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オーバードライブオンライン  作者: 揚羽常時
『OverDriveOnlineAnother』Episode1:ステイインドアーズ
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近くて遠い距離3


「驚いたでしょ?」


 電子コーヒーを飲みながら量子は嬉しそうに言った。


 俺も電子コーヒーを飲む。


 回っているのは教室棟。


 クラスの出し物だ。


 部活の出し物と違って地味目の企画が多い。


 掲示板や休憩室。


 アンケート調査にプラネタリウム。


「まぁ驚いたは驚いたが……」


 白雪だからスノーね……。


 俺は忍で神鳴だから雷遁だし、誾千代は姓が御剣だからソード。


 そういう意味では人のことは言えない。


 いや、問題はそこじゃないな。


 鞭でピシャンと叩くのが上手くなってしまったが、当人目の前にどう対応しろというのか……。


「普通に接すれば良いんだよ。普通に」


 くっくと量子は笑う。


 まさに対岸の火事。


 他人事だと思いやがって。


「忍ちゃんのクラスは何やってるの?」


「知らねえよ」


 参加してないしな。


 というわけで覗いてみる。


 占いをやっていた。


「ほほう」


 と量子。


 電子存在が星の廻りを気にしてどうする。


 そうは思うが一応量子も乙女だという証左だろう。


「やってく?」


「立体映像でか?」


「多分向こうも電子占いだと思うんだけど……」


「あんまりクラスメイトと顔合わせたくないんだがな」


「いいじゃんいいじゃん」


 良くはないがエスコートも男の子の務めか。


 嘆息。


 一応半年は顔を見せていた愛すべきクラスメイトたちだ。


 こっちからは把握してないが、生憎と俺の女顔は少し座を離れた程度で忘れられるモノでもない。


「神鳴だ……」


「だね」


「今更……」


 そんな呟きが聞こえてきた。


 更に言えば仮アバターとは言え美少女の量子を連れているのも困惑に拍車をかけている。


 恋愛運コーナーに並んで座る。


 占い師(クラスメイトである)が俺の登場に少し怯んだ後、体勢を立て直して己が仕事に徹する。


「では占いますが……」


 そう言って情報の開示を提案してくる。


 名前。


 年齢。


 星座。


 血液型。


 ちなみに、


「おい」


 量子は俺の分まで開示した。


 俺のじゃないプロフィールで。


 名前の時点でバレバレだったが気にせずクラスメイトは恋愛運を占う。


 結果良好と出た。


 ちなみに量子と土井春雉の恋愛運だ。


 断じて俺とのモノでは無い。


 まぁ俺を友達と信じて疑っていない量子が俺との恋愛運を占っても意味は無いから当然の成り行きではあろう。


 恋愛運良好と言うことで、


「わーい」


 と量子は喜んだ。


 ま、嬉しいことは良いことだ。


 俺としても量子と恋愛関係になるつもりは欠片も無いので、興味は存在し得ない。


 であれば量子と想い人の恋愛運を占うのは必然だろう。


「きっとこれは運命だ」


 グッと量子がガッツポーズ。


 良かれ悪しかれな。


 別に幸福だけが運命では無い。


 悲運だって運命の内。


 例えば……………………ああ、止めておこう。


 精神的に喀血する。


「昼の仕事に打ち合わせはないのか?」


 そろそろ良い時間だ。


「打ち合わせも含めて昼からだから問題ないよ」


「ちっ」


「ひど!」


 ピーと泣き真似してみせる量子だった。


 ピシャン。


 鞭打ち。


「うげ」


 呻く量子。


 なんだか後天的にSに目覚めかけている気がする。


 善し悪しはこの際議論しないが。


 それからは目新しい催し物もなく。


 ダラダラと電子コーヒーを飲みながら文化祭を満喫。


「じゃ、この占いデータを雉ちゃんに報告しないと」


「頑張れ」


 心を欠片も込めないで激励。


「じゃ、またね」


「暇があればな」


「ばははーい」


 そして量子は去って行った。


 名残惜しい別れが無い分、電子存在の別離は機能的だ。


 一瞬でパッと消えるからな。


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