色々な想い3
今日のオドも終えて、とりあえずテレビを付ける。
正確には立体投影機だが。
ちょうど量子のライブについてやっていた。
クリスマスライブをやるとのこと。
そこまで先の話でもない。
それから量子によるコメント。
ソレらを見ていると、
「なに? 私のこと気になるの?」
「…………」
…………。
とっさの声に沈黙してしまった。
「量子か」
「はーい」
明朗快活な声が響く。
「テレビの、日本の、皆の、そしてあなたの大日本量子ちゃんだぞ?」
バキューンと指鉄砲を撃つ。
当然演出が為された。
指鉄砲からクラッカーのように紙吹雪が吹き出して視界を染める。
もっともデータ上で、だが。
「何の用だ?」
「特に」
無し、と。
「想い人の所に行け」
「ソレなんだけど最近すれ違ってて」
「俺にその気は無いからな?」
「知ってるから気安く話せるの」
「単純に監視したいだけだろ」
「それもあるけど」
聞きたくなかった……。
「暇潰しに俺の部屋に来るなよ……」
「私の事情を知ってて気安く話せる男の子って云うのは貴重だからね」
「そっちから教えたくせに」
「耳が痛いな~」
嘘つけ。
「で、結局何よ?」
「だから暇潰し」
タチが悪いな。
「忍ちゃんの引き籠りは治らないの?」
「別段出ても良いけどな」
「良いんだ」
「引き籠りになって思ったのは外に出ようと出まいとあんまり変わらないってことだけ」
「というと?」
「気温や事故はこの際勘案しないとして」
量子変換器でデカフェの紅茶を購入して飲む。
「飯食うだけならこうやって部屋でも出来るし、トイレも風呂も家の中。家族と顔を合わせるのは気まずいが、それに慣れれば家だけでも世界は完結する。コミュニケーションはネットで事欠かないしな」
「実際アバター登校してるしね」
そゆこと。
「だから人間は嫌いだが付き合う必要のある最低限を見切れれば実体だろうがアバターだろうが関係ないだろ?」
「ふむ」
量子は腕を組んだ。
「まぁ俺なんて引き籠り初心者だしな。引き籠もって三週間って所ならまだ改善の余地はあるだろ」
「改善する気あるの?」
「無いが」
「あう」
カクンと首を脱力させる量子だった。
「そもそも人間が嫌いだ」
「嫌いなのは空気でしょ」
「そうとも言う」
御機嫌取りやなぁなぁには反吐が出る。
「ヒエラルキーの高位の連中は何が楽しくて話題を共有してるんだろうな?」
「流行り廃りの波に乗るサーファーだから」
一理ある。
「美味く波に乗らないと『下手くそ』の烙印を押されるんだよ」
「自分が真に楽しめる物があれば別段構わん気がするがなぁ」
「雉ちゃんみたいなこと言うね」
さもあらんが。
「別段そいつらがソレで良いなら良いんだよ」
「良いの?」
「こっちに関わらなければな」
「あー……」
言いたいことを悟ったらしい。
「関わってくるから問題なんだ」
真理だ。
「自分らが絶対と思ってそれ以外を従える。従わない者はからかいの対象とする。中学も高校も何も変わりゃしない」
「中学の頃は誾千代ちゃんが居たけどね」
「……………………まぁな」
「一緒の学校に行けば良かったのに」
「どうやって女学園に入れって言うんだ」
「戸籍の改竄は任せて」
「一瞬で男だってバレるだろ」
「バレないバレない」
……まぁ女顔ではあるんだが。
「忍ちゃん可愛いし」
「犯すぞ」
「いやん」
本当に犯してやろうか……。
そんな不穏なことを考えてしまう。
「ところで週刊ウィングの次の巻頭グラビア私だから」
「それを俺に教えてどうする?」
「買ってね」
キャピッと言われる。
「気が向いたらな」




