三つ巴4
「凜ちゃん。お昼いこ!」
執務室にみゃっこが顔を出した。
昼休みになる度にこうやって迎えに来るのがみゃっこの習性だ。
その私は、
「いい子いい子」
ケイオスの金髪を撫でていた。
ワンコのように懐いてくるケイオス。
それを振り払うことの出来ない私だ。
別にいいんだけど。
「ブルーハートさん……」
「誰です?」
恋敵をもう忘れているケイオスには賞賛を送りたい。
「私の凜ちゃんから離れて!」
「嫌です」
懐いてくるケイオスだった。
「ていうか冗談にしてもリアルすぎる」
それが私の感想。
口にはせねども。
「もしかしてみゃっこはガチ?」
口にはせねども。
「凜ちゃんはブルーハートさんが好きなの?」
「好意的な人には好意的」
「私も好意的」
「だから好意的」
「あう……」
赤面するみゃっこだった。
そこに、
「ちわ」
生徒が現われた。
濡れ羽色のポニテ。
七糸だ。
それから、
「…………」
状況を察して胡乱げになる。
私のせいじゃないでしょう。
「須磨先生」
「何でしょう?」
「…………ええと」
「はっきりなさい」
「モテモテですね」
「不本意ながら」
「…………」
ボソボソと口の中で何かを呟く七糸だった。
「一緒に昼食をとりませんか?」
「構わないけどさ」
ただ……。
「敵を作りそうだ」
そんな懸念。
みゃっこは人当たりの良い美人教師。
ケイオスは金髪赤眼の超美少女。
七糸もソレに負けていない。
プリンセスの二人。
「何が楽しゅうてこのモブ眼鏡に?」
そんな疑念。
「須磨先生?」
「何です?」
「二人では?」
「却下」
「ですか」
「みゃー」
ケイオスはついてくる気満々
「凜ちゃん?」
みゃっこは少し不穏当。
別に気にする私でも無いけど。
「とりま」
と私。
「一緒に食事でも取りますかね」
そういうことになった。
「プリンセスが」
「六菱様が」
「みゃっこ先生」
そんな衆人環視の声。
まぁモブキャラが美人と美少女を侍らせていれば認識を疑うだろう。
ケイオスと七糸が私と手を繋いで、三歩後ろをみゃっこが歩く。
「僕と凜先生の邪魔をしないで」
「それはこっちの台詞ですよ」
ワンワンニャーニャー。
ケイオスと七糸は色々と気疲れさせてくれる。
みゃっこが何を考えてるかは計り知れない。
あまり考えないようにはしてるけど。
まぁ深刻に考えるのは好きじゃない。
教諭として生徒に崇拝されるのは本懐だ。
そう思うことにした。
「にゃー」
鳴いてしまう。
他に出来る事も無かったため。
あるいは敗北宣言か。
色々と。
あらゆるしがらみに対する。




