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職業は冒険者を希望です  作者: 瑛美(あきみ)


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試験休み(4)

更新、滞ってしまって、すみませんでした。

 試験休み最終日。

 今日は、馬車の時間までクリフに冒険街を案内する予定。


 今回は、武器屋と防具屋は省略。

 品揃えが豊富で、見ていて楽しいんだけど、必要な物ではないからね。

 それよりも、先ずは魔術師専門のお店。


「おう!アイリス。いらっしゃい。今日はどうしたんだ?」

 店主のユージーンさん――魔術師より格闘家に見える――が声をかけてきた。

「こんにちは。今日は、友達を案内してきたの」

 クリフを紹介する。

魔術の(こういった)店は初めてか?」

「南地区のお店には行ったことはあります」


 王都は、中央広場を中心に主に4つの地区に分かれており、一番大きな地区が南地区と呼ばれる地区で、多くの庶民が暮らす所である。庶民向けの商店や、学校、娯楽施設なども充実している。

 対して、西地区は貴族が集まる地域となっていて、商店、学校、娯楽施設も貴族向けなのだ。

 東地区は、冒険者と職人が集まる地区で、冒険者ギルドを中心とした一角が冒険者街と呼ばれている。

 北は王城を中心に魔法研究所や王国軍の施設など国の重要な施設が集まっていて、中央広場側には王立図書館や王立植物園など、一般庶民も利用できる施設がある。


「ここは冒険者が利用する店だから、南地区むこうには無い商品が多くあるぞ」

「はい。早速なんですが、アレは何ですか?」

 クリフが指さしたのは壁に飾られている杖類。長さも形も様々で、何故か魔法少女のステッキ風のまである・・・。


「ああ、これは少ない魔力で大きな効果を出すための道具だ。描かれている模様によって、攻撃に特化した物もあれば、結界などの防御に特化した物もある。これらは中級以上の魔術師向けの道具だ」

「何故ですか?初心者でも、魔力が少ない者にとってはありがたい道具だと思うのですが?」

 クリフが質問する。

「この道具は、魔力の調整や制御が上手いほど、高い効果があるんだよ。杖にはめ込まれている魔石が微調整してくれるから、初心者でも使えないことは無いんだが、初心者のうちから道具に頼ってしまうと、魔力の調整や制御といった基本的なことが上達しないんだよ。中級以上の魔術師達も、コレを使うのは“いざ”という時だけにしているからね」

 例えるなら、ボス戦かな。

 


「へ~~。あれは?回復薬?」

 次にクリフが興味を持ったのは回復薬の説明が書いてあるパネル。


 即効性のある液体は5種類あって、魔力量によって合う薬が違ってくるので、購入前に魔力量を測る必要がある。




「私やクリフだと、一番色の濃い“レベル5”だね。その分値段も高いんだけど・・・。購入前に魔力量を測ってもらえるから、自分に合った薬が購入できるんだよ。で、丸薬タイプの方は、こっちの黄色の方は魔力の回復を早くする効果があって、例えば、休憩して回復に一時間かかる魔力を、30分で回復できるの。で、こっちのオレンジの方は、使用してから6時間は活動しながらでも魔力が徐徐に回復するタイプ」

 通常、魔力の回復には休憩が必要。動いていると回復し辛いのだ。

 その人の体力次第だが、魔力をギリギリまで使っても、一晩眠ればほぼ回復している。

 十分な睡眠時間が取れない、例えば野営などで交代で見張りをしなければいけない時など、黄色の丸薬を呑んで休むのだ。

 オレンジは、長距離の移動などで途中、十分な休憩が取れない時など、念の為に呑んでおく。

 液体の回復薬は、即効性はあるが値段が高いので、よっぽどの事、例えば、残っている魔力以上の魔法を使用しなければいけなくなった時じゃないと使わない。

 魔力を計画的に使うために、丸薬類は重宝するのだ。


「へ~~。知らなかった。魔力がギリギリになるまで使うって経験無いからかな?それにしても、アイリスは詳しいね」

「ああ~、ほら、一応、冒険者ギルドで働いたりしていたから、知識はあるんだ~。ははは・・・」

 ヒルダ姉さん達の特訓で何度か使用したからね・・・。

 

 一通りお店の中を見て回った後、次は雑貨屋だ。


 冒険者街の雑貨屋。それは、アウトドアグッズ専門店。

「うわ~~。すごい・・・」

 クリフは驚いている。普通の雑貨屋と比べると、商品が特徴的だよね。テントだったり、携帯用コンロだったり・・・。

 この店でクリフは、軽くて丈夫なマグカップを購入していた。



「それじゃあ、ライアン商会に行こう!」

 クリフが一番楽しみにしていた場所だ。


「いらっしゃい~」

 ミライさんが出迎えてくれた。

「お茶を用意してあるから、奥にどうぞ~」

「わ~い。ミライさん、ありがとう」

 昨日、クリフを連れてくることを言っていたから、用意してくれたんだ。

 ミライさん用の応接室のドアを開けると、先客がいた。


「やあ、アイリス、クリフ」

「・・・カーティス・・・。何故、ここに・・・」

 ソファには、にこやかに笑うカーティスが座っていた・・・。

「やだなぁ、アイリス。昨日、『また、明日』って言ったじゃないか。アイリスだって返事したじゃないか」


 気軽に返事するんじゃなかった・・・。


「カーティスも来ていたんだ」

「昨日、アーサー達と来たときに気になった商品があったんだけど、昨日は買えなかったからね。今日、学園に戻る前に寄ったんだ。帰りも家の馬車に乗っていかないかい?後は帰るだけだから、時間は二人に合わせるよ」

「本当?!助かるよ。馬車の時間を気にせずに、ゆっくりと商品を見ることが出来るよ。アイリスもいいよね?」

 私だけだったら断っていたんだけど、クリフが喜んでいるからな・・・。

「うん。いいよ・・・」

「それじゃあ、僕、お店見てくる」

「え?クリフ、お茶は?」

「商品を見てからにする。あ、アイリスはゆっくりしていて」 

 ここまでテンションの高いクリフを見たのは初めてのような気がする。

「それじゃあ、私がお店を案内してあげる。アイリスはお菓子でも食べてゆっくりしててね~。カーティス君はお好きにどうぞ~」

 ミライさんまで出て行ったので、部屋には私とカーティスの二人が残された。


「ううっ・・・。私の貴重な休暇が・・・、こうもあっさり終了してしまうとは・・・」

「・・・?何を言っているの?学園は明日からだろ」

 崩れ落ちる私に驚きつつも、カーティスは優雅にお茶を飲んでいる。

「私にとって今回の休暇は、学園での精神的抑圧ストレスを解放するためものだったのに・・・。出来たのは一昨日と今日の数時間だけだったとは・・・」

 ああ・・・。クリフとのお店めぐり、楽しかったな・・・。ほんの数十分前までの事だけど、遠い過去の事の様に思えてしまうから、不思議。


「その言い方だと、僕がその精神的抑圧ストレス?の要因みたいじゃないか」

「まぁ、要因の一つではあるね。学園から離れた場所、学園の生徒が絶対に来ないであろう冒険者街、そんな場所で同級生と遭遇。それも、私的領域(テリトリー)の一箇所で。休みの日にまで同級生に会うんじゃ、学園にいるのと変わらないじゃないの・・・。昨日なんて、本当は薬草取りに行くつもりだったんだよ・・・」

 ライアン商会の依頼で、染料の原料の採取があったからそれを受ける予定だった。

「一人で?」

「いいえ、ジークと。ジークが三人の護衛で行けなくなったから、私もお店の仕事になったんだよ。出来れば、大自然の中で体を動かしたかったのに、バイト先に同級生が来るなんて・・・。それで、どうして来ることになったの?ジークの話だと、急に決まったみたいだけど」

 いつまでも床に座っていても仕方がないので、カーティスから離れた場所にあるソファに腰掛けた。


「詳しい経緯は僕も分からないよ。たぶん、君の話を聞いて、アーサーが興味を持ったからだとは思う」

「そう・・・」

 やはり、王子の提案か。それにしても、お城の人、よく許可したよね・・・。


「ねぇ、アイリス・・・。君、アーサーの事嫌いなの?」

 カーティスが真面目な顔で質問してきた。

「どうしてそう思うの?」

「アーサーと話す時、他所他所しいし、避けているようだから」

 

「嫌いではない・・・。ただ、どう接していいか分からないから・・・」

「僕やクリフと話す時のようで構わないのに・・・」

「そう簡単に言うけれど、それが出来ないから、仕方が無いじゃない・・・。クリフは専門学校で学んでいたから大丈夫だろうけど、私なんて一学期の数ヶ月しかマナーとか学んでいないんだよ。そんな私に王族と普通に接しろなんて、無理!カーティスと話す時も、気、使っているんだよ」

 丁寧すぎず、砕けすぎず、そこを心がけてはいるのだけど。

「学園では、気を張った生活をしているから、今回の休暇はすごく楽しみだったのに・・・」

 あ、涙が・・・。

 よっぽどストレスが溜まっていたんだなぁ。ちょっとしたことで涙が出てくるなんて、以前の私では考えられなかったことだ。


「ごめん・・・。ただ、アイリスともう少し親しくなりたかっただけなんだ。僕らは・・・」


 カーティスが謝ってきた。

 謝りながら、何故、私を抱きしめる?そして、何故、徐徐にその力が強くなる?

 予想外の出来事に、涙はすっかり引込んだ。


「あ、あの、カーティス。私、顔、洗ってくるから・・・」

 カーティスの腕を叩いて、拘束を解くように促す。

「あ、ゴメン」

 彼の腕が離れると、すかさず部屋を飛び出した。



 帰りの馬車の中、ちょっと気まずかったので疲れて寝たフリをした。

 明日、普通に接することが出来ますように。

 



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