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オーバードライブオンライン  作者: 揚羽常時
『OverDriveOnlineAnother』Episode1:ステイインドアーズ
180/318

御剣誾千代1


 加速する。


 疾風になる。


 颶風を巻きて疾速する。


 眼前には数千の敵。


 そこにあえて突っ込む。


 両手に持つは片手剣を二振り。


 ライトニングとスライダー。


 運動能力は彼我で十倍差。


 なお敵の体力並びに防御力は低く設定されている。


 VRMMO。


 電子世界の構築と共に実現した技術だ。


 ヴァーチャルリアリティマッシブリーマルチプレイヤーオンライン。


 略してVRMMO。


 仮想現実で多くのプレイヤーが同時にプレイするゲームを指す。


 そしてその中でも特に人気のあるのがこのゲームだ。


 名を『オーバードライブオンライン』という。


 オド(ODO)という略称で呼ばれるのが基本。


 無双ゲーをVRMMOに導入した形のソレであり、センスによって幾らでも身体能力が向上する超過疾走システムを採用した初のゲームでもある。


 超過疾走システム。


 ゲーム適応率に応じて……先述したがアバターの身体能力を倍々にするシステムだ。


 競合となった無双ゲーVRMMOとの違いがここにあり、プレイヤーを熱中させる醍醐味でもある。


 かくいう俺もその一人。


 元々がゲームへの適性が高いのもあって超過疾走システムへの適合率は百パーセント。


 現在のオドにおける最大値である十倍のアシストを享受できる。


 無双ゲーであるため雑魚は弱く、十倍ものアシストを受ければほとんど芝刈り機で削るようなものだ。


 一瞬で十連撃。


 二十体の雑魚がポリゴンの欠片と成って散る。


「おおお……っ!」


 加速。


 加速。


 加速……!


 襲いかかってくる敵の認識が遅すぎる。


「もっと速く」


「もっと強く」


「もっと上へ」


 そんな想いがシステムに反映される。


 ザクザクと雑魚を狩ってボスエリアまで一直線。


 相手は徳川公。


 江戸エリアのボスの典型だ。


 当然ボスとは別に雑魚も溢れ出る。


 気にする事でも無いが。


 ボスはさすがに雑魚より速く襲いかかってくる。


 超過疾走システムの恩恵を得ているのだ。


 この程度はやるだろう。


「疾っ!」


 俺には追いつかないんだがな。


 そして俺はボスに斬撃を浴びせる。


 ヒットアンドアウェイ。


 それも超速の。


 ガリガリとヒットポイントを削る。


「ギルガメスラッシュ!」


 ボイススキップ。


 スキルを繰り出す。


 神速の連撃がボスを襲う。


 元々連撃を加える斬撃の速いスキルだが、超過疾走システムによって速度が十倍増しだ。


 正直自分でも視認できているか疑わしい。


 いいんだがな。


「おおおっ!」


「あああっ!」


 俺とボスの気迫がぶつかる。


 プレッシャーが烈風となったような感触を抱く。


 誤認だが。


 ある程度ダメージを与えると、


「スライダー解除」


 ボイススキップ。


 装備を外す。


 そして、


「ピースブレイカー装備」


 盾を装備する。


 俺の奥の手でありエース。


 シールドバンカー。


 名をピースブレイカーというソレ。


「あああっ!」


 ボスが和刀を振ってくる。


 その全てを片手剣で弾いて懐へ。


 一瞬だ。


 決着は刹那。


「ピース……ブレイカー!」


 ズドンと盾に内蔵されたパイルバンカーが火を噴く。


 それはボスの心臓を正確に捉えて撃ち貫く。


 衝撃が烈波となる。


 クリティカル。


 なおピースブレイカーの一撃だ。


 このレベルの敵なら一蹴できる。


 実際に鎧袖一触だしな。


 そして俺は、


「江戸城を攻略しろ!」


 のクエストをやり終える。


「ふぅ……」


 とため息をつく。


「ブラボー」


 パチパチと拍手が湧いた。


 当然ソードのものだ。


「気楽だな」


 皮肉の一つも出ようというもの。


「まぁね」


 特に気負いもしてないらしい。


 らしいっちゃらしいんだが。


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