色々な想い6
スノーの超過疾走システムの適合を試してオドは終わった。
それから俺はセカンドアースに居た。
場所は御剣邸。
誾千代と席を共にする。
「量子からは何を聞いたんだい?」
コーヒーを飲みながら誾千代が尋ねてくる。
「特に何も」
俺は肩をすくめた。
「では何故秘密の会話を?」
「俺にもわかんにゃい」
事実だ。
他に言い様がない。
「ふむ」
思案する誾千代。
銀髪が輝く。
白い瞳が虚空を見つめる。
息も出来ない完璧性。
それが御剣誾千代だ。
「なぁ」
と誾千代。
「何だ?」
と俺。
「やり直さないか?」
「無茶を言う」
俺は残酷な返事をした。
「君は今好きな人がいるのかい?」
「いないが」
「私では不満か?」
「そういうわけじゃないが」
そう云う問題でもないが。
「ていうかな」
俺は言を紡ぐ。
「お前は俺の何を好きだ?」
「それは……」
言葉を失う誾千代。
コーヒーを飲む。
「でも君が好きだ」
「光栄だ」
俺は皮肉気だった。
「前もこんな問答をしたね」
「だな」
異論は無い。
正答も無いが。
「俺はお前に好意的だ」
「知ってるよ」
その通りだ。
誾千代の言う通りだ。
それ故に、
「俺は誾千代と別れた」
のだから。
元カノ。
そんな誾千代。
何処が好きなのかと問われた。
返す答えは、
「――――」
最低のモノだった。
「ま、いいんだけどね」
軽やかに誾千代は言ってのける。
「いいのか?」
「いいともさ」
さすが。
誾千代なだけはある。
「で?」
「とは?」
「俺をどう思ってるんだ?」
「愛しい人」
「でっか」
うんざりと俺は肯定した。
「ところで」
とこれは誾千代。
「学園祭には来てくれるんだろうね?」
「暇ならな」
「何か都合でも?」
「無いがな」
「うむ。では楽しみにしているよ」
コーヒーを飲んで頷く誾千代。
「ちなみに」
何でっしゃろ?
「アバターは忍でお願いするよ」
「…………」
…………。
「なして?」
これは根本的な問い。
「まぁ色々とね」
誤魔化す様な誾千代の言に、
「なして?」
追求する俺。
「あの……その……」
誾千代は言い難そうだ。
「今は言えない」
そう言う誾千代。
「まぁいいんだがな」
俺はそう云う。
コーヒーを飲みながら。
少なくとも、
「誾千代が困っている」
その程度は分かった。




