三つの心と一つの想い6
とりあえず一次会は終わった。
無事会費分は飲み干して、ほろ酔いの心地……ある意味で大人が酒を呑むのは世情の悲しみを飲み干すためだ。
無念。
「凜ちゃん。二次会行こ?」
「却下」
ランドアークを止める。
「帰っちゃうの?」
「お姫様が待ってるんでね。御機嫌の伺いも一種の仕事」
要するに、なんだかんだ言っても嫌いになれないって事なんだろうけど……そうでなくともケイオスは話が合う。
「むぅ」
「また付き合うから今日はコレで」
そして家に帰る。
夜もしばし。
夜は地上の星が輝く時間。
優雅に惹かれてランドアークを下りる。
そういえば……結局、ケイオスと七糸とは不覚にもキスしたけど、みゃっことはしてないなぁ。
ある種の救い様のある人間関係だ。
後はみゃっこが男を作れば言うことは無い。
ま、こっちにしわ寄せが来る分には迷惑だけど。
「口に出来ないもどかしさ」
ぼんやりと月の下で、そう呟く。
それから部屋に帰って鍵を開ける。
「たでーまー」
中に入るとケイオスが突撃……抱きついてきた。
ちなみに全裸。
「風呂上がり?」
「自家発電上がりです」
……………………それもどうよ。
そういえば「エロゲする」って言ってたね。
「お帰りだよ凜ちゃん」
大日本量子ちゃんも出迎えてくれた。
こっちもこっちで大物だ。
国家プロジェクトの所産で在り、なお電子犯罪の取り締まりの究極。
「仕事無いの?」
この時間なら不思議でも無いけど。
「ケイオス以外に友達は居ないの?」
「いる!」
「そっちとは?」
「ちゃんと優先的に構ってる!」
「好きな人は?」
「いる!」
「アイドルなのに?」
「そのためのパーフェクトコピーです故!」
「何ソレ?」
――完全再現?
「国家機密!」
おいコラ。
そんな重大事を耳に入れないで欲しい。
知らんでもいいことを知って不幸になる人間も居るのだ。
「大丈夫」
「何を以て?」
「ケイオスが守ってくれるよ」
「そうなの?」
「です。僕の出来る範囲でなら。少なくとも先生に降る不幸は、こっちでシャットアウトしますから」
「ありがとね」
「一緒にお風呂に入りましょう」
…………いや、いいけどさ。
――中略。
チャプンと湯船に肩まで浸かる。
その体に重ねる様に寄り添うケイオス。
金髪はしなびて赤眼は艶っぽく光っている。
魔眼に例えられる淫靡さだ。
「先生は別の女性とキスした」
「七糸ね」
「七糸……」
七糸……とまたポツリと呟く。
「浮気」
「ごめんなさい」
「許します」
「ありがと」
ケイオスの裸体をギュッと抱きしめる。
「それにしてもこの風呂は狭いね」
二人でいっぱいいっぱいだ。
「改築しましょうか?」
「賃貸の部屋を?」
「僕なら敵います」
「それもどうだか」
抱きしめた腕。
その先の手をケイオスのお尻へ。
もみもみ。
「あん」
悶えるケイオスだった。
「先生?」
「あいあい?」
「発情しました?」
「別に」
サクリと述べる。
事実その通りではある。
本当にその気なら……既に凌辱している。
尻を揉んだのは一種のセクハラだ。
いわゆる文明的行為である。
そう云うと、
「では僕はパイオツを」
もみもみ。
…………くすぐったい。
これでケイオスがイケメンならなぁ……パイオツを揉まれる意義も有るというモノだけど、無念ながらケイオスは学園の生徒だ。
「凜先生」
「何でしょう?」
「エッチしましょう」
「却下」
「何ゆえ?」
こっちの質問だ。
ケイオスの突拍子の無さも案外慣れたりもするんだけど。
「ていうかいつまで胸揉んでるの」
「文明の所産です」
「人間としては正しい行為ではあれども」
女性の胸には夢と希望が詰まっている。
――そう云う問題でもないような?




