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オーバードライブオンライン  作者: 揚羽常時
『OverDriveOnlineAnother』Episode1:ステイインドアーズ
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風邪を引く馬鹿3


「忍くん……忍くん……」


 優しげな声がする。


「ん……」


 意識は朦朧。


「忍くん……」


 聞き覚えのある声だった。


「あー」


 照会。


 地祇白雪。


 そんな認識。


 双眸を開いて少女を確認。


 腹筋運動の要領で上半身を起こす。


「おはよう……忍くん……」


 柔らかに笑う。


「おはよう……というかこんにちはだな」


「うん……。こんにちは……」


 赤面する白雪は大層愛らしい。


 ていうかそうだった。


 一々確認も面倒だから白雪にはアクセスキーを渡してあったのだ。


 何時でもどんな状況でも我が家に干渉して姿を見せられるように。


 ちなみに誾千代と量子にも同じアクセスキーを渡してある。


 投影機が白雪のアバターを映し出す。


「調子は大丈夫……?」


「そうなら登校しとるわ」


「あう……」


「いや、この程度でめげてたら俺と付き合えんぞ?」


「わかった……頑張る……」


 気合いを入れることでもないが……。


「今は昼休みか」


「うん……。雑炊作ってみたんだけど……食べてくれる……?」


「ウェルカム」


 とやりとりしていると、


「忍ちゃん?」


 おかん登場。


「お昼ご飯は……」


 とそこまで言って白雪とおかんが見つめ合う。


「あう……その……お邪魔してます……」


 ペコペコ頭を下げる白雪。


「忍ちゃんのお友達?」


「はい……。地祇白雪と……申します……」


「可愛いわね。お父さんに似て面食いね忍ちゃんは」


 自画自賛するおかんだった。


 ちないに面食いも死語である。


 加齢とは真に恐ろしい。


「おかん。量子変換器から雑炊を取ってくれ」


「お願いします……」


 白雪はペコペコ。


「白雪ちゃんが作ったの?」


「はばかりながら……」


「いい子ね」


「滅相も……」


「その謙虚さは美徳よ?」


「嫁いびりはその程度にしてくれ」


 俺が牽制する。


「嫁……」


 白雪が真っ赤になる。


 何この可愛い生き物?


 体温が上がるんですが……。


 風邪でな。


「じゃ、忍ちゃん。あーん」


「あーん」


 もむもむ。


「どう……でしょうか……?」


 不安そうな白雪。


「美味いよ。文句なし」


 笑ってやると、


「はぁ……」


 と胸に手を当てて安心しきる白雪だった。


「やっぱりお嫁さんにするなら料理の出来る子よね」


「俺は出来んしな」


 まぁ量子変換があれば料理に困ることはないんだが。


 この際『手作り』がファクターだろう。


 未だ電子セックスで子どもが出来ない以上……男女がつがいになるのは人類の使命でもあるのだから。


 冠婚葬祭は失業知らずだ。


「うまうま」


 雑炊を食べる。


 全て食べ終わって、


「馳走だった」


 パンと一拍。


「お粗末様でした……」


 恐縮する白雪。


 俺は遠隔操作で量子変換器を操作する。


 玉露を取り出す。


 おかんに持ってきて貰ってベッドの上で慎ましやかに飲む。


「じゃあ後は若い者同士で」


 空気を読んでおかん退場。


 俺はデータの玉露も淹れる。


「ほい」


 白雪に渡す。


「どうもです……」


「…………」


「…………」


 ズズと茶をすする。


「熱はどうですか……」


「まぁまぁってところかな」


「しばらく休みますか?」


「明日は明日の風が吹く」


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