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オーバードライブオンライン  作者: 揚羽常時
『OverDriveOnlineAnother』Episode2:フォーリンカオスラブ
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百億円の恋1


 七月に入った。


 なんとなく夏休みに思いを馳せる。


 もっとも教師に休みはないが。


 なんで教師になったんだろう私……。


 まぁこの話を広げてもアレなので自重。


「くあ」


 目覚ましに起こされて私は起き上がる。


 とりあえず眼鏡をかける。


 さらに量子変換で朝食を取る。


 物を噛むと目覚まし代わりになるらしい。


 ついでにコーヒーで気合いを入れる。


 それから男用のスーツを着ていざ鎌倉。


 とはいっても、


「別にすることも無いのだけど」


 基本的に給料泥棒です。


 生徒は寮生活だけど、教師は別に校外で生活しても咎められない。


 当たり前だ。


 大人の時間という奴である。


 とりあえずまぁ給料分くらいは学校に付き合わねばならないのだけど。


 さっきの、


「給料泥棒」


 の発言と二律背反するようだけど、一応仕事は仕事である。


 朝礼で学園長の長い話を聞く活力を朝の内にチャージしなければならないという。


 誰かこんなモブ眼鏡を養ってくれる王子様は居ないだろうか?


 そんな事を思いながらランドアークに乗って妃ノ守女学園へ。


 広い敷地のその一部。


 執務棟の職員室で朝礼を受ける。


 よくもまぁ毎度毎度訓令の言葉が出てくる物だ。


 ある種尊敬に値する。


 なろうとはこれっぽっちも思わないのだけど。


「まぁいいか」


 で、済む話。


「…………」


 視線ポインタでゲームをしながら暇潰し。


 この辺の間隙の縫い方は、


「心は少年」


 な私である。


 女だけど。


 とかく視界モニタは便利な文明の産物である。


 ありがたやありがたや。


「以上」


 そう言って学園長の長い話は終わった。


「それから須磨先生」


「…………」


 …………。


「……ん?」


 呼ばれた?


「人の話を聞いていたかね?」


「ええ、まぁ」


 問われて答えられる程度には。


 感想文を書けと言われると悪口の羅列になりそうな有り難い言の葉でした。


「それで何でしょうか?」


 他の教諭は自分の仕事に戻っていき、私と学園長とが対面で立つ。


「君は……」


 とそこで言葉を途切れる学園長の御言の葉。


「何か?」


「とりあえず学園長室で話そう」


「リストラの類の話ですか?」


 有り得そうだから怖い。


「いや、その、何というか……」


 学園長は過去に眉目秀麗だった御尊顔の額の汗をハンカチで拭う。


「?」


 わけもわからず学園長室。


 執務棟の最上階の一室だ。


 一応お嬢様学校と言うことで金が掛かっている。


 理事長が富豪らしい。


 詳しいことは知らないけど。


 で、室内に案内されると一人の女子が居た。


 優雅に紅茶を飲んでいる。


「?」


 学校の制服を着ている。


 黒いセーラー服だ。


 マニア垂涎のレアものらしい。


 私にはトンと縁のない。


 ちなみに外人。


 デザイナーチルドレンなのだろう。


 金髪に赤眼の超絶美少女。


 私が男なら押し倒してもおかしくないほどの。


 ここまで精巧に作られた乙女というのもちょっと知らない。


 どこか人を惑わす赤眼は美少女をして、


「吸血鬼と言われても納得できる」


 程度に妖しげだ。


 しかしどこかで見た顔のような……。


 どこだっけ?


 しばし記憶を掘り返していると、


「ミス凜」


 ティーカップを机に戻した金髪赤眼乙女が私を呼んだ。


 ピョンと私の前に立つ。


「お目にかかりとうございました」


「左様で」



 えーと……誰だっけ?


「僕の名前はケイオス=ブルーハート。ケイオスって呼んでね?」


「ケイオス……」


 ブルーハート……。


 あ。


「カオス値の設計者……っ?」


「ご存知だったんですね? 嬉しいです!」


 ケイオスは目をキラキラと輝かせた。


「いやはや」


 学園長の心理的苦悩の原因を私は敏感に察知した。


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