百億円の恋6
なにやら学園の間ではプリンセスに派閥が出来ているらしい。
ケイオス派と六菱派。
前者が今日から騒がれて、後者は盤石な態勢を持っている。
「ケイオス様の方が可愛い」
「六菱様の方が可愛い」
そんな感じ。
知ったこっちゃないけどね。
とりあえず私は私で古書館の執務室でオドをプレイ。
どちらがプリンセスに落ち着こうと構う所でもないだろう。
混沌と一緒にオドをプレイして無双する。
爽やかさはこの際美徳だ。
フルリンクで経験しようとは思わないけど。
イメージキーを軽やかに打鍵してプレイ。
今更なレアアイテムを手に入れて混沌に譲る。
基本的に今の装備で満足しているため、レアアイテムの管理は混沌に任せている。
「毎度ながらいいのかい?」
混沌は謙虚だ。
「まぁ夫婦なら財産は共有でしょ?」
私ことマリンはそう云った。
「欲しいアイテムがあれば言ってくださいね。善処します故」
「はいな」
破顔する。
といってもキーボードプレイだけど。
そんなこんなで放課後。
乙女の時間だ。
二人組の女生徒が古書館に顔を出し地下二階に降りていく。
チョメチョメするのだろう。
あまり趣味が良いとも言えないけど、
「見て見ぬ振り」
も大人の態度だ。
元より男っ気が少なすぎる。
皆無。
あるいは絶無。
そう呼んで良い。
「ま」
妊娠しないだけマシか。
結論を出して量子変換でコーヒーを飲んでいると、
「凜先生」
とワンコがやってきた。
ケイオス=ブルーハート。
金髪赤眼の超絶美少女。
不世出とも言う。
「仕事お疲れ様です」
「ありがと」
イメージキーを叩く。
混沌はログアウトしてるけど私はオドをプレイしていた。
「先生」
「何でしょう?」
「キスしていいですか?」
「駄目です」
「何ゆえ?」
「先生と生徒が恋愛したら教育委員に罰せられます故」
「じゃあ教師を辞めてください」
「嫌」
「むぅ」
悩む所だろうか?
乙女の思考回路は分かりませんわ。
「とりあえず古書館を案内してください」
「…………」
ジト目で睨む。
そのつもりじゃあるまいな。
警戒が先に立つのも致し方なし。
「駄目ですか?」
赤色の瞳は無垢を湛えていた。
「司書ならば仕事の内では?」
「それを言われると痛いなぁ」
とりあえずオドをログアウトしてコンソールを格納。
それから執務室を出る。
「案内くらいなら給料の内だし」
そんなわけでケイオスの古書館探検に付き添う。
「手を握ってくれませんか?」
ケイオスが嘆願する。
「いいけど」
ほっそりとした華奢な手を握る。
線の細い薄幸の美少女だ。
もっとも財閥の令嬢に生まれて薄幸と言うことはなかろうが。
地下一階を案内した後、地下二階を案内する。
「まぁここでは本を読む生徒もいないけどね」
乙女がナニする場所だ。
「凜先生?」
「はぁい?」
「事を致しましょう」
「却下」
「何で?」
「聖職者の誇り故」
「むぅ」
なんか唸ってばかりですな。
知ったこっちゃござんせんが。
「先生は僕をどう思ってますか?」
「可愛い生徒」
「はぅ……」
赤面されてしまった。
その反応もどうかとは思うけど、
「まぁ……ねぇ……?」
六菱さんを押さえてプリンセスに持ち上げられるくらいだ。
少なくとも容姿に於いては有り得ない。
「ふむ……」
とりあえす思案はした物のそれ以上はツッコまれなかった。
嬌声が集中を乱したとも云える。
まぁそういう場所ですし。




