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学園生活が始まります

 学園の入学式は4月だ。

 こんなところが日本と似ている。


 入学までの数ヶ月間、昼間は冒険者ギルドのお手伝いをしながら、ヒルダ姉さんや冒険者の魔術師の方たちから魔法を教えてもらい、夜は神父様から治癒魔法を教えてもらうことになった。

 約一ヶ月である初級程度の魔法が使えるようになった。治癒魔法は教会のお手伝いをしたおかげで、中級だ。


「次は実践よ!!」

 ヒルダ姉さんが言った。

 治癒魔法は教会や冒険者ギルドで、けが人や病人の治療をすることで出来る。

 攻撃魔法や防御魔法は、実際に戦わなければ上達しない。そうなると、魔物がいる地区に行く必要が出てくる。危険なので一般人は許可がないと行けない地区だ。冒険者は行くことが可能だ。

 なので、冒険者登録をすることになった。

 ヒルダ姉さんが必ず同行するという条件つきで、仮登録が出来た。

 

 まずは、近場での薬草採取の依頼を受けた。

 ヒルダ姉さんの他に、剣士の冒険者さんが同行してくれた。

 ヒルダ姉さんに薬草の知識や解析魔法の教えを受けつつ、剣士さんと協力しながら雑魚の魔物を倒していく。雑魚だから必要は無いが、剣士さんに防御魔法や、腕力アップなどの補助魔法を掛ける。または、魔物に動作封じや呪文封じの魔法を掛ける。攻撃魔法にも挑戦してみた。

 回数を重ねていくごとに、少しずつ魔物が強くなる地区に範囲を広げる。

 同行してくれる冒険者さんも増えてきた。

 フォーメーションや攻撃のコツなどを教えてもらった。

 遺跡の探索もしてみた。

 ここでは、ヒルダ姉さんが得意とする探索魔法と解析魔法の特訓だ。マッピングの技術も教えてもらった。

 魔法のレベルは中級程度となり――治癒魔法に関してはまもなく上級――冒険者としての経験も積んだことで、仮登録から本登録となった。


 当初の目的の冒険者になってしまった。


「最近、学園に行く必要は無いんじゃないかと思うんですが・・・」

 ヒルダ姉さんに相談した。

 当初、冒険者になるために学園に行く予定でいたのだが、冒険者になってしまったからな・・・。

 それに、学園の生徒は貴族がほとんど。そんな所で平民の私がやって行けるか自信が無い。

「大丈夫よ。たしかに貴族が多いけど、冒険者で成功した人達が自分の子供を通わせたりしてるのよ。先生も一流だし、寮は快適だし、食事はおいしいし、アイリスが喜びそうなところでは、図書館が大きいことかしら・・・」

「ヒルダ姉さん、ずいぶん詳しいのですね」

「だって、卒業生だもの。父が冒険でかなり稼いでくれたおかげね」

 それは、初耳でした。

「アイリスなら大丈夫。何かあったらいつでも相談に乗るから」

 



 入学式の途中に、この数ヶ月間のことを思い出していた。

 気付くと、式の最期、新入生代表の挨拶が始まった。

 すごいイケメンが壇上にいる。

 金髪・碧眼の王子様キャラだ。・・・・本当の王子様だった。

 この王国の第二王子らしいが、同年代のアイドル系イケメンには全く(・・)興味が無いので、私にとってはどうでもいいことだ。身分のこともあるし、接する機会も無いだろう。

 私の周囲のお嬢様方は、すっかり見とれている。王子様だもんねぇ。

 王子様の挨拶が終わり、やっと入学式が終了した。

 この後は、クラスごとの説明だ。



 私のクラスはE組。約三ヶ月間の仮のクラスらしい。

 このクラスは、貴族以外の生徒を集めており、この三ヶ月間でマナーやダンス等の授業が特別に行われることになっている。この学園に通わなければ、無縁のことだった。

 クラスの人数は私を含め4人。男子2名、女子2名。3人とも親が冒険者だった。

 ゼンは父親が剣士で、彼自身も剣が得意らしい。赤い髪が印象的だ。

 クリフは両親共に魔術師。銀色の髪がきれいだ。

 サラは父親が格闘家で、母親がヒーラーということだった。茶色のくせ毛がかわいらしい。


「まさか、王子様と同級生とは思わなかったわ」

「そうね」

 王子様に興味は無いけど、とりあえずサラの言葉に相槌を打っておく。

「成績次第では、王子様と同じクラスになる可能性があるって事よね」

「そうね。夏休み後の実力試験の結果で、正式なクラス分けをするって、先生が言ってたものね」

 9月にある実力試験によって、AからDまでの4クラスに再編成される。

「それまで、王子様と会う機会は無いのかしら」

 サラがため息交じりに言う。

「魔法の実技の授業は、数日後の能力テストでクラス関係なくレベル分けされるって先生が言ってなかった?その時会えるんじゃない?」

「じゃあ、運よくいけば、同じ実技の授業が受けられるって事よね」

「そうなるかな」

 王子――面倒なので敬称略――がどれくらいの魔法のレベルなのか、レベル分けも何段階なのか分からないので確率としては低いとは思うが、

「サラが王子様と同じ授業を受けられるよう、祈っとく」

 そう、声をかけてあげた。




 

ありがとうございます。

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