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職業は冒険者を希望です  作者: 瑛美(あきみ)


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魔の森

本日は、二話投稿しています。

こちらは二話目です。

 目的地である森の近くの砦に到着したのは、夜もかなり深けた時間だった。

 

「女性が二人いるのだから、もう少し考えて移動しなさいよ!」

と、ベルさんがすごい剣幕でレオンハルトさんと同行してきた魔術研究所の研究員を注意していた。

「本当なら、明日の昼ごろに到着予定だったでしょうが。それなのにアナタは」

ビシッとレオンハルトさんを指差し、

「早く到着したいからと、休憩時間を短くしない!そして、アナタ」

同行の研究員を指差し、

「新型の馬車の性能を確認したいのは分かるけれど、速度出しすぎ。まぁ、乗り心地は酷くなかったけど・・・、慣れるまでは怖かったんだから。ねぇ、アイリスちゃん?」

「はぁ、そうですね・・・」

 ベルさんに同意するように答えはしたが、自動車の記憶が有る私は平気な速度だった。

 クロード先生も少しお疲れ気味のようだ。


 無理もない。

 兵士さん達が早朝訓練をしている時間に王宮を出発。

 王宮関係者か許可を貰った者しか通行が出来ないという専用の街道を馬車で走ること丸二日(・・)

 途中にある休憩所で、馬の交換、御者の交代、馬車の調整メンテナンスをしている間に食事などを済ませ、辺りがすっかり暗くなったころに到着した休憩所で宿泊。

 朝は、まだ暗いうちにレオンハルトさんに起こされ朝食。

 地平線が明るくなり始めた頃には出発。

 途中の休憩所で前日と同じ様に軽い休憩をするだけで、後はひたすら馬車の中。

 馬車の座席が丁度良い硬さで座り心地が良く、意外と振動が激しくなかったので、馬車の中で仮眠を取れたのは良かったのだけど。


「明日は終日、休みにします!」

 ベルさんの言葉に、レオンハルトさんは残念そうだった。



 翌朝、少し遅めの朝食を取るため食堂に行くと、レオンハルトさんは砦の兵士さん数人と森に行ったと聞かされた。

「全く、あの人は・・・」

 ベルさんが大きなため息をついた。


 レオンハルトさんは、魔術師なんだけど前線で戦いたがる人なんだそう。

 最近は、研究所で若い世代への指導が多くなり、魔物駆除の現場に行くことが激減したんだそう。

 その為に少しストレスが溜まっていたらしい。

「指導が少し厳しくなったみたいで、『付いていけません』と新人から泣きつかれてしまってね・・・」

 ベルさんが遠い目をしている・・・。そんなに酷かったのかな?


 そんな時、学園から『面白い魔法を使う生徒がいる』との報告書が上がってきたそう。

「自ら試験官として名乗りを上げたのはいいのだけれど、まさか、この場所を試験の場所に選ぶとは思ってもいなかったのよ」

 ベルさんは、街道沿いに有る別の森を想像していたそう。その場所でさえこの街道を馬車で1日半はかかるらしい。

 普通に移動すれば数日はかかる距離だ。

 “普通に移動”とは、乗り合い馬車などを利用して、夜はしっかりと宿で休憩してとの意味。


 新型馬車の速度の事もあってか、ベルさんが気付いた時にはすっかりその場所は通り過ぎていたそう。

「研究所に帰ったら、たっぷりと締め上げるわよ」


 食事の後、ベルさんに誘われて砦の最上部に登ると、目の前には地平線まで続く広大な森があった。

 ただ、靄のようなものに覆われていて、森の詳しい様子は砦からは分からない。

 砦と森の間には、森へと続く道だけがある平原があった。


「ここは何処なんですか?。王国内にこんな場所ありましたか?」

 王国内の地図を思い浮かべるが、こんな広大な森は無かったはず。

「ここは、王国の東の果ての砦。王都から普通に移動したら一週間から10日はかかる場所にある」

 そんな場所に二日で移動したことも驚きだ。

「では、あの森は王国の領土ではないのですね?どこか他の国のですか?」

「あの森は何処の国の物でもない・・・。かつては“大変栄えた国”があったと言われてはいる」


「我が王国が建国される遥か昔の話・・・」

 ベルさんがそう前置きをして話始めた。


 かつて、この森の中央辺りに現在の文明よりも遥かに進歩した国があった。

 賢王は民のことを一番に考え、民もそれに応える様に国は栄えていった。

 賢王亡き後、国に混乱が起きた。誰が王の後を継ぐのか。

 国の至る所で内乱が起き、多くの民が亡くなった。

 混乱を無理やり治めた者が王となった。

 その王が先ず行ったことは、失った資源や食料を近隣の国から奪うこと。

 戦が始まり、しばらくしたころ、王の住む城の上に黒雲が現れた。

 それは徐徐に大きくなり、国土全部を覆いつくすまでになった。

 不思議なことに、その雲は他の国に広がることもなく、戦場でも王の国の陣地の上にだけ広がった。

 黒雲が国土全てを覆うと、雷を伴う激しい雨が降り出した。

 その雨は7日7晩続いたと言う。

 雨が止んだその跡には、兵士達の姿は無く、成人男性と同じ高さの木々が生えていた。

 その幹の模様は、人が苦しんでいるように見えた・・・。

 王の国から逃げてきた者の話によると、王の住む城は巨大な植物に覆われ、徐徐に街を埋め尽くしていった。森に住む動物達は姿を変え、凶暴な生き物となってしまった。

 民の多くは、その生き物達に殺されてしまった。

 事態が収まったころ、周辺の国々が森へと姿を変えてしまったかつての王国の調査に向ったが、森の奥へ入ることは叶わず。また、森に生息する奇妙な生き物達から身を守るために、その森に立ち入ることを禁止した。

 

「それがあの森なんですか・・・」

「まだ、話には続きがあって・・・」


 それから数百年後。

 森は“魔の森”と呼ばれる様になり、そこに住む奇妙な生き物は魔物と呼ばれるようになった。

 人々の努力の甲斐あって、魔物と戦う術を手に入れた。

 そこで、森に近いある小国の王は考えた。「他国が忌み嫌う森を自国のモノにしよう」と。

 結果から言うと、その野望は失敗した。

 新たな強い魔物の発現と、魔物の大量発生を引き起こし、世界中に魔物が生息する原因となった。

 小国はかつての王国と同様に森へと飲み込まれていった。


「我が国が建国された頃の話だそうだから、500年ほど前のことかしら?昔の話だから、かなり誇張されているとは思うのよね。入ったからって呪われることは無いわよ。この砦の兵士は森の調査も任務の一つだから、しょっちゅう入っているけど平気だし。鍛えられはするけどね。ただね・・・」

 ベルさんが視線を森の奥へと移した。

「他の森とは違うことは確かね。森に生息する生き物は魔物か魔物化した動物だけ。植物も、ちょっと変わっているし。その所為か分からないけど、迷いやすいの。聖なる樹も未だ発見されていないし。この砦は、森から魔物が溢れ出してくるのを防ぐことは出来ないけれど、森を調査することでいち早く察知して対策を取れる様にするためと、なれない人間が森に入り込まないように監視するためにあるの」


 過去に、魔物や魔物化した動物の高級素材をねらって入り込んだ人達がいたらしい。

 魔物の発生状況を調査しにやって来た兵士さん達に発見された時は、森で迷い込んで数日は経っていたそうで、ちょっとした物音にも怯えるぐらい酷い状態だったらしい。その人達は特別な施設で現在も治療中だとのこと。


 森から続く道に人の姿が見えた。

 レオンハルトさんと砦の兵士さん達だ。

 何かを背負っているようだが・・・。

「帰ってきたわね。ちょっと説教でもないとね」

 そう言ってベルさんは階段を駆け下りていった。

 後で兵士さんから聞いたのだが、ベルさんとレオンハルトさんは夫婦で、レオンハルトさんの暴走を止められるのはベルさんぐらいだそう。


 クロード先生と合流し、入口に行くと、レオンハルトさんがベルさんに怒られているところだった。

 側には、立派なイノシシ形の魔物。私より大きいんじゃないかな。


 同行した兵士さんによると、突進してきた魔物を魔法で動けなくした後、首のあたりを手刀の一撃で倒したそうだ。レオンハルトさん一人で・・・。


「2時間ほどの調査で遭遇したのは、コレ以外にはDランク程度の魔物が2体と、魔物化した動物5匹。これらはすぐに逃げていきました」

 同行した兵士さんの報告を聞きながら、レオンハルトさんのヤル気に魔物達が怯えてしまったのではないかと思ってしまった。

「明日の試験には砦の兵士も何人か同行しますので、大丈夫ですよ」

 私が苦笑しているのを見た若い兵士さんが、私が不安に感じていると思ったのか、優しく話しかけてくれた。


 明日、獲物が逃げなければいいけど・・・。



長い間更新出来なかった分、話は頭の中で出来上がっていたので、続けて更新することが出来ました。

次話もある程度はまとまっているので、近日中に更新できると思います。急な用事が入らなければ・・・。

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