三つの心と一つの想い5
いまだボイスチャット中。
「究極的に」
とは私の言葉。
「生命は子を為すために生まれてくるの」
「自分の人生は?」
「それも含めて」
「むぅ」
「女同士じゃ親御さんに孫の顔が見せられないでしょ?」
「いいじゃん」
「まったく良くはない」
「凜ちゃんとなら家庭築けるし!」
ああ。
アタマのズツウがイタい。
「凜ちゃんは私を好きじゃ無いの?」
「好意的ではあるよ」
「両想い!」
「それとは違うけど……」
焼酎を飲む。
「いいなぁ。いいなぁ」
「何が?」
「ブルーハートさんは凜ちゃんと一緒に暮らして」
「子どもだよ」
それは確かだ。
「でもお金持ちが子どもを産むのは善行だから」
それは間違いない。
「我が儘いっぱいは元気な証拠」
逆でない分救われている。
カタカタ。
「一種の通報案件だよね?」
「やれるものならやってみそ」
「意地悪」
「性格が捻くれてるからね」
そうには違いない。
モブ眼鏡。
そんな私が世界を目にして笑えるならそちらの方が嘘だろう。
「凜ちゃんより格好いい男っているのかな?」
そらまぁ。
というか深刻な問題か?
悩むことか?
焼酎を飲む。
「で」
クースーを飲みながらみゃっこが言う。
「お疲れです」
「御苦労様です」
「ご褒美を」
「自分でして」
「いけず」
「ケイオスに叱られるしね」
「相手は子どもだよ?」
「知ってるよ」
「好きなの?」
「んー……」
「悩むんだ……」
だって。
ねえ?
「凜先生」
と架空の尻尾を振って懐いてくるワンコを愛らしいと思わなければ嘘だ。
そっち系じゃ無かったつもりなんだけど。
なんか調子狂わされるんだよねぇ。
「私には素っ気ないのに」
「札束ビンタの威力ですよ」
「ブルーハート財閥と六菱工業にあやかるの?」
「結果論としてね」
別に金に困っているわけでも無いけど。
「じゃあ私が願い事叶えてあげる」
「…………」
「それならいいでしょ?」
「じゃあミラクルひじりの良い所を一つ挙げてみて」
「ミラクル……?」
ですよね。
奇蹟少女ミラクルひじり。
通じないのは必然。
ケイオスはMIT出身でオタクだ。
会話が小気味よく噛み合う。
みゃっこにソレは無い。
「マイブームの曲は?」
「二つの恋心」
所謂一つのJポップ。
「凜ちゃんは?」
「贖罪の運命」
ミラクルひじりのオープニングテーマだ。
「ん? ロックな感じ?」
「検索しれ」
ブレインユビキタスネットワークがあるじゃろ。
「ふむ。むぅ」
渋い声になった。
「不思議な曲だね」
「元がゴスペルだからね」
別に珍しくも無い。
とかくみゃっこは平均的だ。
容姿は一流だけど。
卑屈でオタクな私には眩しい存在である。
焼酎を一口。
ボイスチャットの間もみゃっこはクースーを水の様に飲んでいた。
常人なら二回は死んでいる。
無敵超人ならではだ。




