三つの心と一つの想い4
「ども」
会釈。
「須磨先生」
「お疲れ~」
「こっちこっち」
妃ノ守女学園の教諭による飲み会だ。
駅前の焼き鳥屋。
とりあえず開いてる席に座ると、
「ほい」
と同僚がメニューを渡してくる。
「すんません」
受け取って見分。
「生とたこわさ……それから適当に串物」
「何本でしょう?」
「とりあえず三本」
店員に伝えて、座に落ち着く。
真っ先にビールが来たのでとりあえず乾杯。
「ねえねえ」
同僚が好奇心蘭々で聞いてくる。
「須磨先生ってモテるの?」
「んにゃ?」
グイとビールを飲む。
「なんかプリンセスたちと距離近くな~い?」
「生徒に慕われるのも給料の内だから」
というか勉強だけなら学校に行かずとも出来る。
とりあえず論文のデータを起こす。
視界モニタにインタフェースを展開して執筆開始。
指がカタカタと打鍵する。
とはいえソレは、
「私の視界では」
で、あって他人には意味不明な行為だ。
ビールを飲みながら論文を綴る。
「何してんの~?」
「アルバイト」
「副職禁止じゃなかったっけ?」
「正式な契約のソレじゃ無いから」
「イメージパネル弄ってたり?」
「正解」
打鍵しながら酒を飲み、ついでに同僚とも会話する。
「凜ちゃ~ん」
この声はみゃっこだ。
「何でしょう?」
「お見合いしよ?」
「誰と誰が?」
「私と凜ちゃん」
高らかと言われる。
当人はクースーをカパカパ飲んでいる。
参加費は割り勘だから高い物を飲んだ者勝ちではある。
「みゃっこは本当に須磨先生が好きですね」
色々とからかわれた。
同僚の間では今更だ。
みゃっこはよく私に構いたがるからね。
「親がうるさいのよ~」
「結婚しろって?」
「そう! エスパー?」
「何度も聞かされた」
「行き遅れだよ」
「みゃっこなら選ぶ側じゃ無いの?」
身内贔屓を差し引いても、みゃっこは綺麗だ。
大人の女性とはこのことだろう。
私のようなモブ眼鏡にかかずらう必要も本来はない。
「とりあえず飲も!」
「飲んでます」
ビールをグイ。
ピコンと音がした。
ボイスチャットだ。
相手はみゃっこ。
とりあえず許可を出す。
「何か?」
「結局六菱さんとはどうなの?」
「特に何も」
「キスしてた」
「坊やだからね」
「ブルーハートさんとは?」
「坊やだからね」
「教育委員に報告して良い?」
「別に構わないけど……」
「むぅ」
不満そうだ。
「ブルーハート財閥と六菱工業を敵に回さんでもとは思うね」
「私もする!」
「却下」
「ロリコン?」
「イケメンが好きでして」
オドでは結婚しています。
「プリンセスも元プリンセスも可愛いものねっ」
「そこで拗ねられてもなぁ」
「キスしたら許してあげる」
「なら毒リンゴを食べなされ」
「わかった」
わかられちゃったらしい。
「へい。串三本」
「ついでに焼酎。ロックで」
空のジョッキを店員さんに押し付けた。
「あーざーっす」
気持ちよく答えて店員さんは背中を見せた。




