類は友を呼ぶ……類友?
おっすおす、今日も今日とて水槽でまったりしてる人魚ちゃんです。
執事の爺様には睨まれたりなんかお小言的な事を言われてるっぽいけど、その他はストレスもなく元気にやってます。
寧ろ居住環境がだんだんと整えられて今じゃ水草擬きとか海藻擬き、あとは細かすぎない砂利とかカラフルな熱帯魚みたいな同居魚も増えて快適、快適。
うむ、余は満足じゃなんて言ってみたり。
あ。あとすごいファンタジーな感じの腕輪貰ったんだよ、最近!
金ぴかでーでっかい宝石みたいな青い石着いた、ちょっと重そうなやつ。
最初はおじさまに触られた時みたいに火傷するんじゃなかろうかってドキドキしてたんだけど、実際に着けてみると重くもないし着けてる感覚もあまりなくって驚いちゃった。
それを時々思い出して眺めるのが現在のマイブーム。
いや~アクセサリーの類いをこんなわけのわからない半分魚になった状態で着けられるなんて思わなかったのもあるし、昔も光り物を眺めたりするの好きだったから、ね。じ~んと心にくるものがあるよね。
そこんとこ、おじさまに感謝しなくちゃ。
……なんだけども、何なんだろうか。この状況。誰か説明してクレメンス。
めーでーめーでーめーでー、今、私は三匹のモンスターに囲まれている。
一匹目は小太りで髪の毛淋しい、けども必死にそれを誤魔化し誤魔化してる感する緑チョッキのおじ様。
二匹目は中くらいの大きさのお太め、チョビヒゲな赤ワインのグラス持って顎を触りまくってるお爺様に近いおじ様。
三匹目は大だな!大と言うに相応しい縦にも横にも大層大きなおじ様!ボタン飛びそう!あと袖やら首やらのフリルがやばい!!それは最悪の選択だよ!大きいのが更に際立ってる気がするもん!服とかファッションとかよくわからないけど!
そんな彼らと我がご主人たるおじさまが水槽前にテーブル置いてこれ見よがしにお茶会みたいな事してるんだ……。かれこれ二時間。
ねぇ、これ何の儀式?罰ゲーム?ちょいちょい嫌らしい感じの視線向けられてる感あるし、テーブルの上のケーキみたいなクッキーみたいなお菓子美味そうだし、会話は難しくてわからないし、どうすりゃいいのん?
反応にも困るわぁなんて眉下げたり、水槽から頭を出して鳴いてみたりするもおじ様方見当違いな反応するし
歓声あげたり拍手したりさ、うーん。これって珍しいペット自慢したり愛玩しあう感じの会なのかな?
女子会みたいな貴族の嗜み?ならしょうがないのかなぁ……。
でもやっぱり気になるんですけどぉ、もしもーし?
困惑してばかりの鑑賞会も大詰めか、どっしり肉が沈んでたソファからメイドさん達やら従者さんぽい人達に手を借り、金銀ごってごてな杖を持たされて立ち上がったおじ様方を見、私も何となく水槽から顔を出す。
ようわからんけど、ご主人なおじさまと仲良くしてくれてる?ぽいし、勝手に撫でくり回したりとかもなく見るだけであれだけ楽しそうにお話するだけならまた来てくれてもいいよ~!お土産に貝とか私が食えるもの持って来てくれたら尚歓迎!とお見送りとおねだりを込めた鳴き声をかける。
扉に向かいかけたおきゃくさまがたがちょっと驚いたみたいな顔した後に手を振ったりにっちゃりした笑顔で何か言葉をかけてきてくれたり、多分投げキッス?飛ばしてきたりとかするのにも笑顔で答えて見送る。
やばい、私できたペットちゃんじゃない?むっふ~!今日の晩御飯はちょっといいものもらえたりしないかなと思いながらメイドちゃんが後片付けをするのを眺めて適当に歌を歌った。