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ライブラブ2


 で、現実世界に意識を戻す。


 既に次の日になっていて。


 つまり夏季休暇のリミットが減っていってるわけで。


 なんだかな。


「くあ」


 と欠伸。


「雉ちゃん?」


 隣に秋子がいた。


 ちなみに僕がベッドに寝転んでいる以上、秋子もそうである。


 いかがわしいことはしてないよ。


 神に誓って。


 無神論者だけど。


「ご苦労だね」


「そう思うならフォローしてよ……」


「我が国では思想の自由が憲法で守られてるし」


「雉ちゃんはそれでいいの?」


「別に今更」


「うぅ……」


 あ。


 凹んだ。


「どうせ靡く気なんてないんでしょ?」


「そうだけどぅ」


「なら僕は心配するだけ損じゃない?」


「信頼?」


「形骸」


「うぅ……」


 やっぱり秋子は凹んだ。


 面倒な奴。


「喉渇いたな。お茶を淹れてくれる?」


「うん!」


 秋子は僕のベッドから飛び降りるとキッチンに向かってパタパタと消えていった。


「やれやれ」


 別に喉は渇いてないけど論点をずらし尚且つ、


「雉ちゃんに対する私の立ち位置」


 を再確認させるにはちょうどいい。


 で、僕もベッドを出る。


 ダイニングへと至り席に座す。


「はい。雉ちゃん」


 秋子は二人分のお茶を用意した。


「ありがとね」


 微笑むと、


「えへへ」


 と照れ照れ。


 こういうところは愛らしい。


 そしてそれ故に残念。


「…………」


 ズズと茶を飲む。


「美味しい?」


「ん」


 コックリ。


「秋子はいつも完璧」


「そっかな」


「僕は秋子なくして成り立たたないからね」


「本当?」


「まぁ別に一人立ちしてもいいけど」


「駄目だよぅ」


「そう言うでしょ?」


「あう……」


 言葉を失う秋子だった。


「雉ちゃん?」


「何でっしゃろ?」


「私のことどう思ってる?」


「複雑だから何とも言えないなぁ」


 無論嘘だ。


 一言で言い現せる。


 即ち、


「都合の良い存在」


 と。


 咎人の思想だ。


 これ以上凹ませるわけにもいかないから黙ってるけど。


 茶をすする。


「夏美ちゃん……可愛いよね?」


「さもあろう」


「量子ちゃんだって……」


「さもあろう」


「私はこんなだし……」


 さもあろう。


「雉ちゃんは遠くに行っちゃうかな?」


「ん~……」


 難しい質問だ。


 秋子を傷つけずに肯定する言葉が思い浮かばない。


「やっぱり……」


 僕が言葉を濁しただけ全てを察する秋子だった。


「見限れば?」


「出来ると思う?」


「わかんにゃい」


 お茶を飲む。


「雉ちゃんは残酷だね……」


「否定はしない」


「でも優しい」


「何処が?」


「そういう偽悪的なところが」


「別に意図してやってるわけじゃないんだけどな」


「嘘」


 全て見抜いてる……か。


 まぁ幼馴染だ。


 相互理解に不十分は無い。


 だからきっと救われない。


 紺青秋子は救われない。


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