魔術能力テスト
久々の投稿です。
魔力の能力テストの日。
まずは、魔力の量を測定することから始まった。
それは、体力測定のようなものだった
まず、着ている服だが、魔法実習用の特別製で、魔法によるダメージを軽減する事が出来るらしい。伸縮性も良く、動きやすいと評判なのだが、私からすると、見た目学ラン(応援団の)素材ジャージ。
魔力を測定する器械は、握力計そっくり。アナログの。
魔力(MP)が多いほど軽く握ることが出来るらしい。針が振り切れないように、ストッパーが付いているとの事だったが、あとちょっとで、そのストッパーを壊すとこだった。
先生がかなり驚いていた。
MPの多さで、3グループに分けられた。
多い順にA、B、C。
私はもちろんAグループ。
同じクラスでは、クリフもAだった。
王子とその友人数人もA。
A自体人数が少なかった。
サラとゼンはBグループだった。
次に、実技だが、それぞれ得意な技を披露することになっている。
王子の魔法を見ようと、他のグループの生徒たちも集まってきた。
王子の魔法は、この世界で儀式魔法と呼ばれる長い呪文を唱える物だ。
儀式と付くだけあって、祭事などで、大勢の前で形式的に行う魔法だと教えてもらった。主に身分の高い人達が使用する。
さすが王子。様になっている。女子生徒が見とれている。例外は、私だけのようだ。
王子の友人達も、貴族なので、当然儀式魔法。
こちらも美形揃いなので、ギャラリーは減らず。
クリフも儀式魔法だった。両親が魔術の家庭教師で、貴族に教える事が多い為、儀式魔法を始めに覚えたそうだ。
私が使えるのは、実戦魔法と呼ばれる物。戦いに有利な魔法で、ゲームの中でお馴染みの『ファイア』とか『ブリザド』とか、術の名前を叫べば発動するヤツだ。
ここで使用するのは、かなり目立ちそうなので、先生にお願いして、人が少なく場所も広い所へ移動させてもらった。
「魔法を使えるようになって数ヶ月しかたっていないので、うまくコントロールできる自信が無いです」
と、理由を付けた。
先生は、私がこの学園に入学した経緯を知っていたようで、すぐに許可してくれた。
三人の先生と、私の事を気にかけてクリフが一緒に来てくれた。
私は、先生にお題を出してもらうことにした。
まずは、火炎系で単体の敵に使用する魔法をと、言われた。
先生方とクリフには、念のために防御の魔法で身を守ってもらった。
「火柱!!」
一応、技の名前を叫ぶ。無詠唱でも出来るのだが、目立ってしまうので、それらしい名前を言うようにと、ヒルダ姉さんをはじめ、親しい冒険者の方々に言われているのだ。
今、私の数メートル先には、名前どおりの火柱が在る。
ちょっと、火の威力を強めにしてみました。
「火龍!!」
目の前の火柱が形を変え、龍の姿になっていく。西洋的なドラゴンでは無く、東洋的な体の長い龍だ。
その龍が、円を描くように動き、空に昇って消えた。
振り向くと、先生方が関心している。クリフは、
「すごい!!初めて見た!!」
と、興奮していた。
数日後、能力テストの結果が出た。
貴族が中心の学園だけあって、魔力のグループはあまり関係なく、基本的な儀式魔法ばかりだったそうだ。儀式魔法自体数が限られているから、レベル分けが出来なかったらしい。
ゼンが実戦魔法を一応使えるらしいのだが、主に剣に属性を付加する魔法だけのようだった。
その結果、A、B、Cグループ合同の『実戦魔法基礎』の授業が行われることになった。
この授業の結果で、レベル分けが行われることになった。
「王子様と同じ授業が受けられる」
女生徒の皆さんが喜んでいた。
魔力のグループ分けで、Aは私だけだったからな。視線が痛かったな・・・。
「アイリスはどうなってるの?あの魔法で基礎は無いもんな」
唯一、生徒の中で私の魔法を見たクリフが尋ねてきた。
私は、自分の結果表を見せた。
『上級魔術師による個人授業』
能力テストのあった日の放課後、職員室に呼び出され、先生達から質問攻めにあった。
誰に魔法を教わったか?と、どんな訓練をしたのか?
誰には、神父様と冒険者。どんな訓練かは、実際に冒険者と一緒に依頼をこなしてと正直に答えた。ついでに冒険者としての身分証も見せた。
先生達は、どうにか納得したようだった。
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―― 学園の理事長室にて ――
「アイリス・ソーマの報告書をお持ちしました」
彼女は、数ヶ月前に暴走馬車を魔法で止めたことで、魔法の才能が認められ、この学園に入学してきた。
「能力テストの結果はすばらしいな」
他の生徒が儀式魔法しか使えない中、教師達の前で中級の実戦魔法を披露したというのだ。
「入学までの数ヶ月間、冒険者ギルドで冒険者達から教わったとの事です」
馬車を止めた頃は、初級の治癒魔法しか使えなかったと聞いている。
魔法を習得する能力がすばらしいようだ。
「彼女には特別授業を。それから、定期的に報告するように」
「分かりました。彼女に自ら教えたいと言う講師もすでに何人かおりますので、伝えておきます」
彼女がどの様な魔術師に育つか、楽しみだ。
読んでくださり、ありがとうございます。