
「当たらずとも全然遠い」
少なくとも私の心情は。
ケイオスのソレも同感であって欲しい。
「みゃ」
ケイオスは私を見て頷いた。
ミスインタフェース。
ドクターカオス。
MITの卒業生。
であるためケイオスは私を知り、私はケイオスを知ったのだが。
「オタク……」
難しい表情のみゃっこ。
「別に理解する必要も無いよ」
うどんをたぐりながら私は言う。
「でもブルーハートさんと最近距離が近くない?」
「そう?」
「です」
ケイオスもまた頷いた。
「ちょっと凜先生の距離感が変わりました」
そういう過敏さも愛おしいけど……さてどうしたものか。
「ま」
うどんをたぐる。
「ケイオスは愛らしいしね」
クシャクシャと金髪を撫でる。
「にゃ~」
嬉しそうに鳴くケイオス。
ワンコに懐かれた気分。
ついでにみゃっこへの牽制。
更に甘い言葉で距離感についての論じ方の霧散。
色々と誤魔化しの言葉だ。
自己嫌悪。
「なら私もオタクになる」
「頑張って」
心にも無い応援。
「色々教えて」
みゃっこは私に真剣な目を向ける。
「ググって」
それが私の答え。
「それじゃわかんないよー」
まぁそですな。
「とりあえず『奇蹟少女ミラクルひじり』と検索をかけていただきたい」
ブレインユビキタスネットワークは世の常だ。
サクッと繋げて二分で理解。
「小学生?」
「ですな」
魔法少女は小学生。
世界の真理だ。
「えーと」
みゃっこは頭痛を覚えたらしい。
「小学生が戦うの?」
「ですが?」
それが何か?
「倫理的にどうなの?」
「おっさんが変身しても面白くないでしょ?」
「ごめん。その考えが分からない」
要するに、
「大人の代わりに幼女が前線に立つ」
という理屈が既に意味不明らしい。
健常人だ。
オタクの素質……まるで無し。
「後はゲームとか」
「ゲーム?」
「オーバードライブオンラインとかやってたり」
「何ソレ?」
「検索なさい」
言って私はうどんをたぐった。
ダシの香りが口に広がる。
麺もコシがあって噛み応えが幸福だ。
「そういえば」
と私。
「ケイオスはオドをしてないの?」
「してますよ?」
そうらしい。




