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お魚ライフ  作者: アロエ
3/6

それは私の尾びれだ馬鹿ものめ!


人魚ちゃん視点に戻ります。




おじさまと暮らし初めてどれだけ経ったか。ぶっちゃけ日数なんて感覚わかんないし、寝て起きてを繰り返してたらおじさまがいた、みたいな感覚だからわかりゃしないけど。



おじさまが撫でくり回してくるからペットとして耐えようとか思ってたら火傷してたり。それでおじさまがめっちゃ焦ってなんか塗ろうとしてきたと思ったらそれがめちゃめちゃ痛くて叫びまくって逃げたりとかした記憶しかないよ。



あ、一つ思い出深いのがあった。お屋敷に来たばっかの頃に超豪華な料理のフルコースを並べられて、涎垂らして喜んで給餌を受けようとしたら、味が濃すぎて何だかわかんなかった。焼いたステーキみたいな肉とか油ものはヘドロに浸したみたいな感触と臭いだったし、果物も甘いじゃないの。溝川に浸したスポンジとか雑巾を口に突っ込まれたかと思った。



そんなんばっかで口に入れられた瞬間吐き出した。しかも殆ど食えずに吐き出したはずなのにその夜腹壊した。内臓と言わず全身ガッチガチに強張るし、涙は止まらないし、震えも止まらなくて死ぬかと思った。



幸い一日寝込んだ程度で治った。次の日からは生魚やら貝やらを貰った。これは特に拒否反応もなく、寧ろ自然そのままの味が優しくて美味かった。まともに食えるものがあって嬉しかったけどちょっぴり泣いた。





んで、今日。ご飯後にストレッチがてら体を捻ってたりしてたらおじさまがなんだかガチムチな感じなイケメンを連れてきて驚いた。



ええ?おじさまもしかして男色の気もあるの?なんてちょっと慄きつつ、じっとこちらを見てくるイケメンを見つめ返して観察した。



濃い灰色に近い銀髪をオールバックにしてる。いいね、男の人のオールバックってカッコイイ。あ、キャリアウーマンのオールバックとかも好き。



話しずれたー。んでんで、目の色はコバルトブルー。きれーだなぁ。あれだ、お人形のガラスの目とかそんな感じ。作りものめいて見えるくらい綺麗って褒め言葉であってる?



本当、どうやってこんなイケメンさんと知り合ったんだおじさま……。まさかマジで私と一緒で競売か何かでゲットしてきた?



とかなんとか思ってたら水槽コンコンされて、最近つけられたっぽい名前を呼ばれたから返事した。



きょーん、って。はーいって言ってるつもりなんだけど、言葉にならずに鳴き声になる不思議。



呼んだ癖におじさまはイケメンと話し出すし。なら呼ぶなよ……。いちゃつくなら他所でやってくれ。



私は寝ます、起きたばっかだけど眠いんだ。後五分、オネガイシャス。











男前さんとおじさまがお話ししだして退屈になってうつらうつらしてたら、いつの間にか夜になってたみたいで。眠気が浅くなって水槽から頭を出して欠伸して、きょろと周りを見てみたら誰もいなかった。というか部屋真っ暗。



やーん、寝る時は豆電球一個ついてるちょっと柔いオレンジの光に包まれてないと安眠できないのにー



あ、でもこの体になってからずっと真っ暗で寝て過ごしてきたんだった。あははうっかりー?



しんと静かな中でクルクル喉鳴らして笑ったところで淋しさと虚しさ倍増……。なんだこれ、めちゃくちゃ悲しい



「きゅーん……」



誰かー 誰かいないの~?え、マジで寂しいんだけど



夜鳴いたりする子犬とか赤ちゃんってこんな気持ちなのか。いや犬はそうかもだけど赤ちゃんは違う?いやどっちでもいいや、そんなの



「ピュイー?ぴい………」



寂しい~誰か~構って~と結構長い事鳴いていたら誰かが歩いてくる音っぽいのが遠くから響いてきた。げ、この足音は多分、執事っぽいおじいちゃんのじゃないか。



セバスチャンとかいう名前が合いそうなお年を召した方。この人は一見優しそうに見えて結構厳しい方だと思う。まず、私を見る目がめっちゃ怖い。



そりゃあ、ご主人様が買ってきた得体の知れない生物かもしれないけど、でももうちょっと女の子を見る感じにふわっとした優しい眼差しを向けてくれてもいいじゃんかと思ったり思わなかったり。



ちやほやされるのは好きだよ。そりゃ誰だって嫌悪とか嘲笑を込めた悪意ある眼差しを向けられるのが好きなんていな……。あ、でもMの方は好きか?んん?



そういう趣味ないからこればっかりはわかんないなぁとかなんとか考えてたらガチャっと扉が開けられる音。次いで現れたのは不機嫌そうなオーラを隠そうともせずに纏った執事っぽいじいちゃん。



ぎゃあ!こっわ!微笑みを浮かべてるけどめちゃめちゃ怖いいいいい!!



絶対〆るって口に出してないのに脳に直接送られるような寒気、殺気、その他諸々がががががが



言葉が通じないはずなのに宣戦布告されたような気がする!これは!間違いなく!!折檻される!!O☆SI☆O☆KI!!嫌だーーーー!わああああん!!おじさまたっけてー!



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