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オーバードライブオンライン  作者: 揚羽常時
『OverDriveOnlineAnother』Episode1:ステイインドアーズ
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色々な想い1


「えい」


 ピシャン。


 鞭を振るう。


「ああん」


 悶え喜ぶスノーであった。


 雪の様に白い髪と白い瞳の美少年。


 なるほど。


 スノーという名前に相応しい。


 そう云う俺も白髪なのだが。


 ただし瞳は赤色。


 一種のウサギの様な配色だ。


 装備しているのはごっつい鎧だが、ファッション装備で黒いコートに見た目を変化させてもいる。


 で、今何をしているかというとスノーの調教……もとい訓練。


「真面目にやれ」


 ピシャン。


 鞭を振るう。


「ああん」


 悶え喜ぶスノー。


 まぁだいたいおわかり頂ける様にスノーはドMだ。


 鞭の痛みを快感と覚えられるという特異体質。


 俺には分からん世界である。


 そういう意味ではある種の無敵なのだろうが。


 ともあれ、


「もっと願え。早く……速く……疾く……と」


「一応願ってはいるんですが」


「足りない」


 他に言い様はない。


「常に思い描け。最速の自分を」


「最速の自分……」


「というわけで」


 俺はスノーの足を払うとバランスを崩したスノーを抱きかかえて迅雷となった。


 風が顔を叩く。


 音が間延びする。


 俺と……それからスノーは十倍速の境地にいた。


「はや……」


 そんなスノー。


「だろう」


 と俺。


 実体験はこの際有用だ。


「この感覚を思い描け。何度も何度も。嘘だって百回言えば本当になる。自身にとっての最速。それを思い描ければ超過疾走システムは応えてくれるぞ」


 そしてブレーキ。


 俺は速度をゼロにしてスノーを解放する。


「あう」


 と残念そうなスノーだった。


 どこら辺がだ?


 怖くて聞けないが。


「で」


 と閑話休題。


「本質は分かったか?」


「概ね」


「じゃああのゴブリンどもを殲滅しろ」


 クエストでも何でも無いフリーフィールドの雑魚。


 レベル1でも無双できる存在だ。


「ちなみに負けた場合はゴブリンの凌辱されるんですか?」


「そんなシステムがあるならR18に指定されるわ」


「残念です」


 お前の頭がな。


 どうしてもドMは解消できないらしい。


「最速……最速……さっきの師匠の速度……」


 ちなみに雷遁は俺のアバター名だ。


 スッと軽やかにスノーは駆けた。


「……っ」


 さすがに絶句する。


 たしかに実体験はさせたがこうも素早く超過疾走システムに対応するとは。


 見たところ三倍速と云ったところだが、


「適性あるのか?」


 そう思わざるを得なかった。


「どうでした師匠?」


 ゴブリンを殲滅したスノーが慣れ親しんだ様にすり寄ってくる。


「離れろ」


 ピシャン。


「ああん」


 以下略。


「で」


 コホンと吐息。


「コツを掴んだら後は精進あるのみだ」


「これからもご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます」


 敬礼するスノー。


 ていうかだな。


「レベルは上げなくていいのか?」


 知り合ってからこいつは超過疾走システムの練習ばかりでレベルを上げようとはしていない。


「レベル上げは何時でも出来ますけど師匠の指導は今の内だけですから」


 だとさ。


 お前がソレで良いなら良いんだが。


「てい」


 ピシャン。


「ああん」


 悶え喜ぶスノー。


「あれ? 何で?」


 ひとしきり悶えた後、そう尋ねられる。


「……何となく」


「S気質ですね」


 うーん。


 毒されてんのか?


「ポッ」


 スノーは頬に手をあって赤面した。


 男に照れられても何の感慨も湧かんなぁ……。


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