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オーバードライブオンライン6


 そんなわけでオドをログアウト。


 僕はベッドにて目を覚ました。


 そして同じベッドで寝転んでいる秋子を発見した。


 秋子は僕を見てニッコリと笑う。


「おはよ。雉ちゃん」


 破顔する秋子。


「うん。おはよ」


 僕もそう返す。


 ちなみに、


「おはよう」


 とは言っているけど、時間的には夕方だ。


 一日中オドをプレイしたことになる。


 もっとも雑魚を蹴散らしただけで僕には有意義な時間とは言えないんだけど。


「ま、いいか」


 嘆息する。


「何が?」


「何でもにゃ」


 他に言い様も無いだろう。


「雉ちゃん?」


「あいあい?」


「何か食べたいものある?」


「…………」


 思案する。


 沈思する。


 黙考する。


「じゃあパスタで」


 そんな結論にいたった。


「うん」


 秋子は頷く。


 それからベッドを出て秋子はキッチンに立った。


「なんのパスタが良い?」


 キッチンからそんな声。


 僕はと言えば、


「…………」


 ズズと梅こぶ茶を飲みながら考え、


「ナポリタン」


 と答えた。


 実にジャパニズム。


「ん」


 秋子は納得したらしい。


「それなら簡単に出来るね」


「…………」


 そういうことらしい。


 やっぱり秋子には頭が上がらないなぁ。


 完全に胃袋を掌握されている。


 別に悪い気はしないんだけどさ。


「ただ……」


 嘆息。


「それに応えられないってことだよねぇ」


 愚痴もこぼれるというものだ。


 秋子を縛っているのは僕だ。


 そして僕はソレを正しく認識している。


「何だね」


 とまれかくまれ、


「僕が罪悪ってことだよね」


 そう結論付けるに否やはなかった。


「スープはいる?」


「あるならもらおうかな」


「コンソメでいい?」


「かまわないよ」


 秋子の作る料理はどれも美味しいからね。


 ダイニングテーブルの席に着いて梅こぶ茶を飲む。


「ところで雉ちゃん?」


「ところで雉ちゃんです」


「夏美ちゃんのことどう思った」


 それは……、


「…………」


 沈黙。


 ズズズ。


 梅こぶ茶をすする。


「まぁ青春してるなって」


 当たり障りのない言葉。


「本当にそれだけ?」


「何を警戒してるの?」


 今度はこっちから攻める。


「夏美ちゃん……可愛いよね」


「否定はしない」


「やっぱりメロメロ?」


「別に」


 平坦な声だったはずだ。


「何も思わないの?」


「何を思えと?」


「うう……」


 言葉に詰まる秋子。


 言いたいことはわからんでもないけどさ。


「じゃあ何も思ってないの?」


 今はね。


 言葉にせずそう思う。


 秋子は敏感にそれを察しえた。


「やっぱり……」


「何が?」


「雉ちゃんは私の物」


「だろうね」


 否定はしない。


 肯定もしないけど。


 フライパンの油を弾く音が聞こえる。


「はい。ナポリタン」


 秋子は僕に夕餉を提供した。


「どうも」


 僕はそう答える。


 ナポリタンは美味しゅうございました。


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