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職業は冒険者を希望です  作者: 瑛美(あきみ)


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魔法勝負(1)

2018/03/20 クリフたちの使用する実践魔法を“学園式”としました。

第6話の『魔術講義~実戦魔法~』で説明していま。詠唱魔法の後半【3、規模 4、発動の言葉】が呪文となります。アイリスが使用しているのは【4、発動の言葉】のみで、“一般的”または“正式”な実戦魔法とします。

「そこの女!オレと魔法で勝負しろ!!」


 保健室から教室に戻る途中、男子生徒に絡まれた。

 学年章から同じ1年のようだ。


「魔法で勝負と言っても、校内での魔法の使用は基本、禁止ですし、実践場を使用するのも先生の許可が必要となりますが・・・」

「では、先生の許可が下りればいいのだな?」

 そう言い残して、さっさと去って行った。え~と、私、了承していないのだけど・・・。



「え~、今日の魔術の授業は、A組のアイリスと魔法勝負をしたいという申し出が多数あったので、魔力実技テストも兼ねて、そちらを行っていきたいと思います」


 絡まれてから数日後、魔術の授業時間を使って勝負を行うことになってしまった。

 私、一人にしか勝負を申し込まれていないんだけど、いつの間に“多数”になったの?


「勝負の前に、今回、勝負に参加しない上級の実技テストをする」

 上級はクリフ・ゼン・サラの元E組メンバーと王子・ブライアン・カーティスの6人。

 難易度が少し高い詠唱魔法と詠唱魔法を応用した“学園式”の実戦魔法を習っているそうだ。実戦魔法も時々ではあるが成功するようになったと言っていた。

 今回のテストでは、詠唱魔法で“火柱”・“水柱”、実戦魔法で“ファイアーボール”か“ウォーターボール”のいずれかをすることになっていた。

 クリフとゼンは詠唱魔法、実戦魔法全て合格。サラと王子達三人は詠唱魔法は合格だったが、実戦魔法はまだまだだった。

 それでも、儀式魔法しか使えなかった入学当時と比べれば、かなりの進歩だとは思う。

 先生も、「2年の中級と同程度」と言っていた。


「それでは、魔法勝負だが・・・、勝負内容はあそこに立っている【魔法を的に当て、可能であれば壊す】だ」

 土魔法で作られた壁に的が設置されている。弓道の的に似ているな~と、思ってしまった。的までの距離は15メートルぐらいかな?

「最初の挑戦者は誰だ?」

「はい。オレが言い出したことなので、オレが一番で」

 手を上げたのは、先日私に絡んできた生徒だ。

「よし、ジェイク。先攻、後攻、同時。どれにするか?」

 ジェイクと呼ばれた生徒は、私の方をチラッと見て、

「じゃあ、先攻で」

と、答えた。


 ジェイクは詠唱魔法で“ファイアーボール”を唱え、的に当てることには(・・)成功した。

 ただ、途中で威力がなくなり、的を壊すまではいかなかった。

 それでも、的に当たったことで、生徒からは歓声が上がった。

 ジェイクは、得意げにこちらを見てきた。


「では、アイリス。好きな魔法で・・・と、言いたいところだが、比較しやすいように“ファイアーボール”で頼む」

「分かりました・・・。“ファイアーボール”」

 当然、私は“学園式”ではない、ここでは“正式”と呼ばれている実戦魔法を使用する。

 私の放ったソフトボール大の火の球は、ちょっと威力が強かったようで、木製の的に穴を開けてしまった。残った的はもちろん燃えている。

「火、消したほうがいいですか?」

「ああ、頼む」

 燃えている所にだけ水がかかるよう“レイン”を唱える。


「誰だよ。魔法がほとんど使えないって言ったヤツは・・・。アレ、上級よりもすごい実戦魔法じゃないか・・・」

「え、だって、儀式魔法が使えないから、個別授業だって聞いたから・・・」


 中級以下の生徒達の間から動揺した声が聞こえてきた。

 彼らの頭の中で【儀式魔法が使えない=魔法が使えない】に変換されてたようだ。


「次の挑戦者は、誰だ?」


「お前、行けよ」「いや、そう言うお前こそ『オレのすごさを見せ付けてやる』なんて言っていただろう」「殿下たちが勝負に参加しなかった理由が分かったよ・・・」男子生徒のそんな呟きが聞こえてきた。


「ん?誰もいないのか?私のもとに申し込んできた者の名を順番に呼んでも構わないのだが・・・」


「「「「「棄権します!!!!」」」」」



 で、結局私と勝負をしたのは、私に最初に絡んできたジェイクのみだった。

 その彼は、中級以下の生徒達が実力テストを受けている間もずっと打ち拉がれていたそうだ。




「今日もウィルさんの所に行けそうにもないか・・・」

 王子の爆弾発言以来、出来るだけ人目につかないよう、寄り道をせず下校するようにしている。

 だって、明らかに注目集めているし、睨まれているからね。

 だけど、今日はちょっと違っていた。

 睨まれてはいるんだけど、昨日までの刺々しい感じは減っている。

 不思議に思いながらも校舎を出ると、そこには・・・。


「アイリス様!オレを弟子にしてください!」


 ジェイクが土下座していた。

   



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