風邪を引く馬鹿5
「てい」
ピシャン。
「ああん」
以下略。
「出なしに何をするんです」
「とりあえず定番かなと思って」
「まぁ嬉しいですけど」
スノーは頬を赤らめてそう云った。
男に喜ばれてもあんまり嬉しくはないな。
「とりあえず八・五倍速までは習得しました」
「よくやった」
ピシャン。
「ああん」
以下略。
「あとはもうちょっと意識改革すれば良いだけだな」
「ご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます」
「てい」
ピシャン。
「ああん」
以下略。
「男同士で何してんの?」
シリョーがジト目だった。
「師匠のご褒美を貰うために頑張ってる側面も有るので」
「ん~……業が深いな」
「知ってる」
「そう云う意味じゃないんだけどね……」
「?」
?
「何でもない」
シリョーは言葉を攪拌させた。
「ところで雑魚を狩ってるって云ってもそろそろ職業を選ぶ時期じゃない?」
「職業ですか?」
首を傾げるスノー。
そう言えばコイツ……VRMMOの素人だったか。
「自分のキャラを何に特化させるのかって話」
手の平を見せるシリョー。
「たとえば?」
「雷遁ちゃんは剣を使うからソードマン。剣の技術に特化したキャラになるね」
「ふむ」
「私はランスマン。名の通り槍に特化したキャラ」
「ふむ」
「他にもシーフやウィザード……ボウリアーにガンリアーなどなど……各々のキャラを自分好みに特化できるのよ」
「なるほど」
「なにか希望はある?」
「あんまり直接的に戦う職業は遠慮したいです」
「じゃあ後衛職かな?」
「後衛?」
「魔法とか弓矢とか銃とかを使う職業ね」
「はあ」
「他には……あ……」
どした?
「サモナーになってみない?」
「サモナー……ですか?」
「うん」
「どういうご職業で?」
「翻訳するところの召喚師。モンスターを使役して戦わせることの出来る職業」
「当人は何もしなくて良いんですか?」
「指示を飛ばすくらいはしなきゃ行けないけどアーティフィシャルインテリジェンスが奇形的に発達してるから放っておいても勝手に戦ってくれるよ?」
「いいですねソレ」
「じゃあコンソール開いて」
「はい」
「レベルは?」
「十一です」
「オーケー。転職コマンドからサモナーを選択」
「しました」
「はい。これでお終い」
「ですか」
とそこまで云って、
「で、モンスターの召喚はどうするんです?」
「モンスターを倒して服従させる必要があるね」
そんなシリョーの言葉。
「ついでにサモナーはモンスターを強力に操れるが代わり当人の能力は底辺だぞ」
俺が追い打ちをかける。
「さらにいえばサモナーに限って云えば超過疾走システムが反映されるのは使役するモンスターのみでサモナー自身は恩恵を受けられない」
「そんなのどうすればいいんですか!」
「大丈夫。私のモンスターを一体譲ってあげる」
「え? いいんですか?」
「うん。私ランスマンだから持ってても意味ないし」
「ありがとうございます」
「じゃあアイテム交換起動」
ボイススキップを活用するシリョー。
モンスターの譲渡。
「バハムート……ですか」
呟くスノーの言葉に俺がずっこけた。
「レジェンドレアモンスターじゃねえか! 上級者ですら垂涎の的の最強モンスターをあっさり譲渡ってどんな神経してんだ!」
「だって私が持ってても意味ないし」
「すごいんですか?」
VRMMO初心者のスノーが問うてくる。
「ネトオクで売れば億がつく」
「え?」
頭が真っ白になったらしい。
フリーズするスノーだった。
「どうなってんだお前の感覚は……」
「だから色々とレアアイテムの流通を握ってるから」
ジョークであって欲しかった。




