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職業は冒険者を希望です  作者: 瑛美(あきみ)


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授業見学 からの・・・

2018/03/20 一部修正しました。

上級クラスと中級クラスの違いを“正式”な実戦魔法が使えるかどうかにしました。

先生達の成功率を4割程度に上げました。

 本日は特別授業。2年生の魔術実技テストの見学だ。

 場所はスタンド席の有る第一実践場。

 天気が良いとは言え、季節はすでに冬。日向は暖かいが、風は冷たい。そんな中での見学なので、各々防寒対策をするように前日に伝えられていた。

 予想はしていたんだけどね・・・・・・。毛皮のコート着ている人がいる・・・。

 王子でさえウールのコート(多分最高級品)なのに・・・。

 私は、単体でも使えるライナーベスト付きの3wayコート。このライナーベストは、先日狩った(魔)アナウサギの毛皮を使用。さすが高級素材。とても暖かい。 


 見学する席は、当然ながらクラスごと。

 A組は場内が一番良く見える場所で、他のクラスからは、間に通路があるため離れている。 

 最前列に王子を挟んでカーティス、ブライアンが座り、カーティスの後ろにクリフが座っている。

 私は、それより1列空けた後方に座った。この場所から場内を観察。


 ほとんどの生徒は、王子のほうをチラチラと見ながら会話をしている。

 王子の視界に入ろうと移動している女生徒たち。例外は、撫子寮のお姉様たちで、一度、こちらの方を見た後は、多分復習をしているのだろう、真剣な表情で話し合っていた。 


 そんな中、視線を感じたので意識をそちらに向けると、私の視界の隅に一人の男子生徒の姿が映った。

 他の生徒達からは離れた位置から、こちらを見ている。

 王子を見ているのかと思い彼のほうを向くと、一瞬、目が合ったような気がした。

 が、その視線は私の後方へと移動したので、それにつられて後ろを振り向いてしまった。そこには、この時期に見かける赤い羽根の鳥がいた。

 この鳥を見ていたのかと納得し、場内へと視線を戻すと、すでに彼は移動していた。


 始業のチャイムがなり、場内の生徒達はクラスごとに集まった。

 整列しないところが前世とは違うな・・・。


 今日は【攻撃系】のテストを行うそうだ。

 2年になると、【攻撃系】と【後方支援】とに分けて指導するそうだ。

 【後方支援】は、回復や防御などの魔法で、こちらのテストはすでに終わっているとのことだった。


 テストは初級クラスからだった。

 2年の初級は、まだ実戦魔法まで進んでいない人達らしい。なんとな~く、予想はしていたけど、女生徒ばかりだった。

 詠唱魔法で広範囲の攻撃魔法を唱えはするものの、精度はイマイチ。魔法には多少適性も関係したりするけどさ・・・・・・、もうちょっと真面目にしたほうがいいんじゃないかな・・・。『きゃ~。怖い』みたいな態度でやっているから、判定役の先生の口元が引き攣っているような・・・。

 もしかして、王子に“か弱い”アピールをしているの?それ、逆効果だからと教えてあげたい。

 その証拠に、王子の拍手が形式的だ。一応、労いの態度はしておかないと、って感じ?


 続いて中級。寮のお姉様たちはこのクラスだ。

 詠唱魔法で初級と同じ魔法を唱えるのだが、初級の人達とは雲泥の差。大袈裟ではなくて。

 次に同じ魔法を“学園式”の実戦魔法で。こちらは詠唱魔法ほどの威力は無いが、何とか皆さん成功したようだ。

 魔法が決まる度に王子が大きな拍手をしていた。初級の時とは大違い。

 そんな王子の姿を見て、初級の人達は自分達との違いに『何で?』って顔をしている。

 

 最後に上級。私と目が合ったような気がした生徒がいた。

 さすが上級。詠唱魔法も中級よりも威力が有ろ。

 そして、中級との差は実戦魔法。

 上級の生徒達は“学園式”では無く、私と同じ“正式”な実戦魔法が出来るのだ。

 上級の人数が3人だけなのも頷ける。


 スタンド席からは、大きな拍手と、『スゴイ!』『カッコいい!』などの声が聞こえてきた。

 もちろん、王子も。


 これで終わりかな?と、場内を見渡していると、魔術講師主任のハーマン先生と目が合った。

 今日はやけに人と目が合うなと、思っていると、先生が意味有り気に笑ったので、イヤ~な予感がした。


「1-Aのアイリス。こっちに下りてきなさい」


 先生に手招きされた。


「せっかくだから、君の実戦魔法を2年生に見てもらおうか」

 イヤな予感、的中!

「え~と・・・、どの魔法を使うか、クロード先生に相談してからでいいですか・・・?」



「どうしてハーマン先生、あんな事を言うんですか?」

 他の先生や2年生から少し離れた場所で、クロード先生に尋ねた。もちろん小声で。

「初級の生徒がアレだから・・・。1年生でもコレだけ出来るというのを見せたいのだろう」

「それなら、クリフやゼンのほうが適任じゃ・・・」

 クリフもゼンも簡単なものではあるが、実戦魔法を成功させている。

「いや、彼らが彼女達より優れているのを見せても、やる気になるとは思えん。それならば、彼女達の憧れの“アーサー様”に、何故君が認められているか見せ付けたほうが効果があるんじゃないか?」 

「そう、上手くいきますかね?」

「まぁ、その時は、その時。彼女達には辛い現実を見てもらうしかないだろう」

 後で聞いた話なのだが、【攻撃系】魔法、【後方支援】魔法、それから2年生から学習する魔術関連の座学のいずれかである一定以上の成績を収めないと、もう一つの学園に“強制転校”させられるそうだ。 年に数名ほどいるらしい。


「・・・それで、私はどの魔法を使えばいいのでしょうか?」


 先生に勧められた魔法は、以前思い付きで作り出した【色付きの火球を頭上で弾けさせる】ヤツだ。

 見かけは“ファイアーボール”だが、分かる者には分かる高度な魔法・・・らしい。

 先生達も試したそうなのだが、なんでも、色を付けると弾けず、逆に弾けさせようとすると思ったような色にならないそうだ。未だ成功率は4割程度らしい・・・。


「彼らと同じ魔法でも構わないのだが、君の場合、上級クラスよりも威力の強いものになってしまいそうで・・・。上級生としてのプライドを失くしてしまう生徒が出てくるのではないかと・・・」

 “冒険者”としては、魔物を一発で仕留めるために、魔法は“ちょっと強め”を常に意識して使っている。

 先日のジェイクとの勝負の時も威力を調整したつもりだったんだけどね・・・。つい、いつもの癖で“ちょっと強め”になってしまった。


 先生に2年生を端のほうに誘導するようにお願いした。

 周囲への安全を配慮するのは基本だ。


「“火球”」

 

 先ずは普通の色の火球を空へと放つ。20メートルほど上空で四方に弾けさせた。

 スタンド席が騒がしい。そういえば、以前、同じ魔法を使ったとき、別の場所で見ていたんだっけ。それを思い出したのかな?


 続いて、緑、赤、紫、青と次々に打ち上げていく。

 赤と青は以前より色が鮮やかになった。緑と紫はまだまだかな?


「終了です」

 クロード先生の方を見ると、頷いてくれた。

 ハーマン先生は、続けて【花火】をすると思っていたのか、私の『終了』を聞いて少しがっかりした表情になっていた。他の生徒達の前であまり派手な魔法はしませんよ。


「「アイリスちゃん!すごいわ!」」

 コレットお姉様とベアトリスお姉様が駆け寄ってきて、抱きついてきた。

 スタンド席のほうから、拍手が聞こえてきた。

 A組の4人と、ジェイク、サラ、ゼンだった。他の生徒達は呆然としている。

 2年生も同様で、初級の女生徒はこちらを忌々しそうに睨んでいる。 

 

 そんな呆然としている2年生の中でもいち早く復活したのは、私と目が合った先輩だった。

 私の魔法について何やら思うことがあるようで、クロード先生に質問している。

 スタンド席に戻ってもいいか聞きに行きたいんだけど、話の邪魔はしたくないし・・・。

 そう思っていると、一人の男子生徒が近付いて来た。


「ねぇ、君。オレと魔法比べしてみない?」 

 

 どうしてこうなる?


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