色々な想い5
今日の授業も終わって俺は自分の部屋を眺めた。
夕食にはまだ早い。
「とりあえず」
と呟く。
「リンクスタート」
電子世界に身を置く。
オド。
オーバードライブオンライン。
そんな世界だ。
見ればソードはもう来ていた。
初心者専用の村でコーヒーを飲んでいる。
「早いな」
「することが無いからね」
苦笑するソード。
「ここでなら君とお茶出来るだろう?」
「…………まぁな」
ポリポリと頬を掻く。
と、そこに、
「師匠!」
スノーが現れた。
とりあえず喫茶店の席に着く。
「コーヒー」
「紅茶で」
こういうところはオドもセカンドアースも変わらない。
すると、
「雷遁ちゃん!」
シリョーまで現れた。
「ふえ?」
白雪がポカンとする。
「大日本量子ちゃん……?」
狼狽えている様だった。
「シリョーか」
ソードは平常運転。
「やほ。ソードちゃん」
「久しぶりだね」
「まぁ普段こっちには来ないしね」
ケラケラとシリョーは笑う。
黒髪セミロングツインテール。
どこからどう見ても大日本量子だ。
「え? 大日本量子ちゃん? 本当に?」
スノーは困惑していた。
「あー……」
俺は言葉を選んだ。
「シリョーは量子じゃないぞ?」
盛大に嘘をつく。
「でも量子ちゃんですよね?」
「量子のアバターはイベント限定で入手出来るんだよ」
「アバター……」
「要するに大日本量子のアバターを手に入れて使っているのがシリョーってわけ」
凄まじい嘘をつく。
そうでもしないと状況が落ち着かない。
「じゃあアバターに大日本量子ちゃんのソレを使っていると?」
「そういうこと」
実は本物の量子です。
さすがに言えない。
それは量子の足を引っ張る。
「レアアイテムだからあまり見る事はないが……」
俺はコーヒーを飲みながら言う。
「そこまで珍しいアバターでもないぞ?」
「大日本量子ちゃんのアバター……」
ポカン。
そんな表情のスノーだった。
「ところで」
チョイチョイとシリョーは俺に人差し指で挑発する。
「何だ?」
「少し話をしたい」
「何だよ?」
場を移す。
スノーとソードには聞こえない場所に向かって内緒話。
「君はスノーに入れ込んでいるのかい?」
「単なる師匠だ」
「え?」
シリョー……量子もポカンとする。
「何か?」
「スノーのリアルとか知らないの?」
「知るわけないだろ」
MMOにおいて相手の素性を知ろうとするのはマナー違反だ。
「あー……。あーあーあー」
何かを納得するシリョーだった。
「じゃあどういう関係?」
「師匠と弟子」
「師弟?」
「超過疾走システムを教授してる。それだけだ」
「……ふふ」
シリョーは苦笑いをした。
「何か?」
「いや、忍ちゃんがそうならそれでいいさ」
「リアルネームを出すな」
チョップを食らわせる。
「ぅあいた!」
頭を押さえて痛がるシリョー。
「何するのさぁ!」
「いや……不愉快だったから……」
「どういう意味よ!」
「どういう意味なんだろう?」
自分でもわかんにゃい。
「雷遁ちゃんの意地悪」
否定は出来んな。




