表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/318

あなたは涼風の様で6


 で、タクシー拾って寿司屋『大和心』に到着。


 テーブル席を囲む。


 とりあえず無難に四人分の寿司を纏めて頼み、緑茶を飲む。


 ちなみにデータ上の寿司もあるのであしからず。


 ズズと緑茶を飲んで、


「百貨繚乱で何する?」


 今日の予定を聞いてみる。


「カラオケ!」


 元気よく量子。


 無難ではある。


「服買いたいな」


 これは秋子。


 また?


「見たい映画がありますが……」


 控えめに夏美。


「ちなみに何のアニメ?」


「ブレブレです」


「ああ」


 ブレブレね。


「映画始まってるんだ?」


 緑茶を飲みながら僕が確認するとコックリ頷かれた。


「今日からです」


「狙ってるね」


「マーケティング上当然かと」


 そりゃまそうか……。


「じゃあ総合するとして……」


 僕は緑茶を飲む。


「まず映画を見た後カラオケではしゃいで最後に服見て回るってことでいいのかな?」


「だね」


「だよ」


「ですね」


 うん。


 ばっちり。


「よう雉坊。羨ましいね全く」


 寿司を持ってきながら皮肉る大将。


 寿司屋『大和心』のオーナーだ。


「ども」


 僕は恐縮する。


「か! そんな縮こまらんでも!」


 と言われましてもね。


「青春だ青春。良いことじゃねぇかぃ」


 青春ねぇ……?


 量子に視線をやる。


「ルン」


 と美味しそうにデータ上の寿司を頬張っていた。


 秋子に視線をやる。


「いただきます」


 丁寧に一礼して食事を開始していた。


 夏美に視線をやる。


「……何でしょう?」


 僕の視線がいたたまれなかったのか。


 おずおずと問うてきた。


「いや、夏美は可愛いなって……」


 爆弾発言。


 それは自覚している。


 その後の展開も含めて想定の範囲内だ。


「……っ!」


 量子が飲んでいた緑茶を吹きだした。


 データ上だから問題はないけど。


「ゲフ……ゲハ……ゲホ……っ!」


 秋子は寿司を喉に詰まらせたらしい。


「はやや……っ!」


 夏美は狼狽してしきることがなかった。


「可愛い……とか……! そういうの禁止です……!」


「なんで? 可愛いよ?」


 ニヤニヤと笑いながら夏美を追い詰める。


「でも……!」


「でも?」


「……何でもないです。とりあえずそんな言葉は秋子ちゃんや量子ちゃんに言ってあげてください」


「もう散々言い倒したしね」


「でもぅ……」


 顔を赤らめて恥ずかしがる夏美。


 うーん。


 九十三点。


「「きーじーちゃーん?」」


 秋子と量子が責めるような視線をやった。


 当然、


「…………」


 気にしない僕。


 ヒラメを食べる。


 うん、美味しい。


「雉ちゃんは私の!」


「違うよ! 私のだよ!」


「むぅ!」


「むむむ!」


 秋子と量子が僕の占有権を主張して睨みあった。


 僕はアワビを食べる。


 うん、美味しい。


「春雉は誰にでも可愛いって言うんですか?」


「まさか。可愛い子にだけだよ?」


「あう……」


 プシューと茹る夏美。


 きゃわいいなぁもう!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ